QUICPayの導入は、顧客の利便性向上や現金管理の簡略化、顧客単価の上昇、新規顧客の獲得などのメリットをもたらします。しかし、導入コストや技術的トラブルの課題もあるため、注意が必要です。
本記事では、QUICPayの仕組みや手数料、導入に必要なコスト、期待できるメリットを解説します。導入時の負担軽減に役立つ補助金についてもご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
QUICPayとは
QUICPayは、利用者が専用の読み取り機にカードやスマートフォンをかざすだけで、迅速に決済を完了できる、非接触型の決済サービスです。
導入方法は簡単で、詳細な導入手順については後述しますが、以下2つのステップで完了します。
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既存のクレジットカード処理端末機(決済端末)に専用の読み取り機(リーダライタ)を取り付ける
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加盟店契約会社(カードブランド、決済代行会社)と契約を締結する
この2つのステップでQUICPayの導入ができるため、多くの店舗にとって比較的容易に導入できる決済手段といえるでしょう。
QUICPayの手数料
QUICPayの手数料は、利用者(消費者)側と加盟店(店舗)側で異なります。以下では、それぞれの手数料を解説します。
加盟店(店舗側)の手数料
QUICPay自体には直接の決済手数料は発生しませんが、加盟店契約会社との契約に基づき、所定の手数料が課されます。
具体的な手数料率の一例を挙げると、USEN PAYでは3.74%となっており、この数値が手数料率の大まかな目安となるでしょう。
手数料率は一律ではなく、店舗の業種や取引量などの要因によっても変動します。一般的に、リスクの高い業種や取引量の少ない店舗では比較的高めの手数料率が適用される傾向があります。反対に、取引量が多い大規模店舗では、交渉により有利な条件を得られる可能性もあります。
QUICPayの具体的な手数料率は加盟店ごとに異なるため、導入を検討する際は個別の契約条件を詳細に確認することが重要です。
※上記手数料率は、2024年8月8日時点の情報です
利用者(消費者側)の手数料
利用者側にはQUICPay利用時の手数料は一切かかりません。
なお、QUICPayにかかわらず、基本的にはキャッシュレス決済事業者と加盟店との間の利用規約において、決済手数料を利用者に請求することは禁止されているため、顧客には負担させないようにしましょう。
クレジットカードとの手数料比較
クレジットカード決済の手数料は、契約方法や取引量によって大きく異なります。カードブランドと直接契約する場合は4〜7%程度が目安で、決済代行会社と契約する場合は3.25%前後が目安です。これに対し、QUICPayの手数料率も契約条件などによって変動しますが、決済代行会社と契約する場合3.25%前後が目安です。
QUICPayの導入に必要なコスト
QUICPayの導入には、カード決済環境の整備が必要で、主な費用は「初期費用」と「月額費用」の2種類に分けられます。
なお、ここまで、手数料・費用に焦点を当てて解説していますが、QUICPay導入によって、決済の迅速化による顧客満足度の向上や、現金管理の手間削減などのメリットが期待できます。諸費用以上のメリットが得られる点は押さえておきましょう。
初期費用
QUICPay導入の初期費用は、サービスを開始するために一度だけ必要となる費用です。主な内容としては、決済端末購入時の購入費用、システムの設置費用が挙げられます。
決済端末の費用は、新規に購入する場合、機種によって差があるものの目安は数万円程度です。決済代行会社によっては無料で端末を提供してくれるケースもあります。
システムのセットアップ費用は、店舗のPOSシステムとの連携など初期設定にかかる費用で、数万円程度が一般的です。
月額費用
QUICPayの月額費用は、サービスを継続的に利用するために毎月発生する費用です。主な項目には、決済端末のレンタル料、そしてインターネット通信費が含まれます。
決済端末のレンタル料は、端末を購入せずにリースする場合に発生し、通常数千円程度です。ただし、決済代行会社によっては無料で提供してくれるケースもあります。
インターネット通信環境については、既存の回線を使用できる場合は追加費用が不要ですが、新規契約が必要な場合は設置工事に数万円がかかります。また、月々の利用料として数千円程度が必要です。
これらの費用は、導入する店舗の規模や既存のシステム環境、選択する決済代行会社などによって変動します。
QUICPayの取り扱いで期待できるメリット
QUICPayの取り扱いで期待できるメリットは多岐にわたり、店舗運営の効率化や売り上げ向上が期待できます。以下では、QUICPay導入によって得られる主な利点を詳しく見ていきましょう。
顧客の利便性向上
QUICPayの導入により、利用者はクレジットカードやスマートフォンをかざすだけで支払いを完了できます。それにより、現金を持ち歩く必要がなくなり、財布の中身を気にせずに買い物を楽しめるようになります。
現金の取り扱いや確認にかかる時間が短縮されるため、レジで待つ時間が減少するのも利点です。
