セルフレジは、レジ業務を効率化してお客様の利便性を高めるツールとして、多くの小売店や飲食店、コンビニなどで導入が進んでいます。しかし、セルフレジをスムーズに使えるお客様ばかりではなく、操作ミスや支払い忘れといった様々なトラブルがあるのも現状です。
この記事では、セルフレジによくあるトラブルとその対策を詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
目次
セルフレジとは
セルフレジとは、お客様自身で会計を行うレジシステムのことです。セルフレジは、大きく分けて「セミセルフレジ」と「フルセルフレジ」の2種類があります。
セミセルフレジは、商品のスキャンはスタッフが行い、お客様がセルフで行うのは支払いのみです。対してフルセルフレジは、商品のスキャンから会計まで全てお客様自身で行います。
どちらのタイプが適しているかは、店舗の規模や顧客層などによって異なります。そのため、セルフレジを導入する際には双方の特徴を理解し、それぞれの店舗に合ったものを選ぶことが大切です。
セルフレジのよくあるトラブル
セルフレジは便利なツールですが、次のようなトラブルが発生することもあります。
- 商品のスキャンがうまくできない
- お客様が操作に迷う
- 未払いや万引きが発生する
- 支払うレジを間違える
- 機械にエラーが出る
- お店へのクレームやお客様同士のトラブルが生じる
以下で、セルフレジのよくあるトラブルについて詳しく見ていきましょう。
商品のスキャンがうまくできない
フルセルフレジで多く見られるトラブルのひとつが、商品スキャン時にバーコードの読み取りが正しくできないケースです。バーコード部分が汚れていたりバーコードリーダーに不具合があったりすると、お客様がスムーズに商品をスキャンできません。
また、スーパーでは野菜や果物にバーコードが付いていない場合もあります。このような場合はセルフレジのタッチパネルで商品名やアイコンをタッチして登録しますが、フルセルフレジの操作に戸惑ってしまうお客様も少なくありません。
お客様が操作に迷う
セルフレジを設置する店舗が増えているものの、操作に慣れていないお客様も多くいます。
商品のスキャンだけでなく支払いの操作がスムーズにできないケースも多く見られ、特に年配の方やセルフレジを使ったことがない方にとっては難易度が高いでしょう。
慣れているお客様でも、クーポンの適用やポイントの使用といった特殊な操作については迷う方が少なくありません。操作方法の案内やスタッフのサポートが不十分だと、顧客満足度が低下し、クレームに繋がる可能性があるため注意が必要です。
未払いや万引きが発生する
経営者が見逃せないセルフレジのトラブルが、未払いや万引きです。特にセミセルフレジでは、スタッフによる商品のスキャンが終わった段階で支払いまで完了したと勘違いし、そのまま退店してしまうことがあります。また、意図的に支払いをせずに退店するケースも見られます。
セルフレジは人の目が届きにくいため、こうした未払いや万引きが発生しやすい点に注意しなければなりません。単純な支払い忘れなら後日回収できるケースもありますが、お客様が再来店しなかったり故意に支払わず万引きをした場合、回収は困難です。
代金を回収できなければ店舗側の損失となるため、未払いや万引きは大きな問題です。
支払うレジを間違える
セミセルフレジは、商品をスキャンする機械と支払いをする機械が分かれていることがあります。このようなセルフレジでは、お客様が支払いをするレジを間違えるトラブルに注意が必要です。
支払い用のセルフレジが複数並んでいる場合、自分が会計を行うレジを間違えて、他の人の会計を済ませてしまうことがあります。特にレジが混雑している時間帯に発生しやすく、会計を修正する対応に手間や時間がかかるとさらなる混雑の原因になります。
機械にエラーが出る
セルフレジの利用中に、機械側のトラブルが発生することもあります。例えば、硬貨の大量投入やお札の詰まり、バーコードリーダーの故障などが挙げられます。機械にエラーが出るとセルフレジの使用が一時的に中断され、お客様をお待たせしなければなりません。
また、セルフレジのエラーが頻発すると、お客様がセルフレジに対して抵抗感を抱く可能性がある点にも注意が必要です。セルフレジがお客様にストレスを与えると、顧客満足度の低下やリピーターの減少につながるおそれがあります。
お店へのクレームやお客様同士のトラブルが生じる
