デタルサイネージとは、一般的に「電子看板」「デジタル看板」などと呼ばれる、駅構内やビル壁面、商業施設や飲食店やアパレルショップなどにおいて、液晶ディスプレイなどを設置して情報を発信しているシステムのことです。 最近は液晶ディスプレイだけではなく、ファイルを再生するSTB(セットトップボックス)、コンテンツを管理するCMS(Contents Management System)など様々な機器と連携を含めたサービスが一般的になりました。
利用する場所に応じて使い分けることで、これまでの張り紙やポスター、コルトンメニュー看板よりも、タイムリーで効果的な情報を発信することができます。
デジタルサイネージ設置によるメリットや、デジタルサイネージを使いできることなどをご紹介していきます。
導入・設置を検討している方はぜひ参考にしてください。
目次
デジタルサイネージの仕組みと種類
素早く1台だけ導入したい場合は「スタンドアロンタイプ」
スタンドアロンとは、直訳をすると「孤立」です。インターネットにつながっていない状態で動画再生や静止画を表示する単体のデジタルサイネージを指します。ネットワークへ繋ぐ必要がなく機器単体で利用します。電気代以外のランニングコストがかからず、他の機器を購入する必要がないためリーズナブルにデジタルサイネージを導入、運用開始することができます。
スタンドアロンタイプには、サイネージディスプレイに内蔵されたメディアプレイヤー機能を使うケース、サイネージディスプレイのUSBポートへ外付けメディアプレイヤーを繋いで使うケースなど、機器構成、方法は複数存在します。
基本的な使い方は、USBメモリやSDカードなどに動画や静止画をコピーします。コピーするファイル名に数字を付け、その数字の順番通りに再生させるなど、比較的簡単な作業でデジタルサイネージを運用開始できます。PCの操作手順書さえあれば、従業員への研修も必要ありません。素早く1台だけ導入したい場合はスタンドアロンタイプをおすすめします。ただしデジタルサイネージへ映す内容を頻繁に変える場合や、複数端末を同時変更する、ディスプレイの設置場所が高所で人の手が届きにくい場合には、次にご紹介するネットワークタイプを検討してください。
複数の拠点に向け一括配信する「ネットワークタイプ」
ネットワークタイプのデジタルサイネージは、複数のディスプレイ、遠隔地にある複数拠点へ同時配信できるのが一番の特長です。随時コンテンツを遠隔で変更できるため、緊急情報など即時性が求められるコンテンツや、天気予報やニュースなど動的なコンテンツも配信可能です。
スタンドアロンタイプは、USBメモリなど記録媒体をディスプレイから抜き差しするという人の作業が必ず発生しますが、 ネットワークタイプはこの作業をする人的コストや手間を大幅に抑えることができます。事前にスケジュールを組むことで、時間通りにランチメニューからディナーメニューに切り替わります。タイムセールの開始告知やキャンペーン期間など、曜日や時間帯、期限のあるコンテンツを設定することで、スタンドアロンタイプよりも効果的な情報発信ができます。事前に紙のポスターを印刷・発送しておき、同時日程で一斉に張り変える作業と比較をしてみてください。複数店舗に設置されている数多くのディスプレイの配信内容をPCで一括管理できるため、管理者一人の作業です。本社のPCから各店舗のSTBへコンテンツ(掲載内容)を同時変更できるため、一斉に新商品や新サービスをスピーディに発信することができるのがネットワークタイプのデジタルサイネージの利点です。
デジタルサイネージを導入するメリットは?
