「キャッシュレス決済を導入したいが、導入コストに懸念がある」といった課題を抱える飲食店や小売店、美容室の経営者もいらっしゃることでしょう。
本記事では、キャッシュレス決済の導入時に活用できる9つの補助金制度について詳しく解説します。導入コストを抑えながらキャッシュレス化を進めたい方は、ぜひ最後までお読みください。
なお、2024年8月31日時点で既に募集終了済みのものもありますが、期間を置いて繰り返し募集されているものもあります。再募集時に応募することもご検討ください。
また、本記事でご紹介する各種補助金の適用可否は、各補助金の応募要件や企業様の状況などにより異なります。詳細につきましては、各補助金の最新の公式資料をご確認いただくか、関係機関にお問い合わせください。
※本記事でご紹介する内容は、いずれも2024年8月31日時点の情報です。
目次
IT導入補助金
引用:独立行政法人中小企業基盤整備機構「IT導入補助金」
IT導入補助金は、中小企業、小規模事業者を対象に、ITツールの導入費用を援助する制度です。対象となる経費には、ソフトウエアやハードウエア機器の購入費、クラウドサービスの利用料などが含まれます。この補助金には「通常枠」「インボイス枠」「セキュリティ対策推進枠」の3種類があり、キャッシュレス決済の導入に活用できるのは「インボイス枠(インボイス対応類型)」です。
同補助金には細やかな条件がありますが、対象者、金額、申請手順の概要と、募集期間をご紹介します。
対象者
中小企業・小規模事業者
金額
「インボイス枠(インボイス対応類型)」における、「インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフト」の補助金の補助額は次の通りです。
申請手順
IT導入補助金の申請概要は、以下の通りです。
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「gBizIDプライム」アカウントの作成
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「みらデジ経営チェック」の遂行
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補助金の申請
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交付の決定
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ITツールの注文・契約・支払い
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事業実績の報告
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補助金の受け取り
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事業実施効果の報告
業務改善助成金
引用:厚生労働省「業務改善助成金」
業務改善助成金は、中小企業や小規模事業者の生産性向上の取り組みをサポートする助成制度です。この助成金は厚生労働省が所管しており、単なる設備投資だけでなく、事業所内の最低賃金の引き上げが条件となっているのが特徴的です。POSシステムなどの設備投資が例として挙げられており、生産性向上に寄与するキャッシュレス決済機器も補助の対象になる可能性があります。
対象者
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中小企業・小規模事業者であること
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事業所内の最低賃金と地域別最低賃金の差が50円以内であること
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従業員の解雇や給与引き下げなど、助成金を受けられない理由がないこと
金額
上限額:30万円~600万円
※上限額は、賃金の引き上げ幅と従業員数によって変動
助成率:助成率は申請する事業場の引き上げ前の最低賃金に応じて、次のように異なる
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900円未満:9/10
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900円以上950円未満:4/5(9/10)
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950円以上:3/4(4/5)
補助率:2/3から4/5
申請手順
業務改善助成金の申請は、以下の手順で進めます。
申請書類の準備と労働局への提出
交付の決定
キャッシュレス決済機器の注文・契約・支払い
事業実績報告書と支給申請書の作成、労働局への提出
助成金の受け取り
状況報告の作成
「消費税および地方消費税に係る仕入控除税額報告書」の作成と労働局への提出
小規模事業者持続化補助金
引用:全国商工会連合会「小規模事業者持続化補助金」
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者などが各種制度変更に対応するために行う、販路開拓などの取り組みの経費の一部を補助する制度です。持続的な経営に向けた経営計画に基づく販路開拓の取り組みや、それに併せて行う業務効率化(生産性向上)の取り組みを支援します。
助成対象となるのは、設備や機器に関する費用やPR活動にかかる経費、Web関連の支出などです。その他、不要になった設備の処分にかかる経費や外部への委託、外注にかかる費用なども補助の対象となります。