セルフレジの操作に不慣れなお客様は会計に時間がかかり、後ろに並んでいるお客様が不満を抱くことがあります。このような状況が続くと、待たされているお客様からのクレームにつながりかねません。また、後ろに人が並んでいるとプレッシャーになり、セルフレジに不慣れなお客様も大きなストレスを感じるでしょう。
場合によっては、操作中のお客様に直接文句を言うなど、お客様同士のトラブルに発展する可能性もあります。その場合、スタッフが対応に追われることになり、周囲のお客様に恐怖や不快感を与えるなど、店舗にとって大きなデメリットが発生します。
セルフレジのトラブルを防ぐための対策
上記のようなセルフレジのトラブルを完全に防ぐのは困難ですが、適切な対策を講じることで発生頻度を下げることが可能です。ここでは、セルフレジのトラブルを防ぐための具体的な対策を紹介します。
お客様をサポートするスタッフを配置する
セルフレジのトラブルを最小限に抑えるには、レジ付近にサポートスタッフを配置すると効果的です。近くにスタッフがいれば操作に迷うお客様をすぐにサポートでき、常に人の目があることで未払いや万引きの防止にもなります。機械の不具合や操作ミスに対しても迅速に対応できるため、混雑やトラブルを起きにくくする効果も期待できるでしょう。
操作に不慣れなお客様が多い店舗では、サポートスタッフを配置するだけでセルフレジに対する不安や抵抗を和らげることができます。操作に詳しいスタッフを配置し、迅速なフォローを行えば、より多くのお客様にセルフレジを利用してもらえるでしょう。
直感的に操作できるシステムを導入する
多くのお客様にスムーズにセルフレジを活用してもらえるよう、直感的に操作できるシステムを導入することが重要です。操作画面がシンプルで分かりやすいセルフレジなら、初めてのお客様にも迷わず操作してもらえます。
操作が分かりにくいシステムを選んでしまうと操作ミスが起きやすく、混雑やトラブルの原因となるため注意してください。スタッフが操作を覚えるのにも時間がかかり、スムーズに導入できない可能性があります。
操作手順や注意事項を分かりやすく掲示する
セルフレジを設置したら、目につきやすい場所に操作手順や注意事項を分かりやすく掲示しましょう。例えば、「大量の硬貨を一度に投入しないでください」といった具体的な注意点や、「商品を全てスキャンしたら右下の支払いボタンをタッチしてください」といった簡潔な説明を記載した掲示物を設置すると効果的です。
このような掲示を行うことでお客様の操作ミスを減らし、スタッフのフォローを軽減できます。分からないことがあっても自己解決してもらえる可能性が高まるので、サポートスタッフの人数が少なくても問題なく運用できるでしょう。
セルフレジと有人レジを両方設置する
店舗によっては、セルフレジと有人レジを両方設置しているケースもあります。店舗の規模や顧客層によっては、有人レジを残すことも選択肢に入れておきましょう。
セルフレジと有人レジの両方を設置しておけば、お客様は好きな方を選んで利用できます。「購入する商品が少ない時はセルフレジ、たくさんの商品を購入する時は有人レジ」のように、日によって使い分けたい人もいるでしょう。セルフレジと有人レジの併用によって、お客様の幅広いニーズに対応できます。
また、有人レジを設置しておくとセルフレジにエラーが出た際も、お客様を有人レジに誘導することで会計をストップさせずに済むのもメリットです。
防犯カメラなどセキュリティ対策を講じる
セルフレジを導入したら、防犯カメラなどのセキュリティ対策を講じましょう。万引きのような犯罪行為に対しては、防犯カメラを設置していると掲示するだけでも抑止効果が期待できます。お客様同士のトラブルが発生した際にも、防犯カメラの映像によって詳細な状況確認が可能です。
万引きが頻発すると店舗経営が危うくなり、お客様同士のトラブルは客足が遠のく原因となります。店舗やお客様を守るために、セルフレジを導入する際は適切なセキュリティ対策の実施が欠かせません。
マニュアルを作成してスタッフへの教育を行う
セルフレジを導入するなら、スタッフに操作方法やトラブル対応について理解してもらう必要があります。特にサポートスタッフは、イレギュラーな操作やエラーが出た時の対処法など細かい部分まで覚えておかなければなりません。
運用開始前にマニュアルを作成し、スタッフへの教育を行いましょう。単純な操作方法だけでなく、「操作に困っていそうなお客様がいたら声をかけられる前にフォローに入る」「機械が停止した時は有人レジに案内する」など、スタッフが取るべき行動についても教育が必要です。
