「キャッシュレス決済を導入したいが、費用や手続きが複雑そうで踏み出せない」といった悩みを抱える飲食店経営者の方も多いのではないでしょうか。
キャッシュレス決済の導入は、集客力の向上や店舗運営の効率化につながる重要な施策です。
本記事では、飲食店におけるキャッシュレス決済の概要、メリットとデメリット、必要な費用、そして具体的な導入方法について詳しく解説します。
目次
飲食店でのキャッシュレス決済の現状
飲食店におけるキャッシュレス決済の普及状況は、近年急速に進展しています。経済産業省の「キャッシュレス決済 実態調査アンケート(2021)」によると、飲食店の85.4%が何らかのキャッシュレス決済を導入している状況です。
導入されている決済方法の内訳は以下の通りです。
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コード決済:68.4%
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クレジットカード決済:58.3%
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交通系電子マネー決済:33.2%
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非交通系電子マネー決済:32.8%
キャッシュレス決済の導入が進んでいることがうかがえますが、キャッシュレス決済が以下のような利便性を有していることがその背景にあります。
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手持ちの現金が不足していても支払える
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比較的高額の決済がしやすい
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店舗側は客単価の向上が期待できる
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消費者はポイント還元などの特典を受けられる
出典:経済産業省「キャッシュレス決済 実態調査アンケート(P6~P15)」
飲食店で使えるキャッシュレス決済の種類
飲食店で使えるキャッシュレス決済には、クレジットカード決済、電子マネー決済、QRコード決済の3つがあります。各決済方法の特徴を解説します。
クレジットカード
クレジットカード決済の特徴は、利用額が後日引き落とされる点にあり、顧客は現金よりも心理的に購買に積極的になりやすいのが大きな利点です。
クレジットカードにはいくつかの国際ブランドがあり、代表的な国際ブランドとしてはVisa、Mastercard、JCBが挙げられます。
決済方法は簡便で、カードを決済端末に挿入するか、タッチ決済対応カードの場合は端末にかざすだけで完了します。この利便性と各カード会社の特典の魅力から、クレジットカード決済は消費者から人気の決済方法です。
電子マネー
電子マネー決済は、電子データを用いて取引を行う方式です。決済方法は顧客がスマートフォンまたは専用カードを決済端末にかざすだけです。代表的な電子マネーサービスとして、Suica、PASMO、iD、QUICPay、楽天Edyなどが挙げられます。
これらのサービスは、特に交通機関の利用において普及していますが、飲食店でも取り扱い可能です。電子マネー決済も、現金を持ち歩く必要がなく、スピーディーな決済が可能なため、利便性が高いのが特徴です。
QRコード(バーコード)
QRコードは、その名の通りQRコード・バーコードを使用して支払いを行う方法です。この決済方式には主に二つの方法があります。
一つ目は、顧客が専用アプリを使って店舗のQRコードをスキャンし、金額を入力する方法です。二つ目は、顧客のアプリに表示されたQRコードやバーコードを、店員が専用端末で読み取る方法です。
代表的なサービスとしてPayPay、LINE Pay、楽天ペイなどがあります。
QRコード・バーコード決済の特徴は、専用の決済端末が不要な場合が多く、導入コストが比較的低いことです。また、スマートフォンさえあれば利用できるため、顧客にとっても便利な決済方法となっています。
飲食店でキャッシュレス決済を導入することで期待できるメリット
上記で紹介した内のいずれの種類であっても、飲食店にキャッシュレス決済を導入することで、次のようなメリットが期待できます。
顧客利便性の向上
近年、キャッシュレス決済の利用者は年々増加しており、少額の決済でもこの決済方法を選好する傾向が強まっています。例えば、昼休みのランチなどでキャッシュレス決済を希望する顧客は少なくありません。
さらに、スマートフォンを主な決済手段とし、現金をほとんど持ち歩かない人も増えています。このような顧客層にとって、店舗がキャッシュレスに対応しているかは店舗の重要な判断基準となっています。キャッシュレス決済に対応することで、これらの顧客を取り込み、リピート率の向上につながる可能性があります。
