キャッシュレス化が進む現代、スマホ決済は消費者の日常生活に欠かせない存在となりました。同時に、多くの店舗経営者にとっても、スマホ決済の導入は競争力を高めるための重要なポイントとなっています。しかし、具体的な導入方法やメリット、そして抱える課題について詳しく理解している人は少ないかもしれません。
この記事では、スマホ決済の基本から代表的な決済サービス、導入のポイント、メリット、課題まで徹底解説します。
目次
スマホ決済とは?導入が求められる背景
スマホ決済は、現金を使わずにアプリを利用して支払いができる仕組みです。政府のキャッシュレス化推進や新型コロナウイルスの影響により、スマホ決済のニーズは急速に拡大しています。店舗にとっても、利便性向上や売上増加が期待できる注目の決済手段です。
以下では、キャッシュレス化の現状とスマホ決済のニーズの高まりについて詳しく見ていきます。
キャッシュレス化の現状
日本ではキャッシュレス化が着実に進行しています。政府は2025年までにキャッシュレス決済比率を40%以上に引き上げる「キャッシュレス・ビジョン」を掲げ、2023年時点で39.3%に達しました。実際に、QRコード決済や非接触型IC決済が普及し、消費者の支払い手段の多様化が進んでいます。
経済産業省が行ったキャッシュレス実態調査によると、日常生活において全世代でキャッシュレス決済が広く普及しており、特に若年層では現金を全く持ち歩かない人も増えているのです。この流れは店舗側にも影響を与えており、キャッシュレス決済に対応して利便性向上を図るとともに、現金の取り扱いを減らすことで業務効率化を図る動きが広がっています。
出典:
経済産業省「キャッシュレス」
経済産業省「消費者実態調査の分析結果」
スマホ決済ニーズの高まり
スマホ決済の需要が拡大している理由として、ITテクノロジーの発展と消費者のライフスタイルの変化が挙げられます。スマートフォンの普及率が90%を超える現代、スマホを活用した支払いは手軽さとスピードを兼ね備え、多くの消費者にとって欠かせないものとなっています。
また、新型コロナウイルス感染症の拡大により、非接触の取引が重視されるようになったことも、スマホ決済の普及を後押ししました。特に飲食店や小売店では、現金のやり取りを減らし、衛生面での安全性を向上させる取り組みとして、スマホ決済が積極的に採用されています。
さらに、スマホ決済の利用で得られるポイント還元や割引といったインセンティブが利用者の関心を引き、利用頻度を高める要因となっています。店舗にとってスマホ決済は、来店客の満足度向上や集客の手段として欠かせない要素となっているのです。
スマホ決済の種類とやり方・代表的なサービス
スマホ決済には様々な決済方法とサービスがあります。それぞれの特徴を理解することで、店舗のニーズに最適な決済手段を導入できます。
QRコード決済
QRコード決済は、消費者がスマホアプリで表示したQRコードを読み取るか、店舗のQRコードを来店客が読み取ることで支払いが完了する方式です。経済産業省のデータによれば、2023年のキャッシュレス決済に占めるQRコード決済の割合は8.6%(10.9兆円)となっており、年々利用が増加しています。
代表的なサービスにはPayPay、楽天ペイ、d払い、メルペイ、au PAYなどがあります。これらのサービスは導入コストが比較的安価なため、小規模店舗でも取り入れやすいのが特徴です。また、QRコード決済は非接触型のため、衛生面でも安心感を提供できる点が飲食店や小売店に好まれる理由の一つです。
さらに、多くのQRコード決済サービスではポイント還元キャンペーンを実施しており、利用者にとってもメリットがあります。例えば、PayPayは自治体と協力して最大20%還元されるキャンペーンを展開しています。
非接触型IC決済
非接触型IC決済は、スマートフォンやICカードを専用端末にかざすだけで決済が完了する仕組みです。Suica・PASMOなどの交通系電子マネー、Apple PayやGoogle Payといったサービスが該当します。経済産業省の統計では、2023年のキャッシュレス決済に占める電子マネーの割合は5.1%(6.4兆円)となっています。
物理的な接触を必要としないため、利用者がスムーズに支払いを行える点が大きな魅力です。特に都市部の交通機関やコンビニエンスストアなど、迅速な会計処理が求められる場面で広く活用されています。
また、非接触型IC決済の普及に伴い、飲食店や大規模小売店でも導入が進んでおり、利用者と店舗の両方に利便性を提供しています。さらに、交通系ICカードを利用した割引サービスやポイント付与施策も増えており、継続的に利用を促進する仕組みが整っています。
キャリア決済
キャリア決済は、携帯電話の利用料金と合わせて購入代金を支払う仕組みです。NTTドコモの「d払い」、KDDIの「auかんたん決済」、ソフトバンクの「ソフトバンクまとめて支払い/ワイモバイルまとめて支払い」があります。
キャリア決済の特徴は、消費者がクレジットカードや銀行口座を登録する手間を省ける点です。特に、デジタルコンテンツの購入やオンラインサービスの支払いで多く利用されています。
クレジットカードを登録した決済アプリの利用
クレジットカードは最もよく利用されるキャッシュレス決済手段であり、2023年のキャッシュレス決済に占める割合は83.5%(105.7兆円)となっています。最近では、手持ちのクレジットカードをApple PayやGoogle Payといったスマホのウォレットアプリに紐づけることで、より手軽で便利に決済する方式が普及しています。
ウォレットアプリに登録すれば複数のクレジットカードをまとめて管理できる上、財布からカードを出す手間もありません。非接触で素早く決済を完了できるため、店舗にとっても利用者にとってもメリットのある方法といえます。
店舗でよく利用されているキャッシュレス決済サービスは?
