現代において、電子マネー決済は外出時のサービス利用手段として定着しています。電子マネーを利用した買い物だったり電車やバスの移動で使ったりと、幅広く利用されています。
経済産業省は、キャッシュレス決済比率を2025年までに4割程度にする政府目標の達成に向け、キャッシュレス決済の推進に取り組み中です。今後もキャッシュレス決済の流れは続いていくでしょう。
電子マネーを利用しようとするニーズに応えるために、電子マネー決済の導入を検討する店舗オーナーや経理担当者は多いのではないでしょうか。
今回の記事は、前半で電子マネーの支払い方法や種類、代表的なサービス、選び方について解説します。後半では、電子マネーを利用するにあたって「利用者側」と「店舗側」に分けてメリットとデメリットを中心に解説します。
電子マネーにはどのような特徴があり、メリットやデメリットを把握した上で自店舗に合うかどうか検討してみてください。
目次
電子マネーとは
電子マネーとは、現金に代わって利用できる電子化されたお金です。ICカードやスマートフォン、タブレットで利用します。
経済産業省の調べによると、2023年のキャッシュレス決済の比率は39.3%(126.7兆円)です。そのうち電子マネーは5.1%(6.4兆円)を占めています。
このあとの章で詳しく解説していきますが、電子マネーには様々な種類があります。発行会社によって分類すると、以下の通りになります。
- 交通系(Suica、PASMOなど)
- 流通系(WAON、nanacoなど)
- クレジットカード系(楽天Edy、iD、QUICPayなど)
電子マネーとクレジットカードの違い
電子マネーとクレジットカードはどちらもキャッシュレス決済ですが、いくつかの違いがあります。以下の表では、電子マネーとクレジットカードの違いについてまとめています。
<電子マネーとクレジットカードの違い>
電子マネー | クレジットカード | |
支払い方式 | ・プリペイド型:前払い ・ポストペイ型:後払い ・デビット型:即時決済 |
基本的に後払い |
利用限度額 | チャージ可能な金額 ※クレジットカードと比べると少額 |
利用限度額の範囲内 ※高額な買い物の場合でも、利用限度額の範囲内であれば可能 |
審査の有無 | 不要 | 必要 |
暗証番号 | ・基本的になし ・スマートフォンであれば、指紋認証などが可能 |
・基本的にサインまたは暗証番号の入力が必要 ・タッチ決済が可能なクレジットカードの場合は、端末にかざすだけで利用可能 |
電子マネーは審査不要で簡単に利用可能なことが特徴です。ただし、チャージ可能な金額までしか利用できないため、高額の買い物には向きません。
電子マネーの支払い方式
電子マネーの支払い方式は、3種類あります。
- プリペイド型(前払い)
- ポストペイ型(後払い)
- デビット型(即時決済)
それぞれの大きな違いは、支払いのタイミングです。1つずつ詳しくみていきましょう。
プリペイド型
プリペイド型とは、事前にカードなどの利用端末にチャージしておく方式です。利用限度額は、電子マネーごとに異なります。
例:プリペイド型決済サービスの利用限度額
- Suica・PASMO:2万円
- 楽天Edy・nanaco:5万円
- WAON:チャージ上限金額の設定変更をおこなえば、2万円から5万円に増える
利用限度額が決まっていると、電子マネーを使って一度に利用限度額以上の買い物ができないのはデメリットといえます。ただし、利用限度額が決まっていることで使いすぎを防げることは、大きなメリットです。
「オートチャージ」の設定もありますが、使いすぎに注意しないといけません。
ポストペイ型
ポストペイ型とは、クレジットカードと連携させて決済する後払いの方式です。iDやQUICPayが代表的です。
電子マネーで決済した金額は、連携させているクレジットカードの利用額と一緒に銀行口座から設定した支払日に引き落とされます。
ポストペイ型は事前にチャージする必要がないため、基本的には残高不足で使用不可になりません。また、クレジットカードと連携して使用するため、クレジットカードのポイントが溜まっていきます。普段からクレジットカードの使用が多い場合は、よく使うクレジットカードと紐付けておくとよいでしょう。