対象経費として「機械装置費など」も含まれており、販路開拓などと併せて行う業務効率化に必要と認められれば、キャッシュレス決済端末も補助対象となる可能性があります。
金額
上限額:50万円(通常枠)、200万円(賃金引上げ枠・卒業枠・後継者支援枠・創業枠)
※インボイス特例対象事業者には、上記金額に加えて50万円の上乗せあり
補助率:2/3(賃金引上げ枠のうち赤字事業者は3/4)
対象者
所定の条件を満たす小規模事業者など
申請手順
GビズIDプライムまたはGビズIDメンバーのアカウントを取得する
電子申請システムで申請を行う
事業支援計画書(様式4)を取得する
審査結果を待つ
各自治体のキャッシュレス決済導入補助金
引用:山鹿市「山鹿市キャッシュレス決済導入支援事業補助金について」
各自治体もキャッシュレス決済の導入補助を行っていることがあります。ここでは、その一例として、2024年8月31日時点で開催中の、熊本県の補助金事業の内容をご紹介します。
同補助金は、キャッシュレス決済の導入を支援することで、消費者の利便性向上と地域経済の活性化を図ることを目的としたものです。中小企業者を対象に、キャッシュレス決済に必要な決済端末や付属機器などの導入費用の一部を補助しています。
金額
補助率:1/2以内
補助上限額:5万円(1店舗につき1回限り)
※補助金額の千円未満は切り捨て
対象者
所定の条件を満たす事業者
申請手順
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交付申請書類の準備と山鹿市役所商工課への提出
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市による審査と交付決定通知の受領
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キャッシュレス決済機器の発注・契約・支払い
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実績報告書の作成と山鹿市役所商工課への提出
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市による審査と交付確定通知の受領
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請求書の作成と山鹿市役所商工課への提出
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補助金の受け取り
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
引用:全国中小企業団体中央会「ものづくり補助金」
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、中小企業、小規模事業者などが働き方改革などの各種制度変更に対応するため、革新的な製品・サービスの開発や生産プロセスの省力化を行い、生産性を向上させるための設備投資などを支援する制度です
助成対象は主に機械装置・システム構築費ですが、キャッシュレス対応機器も含まれます。
なお本補助金は、提出した事業計画書に対して、外部有識者による審査があり、優れた事業計画書を提出した者が採択される特殊な要件となっています。また、小規模事業者でない場合の補助率誤記や必要書類の不足は不採択の原因となるなど、厳しい要件が定められているため、不備がないようしっかりと準備しましょう
金額
申請主体により、補助率1/2または2/3
※申請類型・要件により異な
対象者
中小企業者(組合関連以外、組合・法人関連)や小規模企業者・小規模事業者、特定事業者の一部、特定非営利活動法人、社会福祉法人
申請手順
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GビズIDプライムアカウントを取得する
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電子申請システムにアクセスする
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申請に必要な情報を入力する
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事業計画書(PDF形式、A4サイズで計10ページ)を作成し添付する
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その他必要書類を添付する
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申請内容を確認し送信する
地域交通キャッシュレス決済導入支援事業
引用:国土交通省「MaaSの実装に向けた基盤整備事業にかかる公募について」
地域交通キャッシュレス決済導入支援事業では、公共交通機関でのキャッシュレス決済の普及を目指しています。QRコードや交通系ICカード、非接触型クレジットカード、さらには顔認証など、さまざまな決済方法に対応するための設備やシステムの導入の支援がされています。
金額
最大1/3
※クラウド型キャッシュレス決済の導入に要する経費については最大1/2
対象者
鉄道事業者や軌道経営者、一般乗合旅客自動車運送事業者、一般乗用旅客自動車運送事業者、自家用有償旅客運送者並びにこれらの者に車両を貸与する者など
インバウンド受入環境整備高度化事業
引用:観光庁「インバウンド受入環境整備高度化事業」
インバウンド受入環境整備高度化事業は、訪日外国人旅行者の滞在満足度向上と消費拡大を目指し、特定の観光地域での環境整備を支援するものです。主に二つの事業形態があり、一つは「エリア型整備事業」として、駅から観光スポットまでの散策ルートを含む広域的な環境改善を行います。もう一つは「拠点強化事業」で、道の駅やみなとオアシスなどの人気観光施設の機能を強化します。