上記のような教育によって質の高いサポートができるようになれば、お客様に安心してセルフレジを利用してもらえます。
ベンダーのサポート体制が整ったセルフレジを選ぶ
セルフレジの導入時には、ベンダーのサポート体制が整ったシステムを選ぶことも大切です。導入後のトラブルや定期的なメンテナンス、操作に関する問い合わせなどに、迅速かつ的確に対応してくれるベンダーが理想です。
サポート内容はベンダーによって異なり、同じベンダーでも契約するプランによってサポートの充実度が変わるケースもあります。導入後に困らないよう、サポート内容についても事前にしっかり確認しておきましょう。
導入前の相談や導入時の設定作業、スタッフトレーニングなどを提供しているベンダーのセルフレジなら、よりスムーズに導入を進められるのでおすすめです。
セルフレジはトラブルの可能性があるもののメリットも多い
セルフレジのトラブルは対策次第で防ぐことが可能で、導入によって多くのメリットが得られます。ここでは、セルフレジがもたらす4つのメリットを紹介しますので、ぜひチェックしてみてください。
レジ会計を効率化できる
セルフレジを導入する代表的なメリットは、レジ会計の効率化です。セミセルフレジは支払いがセルフになるため、スタッフは商品のスキャンに集中できます。商品のスキャンが終わればすぐに次のお客様対応に入れるため、従来の有人レジよりもスムーズな会計が可能です。
このようにレジ会計を効率化できると混雑が緩和され、顧客満足度の向上が目指せます。スタッフもレジ以外の業務にかけられる時間が増え、働きやすさもアップするでしょう。
人手不足の解消や人件費の削減につながる
セルフレジを導入すると、人手不足の解消や人件費の削減にもつながります。フルセルフレジは基本的にお客様が全ての会計作業を行うため、設置台数が多くても1人もしくは数人のサポートスタッフだけで対応が可能です。
人手不足に悩む店舗も、少ない人手で運用できるフルセルフレジは導入しやすいでしょう。レジ業務の担当を減らして人員配置を最適化することで、人件費の削減にもつながります。
違算金の発生や不正を防げる
セルフレジは、違算金の発生や不正行為を防ぐ手段としても有効です。セルフレジは自動釣銭機を使用するため、人が手でお金を数えたり合計金額やお釣りを計算したりすることはありません。投入した金額は機械が計測し、お釣りも自動で排出されます。簡単にお金を取り出せないので、不正の防止も可能です。
また、セルフレジはキャッシュレス決済にも対応していて、これも計算ミスや不正を防ぐ効果があります。加えて、重量感知などの不正防止機能が組み込まれているものを選べば、さらにトラブルのリスクを低減できます。
感染症対策になる
対面でのやりとりが減るセルフレジは、感染症対策になるのもメリットです。顧客が自ら会計を行うため、スタッフとの接触を最小限に抑えることができます。特にフルセルフレジの場合、操作ミスなどがなければスタッフとお客様の接触や会話はゼロです。
新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに、感染症に注意する人が増えました。セルフレジの導入は、お客様とスタッフの両方を守ることにもつながります。お客様との接触によるスタッフへの感染や、それによるスタッフの欠勤を防ぎ、店舗運営を安定させる効果も期待できるでしょう。
セルフレジを導入するステップ
セルフレジを導入する際は、次のステップで進めるとスムーズです。
- セルフレジのタイプを決める
- 導入するセルフレジを選ぶ
- スタッフへの教育を実施する
- 操作方法や注意事項を記載した掲示物を用意する
各ステップで取り組むべき内容について、以下で詳しく見ていきましょう。
セルフレジのタイプを決める
セルフレジを導入する際には、まず店舗の顧客層や取り扱う商品の特性を考慮して、セミセルフレジ・フルセルフレジどちらのタイプが適しているのかを判断する必要があります。
例えば、フルセルフレジはお客様が商品のスキャンを行うため、購入する商品数が多い店舗ではかえって効率が落ちるかもしれません。そのため小売店では、操作に慣れたスタッフが商品をスキャンするセミセルフレジの方が適している可能性があります。
ただし、「一度に会計する商品数がそれほど多くない」「セルフレジに慣れている若年層のお客様が多い」といった店舗では、フルセルフレジでも問題ないでしょう。
このように、どちらのタイプが適しているかは店舗の規模や業態、顧客層などによって異なるため、導入前にしっかりと検討してください。