加えて、外国人観光客の多くもキャッシュレス決済を好む傾向があります。そのため、この決済方法を導入することで、インバウンド需要の取り込みにも有効です。
会計時間の短縮
キャッシュレス決済の導入は、会計処理の効率化とミス防止にも大きく貢献します。現金の受け渡しや釣り銭計算が不要になるため、会計ミスの減少による顧客の信頼維持や、レジ作業の効率化にもつながるでしょう。
現金管理の手間削減
キャッシュレス決済の導入によって、店舗運営の面でも多くのメリットがあり、開店前の釣り銭準備や営業終了後のレジ締め作業が簡略化されます。それによって、これらの作業に費やしていた時間を他の業務に充てられるようになるでしょう。
また、現金の取り扱いが減ることで、紛失や盗難のリスクが低下し、より安全な店舗運営が可能になる点も利点です。
衛生面の向上
現金の受け渡しが不要になることで、顧客と従業員間の接触機会が減少し、衛生面の向上が期待できます。これは特に飲食店において大きな利点となるでしょう。
感染症対策の観点からも、キャッシュレス決済は有効です。現金は多くの人の手を経由するため、ウイルスや細菌の媒介となる可能性があります。一方、キャッシュレス決済では、カードや端末へのタッチのみで取引が完了するため、接触機会が大幅に減少します。
さらに、非接触型の決済方法を導入すれば、物理的な接触をほぼゼロにすることも可能です。これにより、顧客と従業員双方の安全性が高まり、店舗に対する信頼感も向上します。
飲食店でキャッシュレス決済を導入する際の注意点
キャッシュレス決済の導入によって多くのメリットが得られますが、注意点もあります。導入費用がかかることや、入金サイクルの問題などについてあらかじめ押さえておきましょう。
導入コストがかかる
キャッシュレス決済の導入に際して発生する、初期費用、月額費用、決済手数料の詳細を解説します。
初期費用
初期費用には主に、決済端末の購入代金とシステム導入の作業費用が含まれ、相場は概ね1万円から5万円の範囲内です。ただし、この金額は契約する会社によっても大きく異なります。
近年の傾向として、初期費用の低価格化が進んでいます。そのため、一部のサービスではキャンペーンを実施し、実質的に初期費用が無料となるケースも見られます。
月額費用
キャッシュレス決済導入後の運用には、月額費用が発生することが多く、これには主にシステム利用料(端末をレンタルする場合)や顧客管理費用が含まれます。しかし、近年の傾向としては、月額費用が無料のものも増えてきています。
また、インターネット環境が整っていない店舗では、回線工事が必要となる点に注意が必要です。この場合、別途工事費用も発生します。
決済手数料
キャッシュレス決済の手数料は、業種や店舗規模によって大きく異なります。サービス業(エステや美容院など)では、物販(食品や日用品など)と比較して未回収リスクが高いため、決済手数料が高めに設定されることが一般的です。
また、個人経営など小規模店舗の場合も、同様の理由で比較的割高な設定となることが多く、3〜6%程度の手数料率が見られます。
決済手数料の設定は、契約する決済代行会社によっても変動します。この費用は継続的に発生するため、店舗の収益に大きな影響を与えます。そのため、複数の決済代行会社のプランや価格を慎重に比較・検討し、自店の状況に最適な選択をすることが重要です。
入金サイクルが遅いと資金繰りに悪影響が生じる
キャッシュレス決済、特にクレジットカード決済の導入を検討する際、入金サイクルは重要です。従来の現金決済と比較すると、売上金がすぐに手元に入らない点が、クレジットカード決済の弱点として指摘されることがあります。実際、入金サイクルの長さは、店舗の資金繰りに支障をきたすでしょう。
以前は「当月締め、翌月末入金」といった長いサイクルが一般的でしたが、近年の傾向として、翌日入金などより短い入金サイクルを提供する決済サービスが増加しています。
機器トラブルへの対応が必要になることがある
決済端末やレジが故障すると、クレジットカード決済を利用できなくなり、顧客の不満や売上機会の損失につながるかもしれません。
そのため、レジ、レシートプリンター、クレジットカード読み取り機などの決済関連機器の定期的なメンテナンスが重要になります。
また、トラブル発生時の対応策を事前に準備しておくことも大切です。例えば、代替の決済手段の用意や、機器サポート窓口との連絡体制の確立などが考えられます。
こうした対策を講じることで、機器トラブルによる影響を最小限に抑え、安定したキャッシュレス決済サービスの使用が可能になります。
飲食店がキャッシュレス決済サービスを選定する際のポイント
飲食店でキャッシュレス決済サービスを選定する際には、以下のポイントに注意しましょう。
店舗の規模や状況に合っているか
飲食店がキャッシュレス決済サービスを選定する際、店舗の規模や業態との適合性も重要なポイントです。
例えば、新規で決済端末を導入する店舗や、複数の決済方法を一括で管理したい中小規模の飲食店には、「USEN PAY」のようなサービスが適しています。同サービスは、クレジットカード、電子マネー、QRコード決済に対応した多機能端末で、71種類の決済ブランドに対応しているため、特に、多様な支払い方法を提供したい飲食店や小売店に向いています。