両事業とも、外国人観光客がストレスなく快適に旅行を楽しめる環境づくりを目的としており、その中にはキャッシュレス決済設備の導入支援も含まれています。観光地の飲食店や小売店、医療機関での多言語対応、また先進的な決済環境の整備の項目において、所定の条件を満たせばキャッシュレス決済設備の支援が受けられます。
金額
エリア型整備事業では補助対象経費の2分の1以内。ただし、拠点機能強化事業のみを実施する場合は補助対象経費の3分の1以内。
対象者
申請できるのは、自治体や観光DMO、民間事業者など、対象地域で事業を実施しており、「高度化計画策定者」に該当するもの。
※高度化計画策定者とは、特定観光地における環境整備計画を策定する主体のこと。所定の条件を満たした場合に、高度化計画策定者として認められる。
申請手順
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受入環境整備高度化計画を作成する
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計画認定および内示を受ける
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交付申請書を提出する
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交付決定を受ける
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事業を実施する
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完了実績報告書を提出する
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補助金額の確定を受ける
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精算を行う
地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化事業
引用:観光庁「地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化事業」
地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化事業は、観光拠点再生計画に基づき地域全体で策定する取り組みを支援するものです。単独の事業者による改修などではなく、地域が一体となって観光産業の再生と高付加価値化を目指す取り組みが対象となります。
観光地全体のDX化推進における、面的なキャッシュレス決済環境の整備の項目において、キャッシュレス決済の補助金が受けられるでしょう。具体的には、宿泊施設のカードキーと周辺施設の決済端末連携や、顔認証決済サービスの導入による手ぶら観光の促進、複数事業者での共通キャッシュレス決済導入とデータ活用などが挙げられます。
金額
補助上限最大5000万円(補助率1/2)
対象者
自治体、DMO、民間事業者・団体。ただし、宿泊事業者を含む5者以上の事業者が参画することが条件。
申請手順
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地域の公募
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事務局による伴走支援と計画の添削
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計画審査と採択
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交付申請と決定
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補助事業の実施
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完了報告と補助金交付
インバウンド安全・安心対策推進事業
引用:観光庁「インバウンド安全・安心対策推進事業」
インバウンド安全・安心対策推進事業は、近年の災害リスク増加とインバウンド回復を見据えた取り組みです。この事業は、訪日外国人旅行者の安全確保と快適な滞在環境の整備を主な目的としています。
本事業では、医療機関の訪日外国人患者受入機能強化や、災害時などにおける観光危機管理の強化などの重点項目が設定されており、そのうちの一つとしてキャッシュレス決済環境の整備も含まれています。
金額
補助対象経費の2分の1以内
対象者
観光案内所・観光施設などを設置・もしくは管理する者や、観光地における店舗・事業所などを運営する者、病院・診療所などを設置・または管理する者など
申請手順
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事業計画書の提出
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交付申請書の提出
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交付決定通知
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交付決定後、契約・発注
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完了実績報告書の提出
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事業完了後、実施内容と成果を報告