株式会社ウェブクルーが行ったキャッシュレス決済に関するアンケートによると、店頭で普段使っているキャッシュレス決済として、PayPayが88.9%でトップ、続いて楽天ペイが58.1%、クレジットカードが46.2%となっています。上位の利用率は特に高くなっていますが、幅広い決済手段が使われている反面、店舗においては様々な決済手段に対応する必要性がこの調査結果から伺えます。
出典:MoneyFix「現金は時代遅れ?お店でキャッシュレス決済を利用する人は99%という結果に【独自調査】」
スマホ決済の支払いタイミング
スマホ決済利用者にとって、実際に料金を支払うタイミングは重要なポイントです。一般的には以下の3種類があります。
前払いの仕組みと特徴
前払い(プリペイド方式)は、利用者が事前にチャージした残高を利用して支払いを行う仕組みです。主に、PayPay・楽天ペイ・d払い・メルペイ・au PAYといったQRコード決済や、Suica・PASMOなどの電子マネーで利用できます。
前払いの利点は、利用者が使いすぎを防ぐことができ、予算管理がしやすい点です。また、サービスによってはチャージの際にポイント還元が行われるのも魅力です。一方、チャージ残高がない状態で支払いをしようとすると決済エラーが生じる問題もありますが、決済サービスによっては残高が一定金額を下回ったときに自動で入金される「オートチャージ機能」も用意されています。
後払いの仕組みと特徴
後払い(ポストペイ方式)は、商品やサービスを利用した後で支払いを行う方法です。代表例としてはクレジットカードや「メルペイのあと払い」のような後払いサービスがあります。この仕組みは、一時的な資金不足を補うのに便利ですが、返済期限を守らないと利息が発生するリスクがあるため、計画的な利用が求められます。
後払いは消費者の購入意欲を促進する効果が見込め、大型商品や高額サービスの販売に有利な支払い手段となっています。
後払いサービスの普及に伴い、未払いリスクを管理するためのスコアリング技術やAIを活用した審査システムが発展しています。
即時払いの仕組みと特徴
即時払い(リアルタイムペイメント方式)は、購入と同時に銀行口座から代金が引き落とされる仕組みで、デビットカードを利用した支払いが該当します。2023年時点のキャッシュレス決済に占めるデビットカードの比率は2.9%(3.7兆円)となっています。
銀行口座と直接連動しているため、利用者は後から支払いを忘れる心配もなく、預金残高の範囲内で安心して支払いを行うことができます。
店舗におけるスマホ決済のメリット
スマホ決済の導入は、店舗に様々なメリットをもたらします。
会計スピードが向上し、顧客満足度が向上
スマホ決済を導入すると、会計がスピーディーになり、混雑時でもスムーズに対応できます。QRコード決済や非接触型IC決済なら、現金の受け渡しやお釣りの計算が不要なため、会計時間が短縮され、売上機会の損失も防げます。支払いプロセスが簡略化されれば、顧客もストレスなく買い物や飲食を楽しめるでしょう。非接触型決済は衛生面でも評価されており、新型コロナウイルス感染症の拡大以降、利用者の安心感を高める要因となっています。
現金管理の手間を削減し、運用効率を向上
スマホ決済を導入することで、現金管理にかかる業務の負担が軽減されます。例えば、売上の集計や釣銭の準備、現金盗難のリスクを回避できるため、店舗運営の効率が向上します。特に、中小規模の店舗では、日々の現金管理が従業員の大きな負担となることがありますが、スマホ決済を活用することでこの負担を大幅に軽減できます。
また、スマホ決済を含むキャッシュレス決済の利用により、売上をデジタルで効率的に管理しやすくなり、集計や確定申告の簡略化にも寄与します。
データ活用によるマーケティング強化
スマホ決済を利用した際、決済端末とPOSレジの連動によって得られる購買データは、マーケティングの強化に大いに役立ちます。例えば、顧客の購入頻度、購入商品の傾向、利用時間帯などを分析することで、効果的な販促活動が可能になります。また、店舗側が顧客の購買履歴をもとに特定の商品をおすすめすることで、リピート購入を促進できます。
さらに、データに基づいた割引やポイント還元の提供により、顧客満足度の向上や新規顧客の取り込みも期待できます。
キャッシュレス利用率の高い客層の取り込み
スマホ決済などのキャッシュレス決済を導入することで、現金を持ち歩かない層や迅速な支払いを求める顧客に利便性を提供できます。特に、20~30代の若年層はQRコード決済をはじめとするスマホ決済の利用率が高いといわれています。
年々キャッシュレス決済が普及する中で、利便性の高さやポイント還元の魅力からキャッシュレス決済の導入有無によって利用する店舗を選ぶ顧客も一定数存在するでしょう。キャッシュレス対応を強化することは、店舗の競争力を向上させる重要な施策となります。
インバウンド需要への対応
