買い物にキャッシュレス決済を利用することは、今や一般化してきています。しかし、手数料がどれくらいかかるのか詳しいことが分からず、導入に踏み込めていない事業者もあるのではないでしょうか。この記事では、決済方法ごとの手数料の目安や主要サービス5社の手数料を解説します。キャッシュレス決済の導入を検討する上でぜひご参考にしてください。
目次
キャッシュレス決済サービスにおける「手数料」
キャッシュレス決済サービスには手数料が発生します。手数料は加盟店が支払うものと、利用者側が支払うものという2つの視点があります。
加盟店側が支払う手数料
キャッシュレス決済を導入した加盟店は、クレジットカード会社や決済サービス会社に手数料を支払います。金額は決済の種類によって異なりますが、決済額の数パーセント程度で、現在は3%前後が一般的です。
決済手数料は売り上げ規模によって変わります。取扱高が大きければ安く、小さければ高くなる場合が多いでしょう。最近では、取扱高に関わらず低い決済手数料率の事業者や、公共施設用に特別な手数料率を設定している事業者もあります。
さらに、決済サービスの運営会社から売り上げ金が入金される際の振込手数料も店舗負担です。
利用者側が支払う手数料
基本的に利用者が決済時に手数料を負担することはありません。しかし、クレジットカードで分割払いやリボ払いを使用した場合、回数ごとの手数料や金利手数料の負担が必要です。
通常2回払いまでの分割手数料はかかりません。リボ払いでは多くの場合、実質年率15%程度の金利手数料を支払うのが一般的です。また、支払いが遅れた場合には遅延損害金が発生することがあります。
各キャッシュレス決済方法の手数料目安
キャッシュレス決済では決済方法ごとに手数料が異なります。各決済サービスの手数料目安は以下の通りです。
【各決済サービス手数料早見表】
決済方法 | 一般的な手数料 |
---|---|
クレジットカード決済 | 4~7% |
電子マネー決済 | 3~4% |
QRコード、バーコード決済 | 1~3% |
クレジットカード決済の手数料
クレジットカードの決済手数料は、事業規模や業種によって異なります。例えば、個人経営の飲食店などの決済手数料は4~7%前後である一方、コンビニなどの大手チェーン店では1%前後に設定される場合が多いです。
つまり個人経営の飲食店では、1,000円のランチ1会計につき、40円から70円ほどの決済手数料を支払うことになります。
しかし、キャッシュレスが普及している現在では、クレジットカード決済が選択肢になければ機会損失につながります。例えば顧客が現金を持ち歩かない、または持ち合わせが少なくカード決済で購入できない場合、オンラインショップに流れるといった機会損失が考えられます。決済手数料を負担してでも、結果として集客増が見込めるため、導入するメリットはあるといえるでしょう。
電子マネー決済の手数料
交通系IC(Suica、PASMOなど)をふくむ電子マネー決済は、3~4%の手数料が相場です。つまり、1,000円のランチ会計で30円から40円ほどの手数料を負担する計算になります。
電子マネー決済は端末にかざすだけのタッチ会計で、チャージ式(前払い式)タイプであれば、現金感覚で手軽に利用できます。利用者の需要を考えると、電子マネー決済も選択肢に入れておくべきでしょう。
QRコード、バーコード決済の手数料
PayPayやLINE Payなど、スマホをかざすだけで決済ができるQRコードやバーコード決済の手数料は3%前後が相場です。1,000円の会計であれば多く見積もっても30円の負担であり、取り入れやすい決済方法といえます。
スマホ世代の若者がよく利用する軽食やファストフード店などでは需要が高いため、手数料の低いQRコードやバーコード決済への対応は必須ともいえるでしょう。
キャッシュレス決済の手数料に関する注意点