視認性が格段に向上
紙媒体(ポスターやパネル)や手書きのメニュー、コルトンボード(印刷された看板)と違い、デジタルサイネージを導入(=液晶ディスプレイやLEDディスプレイなどを利用)することで、消費者の視認性が格段に高まります。
それまで意識をして見ようとしていた人だけでなく、意識が向かずに素通りしていた人の目に情報が届きやすくなるということです。またデジタルサイネージは動きのある動画が流せます。映像と合わせた音声案内付き紹介CMを映すことができるため、デジタルサイネージの前を通過する際、消費者の興味を惹きつけるトリガー的要素が多く盛り込まれます。
さらに動画の動きや音は、その場所・空間で見ている人へ臨場感を与えることができるなどの演出効果もあります。
内容を変える作業の手間が省ける
紙媒体(ポスターやパネル)や手書きのメニュー、コルトンボード(印刷された看板)などは、内容を変える際、必ず現地に人が行かなければなりません。準備や移動して作業する時間、さらに外注費も必要です。またサイズや場所によっては、一人では対応ができない、決まった時間までに終えることができないこともあります。一方、デジタルサイネージはデータをディスプレイで放映しているので、スタンドアロンタイプであれば記録媒体の差し替えのみ、ネットワークタイプであれば、PCで管理画面を操作するだけで内容を変えることができ、現地での人の作業は不要です。ネットワークタイプのデジタルサイネージは運用上、使用場所のネットワーク環境がしっかり整っていれば、作業時間や手間をかけずコンテンツ(掲載内容)を変更できます。
より多くの情報を効果的に訴求
デジタルサイネージを導入するメリットとして、コンテンツ(掲載内容)の更新頻度を高めることができます。静止画1枚を印刷したポスターと、音や動きのある動画が数十秒ごとに変わり再生するデジタルサイネージでは発信可能な情報量が桁違いに多くなります。張り替えされず古い情報のまま色褪せているポスターが数多くある中、デジタルサイネージは複数のコンテンツを組み合わせて放映できるので、1台の設置であっても動画による多くの情報発信、複数商品の宣伝や告知ができます。
シズル感のある動画による集客
映像や写真を扱う広告・印刷業界では、食品の味や食感を強調した写真や動画に対して「シズル感がある」という表現が使われます。消費者の購買意欲を高めるメリットがあり、シズルの語源は「sizzle」という英単語から来ています。ステーキ肉を焼く「ジュー」という音を立てる様子を表すものだと言われており、料理や飲み物を美味しそうに見せるためのキーワードです。消費者の五感を刺激し惹きつける動画を電子看板であるデジタルサイネージで流すことで集客に利用している店舗をよく見かけます。料理の香りや温度感、歯ごたえなど食感まで感じるほどシズル感のある動画は「美味しそう、これを食べたい!」と思わせて購買意欲を高めるのに大きな効果を発揮します。
デジタルサイネージを導入するデメリットは?
初期費用・ランニングコストがかかる
紙媒体とは違い、液晶ディスプレイや、ファイルを再生するSTB、コンテンツを管理するCMS(Contents Management System)など様々な機器との連携が必要になるため、導入の際に初期費用がかかります。
また運用していくにあたって、電気代や、機器をレンタルしている場合にはレンタル費用、コンテンツ制作を依頼する際にはコンテンツ制作費なども発生します。
ただし、紙媒体でもコストはかかるので、長期的にみた際にどれくらいのコストが必要になるのかは、導入前に確認する必要があります。
機器が故障するリスク
紙媒体とのもっとも大きな違いは、機器が故障するリスクです。
設置場所が、屋外であれば雨風や直射日光などの影響を受けますし、多くの人々が行き交う場所であれば、人にぶつかったり飲み物がかかることもあります。その他、落下や転倒など様々な理由で、ディスプレイやその他連携機器に故障が生じる可能性があります。
そのため、故障の際の迅速な修理対応など、アフターサポートも事前に調べておくと安心です。
デジタルサイネージ導入時に必要なもの
ネットワーク環境
デジタルサイネージを導入する際に、最初に設備を用意し整えないといけないものが、インターネットが使える環境です。「ネットワークタイプ」のデジタルサイネージでは、動画や静止画などコンテンツを端末に表示させるためにインターネット環境があることが必須条件です。必要に応じてオフィスや店舗を工事し環境を整える必要があります。
STB(セットトップボックス)
