「キャッシュレス化を進めたいが、手数料や初期費用、月額費用の負担が大きそうで踏み切れない」といった悩みを抱える飲食店や小売店、美容室の経営者は多いのではないでしょうか。
クレジットカード決済の導入にはさまざまなコストがかかることも事実ですが、集客力や顧客満足度の向上などそれ以上のメリットが期待できます。
本記事では、クレジットカード決済の手数料の種類や仕組み、導入にかかる初期費用、月額費用について解説します。導入費用の低減に役立つ補助金もご紹介するので、ぜひ最後までお読みください。
目次
クレジットカード決済の手数料の種類
クレジットカード決済には、消費者側と加盟店側の2種類の手数料が存在します。それぞれの特徴、手数料率を紹介します。
消費者が支払う手数料
クレジットカードでの支払い方法には、一括払い、分割払い、リボ払いがあります。このうち、分割払いとリボ払いには手数料が発生し、支払い方法によって手数料率が異なります。
分割払い・リボ払いの手数料
分割払いの手数料は支払い回数に応じて増加します。2回払いは多くの場合無料ですが、3回以上では回数が増えるほど手数料率が上がります。例えば、3回払いで年利12%程度、10回払いで年利15%程度といった具合に、手数料率が増加していくのが一般的です。
一方、リボ払いの手数料は残高に対して毎月発生し、年利15~18%程度です。毎月の支払額が一定で、残高に応じて返済期間が変動し、長期間にわたる返済では総支払額が高額になるのが特徴です。
海外利用時のマークアップフィー
マークアップフィーは、海外での取引においてカード会社が利用金額を自国通貨に換算する際に上乗せされる手数料で、通常、利用金額の1%〜3%程度となります。例えば、100ドルの買い物をした場合、日本円への換算時に1〜3ドル相当の手数料が加算されるでしょう。マックアップフィーは、カード会社が為替レートの変動リスクなどに対応するために設定されています。
その他の費用
クレジットカードの利用に関連する費用には、会員費や遅延金などがあります。会員費は、カードの種類や特典に応じて年間数千円から数万円まで幅広く設定されており、一部のカードでは年会費無料のものもあります。
遅延金は、支払い期日を過ぎた場合に課される追加料金で、通常、年利14%〜15%程度の高利率となっているのが一般的です。
加盟店(店舗側)が支払う手数料
加盟店が支払うクレジットカードの手数料は、決済金額に対して一定の割合で適用されますが、業種や事業規模によって異なります。
一般的な相場として飲食店では約5%、小売店では約4%、コンビニでは約1%程度となっています。エステや美容院などのサービス業は、食品や日用品などの小売り業と比較して未回収リスクが高いことなどから、決済手数料も高めに設定される傾向があります。また、個人経営などの小規模店舗も同様の理由で、3〜6%程度と比較的割高な設定となることが少なくありません。
その他、詳細は後述しますが、カードブランドとの直接契約か、決済代行会社との契約かによっても決済手数料は異なります。
クレジットカード決済の導入コスト
クレジットカード決済の導入に際しては、先述の通り手数料がかかりますが、それに加えて初期費用・月額費用も発生します。それぞれどのような内容に費用が発生するのか見ていきましょう。
初期費用
クレジットカード決済の導入には初期費用が必要です。これには決済端末の購入代金やシステムの設置費用が含まれます。相場は1〜5万円程度ですが、一部のサービスではキャンペーンを利用すると実質無料で導入できる場合もあります。
月額費用
クレジットカード決済の導入に際して生じる月額費用には、主に端末のレンタル料が含まれますが、最近は無料のサービスも増えています。
インターネット回線が店舗になく、接続工事が必要な場合は、工事代金および月々のWi-Fi利用料が発生します。また、セキュリティ機能の強化や入金サイクルの調整など、追加オプションを利用する際は別途費用が必要になることがあります。
クレジットカード決済の手数料を消費者の支払いに上乗せするのは違法・規約違反?