ただし、使いすぎには注意しないといけません。プリペイド型のような利用限度額が設定されていないため、クレジットカードの支払日に思わぬ金額が引き落とされるリスクがあります。定期的に電子マネーの利用履歴を確認することをおすすめします。
デビット型
デビット型とは、銀行が発行するデビットカードと連携させて決済する方式です。
デビットカードがクレジットカードと異なるのは、休日や夜間を除き利用すると即時決済されて銀行口座から引き落とされる点です。要するに、銀行口座の残高の範囲内でしか利用できないのがデビット型の特徴です。銀行口座の預金額を把握しておけば、クレジットカードのように使いすぎる心配がありません。
デビット型の代表例のiDは、プリペイド型でもポストペイ型でも使える自由度が高い電子マネーとして知られています。自分に合った使い方ができる便利な電子マネーといえるでしょう。
電子マネーの種類と違い
先ほども紹介しましたが、数多く存在する電子マネーは発行会社によって特徴が異なり、「交通系」「流通系」「クレジットカード系」の3つに分けられます。
以下では、電子マネーの種類ごとの特徴と違いについて詳しく解説します。
交通系
交通系とは、交通機関(JRや各私鉄など)が発行する電子マネーです。元々は交通機関の乗車券・定期券として使用する目的で作られたものの、今ではスーパーやコンビニエンスストアなど日常のあらゆるシーンで幅広く使われています。
交通系電子マネーはプリペイド型が多く、少額決済に向いています。近年は、スマートフォンと連動するアプリ(モバイルSuicaなど)もあり、カードがなくてもスマートフォンを端末にかざすだけで利用可能です。
代表例:Suica、PASMO、ICOCA、PiTaPaなど
流通系
流通系とは、スーパーやコンビニなどの流通系企業が実店舗や通販での利用を前提として発行する電子マネーです。発行会社のグループや系列店舗で買い物すれば、ポイントが付与されたり特典を受けられたり優遇されるメリットがあります。
以下では、代表的な流通系電子マネーと発行会社を紹介します。
- WAON(イオンリテール)
- nanaco(セブン&アイグループ)
- 楽天Edy(楽天グループ)
クレジットカード系
クレジットカード系とは、クレジットカードやデビットカードの情報を連携しているスマートフォンや専用のカードで決済される電子マネーです。普段から利用しているカードに紐付けられるため、家計を一元管理しやすくなっています。
クレジットカードと違い、電子マネーなので暗証番号の入力やサインは不要です。レジなどで会計する場合は、手間要らずでスマートに決済ができます。
代表例:iD、QUICPayなど
4 電子マネーの代表的なサービス
以下では、電子マネーの代表的なサービスを紹介します。
<代表的な電子マネー>
発行会社名 | 電子マネー名 |
東日本旅客鉄道 | Suica |
パスモ | PASMO |
セブン&アイ | nanaco |
イオンリテール | WAON |
NTTドコモ | iD |
ジェーシービー | QUICPay |
1つずつ詳しく見ていきましょう。
東日本旅客鉄道: Suica
Suicaとは、東日本旅客鉄道(JR東日本)が発行する交通系電子マネーです。Suica一枚あれば、北は北海道、南は沖縄まで各地方の鉄道やバスが利用できます。
Suicaへのチャージが多い方やJRの定期券を購入している方は、JREカードと連携しておくとポイント還元が大きいためおすすめです。
パスモ: PASMO
PASMOとは、私鉄やバス会社などが発行する交通系電子マネーです。Suicaと同様な機能を有していて、ほぼ日本全国の公共交通機関を利用したり買い物ができたりします。
SuicaとPASMOは、どちらもスマートフォンのアプリでも利用可能です。
セブン&アイ: nanaco
nanacoとは、セブン&アイ・ホールディングスが発行する流通系電子マネーです。
セブングループでの支払いでnanacoを使うと、ポイント還元率が高くなります。また、セブンイレブンでnanacoを使うと公共料金の支払いも可能です。普段からセブン&アイグループで買い物することが多い方におすすめの電子マネーです。