また、既に別の決済端末を利用中で、新しい決済方法に追加対応したい場合には、「USEN PAY QR」のようにQRコード決済に特化したサービスがおすすめです。同サービスでは、初期費用、月額費用が0円のため、費用を抑えたい小規模店舗に特に適しています。
顧客層や業態に適したサービスか
決済方法は、クレジットカード決済、電子マネー決済、QRコード決済の3種類に大別されますが、キャッシュレス決済の導入にあたっては、自店の業態と客層に適した決済方法を選択することが重要です。
例えば、オフィス街でランチ需要が高く、客単価が1,000円以内の店舗では、手軽で迅速な決済が可能な電子マネー決済やQRコード決済が適しているでしょう。短い昼休みの間に多くの顧客を捌く必要がある場合に特に有効です。
一方、高級寿司店やバーなど、客単価が高く、落ち着いた雰囲気を重視する顧客が多い店舗では、クレジットカード決済がメインとなるでしょう。クレジットカード決済は、高額決済に対する顧客の心理的抵抗を軽減し、また店舗の格調高いイメージにも合致します。
適切な決済方法の選択は、顧客の利便性向上と店舗の雰囲気維持の両立につながり、結果として顧客満足度の向上や売り上げ増加にもつながるでしょう。
導入前後のサポート体制が充実しているか
先述の通り、キャッシュレス決済サービスの導入に際して、サポート体制の充実度も重要です。適切なサポートは、導入をスムーズにし、運用後のトラブルを最小限に抑えられます。
導入前のサポートとしては、システムの選定や設定、従業員の機器使用トレーニングなどが含まれます。専門知識を持つスタッフによる丁寧な説明や、導入マニュアルの提供などが、円滑な導入をする上で不可欠です。
導入後も、技術的な問題や運用上の疑問に迅速に対応できるサポート体制が重要です。24時間対応のヘルプデスクがあれば、トラブルが発生した際でも適切な対策を講じられます。
キャッシュレス決済を導入する流れ
キャッシュレス決済を導入する際の流れをご紹介します。
直接契約もしくは決済代行会社の選択
キャッシュレス決済を導入する際には、まずは直接契約か決済代行会社との契約を選択しましょう。それぞれのメリットとデメリットを考慮し、店舗の特性に適した方法を選ぶのがおすすめです。
直接契約
決済事業者との直接契約では、VISA、Mastercard、JCBといった国際ブランドや各種決済サービスと個別に契約を結びます。
直接契約の主なメリットは、手数料を抑えられる点です。中間業者を介さないため、比較的低い手数料率で決済サービスを利用できます。また、取引量が多い大規模店舗の場合、手数料率について交渉できる可能性があります。
一方で、デメリットもあります。各決済事業者ごとに個別の審査を受ける必要があり、時間と労力がかかります。さらに、入金サイクルや決済手数料が各社で異なるため、売り上げ集計などが複雑になります。
これらの理由から、直接契約は小・中規模の店舗よりも、大規模チェーン店や取引量の多い店舗など、規模のメリットを活かせる場合が適しているでしょう。
決済代行会社との契約
決済代行会社との契約は、多くの小・中規模の店舗がキャッシュレス決済を導入する際に選択する方法です。決済代行会社は、店舗と決済事業者との間に立ち、契約や審査の手続きを一括して代行します。
この方法の主なメリットは、導入と運用の簡便さです。決済事業者ごとに個別の手続きを行う必要がなく、決済代行会社とのやり取りだけで完結します。また、売上の入金日や締め日を決済事業者ごとにまとめてくれるため、集計の手間が大幅に削減されます。
さらに、決済トラブルが発生した際も、各サービスに問い合わせる必要がなく、一つの窓口で対応できるため、運用面での負担が軽減されます。
一方で、デメリットとしては、直接契約と比べて若干高めの手数料率が設定されることがあることです。ただし、この点は導入や運用の簡便さ、サポートの充実度などを考慮すると、大きな負担にはならないでしょう。
申し込みと必要書類の準備
キャッシュレス決済の導入を決定し、契約方法を選択したら、次のステップは申し込み手続きです。申請は、書面での申請とオンライン申請の二つの方法があります。
また、申し込みに必要な書類は業種ごとに異なることがあります。例えば、飲食店では食品営業許可証の提出が求められます。一方、酒類販売店では、酒類販売許可小売業が必要になります。したがって、自店の業種に応じて必要な書類を事前に準備することが、申し込みをスムーズに進める上で重要です。
審査
申請後、即時利用開始とはならず、カード会社による審査が必要となります。決済代行会社を利用する場合、この手続きを代行してもらえますが、審査期間はサービスにより異なります。
審査の基準は多岐にわたります。業歴や信用能力はもちろん、業種や提供サービスの内容も精査されます。例えば、訪問販売、情報商材販売、ネットビジネスなどは、審査が厳しく、国内のクレジットカード決済導入が難しい業種と言われていますが、飲食店の場合は問題なく審査を通過できるでしょう。