クレジットカード決済の手数料を消費者に転嫁することは、基本的にカード会社の加盟店規約で禁止されています。この規定は、消費者保護と公正な価格設定を目的としているものです。
例えば、三井住友カードの加盟店規約第7条の9項では、以下のように明記されています。
「加盟店は、有効なカードを提示した会員に対して、商品の販売代金ならびにサービス提供代金について手数料等を上乗せする等現金客と異なる代金の請求をすること、およびカードの円滑な使用を妨げる何らの制限をも加えないものとします。また正当な理由なくして信用販売を拒絶し、代金の全額または一部(税金、送料等を含む)に対して直接現金支払いを要求する等、会員に対して差別的取扱いは行わないものとします。」
引用:三井住友カード加盟店規約
上記規約の「会員に対して現金客と異なる代金を請求する」の部分が、手数料請求に該当する行為で、この規約に違反した場合、加盟店はペナルティを受ける可能性があるでしょう。具体的には、決済サービスの停止や加盟店契約の解除などのリスクがあります。
ほとんどのカード会社が同様の規約を設けており、加盟店はこれらを遵守する必要があります。消費者に手数料を転嫁しないように注意しましょう。
クレジットカード決済の手数料を上回る導入メリット
クレジットカード決済には諸費用が発生しますが、それらを上回る以下のようなメリットが期待できます。
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購買意欲の促進
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集客力アップ
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現金管理の手間削減
それぞれ、なぜ期待できるのかを解説します。
購買意欲の促進
クレジットカード決済の導入は、顧客の購買力向上につながり、高単価商品の販売機会の増加も期待できます。
例えば、顧客がある商品の基本モデルを検討している際に、店舗がクレジットカード決済に対応していれば、分割払い・リボ払いの提案ができます。これらの支払い方法では、その場で直接現金で支払う必要がないため、心理的に購買に意欲的になり、より機能が充実した上位モデルへの購入を促せるでしょう。
また、商品単価にかかわらず、現金がなくてもその場で商品を気軽に購入できる点もメリットです。
集客力アップ
クレジットカード決済の導入は、店舗の集客力向上にも有効です。支払い方法の多様化により、顧客の利便性が高まり、満足度の向上につながるためです。
特に、現金を持ち歩かない顧客層の取り込みに効果的です。近年、スマートフォンやカードのみで外出する消費者が増加傾向にあります。キャッシュレス決済に対応していない店舗は、こうした顧客を逃す可能性が高くなります。
しかし、多様な決済手段を提供してれば、顧客は自分に合った支払い方法を選択できるようになり、購買に意欲的になるでしょう。また、顧客の満足度も高められ、リピート率の上昇も期待できます。
現金管理の手間削減
クレジットカード決済の導入により、現金の取り扱いが減少し、両替や入金のための銀行への往復が少なくなります。また、釣り銭の手渡しミスなど、現金管理に伴う人為的ミスも低減可能です。
加えて、閉店後のレジ締め作業も簡素化されるため、金額の照合などの時間も短縮され、スタッフの業務時間・負担の軽減にもつながるでしょう。さらに、レジに多額の現金を保管する必要がないため盗難リスクも低減できます。
クレジットカード決済の導入で注意したいこと
クレジットカード決済の導入後、円滑に運用するためには、会計を担う従業員に対して機器取り扱いの指導が必要です。従業員が操作に戸惑うと、決済時間の延長につながり、顧客に不安を与える恐れがあるためです。
また、加盟店・決済端末を選ぶ際には、使いやすい決済端末であるか、サポート体制が充実しているかも重要です。端末操作が複雑だと、事業主だけでなく従業員も習熟に時間がかかり、オペレーションに支障をきたす可能性があります。しかし、簡便性に長けた決済端末であれば、従業員が使いこなしやすく、サポート体制が充実している場合、トラブル時の対応もスムーズに行えます。
クレジットカード決済を導入する際の2つの選択肢
クレジットカード決済の導入にあたり、事業者には以下2つの選択肢があります。
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カードブランドと直接契約を結ぶ
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決済代行会社と契約する
それぞれに特徴があるため、自社の状況に応じて最適な方法を選択することが重要です。
カードブランドと直接契約する
カードブランドと直接契約する方法では、VISA、Mastercard、JCBなど、各カードブランドと個別に契約を締結します。この方法の最大のメリットは、手数料を比較的抑えられる点です。直接契約では、取引量に応じて手数料率の交渉余地があり、大規模な取引を行う事業者にとっては有利な条件を引き出せる可能性があります。
一方で、複数のカードブランドとの契約管理が煩雑になる点がデメリットです。各ブランドとの個別の審査や契約手続きが必要となり、時間と労力がかかります。また、それぞれの契約条件や手続きが異なるため、申請・管理の負担が大きくなる傾向があるでしょう。
決済代行会社と契約する
決済代行会社と契約する方法では、複数のカードブランドと一括で契約を結びます。この方法の主なメリットは、導入の容易さと管理の簡便性です。
一つの契約で複数のカードブランドに対応できるため、契約手続きが簡素化され、導入時間が短縮されます。また、売り上げや入金の管理が一元化されるため、業務効率が向上する可能性が高いです。
決済代行会社は通常、充実したサポート体制を提供しているため、システムトラブルや操作方法に関する問い合わせに関して迅速に対応してもらえる点も利点です。そのため、ITに不慣れな事業者でも安心して導入・運用できます。
クレジットカード決済導入の流れ
クレジットカード決済の導入は、以下4つの流れで進めていきます。
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直接契約もしくは決済代行会社の選択
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申し込みと必要書類の準備
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審査待ちと対応
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初期設定
各ステップですべきことや注意すべきことを解説します。
直接契約もしくは決済代行会社の選択
まずは、直接契約と決済代行会社のどちらと契約するかを選択しましょう。先述したように、それぞれメリット・デメリットがあるため、自社に適した方を選択する必要があります。