導入するセルフレジを選ぶ
どちらのタイプを導入するか決めたら、具体的な製品の選定を進めます。機能やコストパフォーマンス、ベンダーのサポート体制などを総合的に判断し、それぞれの店舗に最適なセルフレジを見つけてください。
導入前の相談を受け付けているベンダーもあるため、判断に迷ったら導入候補をいくつか絞り込み、そのベンダーに相談してみるのもおすすめです。店舗の特性を踏まえて最適な製品やプランを提案してもらえるので、セルフレジ選びをスムーズに進められます。
スタッフへの教育を実施する
導入するセルフレジを選んだら、運用に向けてスタッフへの教育を実施しましょう。スタッフがレジの操作方法やトラブル対応について十分理解しておかなければ、お客様をサポートできません。導入前にしっかりとした教育を行い、全員がセルフレジのサポートスタッフを担える状態にするのが理想です。
教育が不十分な状態でお客様のサポートを任されるのはスタッフにとっても負担が大きいため、スタッフが自信を持って対応できるよう事前研修やマニュアルの整備などにも力を入れてください。
操作方法や注意事項を記載した掲示物を用意する
先述の通り、セルフレジの操作方法や注意事項を記載した掲示物をセルフレジの近くに設置するのは、トラブル防止に役立ちます。お客様が操作に迷わないように、簡潔な操作方法を目につきやすい場所に掲示しておきましょう。バーコードリーダーやお金の投入口などの場所を、シールで分かりやすく示すのも効果的です。
こうした取り組みはお客様にとっての利便性向上だけでなく、スタッフがフォローに入る頻度を抑えることで、業務負荷軽減や会計の効率化も目的としています。
最適なセルフレジを選ぶポイント
それぞれの店舗に最適なセルフレジを選ぶために、製品の選定時には次のポイントを押さえておきましょう。
- 業種や顧客層に合うものを選ぶ
- 操作が分かりやすいものを選ぶ
- 設置場所とレジのサイズを確認する
上記3つのポイントについて、以下で解説します。
業種や顧客層に合うものを選ぶ
セルフレジは、業種や顧客層に応じて最適なものを選ぶことが大切です。例えば、飲食店向けのセルフレジと小売店向けのセルフレジでは、搭載している機能や使い勝手が異なります。業種特化型のセルフレジも提供されているため、特定の業種向けのセルフレジ製品を選ぶのも方法のひとつです。
お客様の年齢層や取り扱う商品数、キャッシュレス化へのニーズなど、業種以外にも考慮すべき点は多くあります。製品選びに迷ったらベンダーに相談したり、自店舗に似た導入事例がないか公式サイトをチェックしたりするのがおすすめです。
操作が分かりやすいものを選ぶ
セルフレジのトラブル対策としても紹介しましたが、操作の分かりやすさはとても重要です。画面構成がシンプルで直感的に操作できるものは、多くのお客様がスムーズに操作できるのに加えて、スタッフの教育にかかる手間や時間を軽減できるというメリットもあります。
機能や予算で導入候補を絞り込んだら、それぞれの製品の操作方法をスタッフに見てもらい、より多くのスタッフが使いやすいと感じたものを選ぶのも方法のひとつです。
設置場所とレジのサイズを確認する
セルフレジは自動釣銭機やディスプレイなどを備えた大型の機械が多いため、設置場所とレジのサイズも忘れずに確認してください。店舗のレイアウトを見直して、レジのサイズや設置予定台数、お客様やスタッフの動線を考慮し、問題なく設置できるかどうか確認する必要があります。
メンテナンスや現金の取り出しなどで機械のカバーを開けることもあるため、セルフレジ自体が設置できるかどうかだけでなく、設置後の運用に支障がないかもチェックしましょう。具体的にどの程度のスペースが必要かは、ベンダーに確認してください。
事前準備をしっかり行ってセルフレジのトラブルを防ごう
トラブルを防いでセルフレジをスムーズに運用するには、事前の対策が欠かせません。対策次第でトラブルを最小限にできるので、今回紹介した内容を参考にセルフレジの導入を進めてみてはいかがでしょうか。
「セルフレジを置けるスペースがない」とお悩みの方は、タブレットPOSレジと自動釣銭機の組み合わせがおすすめです。大型のセルフレジよりもコンパクトで、小規模店舗にも向いています。
飲食店の業務に特化したタブレットPOSレジ「 USENレジ FOOD 」は、セルフレジモードを搭載しています。導入前の相談や導入時の各種設定、スタッフトレーニングなど手厚いサポート体制を用意しているので、ぜひお気軽にご相談ください。