QRコード決済とは、スマートフォンでQRコードを読み取ったり、QRコードを提示したりすることで支払いを行う決済手段です。非接触型の決済方法で、2010年代後半から日本でも普及してきました。QRコードの仕組みや種類、導入するメリット・デメリットについて解説します。
目次
QRコード決済とは
QRコード決済とは、スマートフォンを使ったキャッシュレス決済の一つです。スマートフォンでQRコードを読み取ったり、QRコードを提示したりして、支払いを行います。
日本でも2010年代の後半から、QRコード決済は普及し始めました。現在では「〇〇ペイ」という名前で多くのQRコード決済業者が登場し、決済手段として広く認識されています。政府のキャッシュレス推進政策により、割引やポイント還元などの多彩なキャンペーンが開催され、利用者が拡大しました。
また、感染症への危機意識の高まりから、非接触で会計ができる点が注目されたこともあいまって、利用者拡大につながりました。導入店舗・利用者ともに増えており、今後もさらなる増加が見込まれている決済方法です。
QRコード決済の仕組み
QRコードやバーコードを使った決済の仕組みは同じで、QRコードやバーコードをスマートフォンに読み込み、利用者の決済アプリに登録したクレジットカードや銀行口座、電子マネーから支払いをして完了です。
また、スマートフォンでQRコードやバーコードを提示し、店舗側に読み取ってもらう方法もあります。いずれの場合も、決済に用いるQRコードやバーコードには、店舗や利用者の情報が記録されています。
支払いにあたって現金やカードを使用せず、スマートフォンだけで決済を完了することが可能です。
他の決済方法との違い
現代では、さまざまな決済方法が利用されています。クレジットカードや電子マネー、非接触決済など、それぞれの決済方法には特徴があり、利用する場面によって適切な選択が求められます。
ここでは、主要な決済方法とQRコード決済の違いについて解説します。
クレジットカード
クレジットカードは、購入後に代金を支払う後払い方式が基本で、多くの場面で利用されています。利用者は一括払い、分割払い、リボ払いなど複数の支払い方法を選べるため、すぐにお金を用意できないような高額なサービスの支払いに利用できます。
また、カード利用額に応じてポイント還元やキャッシュバックが受けられるため、現金払いと比べてお得なメリットがあるのが特徴です。
さらに、クレジットカードは国内外を問わず幅広く使える点も大きな利点です。QRコード決済に比べて、海外旅行やオンラインショッピングでの使用が簡単で、特に国際ブランド(Visa、Mastercardなど)を持つカードは世界中で利用可能です。
一方で、クレジットカードは審査が必要で、利用限度額が設定されている点も考慮する必要があります。
電子マネー
電子マネーは、事前にチャージした金額で支払いを行うプリペイド方式が基本です。代表的なサービスには、交通系ICカードのSuicaやPASMO、また楽天EdyやWAONなどがあり、これらは日常生活のさまざまなシーンで利用されています。
QRコード決済との大きな違いは、電子マネーが特定の端末でかざすだけで決済できるのに対し、QRコード決済はスマートフォンを使用してQRコードを読み取る手間がある点です。
ただし、電子マネーのデメリットとしては、対応店舗が限られていることや、ポイント還元が少ない場合がある点が挙げられます。
非接触決済
非接触決済は、NFC技術を利用した決済方法で、Apple PayやGoogle Payが代表的です。これらはクレジットカードやデビットカードをスマホに登録し、端末にかざすだけで決済が完了するため、非常にスムーズです。生体認証やパスコードによる支払い認証があるため、セキュリティ面でも安心して利用できます。
QRコード決済と比較すると、非接触決済はクレジットカードと連動しており、後払い方式が主流です。そのため、支払い時に即座にお金が引き落とされるわけではなく、翌月以降にまとめて精算されることが多いです。
ただし、非接触決済は対応端末が必要であり、利用できる場所が都市部や大手チェーン店に限られることが多い点がデメリットです。
QRコード決済の方法
QRコード決済の方法は、ストアスキャンとユーザースキャンの2つの種類があります。それぞれの方法を解説します。
ストアスキャン
ストアスキャンとは、顧客がQRコードを提示し、店舗側がQRコードを読み取って決済する方法です。ストアスキャンを利用するには、店舗側は読み取り端末を導入する必要があります。以下の流れで利用します。