キャッシュレス決済は決済手数料を負担する必要があることが、導入時にネックだと感じる事業者もあるかもしれません。しかし、決済事業者や決済代行会社に支払うべき手数料を、加盟店が消費者に負担させる「上乗せ請求」は、各提供事業者に設けられている規約違反です。違反した場合、決済サービスの利用停止処分を受け、加盟店から除外される可能性があるので注意しましょう。
キャッシュレス決済を導入するメリット
キャッシュレス決済には手数料や諸費用がかかりますが、これらのコストを上回る導入メリットがあります。具体的には、以下の3つのメリットが挙げられます。
それぞれのメリットがなぜ期待できるのか、詳しく見ていきましょう。
顧客単価の向上が見込める
キャッシュレス決済は手持ちの現金が不要で、残金を気にせず買い物ができるのが特長です。そのため高額な商品を購入することへの心理的抵抗が薄くなり、現金決済よりも支出金額が高くなる傾向にあります。ついで買いなども増えやすくなるので、客単価の向上が見込めるでしょう。
新たな顧客獲得の可能性が高まる
キャッシュレス決済の利用者は年々増加しており、キャッシュレス決済が選択肢にない店舗は顧客を取りこぼしかねない状況です。逆にいえば、キャッシュレスに対応することで、カード決済や電子マネーを日常使いしている顧客のリピーター化が期待できます。現金会計で起きがちな、持ち合わせが足りないなどレジ前でのトラブルリスクもなくなり、お店の信用も担保できるでしょう。
また、海外ではキャッシュレス比率が高いことから、昨今のインバウンド需要の取り込みを図れるため、新たな顧客獲得が見込めます。一般社団法人キャッシュレス推進協議会の資料『キャッシュレス・ロードマップ2023』によると、キャッシュレス決済比率が高い上位5カ国は以下の通りでした。
- 韓国:95.3%
- 中国:83.8%
- オーストラリア:72.8%
- イギリス:65.1%
- シンガポール:63.8%
上記の通り、韓国や中国、オーストラリアでは特にキャッシュレス比率が高く、イギリスやシンガポールなどその他の国でも、日本の32.5%よりもキャッシュレス比率が大幅に高い状況です。
そのため、キャッシュレス決済に対応することで、そうした国々からの旅行客の利便性を高められ、購買を促進できるでしょう。
出典:一般社団法人キャッシュレス推進協議会「キャッシュレス・ロードマップ2023」
現金管理の負担を軽減できる
従来の現金取引では、レジでの金銭の授受、釣銭の準備、日々の売り上げ金の集計、銀行への入金作業など、多くの時間と労力を要する作業が発生していました。これらの作業は人為的ミスのリスクも高く、また現金の保管にはセキュリティ上の懸念もありました。
一方、キャッシュレス決済を導入することで、こうした作業の多くが自動化されます。クレジットカードやスマートフォンでの決済では、取引データが電子的に記録され、自動的に集計されるため、手作業での現金計算や管理が不要になるのです。
さらに、現金の取り扱いが減少することで、盗難や紛失のリスクも低下し、セキュリティ面での懸念も軽減されるでしょう。キャッシュレス決済を導入するデメリット
キャッシュレス決済の導入は多くのメリットがありますが、デメリットもあります。しかし、把握していればカバーできることも多く、デメリット以上のメリットが見込めるでしょう。
導入コストがかかる
キャッシュレス決済の導入には、決済手数料以外にもさまざまな費用が必要となる点に注意が必要です。主な費用として、初期費用と運用費用の2種類があります。
初期費用には、決済端末の購入・設置費用が含まれます。クレジットカードや交通系ICカードを読み取る機器の購入またはレンタルをする費用で、数万円程度が相場です。 運用費用としては、端末をレンタルする場合の月額利用料や、売り上げ入金時の振込手数料があります。月額利用料は数千円程度が相場で、振込手数料は数百円程度が相場です。
その他、インターネット通信費用も考慮が必要です。インターネット環境がない店舗では、回線の設置工事に数万円程度かかり、月々数千円の通信費も発生します。
しかし、消費者がお店を選ぶ際にキャッシュレス決済があるかどうかは重要なポイントであり、導入しないことの方がデメリットとなる可能性があります。積極的に導入を検討する価値はあるでしょう。