日本を訪れる外国人観光客が増加する中で、スマホ決済の対応は国際競争力を高める手段の一つです。先進諸国では日本よりもキャッシュレス決済の普及が進んでおり、訪日外国人旅行者におけるキャッシュレス決済の需要は一定数あります。旅行者が多額の現金を持ち歩くのは難しいため、店舗がキャッシュレス決済を導入することで、高額な支払いにもスムーズに対応できます。
また、国籍・地域別で見ると訪日外国人旅行消費額は中国が最も多いため、利用率が高いWeChat PayやAlipayといったスマホ決済サービスに対応することで、利便性を向上させることができます。
出典:
観光庁「インバウンド消費動向調査(旧 訪日外国人消費動向調査)」
観光庁「訪日外国人旅行者の受入環境に関する調査」
スマホ決済が抱える課題・デメリット
スマホ決済の導入は多くのメリットをもたらしますが、課題やデメリットも存在します。これらを把握することで、導入時のリスクを最小限に抑えることが可能です。
導入コストや決済手数料の負担
スマホ決済を導入する際には、初期費用やランニングコストが発生します。例えば、専用端末の購入やレンタル費用、システムの導入費用が挙げられます。また、キャッシュレス決済を利用するたびに発生する決済手数料も店舗側の負担となります。決済手数料は決済額の数%が一般的です。
一方、決済サービスによっては初期費用が無料で導入できるケースもあり、決済手数料もサービスごとに差があります。複数のサービスを比較検討し、コスト面で最適な選択をすることが重要です。
通信障害やバッテリー切れによるリスク
スマホ決済は、インターネット通信に依存しているため、通信障害が発生した場合、支払いが行えなくなるリスクがあります。特にピーク時にシステムがダウンすると、顧客の不満を招き、店舗の信頼性に影響を与える可能性があります。また、顧客のスマホがバッテリー切れを起こした場合や、店舗側の端末が故障した場合にも、代替手段が必要になります。
このような事態に備えるため、店舗側ではWi-Fi環境を整備することや、現金やクレジットカードなど他の決済手段を併用することが推奨されます。多様な支払い方法を用意することで、リスクを軽減し、顧客満足度を維持することが可能です。
端末設置や初期設定の手間
スマホ決済を導入するには、専用端末の設置やアプリケーションの設定が必要です。特に、複数の決済サービスを導入する場合、それぞれの設定作業やスタッフへの操作説明に時間と手間がかかることがあります。また、新しい機器に不慣れなスタッフがいる場合、初期運用がスムーズに進まない可能性もあります。
この課題を解消するためには、サポート体制が充実した決済サービスを選ぶことが重要です。初期設定の無料サポートや、機器オペレーションに対するトレーニングを支援してくれる業者なら、効率的かつ安心して導入作業を進めることができます。
店舗へのスマホ決済の導入のポイント
スマホ決済をスムーズに導入し、最大限活用するためにはいくつかのポイントを押さえる必要があります。
幅広い決済手段への対応
店舗が幅広い決済手段に対応することで、多様な顧客ニーズに応えることが可能です。クレジットカードや国内の主要なスマホ決済サービス(PayPay、楽天ペイ、d払いなど)だけでなく、訪日外国人観光客向けのWeChat PayやAlipayにも対応することで、新たな顧客層を取り込むことができます。また、複数の決済手段を導入することで、特定の決済手段に依存せず、顧客の利便性を向上させることが可能です。
導入・保守におけるサポート体制
スマホ決済の導入を成功させるには、サポート体制の充実したサービスを選ぶことが重要です。初期設定時に無料サポートを提供する業者や、24時間対応のカスタマーサポートを利用することで、トラブル発生時にも迅速に対処できます。また、従業員向けのトレーニングを提供しているサービスを選択することで、日常の運用が円滑に進むようになります。さらに、アップデートや新機能の追加に対しても柔軟に対応できるサービスを選ぶことが推奨されます。
キャッシュレス決済を導入するならUSEN PAYシリーズがおすすめ
USENの提供しているキャッシュレス決済サービス「USEN PAYシリーズ」は、クレジットカードやQRコード決済、電子マネーなど国内主要な決済手段はもちろん、訪日外国人観光客に人気のWeChat PayやAlipayといった海外決済サービスまで、業界最大級の70種以上のブランドに対応しています。店舗は多様な顧客層を取り込み、売上向上が期待できます。
レンタル品となる決済端末は0円~で、気になる決済手数料は2.99%~と業界最安水準に設定されているため、小規模店舗でも導入しやすいのがポイントです。
また、導入から保守までUSENが一貫してサポートし、専任スタッフが24時間体制で対応する電話窓口もご用意しています。店舗経営者は安心してサービスを利用でき、問題が発生した際も迅速に対処できます。
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