項目 |
カードブランドと直接契約 |
決済代行会社と契約 |
メリット |
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デメリット |
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どちらにするかを選択した後は、複数の会社を比較検討しましょう。
申し込みと必要書類の準備
次に、申し込みと必要書類の準備です。
申し込み方法には、主にオンライン申請と窓口申請があります。オンライン申請は24時間いつでも手続きができる利便性があり、窓口申請では担当者に直接相談しながら進められるメリットがあります。
一般的に以下の書類が必要になるため、導入に際して用意が必要です。
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代表者の身分証
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登記簿
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店舗の情報・各種許可証 など
業種によっては追加の書類が必要になることがあります。例えば、飲食店では食品衛生許可証、美容院・床屋・まつげエクステサロンでは美容所登録書証の提出が求められます。
審査待ちと対応
クレジットカード決済の申請後は、カード会社または決済代行会社による審査です。
一般的な審査期間は数週間から1ヶ月程度ですが、業種や申請内容によって変動します。主な審査基準には、事業の財務状況や法令遵守状況があります。
審査難易度が高い業種として、訪問販売や情報商材販売などが挙げられます。これらの業種は、消費者トラブルのリスクが高いと判断され、審査が通りづらい傾向にあるでしょう。
USEN PAYでは、審査に関するサポートを実施しており、不明点や相談したい内容がある際は電話でご相談いただくことも可能です。
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初期設定
審査を通過すると、いよいよクレジットカード決済機器の導入です。
決済事業者から送られてくる決済端末(カードリーダーなど)を受け取ったら、レジ周辺など適切な場所に設置します。設置後は、初期設定や使用テストを行います。多くの決済代行会社では、担当者が丁寧にサポートしてくれるため、専門知識がなくてもシステムの設定を安心かつスムーズに進められるでしょう。
クレジットカード決済の導入に役立つ補助金
クレジットカード決済の導入を検討する際、国や自治体が提供する補助金制度を活用することで導入コストの軽減が可能です。
利用可能な補助金には以下のようなものがあります。
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IT導入補助金2024
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業務改善助成金
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キャッシュレス決済導入補助金
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小規模事業者持続化補助金
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ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 など
これらの補助金は、補助額、対象者、対象事業、実施状況が異なります。ここでは補助金の一例として、「IT導入補助金2024」と「業務改善助成金」の概要をご紹介します。
2024年10月18日時点では、一部の補助金の募集が終了しています。しかし、これらの補助金は定期的に募集が行われるものもあるため、次回の募集時期に応募するとよいでしょう。募集状況等は、各補助金のホームページから確認できます。
IT導入補助金
IT導入補助金2024は、中小企業・小規模事業者のデジタル化と生産性向上を支援する制度で、ソフトウエアやハードウエア機器の購入費、クラウドサービスの利用料が補助されます。同補助金には、「通常枠」「インボイス枠」「セキュリティ対策推進枠」の3つの枠があり、キャッシュレス決済の導入費用の補助は、「インボイス枠(インボイス対応類型)」に該当し、条件を満たせば補助金を受けられます。
2024年度の「インボイス枠」の「インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフト」の補助金の補助額は次の通りです。
補助率:2/3から4/5
上限額:50万円から350万円
2024年度の最終回となる12次締切分の申請期限は10月15日までとなっています。引き続き2025年度も実施される見込みのため、利用を検討している方は必要書類を準備しておきましょう。
業務改善助成金
業務改善助成金は、中小企業や小規模事業者の生産性を高めるための支援制度です。この制度では、POSシステムなど生産性向上に役立つ設備投資が補助の対象となっており、キャッシュレス決済機器も同様の理由で補助を受けられる可能性があります。
この助成金を利用できるのは、事業所の最低賃金と地域の最低賃金の差が50円以下の中小企業・小規模事業者です。ただし、従業員を解雇したり給与を下げたりするなど、助成金を受け取れない要因がないことが条件となっています。
助成金の最高額は、給与の引き上げ幅と従業員の人数に応じて、30万円から600万円の間で変わります。補助率は申請事業場の引き上げ前最低賃金によって異なり、900円未満なら9/10、900円以上950円未満なら4/5(一部9/10)、950円以上なら3/4(一部4/5)となっています。
2024年度募集分は、2024年度12月27日が申請締切となっています。業務改善助成金に関しても、詳しい内容はホームページよりご確認ください。
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クレジットカード決済の導入には手数料や導入費用が発生しますが、それらの費用を上回るメリットがあります。購買意欲の促進や集客力アップ、現金管理の手間削減などが期待でき、結果として売り上げ向上につながるでしょう。
クレジットカード決済の導入にかかる負担を軽減したい場合は、USEN PAYシリーズのような一部導入費用が無料のサービスを選択するのがおすすめです。「USEN PAY ENTRY」では、キャンペーン条件を満たすと初期費用・月額利用料が0円/契約となり、「USEN PAY」でも月額利用1,980円/台、初期費用0円/台となっているため、導入時の負担を抑制可能です。
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