イオンリテール: WAON
WAONとは、イオンリテール株式会社が発行する流通系電子マネーです。全国約140万箇所のWAON加盟店で利用可能です。(※2024年6月現在)
WAONで買い物するとWAONポイントが貯まり、溜まったポイントは電子マネーに交換できます。特にイオングループではポイント還元率が高いため、普段からイオングループで買い物することが多い方におすすめの電子マネーです。
NTTドコモ: iD
iDとは、NTTドコモが運営する多種多様な決済サービスに対応した電子マネーです。クレジットカードやデビットカード、プリペイドカードなどのほかに、QR決済にも対応しています。
iDはキャッシュレス決済の走りの一つとして知られていて、馴染み深い方や対応店舗が多いことも特徴です。iDが使える場所は、日本全国で約230万台以上といわれています。(※2024年9月現在)
ジェーシービー: QUICPay
QUICayとは、ジェーシービーおよびJCBの提携先が展開するクレジットカード系電子マネーです。182社のカードに対応していることもあり、普段使っているカードですぐにQUICPayを始められます。(※2024年3月末現在)
また、全国267万か所以上の場所で利用できるため、QUICPayがあるとさまざまなシーンでのお支払いがどんどん便利になるでしょう。
電子マネーの選び方
ここまで電子マネーの支払い方法や種類、代表的なサービスを紹介してきました。では、具体的に、電子マネーは何を基準にして選べばよいのかわからず迷う方もいるでしょう。
電子マネーは、以下の基準で選ぶことをおすすめします。
- 還元率の高さ
- 支払い方式
- 対応店舗数の多さ
- 普段使うお店やサービス
1つずつ詳しく見ていきましょう。
還元率の高さで選ぶ
電子マネーを選ぶときは、ポイント還元率の高さで選ぶのがおすすめです。
電子マネーには、利用金額に応じてポイントが還元されるものがあります。貯めたポイントは電子マネーに変換して支払いにあてたり、他社のポイントに交換できたりします。
たとえば、ポイント還元率0.5%と1.0%の電子マネーがあるとしたら、1.0%のポイント還元を受けられる電子マネーを選べば得られるポイントは2倍です。そのため、利用を検討している電子マネーがあれば、どのくらいのポイントが還元されるのか確認しておきましょう。
できる限り、ポイント還元率が高い電子マネーを利用することをおすすめします。
支払い方式で選ぶ
電子マネーは、自分に合った支払い方式を考慮して選ぶのがおすすめです。日常生活における電子マネーの使い方やお金の管理ポリシーなどで考えるとよいでしょう。以下で具体例を挙げるので、参考にしてください。
- プリペイド型:無駄遣いしたくない方
- ポストペイ型:クレジットカードと同じように使いたい方
- デビット型:デビットカードの使用に慣れている方
どの決済方法や種類の電子マネーがよいかの基準は、人それぞれ違います。気になっている電子マネーがあれば特徴を把握して、自分の生活スタイルやお金の管理ポリシーにあっていると感じる電子マネーを選びましょう。
対応店舗数の多さで選ぶ
電子マネーを選ぶときは、もっとも利用するであろう電子マネーの対応可能な店舗数が多いものを選ぶことをおすすめします。
現金を使わない方は、複数のキャッシュレス決済を利用していることが想定できます。そうなると、対応店舗数の多い電子マネーであるほど、利用しないといけないキャッシュレス決済を減らすことが可能です。
電子マネーごとに、対応店舗数が異なります。対応店舗数が多ければ多いほど、電子マネーの使用頻度が増えます。気になっている電子マネーがある場合は、ホームページで確認しておくとよいでしょう。
普段使うお店やサービスで選ぶ
電子マネーは万能ではなく、使える店舗が限られています。普段からよく使う店舗が対応していないと、せっかく電子マネーを用意しても意味がありません。
どのような場面で電子マネーを使うのかをよく考えたうえで、もっとも利用する店舗で対応しているサービスを利用しましょう。たとえば、楽天のサービスをよく利用する方は楽天Edyを使う、イオンで買い物することが多い方はWAONを使うことなどが挙げられます。