加えて、非接触型決済であるQUICPayは、衛生面でも利点があり、現金の授受や機器への接触が最小限に抑えられるため、感染症対策としても有効です。
現金管理の簡略化
QUICPayの導入により、店舗の現金の取り扱いが大幅に減少し、現金管理を簡素化できます。現金管理にかかる労力が削減されることで、スタッフは他の業務に時間を割けるようになります。また、現金の紛失や盗難のリスクが大幅に低減されるでしょう。店舗の安全性が向上することで、オーナーやスタッフの精神的負担も軽減されます。
さらに、レジ締めの作業が効率化できる点も利点です。現金の計算や照合にかかる時間が短縮され、閉店作業のスピードアップが期待できます。これにより、スタッフの労働時間の削減にもつながるはずです。
顧客単価の上昇
QUICPayは、現金支払いと比較して購買の心理的な障壁が低くなる可能性があります。消費者は会計時に現金を直接手渡すことがないため、支出の実感が薄れ、より気軽に購入を決断しやすくなるためです。
また、財布の中の現金残高を気にする必要がないため、予定外の商品でも購入しやすくなるでしょう。
このような心理的要因による購買の活性化により、顧客単価の上昇が期待できます。
新規顧客獲得
若い世代は、スマートフォンやカードを使った決済に慣れているため、キャッシュレス決済を提供する店舗を特に好む傾向があるでしょう。QUICPay対応により、そうした層の来店頻度増加が期待できます。
インバウンド需要への対応ができる点も、QUICPay導入の利点です。多くの外国人観光客は、自国でキャッシュレス決済が一般的なため、日本でも同様のサービスを求めていると考えられます。そのため、QUICPay導入により、そうしたニーズに応えられると共に円滑な取引が可能となるため、顧客の満足度向上にもつながります。
QUICPayを導入するデメリットと注意点
QUICPayの導入は多くのメリットをもたらしますが、いくつかの注意点も存在します。
注意点についても理解を深めておくことで、導入時に思わぬ失敗を避けられるでしょう。以下では、主要なデメリットと注意点を解説します。
端末などの導入コストが負担になる
先述の通り、QUICPayの導入には、決済手数料、初期費用、月額費用が発生します。これらのコストは、特に小規模店舗にとって負担になる可能性があります。
しかし、導入にかかる投資は長期的には店舗の収益性向上につながります。
日本クレジットカード協会「浅草・仲見世商店街における「クレジットカード利用動向」調査結果」では、現金払いとクレジットカード払いを比較した際の平均客単価には大きな差が出ており、全体で1.6倍、飲食店では最大3.3倍もの差が確認されています。
このデータは、キャッシュレス決済によって店舗の収益が向上し、導入コスト以上のメリットを得られる可能性を示唆しています。したがって、導入を検討する際は、短期的な負担だけでなく、長期的な利益も考慮に入れることが重要です。
導入前、導入後に技術的なトラブルへの対応が発生することがある
QUICPayの導入時および導入後には、技術的なトラブルが発生する可能性があります。システム障害や通信エラーが発生すると、スムーズな決済処理を妨げ、顧客満足度の低下につながる可能性があります。
しかし、導入前後のサポート体制がしっかりとしている決済代行会社であれば安心です。24時間体制のテクニカルサポートを実施していれば、トラブル発生時に迅速なサポートが受けられます。また、定期的なシステムメンテナンスを実施していたり、セキュリティ対策に力を入れていたりするサービスであれば、そもそもトラブルが発生するリスクを抑制可能です。
売上入金まで時間がかかる
QUICPayなどのキャッシュレス決済では、現金決済と異なり売上金の入金に時間がかかり、店舗の資金繰りに影響を与える可能性がある点に注意が必要です。
通常、決済から入金までには数日から1週間程度の期間が必要となります。この期間中、売り上げ金は決済代行会社によって保持されます。特に、日々の資金繰りが重要な小規模店舗にとっては、この遅延が課題となる場合があります。
ただし、翌日振込みなど迅速な入金サービスを提供している会社を選択すれば、資金繰りの課題についても解消可能です。
QUICPayの利用手順
ここでは、QUICPayを店舗に導入する際の具体的な手順を説明します。導入に向けた準備を進める上で参考にしてください。
申し込む
QUICPayの導入は、加盟店契約会社(カードブランド、決済代行会社)への申し込みから始まるため、各加盟店契約会社が用意している所定の申込書をまずは提出しましょう。
加盟店契約会社は、店舗とカード発行会社の間に立ち、決済や取り扱いに関する対応を行ってくれます。
なお、決済代行会社と契約を結べば、QUICPayだけでなく、複数の決済事業者との契約や審査申請をまとめて行えます。例えば、一度の申請で、クレジットカード、電子マネー、QRコード決済など、複数の決済方法を同時に導入できます。
複数の決済サービスの申請を一括で行えるため、事務作業が大幅に軽減されるでしょう。また、個別に契約を結ぶ場合と比べ、導入までの時間を短縮できるため、時間の節約にもつながります。複数の決済サービスを同一の管理システムで扱えるため、運用の効率化も期待できます。
導入し利用する