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補助金の支払請求
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支給
補助金申請時の注意点
多くの補助金において、申請後から決定前に契約を行うと補助金を受け取れない可能性があります。また、業種、資本金、従業員数などの細かい条件が設定されていることが多く、申請資格を満たしているか詳細な確認が必要ですので、各補助金のホームページをしっかりと確認しましょう。
補助金の不正申請や要綱違反があった場合は、補助金の取り消しや返還を求められる可能性もあるため、条件を満たしているかを確認することも大切です
加えて、審査があり、不採択の可能性もあるため、補助金決定を前提とした計画は避けるのが望ましいです。多くの場合、補助金は後払いとなるため先に自己負担が必要となる点も注意しましょう。
キャッシュレス決済の導入費用
まず、キャッシュレス決済導入にかかる費用は、主に初期費用、月額費用、決済手数料の3つの要素から構成されています。
まず、初期費用については、決済端末の購入が必要な場合などに発生し、数万円が目安です。
月額費用は端末をレンタルする場合に発生し、数千円が一般的ですが、最近は無料のサービスも増えています。また、インターネット通信費用として3,000〜5,000円程度が必要になる場合があります。さらに、POSレジやプリンターなどの周辺機器も導入する場合は、月額数千円~数万円の費用が発生することも押さえておきましょう。
決済手数料は、顧客がキャッシュレス決済を利用した際に発生する費用で、通常は取引額の3~10%程度です。具体的な料率は、選択する決済サービスや契約内容によって変動します。
上記が大まかな目安ですが、各費用は導入するサービスによって大きく変わるため、具体的な検討の際は複数のサービスを比較検討することが重要です。
キャッシュレス決済の導入では、コスト以上のメリットが期待できる
ここまでキャッシュレス決済の導入に際して必要となるコストに焦点を当ててきましたが、導入で得られるメリットを改めておさらいしておきましょう。次のような大きなメリットが期待できるので、迷った場合は導入をするのがおすすめです。
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顧客の利便性向上
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売り上げアップ
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業務効率化
顧客満足度の向上
キャッシュレス決済を導入すると、従来のように顧客が現金やカードを持ち歩く必要がなくなり、スマートフォン1台で支払いが完結します。そのため、財布を忘れても買い物が可能となり、急な出費にも対応できるようになります。
決済時間の短縮も利点で、レジでの待ち時間が大幅に減少し、混雑時であってもスムーズな会計ができるようになります。待ち時間の短縮は、顧客の満足度向上につながるでしょう。
売り上げアップ
現金が不要になることで、顧客の購買障壁が低下し、衝動買いや高額商品の販売機会が増加します。また、決済時間の短縮でレジの混雑が解消され、急いでいる人の機会損失を防げます。さらに、外国人観光客や若年層など、キャッシュレス決済を好む新規顧客層の獲得にも繋がります。これらの要因が相乗効果を生み、総合的な売り上げ向上が期待できるでしょう。
業務効率化
現金取り扱いに関する作業、例えば金額確認やお釣りの計算、授受などが簡略化され、混雑時でもスムーズな顧客対応が可能となります。
日々の現金集計や釣銭準備の手間が不要となることで、これらの時間を他の業務に充てられる点もメリットです。さらに、売り上げデータがデジタルで記録されるため、売り上げ管理も容易になります。
このように、キャッシュレス決済の導入は、店舗の業務効率も大幅に向上させます。
導入時の負担を抑えたいなら、一部端末費用が無料のUSEN PAYシリーズがおすすめ
キャッシュレス決済の導入にはさまざまな補助金制度がありますが、申請手続きの負担や初期費用の問題から導入をためらう事業者も少なくありません。そこでおすすめなのが、導入時の負担を抑えられる「USEN PAYシリーズ」です。
USEN PAYシリーズは、一部端末費用が無料になるキャンペーンを実施しているUSEN PAY ENTRYや、初期費用・月額費用のかからないUSEN PAY QRなど、事業規模や事業形態に合わせて選択できる決済端末を提供しています。
また、USEN PAYシリーズには次のような特徴もあります。
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翌日入金サービスで昨日の決済額がすぐに振込される
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レジとシームレスに連携できる
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導入から保守まで充実したサポートがある
加えて、カード決済、電子マネー決済、QRコード決済に対応した「USEN PAY」では、業界最大級71種のブランドに対応しているのも強みです。
キャッシュレス決済の導入を検討する際は、初期費用や月額費用を抑えられるUSEN PAYシリーズのようなサービスも選択肢の一つとして考えてみましょう。
なお、各種補助金の申請は基本的に申請者様ご自身で行っていただく必要がありますが、USENではIT導入補助金に関しては申請サポートを行っております。IT導入補助金の活用をお考えの方は、契約時にご相談ください。