キャッシュレス決済を導入する際の契約方法
キャッシュレス決済を導入する際の契約方法は2パターンあります。ひとつはカードブランドなど各決済事業者と直接契約する方法、もうひとつが決済代行会社を介して契約する方法です。
直接契約
直接契約は、仲介手数料を挟まないためコストを抑えられます。ただし、複数の決済事業者ごとに契約を結び、審査の手続きをする場合が多く、それだけ時間と労力が必要でしょう。
また、決済手数料は決済事業者ごとに異なるため、全体で手数料がどの程度かかっているのか把握しづらいところも難点です。決済日や入金日も各決済事業者で異なるため、経理処理も煩雑化して大きな負担になります。
複数の決済方法を導入すれば、端末も同じだけ必要です。その分コストがかかるうえに、端末を多く設置することでレジ回りのオペレーションが複雑化します。
決済代行会社との契約
決済代行会社を介した契約の場合、複数の決済事業者との契約や審査申請をまとめて行えるのが大きなメリットです。決済に関わる情報の管理を一元化でき、売り上げ状況や店舗が負担している手数料の総額なども把握しやすくなります。負担する手数料も、むしろ直接契約より抑えられる場合が大半です。
決済代行会社によっては必要な端末を無料でレンタルできるサービスもあり、コストを気にせず簡単・手軽にキャッシュレス決済を導入できます。
キャッシュレス決済サービスのおすすめ5社の比較一覧
キャッシュレス決済サービスを提供している、おすすめの会社を5社ご紹介します。自社で導入を検討する上でのご参考にしてください。
【各サービスの手数料・費用の比較表】
サービス名 | 初期費用 | 月額利用料 | クレジットカード決済手数料 | 電子マネー決済手数料 | QRコード決済手数料 |
---|---|---|---|---|---|
USEN PAY | 0円(キャンペーン適用) | 0〜1,980円 | 2.99〜3.24%(医療機関1.9%〜) | 3.24% | 3.0〜3.24% |
Square | 4,980〜8万4,980円(買い切り型) | 0円〜 | 3.25%(対面) 3.6%(オンライン) 3.75%(非対面) 3.25%(請求書) |
3.25% | 3.25% |
STORES決済 | 0円(キャンペーン適用) | 0円 | 3.24% | 1.98% | 3.24% |
sterapack | 0円 | 0〜3,300円 | 2.70〜3.24% | 3.24% | 3.24% |
AirPAY | 0円(キャンペーン適用) | 0円 | 3.24% | 2.95% | 0.99〜2.95% |
※本章でご紹介する内容は、いずれも2024年8月4日時点の情報です。最新の情報は各サービスのホームページをご確認ください。
USEN PAYシリーズ
USEN PAYシリーズの料金プランは「USEN PAY」、「USEN PAY ENTRY」、「USEN PAY QR」の3種類があります。いずれも初期費用は0円で(※USEN PAY ENTRYはキャンペーン適用時)、端末の月額利用料は〜1,980円です。
決済手数料率は、クレジットカード決済が2.99〜3.24%(医療機関は1.9%〜)、電子マネー決済が3.24%、QRコード決済が0.3〜3.24%と、決済方法によって異なります。インバウンド向けのWeChatPayやAlipayは、3.0%で利用可能となり、外国人観光客の集客にも効果的です。
- USEN PAYは、業界最大級71種の決済ブランドに対応している
- 翌日入金サービスで昨日の決済額をすぐに振込できる
- 導入から保守まで充実したサポートがある
Square
Squareの料金プランは、無料の「フリープラン」より高度な機能を持つ「プラスプラン」、そしてカスタマイズ性に長けた「プレミアムプラン」があります。
決済手数料率は、対面取引で3.25%、オンライン取引で3.6%、非対面取引で3.75%、請求書取引で3.25%です。