- 1. 顧客がスマホでQRコード決済アプリを立ち上げる
- 2. アプリ上に表示されたQRコードを店舗側に提示する
- 3. 店舗側はスキャナーやリーダーでコードを読み取れる状態にしておく
- 4. 店舗側で利用金額を入力し、提示されたコードを読み取る
- 5. 金額を確認し支払いが完了
- 6. 顧客側のアプリ上に決済完了画面が表示される
ユーザースキャン
ユーザースキャンとは、店舗側がQRコードを提示し、顧客がQRコードを読み取って決済する方法です。
QRコードの提示はタブレット端末に表示したり、紙に印刷したりします。そのため、ユーザースキャンを利用する場合は、店舗側は読み取り端末を準備する必要がありません。以下の流れで利用します。
- 1. 顧客がスマホでQRコード決済アプリを立ち上げる
- 2. 店舗に設置されたコードや店員が提示したコードをスマホ(端末)のカメラで読み取る
- 3. 利用金額を入力して金額を店舗側に確認してもらい、支払いを完了させる
- 4. 顧客側のアプリ上に決済完了画面が表示される
QRコード決済の支払い方法
QRコード決済の支払い方法には、前払いと即時払い、後払いの3つのパターンがあります。それぞれの方法を解説します。
前払い(プリペイド型)
前払い(プリペイド型)とは、事前に決済アプリにお金をチャージし、チャージした金額内で支払いをする方法です。チャージ方法には、銀行口座と連携させる方法や、ATMを使って現金でチャージする方法などがあります。数あるQRコード決済サービスのなかには、オートチャージ機能が利用できるものもあります。
また、利用額に応じて付与されたポイントを使って支払うことも可能です。
即時払い(デビット型)
即時払い(デビット型)とは、決済アプリに銀行口座もしくはデビットカードを登録し、決済すると即時に口座残高から代金が引き落とされる方法です。口座残高を超える金額を支払えないため、使いすぎを防止できます。また、事前のチャージが不要で、手間がかかりません。
後払い(ポストペイ型)
後払い(ポストペイ型)とは、一定期間内に利用した金額を後日まとめて支払う方法です。決済アプリにクレジットカードを登録して利用することが一般的で、QRコード決済で支払った金額はクレジットカードの支払い日にまとめて引き落とされます。後払いのため計画的に利用できますが、使いすぎるリスクがある点に注意が必要です。
QRコード決済サービスの主な種類
サービス名 | 特徴 |
---|---|
PayPay | ユーザー数・加盟店数ともに日本No.1のQRコード決済サービス。キャンペーンが頻繁に行われるため、ユーザーへの訴求力が高い。 |
楽天ペイ | 顧客満足度の高さが特徴の決済サービス。クレジットカードによる後払いだけでなく、チャージによる前払いやポイント払いにも対応しているため、顧客が利用しやすい。 |
メルペイ | 実店舗だけでなく一部のオンラインショップでも利用可能。フリマサービスのメルカリの売上金が支払いに使えるため、メルカリユーザーに訴求力が高い。 |
d払い | ドコモユーザーに人気の決済サービス。ドコモユーザーでなくても利用できる。携帯料金と合算して支払えるため、クレジットカードを持っていない顧客も利用しやすい。 |
au Pay | auユーザーに人気の決済サービス。auユーザーでなくても利用できる。携帯料金と合算して支払える。au Payのユーザーは、無料でauのWi-Fiスポットが使い放題。 |
※2024年3月時点
主なQRコード決済としては、PayPay・楽天ペイ・メルペイ・d払い・au Payが挙げられます。いろいろなサービスがあるため、あらゆる決済サービスに対応できるとよいでしょう。幅広い決済サービスに対応すると顧客が利用したい決済方法を選べるため、店舗の魅力が向上します。
ユーザー数が多い決済サービスを導入すると、より多くの新規顧客の獲得につながります。
【事業者】QRコード決済導入のメリット
QRコード決済を導入することには多大なメリットがあります。事業者側にとってのメリットを紹介します。
現金のやりとりが不要
QRコード決済は現金のやりとりが不要なため、レジ業務全体が効率化します。現金を数える手間や、お釣りを渡す手間が省けるため、会計がスピーディに完了できるでしょう。現金の数え間違いや、お釣りの渡し間違いもなくなるため、レジ締めが早く終わったり、ミスを減らしたりすることが可能です。
また、売上はデータで自動的に管理でき、売上管理の手間も軽減できます。