デジタルサイネージで使うSTBとは、「Set Top Box(セットトップボックス)」の略称で動画ファイルや静止画などのコンテンツを表示、再生させる機器です。ディスプレイとHDMIケーブルで接続して使います。 STB (セットトップボックス) にダウンロードしたスケジュール情報でコンテンツをディスプレイに表示することができ、管理者はWeb上などでディスプレイに表示するコンテンツの選択や配信スケジュールの設定を行うことができます。
コンテンツ
デジタルサイネージに放映するコンテンツを用意します。
コンテンツとは静止画・動画、テキスト(文字)や音楽などの素材を組み合わせて作成する「映像」のことです。一般的に静止画は.jpgといった拡張子のファイル、動画は.mp4などの拡張子のファイルが使用されています。解像度やビットレートなど、専門的な知識とソフトを使うこともあります。デジタルサイネージの特徴をよく知っている企業へコンテンツの制作を任せ、15秒など短い時間に伝えたい情報を盛り込んだコンテンツを作ることも検討材料にしてください。
デジタルサイネージは人の往来のある場所に設置されることが多いため、どのような動きが人目を惹きやすいのかノウハウがあり、場所と商品に適したコンテンツを制作してくれます。また企業によっては、コンテンツ更新作業や運用業務代行まで対応してくれます。
ディスプレイ
コンテンツを映すためのディスプレイを用意する必要があります。
デジタルサイネージで使用するディスプレイは利用時間が長いため、耐久性や機能性の観点から業務用のディスプレイを使用することをおすすめします。また屋外用は防水・防塵加工がされており、屋内用と比較すると高価な製品が多く、設置場所により使用する金具も防錆加工されたものなど機器も変わってきます。
デジタルサイネージの設置場所、画面の明るさ、サイズなど、用途に合わせたディスプレイを選択します。店内やテナントなど屋内で使用する場合には、400~700 cd/㎡(カンデラ)のタイプを使用。
ディスプレイに直射日光が当たるような場所では、屋内用で700cd/㎡以上の明るいタイプを使用、屋外では1,500 cd/㎡以上の高輝度タイプを選定します。
太陽光が当たる場所など周辺の明るさに比べディスプレイの輝度が足りていない場合、表示されたコンテンツ(動画や写真、文字)が見えない状態になってしまうため注意が必要です。
金具
ディスプレイ決定後に金具を決めます。
天吊り・壁掛け・スタンド型などデジタルサイネージをどのように設置するのか決めます。ディスプレイのVESA規格と設置方法に適した金具を用意することになります。
その他
人が立つ位置から見える場所に設置されているか、また周囲の明るさに問題がないかなど設置前に下見をしてください。
さらにインターネット回線とSTBの接続方法(有線LAN使用・Wi-Fi使用)、電源コンセントの数の確認、ディスプレイとSTBを繋げるHDMIケーブルの用意も必要です。
デジタルサイネージの活用例
屋内 | 屋外 | 屋内&屋外 | |||||||
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設置タイプ | POPサイネージ | タブレット サイネージ |
屋内スタンド型 | 店内壁面 プロモーション単体 |
メニューボード | 店内天吊 プロモーション |
屋外プロモーション (スタンド型) |
屋外プロモーション (大型) |
壁面プロモーション (マルチ画面) |
イメージ |
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設置場所例 |
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用途例 |
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予算の目安 | |||||||||
必要機材 | POP用タブレット等 | サイネージ用タブレット等 |
液晶ディスプレイ+スタンド ※スタンド一体型のディスプレイもご用意があります |
液晶ディスプレイ+壁面金具 ※補強工事が必要な場合があります |
液晶ディスプレイ+天吊り金具+補強工事 | 液晶ディスプレイ+天吊り金具+補強工事 | LEDサイネージ | 屋外対応ディスプレイ | マルチディスプレイ+壁面金具+補強工事 |
取扱メーカー:SHARP、Panasonic、LG、PHILIPS、IODATA等