QUICPay導入後の利用方法は簡単です。まず、顧客が会計時にQUICPayでの支払いを希望します。店員は端末に金額を入力し、読み取り機が青く点滅したら顧客にQUICPayをかざしてもらいます。認証後、お客様控えを渡して取引完了です。
営業終了後には、日計処理を行うことで売り上げデータが管理センターに送信されます。
QUICPayの導入に役立つ補助金
QUICPayなどのキャッシュレス決済の導入を検討する際には、国や自治体が提供する補助金制度の活用がおすすめです。
利用可能な補助金としては、以下が挙げられます。
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IT導入補助金2024
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業務改善助成金
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キャッシュレス決済導入補助金
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小規模事業者持続化補助金
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ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 など
補助額や対象者、対象事業、実施状況は補助金によって異なりますが、補助金の一例として、「IT導入補助金2024」と「業務改善助成金」の概要を紹介します。2024年8月8日時点では既に募集を終了しているものもありますが、いずれも繰り返し募集されているため、次回の募集時に応募をするとよいでしょう。
IT導入補助金2024
IT導入補助金2024は、中小企業・小規模事業者などのデジタル化を支援し、生産性の向上を促進することを目的とした補助金で、ソフトウエアやハードウエア機器の購入費、クラウドサービスの利用料などに関して補助を受けられます。
「通常枠」「インボイス枠」「セキュリティ対策推進枠」の3種類の枠があり、条件を満たせばキャッシュレス決済の導入に際して「インボイス枠(インボイス対応類型)」が適用され、補助金が受け取れます。
2024年度の「インボイス枠(インボイス対応類型)」における、「インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフト」の補助率と上限額は次の通りです。
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補助率:2/3から4/5
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上限額:50万円から350万円
2024年度11次締切分の申請期限は、8月23日までです。間に合わない場合は、次回募集時に応募をするとよいでしょう。詳しい補助額や条件に関しては、IT導入補助金のホームページをご確認ください。
業務改善助成金
業務改善助成金は、中小企業や小規模事業者の生産性向上を支援する、厚生労働省所管の制度です。生産性向上に寄与するPOSシステムなどの設備投資が補助対象となっており、同じく生産性向上に寄与するキャッシュレス決済機器も補助の対象になる可能性があります。
対象となるのは、中小企業・小規模事業者で、事業所内の最低賃金と地域別最低賃金の差が50円以内であることが条件です。また、従業員の解雇や給与引き下げなど、助成金を受けられない理由がないことも要件となります。
助成金の上限額は30万円から600万円で、賃金の引き上げ幅と従業員数によって変動します。助成率は、申請する事業場の引き上げ前の最低賃金に応じて異なり、900円未満の場合は9/10、900円以上950円未満の場合は4/5(一部9/10)、950円以上の場合は3/4(一部4/5)となっています。
2024年度の申請期限は、2024年12月27日までです。
このような補助金制度を活用することでQUICPay導入の初期費用を抑えられるため、ぜひ活用を検討してみてください。各補助金によって条件や期限が異なるため、詳細は各制度の公式サイトや管轄機関にご確認ください。
QUICPayの導入ならUSEN PAYがおすすめ
QUICPayは、顧客利便性の向上や現金管理の簡略化、顧客単価の上昇、新規顧客獲得など、多くのメリットをもたらす決済手段です。
QUICPayの導入を検討する際には、USEN PAYシリーズもご検討ください。USEN PAY ENTRYでは、キャンペーン条件を満たすと初期費用・月額利用料が0円/契約となります。USEN PAYでは、初期費用は0円/台、月額利用料は1,980円/台と、コスト面の負担が少ないのが特長です。
その他、次のような特長もあります。
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USEN PAYプランなら、QUICPayの他にも70ブランドに対応しているため、幅広い顧客層の決済ニーズに応えられる
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QUICPayの導入を検討する際には、ぜひUSEN PAYシリーズも選択肢の1つとしてご検討ください。