普段使う店舗やサービスが、どの電子マネーに対応しているのかは調べておくことをおすすめします。
電子マネーを利用するメリット
電子マネーを利用することは、利用客にも導入する店舗側にもメリットとデメリットがあります。メリットとデメリットの双方を理解した上で、どの電子マネーが必要なのか検討するとよいでしょう。
まずは電子マネーを利用するメリットからです。利用客側と店舗側とで分けて詳しく解説するので、双方の立場になって考えてみてください。
利用客側のメリット
電子マネーの利用客側の主なメリットは、以下の通りとなっています。
- 素早い決済が可能になる
- 現金が必要なくなる
- 家計簿アプリなどの連携で管理しやすくなる
1つずつ詳しくみていきましょう。
素早い決済が可能になる
利用者側が電子マネーを使うメリットの一つとして、決済処理が早い点が挙げられます。
たとえば、SuicaやPASMOを利用すれば、切符を券売機で購入することなく自動改札機をスピーディーに通過できます。また、現金会計の場合、お札や小銭を数える作業やお釣りをもらう作業が増えます。電子マネーで会計処理すれば、現金で会計処理をするよりはるかに時短となるでしょう。
会計にかかる時間を短縮したいと考えている方にとって、電子マネーは重宝します。
現金が必要なくなる
電子マネーを利用することは、現金が必要なくなることを意味します。もっといってしまうのであれば、財布を小さくしたり持ち運びしなくなったりすることも可能です。
電子マネーを利用することが増えれば、まめに銀行やATMへ行ってお金を引き落とす必要もありません。実際にキャッシュレス決済派は現金を持たない方が多いといわれています。
事実、国もキャッシュレスを推進していることもあるため、キャッシュレス決済の流れはもはや時代の流れともいえます。現金を持ち歩かない人も増えているため、キャッシュレス決済に対応することは、より多くの顧客を集客する上でも重要です。
家計簿アプリなどの連携で管理しやすくなる
電子マネーを利用すれば、家計簿アプリなどと連携することでお金の管理がしやすくなります。
電子マネーは現金と違い、レシートや領収書などがなくても履歴が残ります。家計簿アプリと連携すれば自動で支出管理ができるため、節約のために電子マネーへ切り替える方も少なくないといわれています。
いつ・どこで・どれだけ買い物したか簡単に確認できるため、家計簿をつけることが苦手な方でも金銭管理ができるようになるでしょう。
店舗側のメリット
次に、電子マネーを導入する店舗側のメリットです。店舗側の主なメリットは、以下の通りとなっています。
- 決済対応の時間を短縮できる
- 現金を持ち歩きたくない層にアピールできる
1つずつ詳しくみていきましょう。
決済対応の時間を短縮できる
利用客側のメリットでも紹介しましたが、決済対応の時間を短縮できることは店舗側にとってもメリットです。電子マネーを導入すれば決済がとても素早く完了するため、会計業務に必要な時間を短縮できます。
たとえば、小規模経営の店舗だとしたら、決済対応の時間は極力短くしたいと考えるのが自然です。電子マネーを導入することで決済対応の時間を短縮することは、他の作業を行う時間を増やすことにも繋がる可能性が高くなります。
現金を持ち歩きたくない層にアピールできる
電子マネーを導入することは、現金を持ち歩きたくない層(=キャッシュレス推奨派)へのアピールに繋がります。
「公益財団法人 NIRA 総合研究開発機構」が2023年に実施したキャッシュレス決済実態調査によると、消費支出額におけるキャッシュレス決済比率は70.6%となっています。
現代では現金以上にキャッシュレス決済が利用されていることから、現金を持たずに電子マネーで済ませたい層は多いといえます。国がキャッシュレスを推奨していることからも、今後はさらにキャッシュレス化が進んでいくでしょう。
そのため、電子マネーに対応することは、現金を持ち歩きたくない層へアピールできると考えられます。また、電子マネーの還元率アップキャンペーンなどがあれば、その時期に売上増も期待できるでしょう。