導入時の負担が少ない
QRコード決済は、他のキャッシュレス決済よりも導入時の費用が低い傾向にあります。たとえば、電子マネーやクレジットカード決済を導入する際は、事業者側はカードリーダー端末を準備する必要があります。
QRコード決済であれば、ユーザースキャンの場合は読み取り端末不要で初期費用を最小限に抑えることが可能です。ストアスキャンの場合でもiOS端末があれば、アプリをダウンロードするだけで対応できるものもあります。
新規ユーザーの集客が期待できる
QRコード決済を利用できるようにすることで、QRコード決済のユーザーの集客が期待できます。QRコード決済サービス会社は、ポイント還元や割引などのお得なキャンペーンを定期的に実施しています。同じ金額を支払うなら、よりお得なQRコード決済で支払いたいと考えるユーザーは多いです。
そのため、QRコード決済の導入は、QRコード決済を積極的に利用したいと考えているユーザーを新規顧客として獲得しやすくなります。
インバウンドの集客も期待できる
海外ではすでにキャッシュレス決済が主流となっています。とりわけ、大経済圏である中国では、QRコード決済は一般的な決済方法として広く浸透しているようです。
そのため、海外からの観光客はQRコード決済に慣れているため、QRコード決済が利用できないと不便さを感じる方も少なくありません。周辺の競合店がQRコード決済を導入していないのであれば、競合店に先手を打ってQRコード決済を導入し、差別化を図るのもおすすめです。
【事業者】QRコード決済導入のデメリット
QRコード決済にはデメリットもあります。QRコード決済を導入する前に確認しておきたい、事業者側にとってのデメリットを紹介します。
利用者がまだ少ない
海外と比較すると、日本はキャッシュレス決済の普及が遅れています。そのため、導入しても期待するほど利用する顧客がいないのではと不安に感じるかもしれません。
しかし、若年層に注目すると、QRコード決済の利用率は高いです。国や大手企業が推進していることもあり、利用者は今後も増加する見込みです。日本のキャッシュレス決済比率は、2022年に36%に到達し、決済金額は111兆円と過去最高でした。政府は、キャッシュレス決済比率の目標を2025年6月までに4割程度、将来的には世界最高水準の80%と設定しています。地域差もありますが、今後は中年層や高齢層のQRコード決済の利用率も高くなるでしょう。
また、前述したように海外からの観光客の利用率も高いため、QRコード決済の導入は価値があると言えます。
QRコードのすり替え防止策をする必要がある
ユーザースキャン型のQRコード決済を利用する場合、QRコードを常時店内に掲示しておくケースも想定されます。常時QRコードを掲示すると、QRコードのすり替えが起こる可能性があります。中国では、QRコードがすり替えられ、第三者に送金されてしまった悪質な詐欺事件が実際に発生したそうです。
万が一に備えるためにも、QRコードのすり替えを防止する対策を実施しましょう。具体的な防止策は以下の通りです。
- 決済時以外はQRコードをしまっておく
- 人目のつくところにQRコードを設置する
- ストアスキャン方式を導入する
決済時以外はQRコードをしまっておく、レジ前など人目のつくところにQRコードを設置する、ストアスキャン方式を導入するなどの対策を実施してください。ストアスキャン方式を導入すればQRコードのすり替えを防げます。
USEN PAY QRやUSEN PAYは、ストアスキャン方式のQRコード決済なので安全です。すり替え詐欺の被害を回避したい方にもおすすめです。
現金化に時間がかかる
顧客の支払いから事業者の口座に売上が入金されるまで、一定の時間がかかります。事業を開始したばかりのときなどは、資金繰りに影響をおよぼすかもしれません。
現金が不足するときは、支払いのすべてをQRコード決済などのキャッシュレス決済にするのではなく、現金決済を併用してみてはいかがでしょうか。一つの決済方法として導入する上では、大きな問題にはなりにくいでしょう。
【消費者】QRコード決済のメリット
消費者にとっても、QRコード決済はメリットの多い決済方法です。主なメリットを紹介します。
現金のやり取りが不要
QRコード決済を利用すれば、スマートフォンだけで決済が可能です。現金やクレジットカード、財布を持ち歩く必要がなく、より身軽に外出できます。主に現金で支払う方の場合、現金の持ち合わせがないときはATMでお金を下ろさなくてはいけませんが、QRコード決済を利用すればATMに行く頻度も手数料も削減できます。