審査期間は、オンライン申請の場合、最短で1週間程度で完了することもありますが、一般的には数週間から1ヵ月程度かかります。
サービス開始
審査通過後、決済事業者から決済端末やカードリーダーが店舗に送付されるので、レジ周辺など、顧客と従業員の双方にとって利用しやすい場所に設置します。
設置後は、初期設定と使用テストを行います。決済システムが正常に機能することを確認し、スタッフに操作に慣れてもらいます。多くの決済代行会社では、専門の担当者がこのプロセスをサポートしてくれるため、導入経験が無くても安心して導入可能です。
初期設定が完了し、動作確認が済めば、キャッシュレス決済サービスをすぐに開始できます。
補助金を活用する
キャッシュレス決済の導入を検討する際、国や自治体が提供する補助金制度の活用がおすすめです。主な補助金制度には以下のようなものがあります。
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IT導入補助金2024
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キャッシュレス決済導入補助金
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小規模事業者持続化補助金
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ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
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業務改善助成金
これらの補助金は、キャッシュレス決済システムの導入だけでなく、関連するIT化や業務効率化にも活用できる可能性があります。申請の際は、各制度の対象要件や申請期限を十分に確認し、必要に応じて当該期間にお問い合わせするとよいでしょう。
一例として「IT導入補助金2024」を挙げると、同補助金では、中小企業や小規模事業者を対象に、自社のITツール導入にかかる経費の一部が補助されます。補助の対象となる経費には、ハードウエアやソフトウエアの購入費、さらにクラウドサービスの利用料も含まれ、最大2年分まで申請可能です。
この補助金では、導入費用の最大75%(3/4)が補助されます。さらに、補助金額の上限は350万円と設定されており、比較的大規模なIT投資にも対応できる制度となっています。詳しい条件や補助金額などは、IT導入補助金のホームページをご確認ください。
飲食店でのキャッシュレス決済ならUSEN PAYシリーズがおすすめ
飲食店でキャッシュレス決済を導入するなら、USEN PAYシリーズがおすすめです。USEN PAYシリーズでは、「USEN PAY」「USEN PAY ENTRY」「USEN PAY QR」を取り扱っており、それぞれの費用と手数料は以下の通りです。
サービス |
USEN PAY |
USEN PAY ENTRY |
USEN PAY QR |
月額利用料 |
1,980円/台 |
0円/契約※ |
0円/契約 |
初期費用 |
0円/台 |
0円/契約※ |
0円/契約 |
カード決済手数料 |
Visa/Mastercard 2.99% その他: 3.24% 医療機関: 1.9%~ |
3.24% 医療機関: 1.9%~ |
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電子マネー決済手数料 |
交通系: 3.24% その他: 3.74% |
交通系: 3.24% その他: 3.74% |
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QRコード決済手数料 |
3.24% Alipay+, WeChat Pay: 3.0% |
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3.24% Alipay+、WeChat Pay:3.0% |
※USEN PAY ENTRYは現在キャンペーン中で、通常1,000円/契約の月額利用料と20,000円/契約の初期費用が0円になっています。
USEN PAYでは、決済手段が業界最大級71種のブランドに対応しているため、幅広い顧客の決済ニーズに対応可能です。加えて、各プランではそれぞれ次のようなメリットもあります。
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翌日入金サービスを利用すれば、昨日の決済額をすぐに振込してもらえる
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レジとシームレスに連携できるので、レジ処理の負担を軽減できる
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導入から保守まで充実したサポートがあるので、安心して導入・運用できる
キャッシュレス決済サービスの一つの選択肢として、ぜひUSEN PAYもご検討ください。