電子マネーのデメリット
電子マネーにはメリットだけではなく、いくつかのデメリットもあります。利用するにしても導入するにしても、電子マネーのデメリットをきちんと把握しておくことをおすすめします。
デメリットを把握しておけば、どのようにデメリットについて対処すればよいか対策を打てます。メリットと同様に利用客側と店舗側とで分けて詳しく解説するので、双方の立場になって考えてみてください。
利用客側のデメリット
電子マネーの利用客側の主なデメリットは、以下の通りとなっています。
- チャージが面倒
- チャージしたら現金に戻せない
- お金を使っている感覚が薄くなる
- 災害時に使えないリスクがある
- 不正利用に気を付ける必要がある
デメリットをきちんと把握した上で、どのように対処すればよいか考えていきましょう。
チャージが面倒
プリペイド型の電子マネーを利用する場合は、事前にチャージしておかなければ残高不足で使用できないケースが考えられます。わざわざチャージしないといけないなら、銀行やATMから現金を引き出す手間と一緒だと考える方もいるでしょう。
チャージが面倒だと思ってしまう人は、ポストペイ型やデビット型の電子マネーを使用するのがおすすめです。支払い方法は後払いまたは銀行口座から即時決済されるようになるため、わざわざ事前にチャージする必要がなくなります。
チャージしたら現金に戻せない
電子マネーとして一度チャージしたら、基本的にはもう現金に戻せないと考えましょう。
たとえば、電車に乗る機会が多いためSuicaに10,000円チャージしていたとします。ただ、急に転勤が決まり車移動が増えたケースで、Suicaを使う機会が減ったからチャージ残高を現金には変えられません。
このような状況を避けるためには、チャージ金額を少額にするなどの工夫が考えられます。また、対応店舗数が多い電子マネーであれば、何かしらの機会にチャージ金額を消費することが見込まれるでしょう。
お金を使っている感覚が薄くなる
電子マネーは現金として視覚化されないため、日頃から電子マネーばかり利用しているとお金を使っている感覚が薄くなっていく可能性があります。
現金と違って目減りしている感覚が減るため、適切に管理していかないと散財してしまうリスクが生じます。もし、自分の性格などを考慮して浪費癖があるような方は、利用限度額があるプリペイド型の電子マネーを選ぶことをおすすめします。
災害時に使えないリスクがある
災害が発生したときは、充電がなくなったり電波状況が悪くなったりしてスマートフォンが使用できなくなるケースが考えられます。スマートフォンを利用した電子マネーしか持っていないと、災害時や何か緊急の状況に陥ったときには何もできなくなることすら想定した方がよいでしょう。
いざという時のため、現金は多少持っておくことをおすすめします。通常の生活が送れている場合は電子マネーは便利で重宝しますが、やはり災害が発生した緊急時には現金でのやり取りが多くされる可能性は高いと考えられます。
不正利用に気を付ける必要がある
電子マネーはクレジットカードと違い、決済するときに暗証番号を入力したりサインしたりする必要がありません。そのため、カードタイプの電子マネーを紛失したり盗難にあったりした場合は、不正利用されるリスクが生じます。
不正利用されないようにするためにも、紛失したり盗難にあったりした場合は直ちに発行会社のカスタマーサポートなどに連絡して、利用停止を申請しましょう。不正利用されたとしても、一定の条件を満たさない限り残高保証はされないと考えておいた方が無難です。
特にオートチャージを設定したままだと、どんどん被害が拡大していく可能性がありますので、利用停止を申請することは急を要します。
普段からものを無くしやすかったり忘れ物が多かったりするような自覚がある方は、プリペイド型の電子マネーのみを使用することも一つの手段です。利用限度額があるため、被害額を最小限に抑えられる可能性があります。
店舗側のデメリット
次に、電子マネーを導入する店舗側のデメリットです。導入を検討している場合は、デメリットを知った上でどのように対策するかきちんと対応してからにしましょう。店舗側のデメリットは、以下の通りとなっています。