スマートフォンさえあれば、もし財布を自宅に忘れても、現金の持ち合わせがなくても決済できるのです。
スムーズに支払える
QRコード決済なら、財布から現金を取り出す必要がありません。スムーズに会計でき、財布から現金を取り出す手間や、従業員が現金を確認する手間も不要です。支払う側と受け取る側の双方の手間がかからない分、わずかな時間で支払いが完了します。出勤前や急ぎで買い物をしたいときにも便利な方法です。
また、QRコード決済の導入店では1回あたりの会計の時間が短くなるため、レジに並ぶ時間も少なくなると期待できます。
ポイント還元・キャンペーンでお得に買い物できる
決済方法によっては、クーポンの利用による割引やポイントを使った会計などが可能なことがあります。QRコード決済を利用すると独自のポイントが貯まるため、現金で支払うよりもお得な買い物が可能です。
クレジットカードとQRコード決済を連携させている場合は、QRコード決済のポイントに加え、クレジットカードのポイントも貯まることがあります。割引やポイント還元のキャンペーンを上手に活用すれば、節約にもつながるでしょう。
使用金額などが把握しやすい
QRコード決済を利用するとアプリに利用履歴が残ることが多く、使用した金額や支払い日などが把握しやすいのもメリットの一つです。こまめにチェックすることで、買い物にいくら使ったのか、ポイントがどの程度貯まっているのか確認できます。
レシートを保管しなくてもお金の流れを把握できるため、家計管理にも便利です。また、使いすぎの防止にも役立てられるでしょう。
個人間送金機能がある
QRコード決済アプリの中には、個人間送金の機能を持つものがあります。これは、同じアプリを利用しているユーザー間で送金が可能な機能です。個人間送金ができると、手持ちがなくても、その場で送金できます。また、食事の後の割り勘など、日常生活の中での支払いをスムーズに行えるでしょう。
ただし、募金や集金などには使用できません。規約違反に当たらないよう注意して利用してください。
【消費者】QRコード決済のデメリット
メリットの多いQRコード決済ですが、いくつかデメリットもあります。消費者にとってのデメリットを紹介します。
利用できない店舗もある
QRコード決済は、どこでも利用できるわけではありません。消費者側が決済サービスに登録しているだけでなく、店舗側もその決済サービスに対応している必要があります。
また、QRコード決済に対応している店舗でも、表示が不明瞭で対応しているのかどうかわかりにくいこともあるでしょう。利用できない場合に備え、現金や他のキャッシュレス決済の方法も利用できるようにしておくと安心です。
スマートフォンがないと利用できない
QRコード決済は、スマートフォンを使って利用する決済方法です。そのため、ユーザー側がスマートフォンを持っていないときは利用できません。
スマートフォンを持たずに出かけたときや、スマートフォンを紛失したときは、QRコード決済を利用できない点に注意が必要です。また、スマートフォンを持っていても、充電切れの状態や通信環境が不安定なときは、うまく利用できないこともあります。
QRコード決済に関するよくある質問
QRコード決済に関するよくある質問とその答えをまとめました。ぜひ疑問解消にお役立てください。
- Q. QRコード決済とクレジットカード決済はどちらから導入するべき?
-
A. QRコード決済は比較的少額の買い物に、クレジットカード決済は高額の買い物に利用される傾向にあります。取り扱っている商品やサービス、顧客層に合わせて選びましょう。
- Q. QRコード決済の手数料はどのくらい?
-
A. QRコード決済の手数料は決済サービスによって異なりますが、QRコード決済サービスを単体で申し込んだ場合は1.6~2.6%程度が一般的です。また、複数のQRコード決済に対応したサービスであれば、3.24%が主流です。同じ決済サービスでも、プランや入金方法によって異なることがあるので、事前にチェックしましょう。
QRコード決済の導入で顧客層拡大を実現しよう
QRコード決済は今後も利用数の増加が見込まれる決済方法です。とりわけ若年層や海外からの観光客などへの訴求力が高く、QRコード決済を導入することで顧客層の拡大が見込めるでしょう。
QRコード決済サービスを導入するなら、専用端末不要で利用できるUSEN PAY QRを検討してみてはいかがでしょうか。アプリをダウンロードするだけで、複数のQRコード決済サービスに対応できます。ぜひお気軽にお問い合わせください。