- デザイン性の高い決済端末である
- 無料POSレジで売り上げ管理もできる
- オンライン請求書にも対応している
STORES決済
STORES決済は、クレジットカードと請求書決済の手数料率は3.24%、電子マネーは1.98%(業界最安水準)、QUICPayやiD、WeChatPayは3.24%です。
初期費用、月額利用料は0円で、決済端末代も条件達成で0円になります。また、自動入金をはじめ先方より10万円以上の場合、振込手数料も無料となります。
- 最短5分で申し込みが完了し、最短3営業日で利用開始できる
- 一部の業種は、専用フォームからの申請でカード決済手数料が特別料率になる
- 月額利用料がかからず、条件達成で導入費用も0円になる
sterapack
sterapackは、店舗向けに「お試しプラン」と「スタンダードプラン」の2つの料金プランを提供しています。お試しプランは、1年間(13ヶ月目まで)月額利用料が0円で始められ、初期費用も無料です。また、Visa・Mastercardの決済手数料率は1〜3ヶ月目までは3.24%です。
一方、スタンダードプランは初期費用無料で、月額利用料が3,300円、カード決済手数料率は2.70%です。お試しプランと、その他の決済手数料率は3.24%です。
- コンパクトな決済端末だが、多種な決済を搭載している
- 初期費用やサービスが充実している
- 会員証アプリで、顧客のリピート来店を促進できる
AirPAY
AirPAYは、初期費用、月額利用料が0円からスタートでき、現在実施中のキャンペーンでは、台数限定で初期費用が0円になります。
決済手数料率は、クレジットカードが3.24%、電子マネーが2.95%、その他のQRコード決済が0.99%〜2.95%と、決済方法によって異なります。
さらに、振込手数料も0円となっており、店舗側のコストの負担を最小限に抑えられるのが特長です。
- 74種類の決済方法に対応している
- 振込手数料・月額利用料が0円である
- お店の規模や業種を問わず、業界最安水準となっている
キャッシュレス決済の導入には補助金の活用がおすすめ!
【キャッシュレス決済の導入に利用可能な補助金システム一覧】
- キャッシュレス決済導入補助金
- IT導入補助金2024
- 小規模事業者持続化補助金
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
- 業務改善助成金
キャッシュレス決済を導入する場合、上記のような国や自治体の補助金制度を利用できる場合があります。
キャッシュレス決済導入補助金については、すべての自治体が実施しているわけではないため、まず管轄の自治体へ実施の有無を問い合わせてみましょう。
その他の補助金については、事業のIT化促進や、IT化による業務効率化を図る目的でツールの導入費用を補助してもらえる制度です。キャッシュレス決済の導入においても補助申請できる可能性があるので、検討の際にはチェックしてください。
コストをかけてでも導入したいキャッシュレス決済!
キャッシュレス決済を導入するには、初期費用や決済手数料の負担が必要で、大きなコストになると考えている事業者も多いでしょう。しかし、キャッシュレス決済の需要は日に日に高まっており、現在では現金を全く持ち歩かないという人も珍しくありません。消費者ニーズに応えることができれば、コストを上回る集客獲得も見込めます。
決済手数料は、決済方法ごとに異なり、事業規模や業種によっても変わります。この記事で紹介した各決済方法の相場、業種ごとの目安を参考に、店舗運営に役立ててみてください。
USEN では、キャンペーンを適用で初期費用・月額利用料無料で手軽に導入できるキャッシュレス決済システムを用意しています。初期設定や万が一のトラブル時にも手厚いサポートが受けられるので安心です。また、レジとのシームレスな連携も可能なため、レジ処理の手間の削減も可能です。キャッシュレス決済サービスUSEN PAYの詳細は、こちらからお問い合わせください。