- 導入・運用コストがかかる
- 入金サイクルの頻度
1つずつ詳しくみていきましょう。
導入・運用コストがかかる
電子マネーで決済するためには、専用の決済端末が必要です。導入するためにも運用するにしてもコストがかかるため、導入・運用コストと利益の収支計算を事前にきちんとシミュレーションしておくことをおすすめします。
また、電子マネー決済の端末にプリンタがついているものと、ついていないものの2種類があります。別途、店舗側でプリンタの用意が必要かあらかじめ導入時に確認しましょう。
入金サイクルの頻度
電子マネーは現金と入金サイクルが異なります。決済から入金までの期間を入金サイクルと言いますが、入金サイクルの頻度が低く、入金までに時間がかかると、小規模店舗の経営への影響が大きくなります。
現金の場合、日々にドロアに入金されるため手元に存在します。仕入れが必要だったり従業員の給料を渡さないといけなかったりする場合でも、手元にお金があれば対応が可能です。
ただし、電子マネーの場合は現金と違い、決済した時点で手元にお金が入る訳ではありません。すぐに現金が必要な小規模店舗などはキャッシュフローに影響が出る可能性が出てきます。
もし、現金化を早めたいと考えているのであれば、振り込みが早い業者を選ぶのがおすすめです。
電子マネーに並んで利用されるQRコード決済
ここまで電子マネーについて詳しく解説してきましたが、電子マネーと並んで利用されることが多い「QRコード決済」についてもある程度知っておく必要があるでしょう。
QRコード決済とは、スマートフォンやタブレット端末に表示されるQRコードを提示または店舗側が用意しているQRコードを読み込むことで決済する方法です。電子マネー以上に利用され始めている決済手段なので、今後QRコード決済に対応できる店舗は増えていくことが予想されます。
QRコードで決済する場合は、あらかじめ決済アプリをスマートフォンにインストールしておきます。銀行口座やクレジットカードを紐付けたり、現金でチャージしたりして支払う仕組みとなっていて、スマートフォン1台あれば簡単に決済が完了できるのが大きな魅力です。
QRコード決済の代表的なサービス
QRコード決済の代表的なサービスは、以下の2つです。
- 楽天ペイ
- PayPay
1つずつ詳しく見ていきましょう。
楽天ペイ
楽天ペイは、楽天ペイメント株式会社が提供するQRコード決済サービスです。楽天グループが提供している電子マネーは、他にも「楽天Edy」があります。
楽天カードと連携するとポイント還元率が高くなり、利用者が多いのが特徴です。
PayPay
PayPayは、ヤフーとソフトバンクが共同出資しているQRコード決済サービスです。PayPayのクレジットカードと連携すると便利で、ポイント還元率が高く利用できます。また、PayPayユーザー間で取引ができるため、大人数で会計する際にも重宝します。
まとめ
今回の記事は、前半で電子マネーの支払い方法や種類、代表的なサービス、選び方について解説しました。後半では、電子マネーを利用するにあたって「利用者側」と「店舗側」に分けてメリットとデメリットを中心に解説しました。
電子マネーとは、現金に代わって利用できる電子化された決済手段で、ICカードやスマートフォン、タブレットで利用します。電子マネーの支払い方式は、3種類あります。
- プリペイド型(前払い)
- ポストペイ型(後払い)
- デビット型(即時決済)
電子マネーは発行会社によって特徴が異なり、「交通系」「流通系」「クレジットカード系」の3つに分けられます。
そして、電子マネーは以下の基準で選ぶことをおすすめします。
- 還元率の高さ
- 支払い方式
- 対応店舗数の多さ
- 普段使うお店やサービス
電子マネーを導入する際には、メリットとデメリットを把握した上で、自社の店舗に合った電子マネーを選ぶようにしましょう。
電子マネー決済の導入を検討しているのであれば、業界最大級70種類以上のブランドに対応している「USEN PAY」をぜひご検討ください。端末の提案から審査、保守までUSENが完全にサポートします。電子マネー決済を初めて導入する方でも安心してご利用可能です。