デジタルサイネージの活用方法
広告配信
店頭をはじめ商品棚などデジタルサイネージの設置場所は、業種や施設ごとさまざまな場所にあり数多くの広告が放映されています。
ビル壁面やエレベーター内、タクシーの後部座席の前、トイレの中など、その商品の売り上げ増・認知度アップを目的に年代やエリアなどターゲットを考え放映されています。
情報提供
地域の観光情報や近隣の店舗情報などを発信、天気予報やニュース、道路の渋滞や鉄道情報などを待合スペース・エントランスで放映。病院や銀行、企業のエントランスなど待ち時間が発生する場所でデジタルサイネージにより情報提供が行われています。
ここ数年のコロナ対策によって新聞や雑誌、製品パンフレットが置けないという状況も、デジタルサイネージによる情報提供が解決します。
空間演出
デジタルサイネージを使い、現実には無い加工された映像により空間を幻想的な雰囲気に作り変えることが可能です。商業施設や水族館などの壁面へ大型液晶ディスプレイもしくはLEDディスプレイを設置。CGによる宇宙の映像や、ドローンで撮影された大自然の映像を表示するなど、臨場感溢れる空間演出にデジタルサイネージが使われています。例えばスポーツグッズの販売店では迫力のある競技映像が、見る人に強いインパクトを与えます。
インバウンド対応の多言語サイネージ
外国人観光客に対し多言語で観光情報を案内。
動画や静止画の中の表現を多言語化することで訪日外国人への効果的な情報提供が可能です。業務上、人的リソース不足が大きな課題となりがちな案内業務の改善策としても期待されています。人に話しかけず、自分が知りたい情報だけを受け取れるので、訪日外国人には高い利用価値があります。タッチパネル式のデジタルサイネージを使い表示言語を切り替え、タッチ操作により情報を得ることができます。電子POPやタブレットサイズのデジタルサイネージを使うことでスペースの無い場所にも対応できます。
デジタルサイネージの選び方
POP/ポスターの代わりとして
店舗のエントランス・商品の並ぶ売り場、通路やレジ付近などに設置。
スタンドを使って置いたり、壁にかけてあるディスプレイに特売品やセール開催の紹介を見かけたことがあるかと思います。商品を宣伝するPOP/ポスターに代わり動きのある宣伝が可能です。商品棚に5インチ~10インチ程度の小型電子POPを置いて、特定商品を宣伝したり、タブレットをレジ横に置いて、対応する電子マネーやアプリの紹介などにも使えます。
電飾コルトンをデジタルメニューボードへ
これまで多く見られる電飾コルトンやLEDパネルを、デジタルサイネージで動きのあるメニューに変えることができます。
複数枚のディスプレイを使いメニューボードに訴求力の高い動画を放映。3~4台のディスプレイを使い、それぞれ違う内容にすることはもちろん、1台は静止画にして他は動画にする、また一定のタイミングで全てのディスプレイを使い大きな動画1つを放映するなど、自由に構成を複数パターン設定ができます。メニューや価格が変わった場合にも素早く変更できます。お客様に注目されるメニューは、店舗の売上げアップに貢献します。ディスプレイは、マルチディスプレイの機能がありベゼルの細い製品を選ぶと境界線が目立たず見栄えがよくなります。STBもマルチディスプレイでの使用に対応した製品を選ぶことが必須です。
こんな使い方も
モーションセンサーやディスプレイにAIカメラが搭載されたインタラクティブ型と呼ばれるデジタルサイネージがあります。
モーションセンサーが付いているタイプは、陳列された商品を手に取るとセンサーが信号を発信し、その商品の説明動画を流します。
AIカメラでは、設置されたデジタルサイネージの前の情報を映像で解析。前を通過した人数やリピーターなのかなどマーケティングデータを取得。分析結果をサイネージの放映内容に反映させています。
また特殊な技術を用いて、透明なディスプレイに映像を映し出すことができる製品や、湾曲した曲面に設置可能な有機ELモニターなどもあります。円柱や球体型など特殊なディスプレイを使うことで、通行人の目を惹きつけるインパクトある映像表現が可能になります。
まとめ
街中で目にする機会が増えたデジタルサイネージですが、幅広い業種で導入され参入企業も増えています。デジタルサイネージの市場規模はコロナ渦で一時的に低迷しましたが、2021年以降は再び増加傾向です。多くの指標からも市場は拡大傾向が続くという予測が発表されています。
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