さまざまな店舗でセルフレジを見かける機会が増え、「自店舗への導入を検討している」という店舗オーナーも多いでしょう。セルフレジを導入するには、その仕組みを理解してそれぞれの店舗に合ったものを選ぶことが大切です。
この記事では、セルフレジの仕組みと導入方法について詳しく見ていきましょう。メリット・デメリットや比較検討時のポイントなども解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
セルフレジとは
セルフレジとは、レジ作業の全て、もしくは一部をお客様がセルフで対応するレジのことです。
従来のレジは販売する商品をレジに登録して合計金額を算出し、お金を受け取ってお釣りを返す、という一連の流れをスタッフが対応します。一方、セルフレジではこれらの作業がお客様自身で行えるようになっているのが特徴です。
セルフレジにはレジ作業の効率化など、多くのメリットがあるため、スーパーやコンビニをはじめ多くの店舗で導入が進んでいます。
セルフレジの仕組み
セルフレジは、次の3つの機能・設備から構成されています。
- 商品をスキャンする機能
- 画面に購入する商品と合計金額などを表示するタッチパネル
- 決済する機能
ここでは、セルフレジの仕組みについて詳しく見ていきましょう。
商品をスキャンする機能
レジで会計を行うには、まず商品をスキャンしてレジに登録しなければなりません。多くのセルフレジでは商品のバーコードをレジのバーコードリーダーで読み取る方式が採用されていますが、一部の店舗ではICタグを使って複数の商品を一括でスキャンできる仕組みを活用しています。
以下で、それぞれのスキャン方法について解説します。
バーコード
ひとつひとつの商品にバーコードが貼り付けられていて、そのバーコードをレジのバーコードリーダーで読み取る方式です。バーコードにはその商品に関する情報が記録されていて、バーコードを読み取ることで商品の種類や価格が自動でレジに登録されます。
バーコードを用いることでスタッフやお客様が価格などを手入力する必要がないため、効率的かつ正確なレジ会計が可能です。
ICタグ
一部のセルフレジでは、RFIDというICタグを使って商品をスキャンします。バーコードと同様、ICタグに商品情報が記録されていて、スキャンすると自動でレジに商品の種類や価格が登録されるようになっています。
ICタグを活用したセルフレジの特徴は、複数の商品を一度にスキャンできる点です。指定の場所にまとめて商品を置くだけで全ての商品をスキャンできるので、購入点数が多い場合でもすぐに会計が行えます。
画面に購入する商品と合計金額などを表示するタッチパネル
タッチパネルはスキャンした商品と合計金額を表示したり、表示されるボタンをタッチして操作したりするための設備です。お客様はタッチパネルに表示された会計内容を確認し、問題なければ画面をタッチして支払いに進みます。
クーポンの適用や年齢確認、支払い方法の選択など、レジの操作は基本的に全てタッチパネルで行います。
決済する機能
現金の挿入やお釣りの排出、クレジットカードや電子マネーの読み取りなど、セルフレジには決済する機能も欠かせません。多くのセルフレジでは、現金以外に複数のキャッシュレス決済に対応しています。
クレジットカードのICチップを読み取る機器やQRコードを読み取るためのコードリーダー、電子マネー用の非接触型決済端末など、対応する決済方法に応じてさまざまな機能が備わっています。
セルフレジの種類と使い方の違い
セルフレジは、フルセルフレジとセミセルフレジの大きく2種類に分かれます。ここでは、それぞれのセルフレジの特徴と使い方について詳しく見ていきましょう。
フルセルフレジ
フルセルフレジとは、商品のスキャンから支払いまで、一連の操作を全てお客様自身で行うタイプのレジのことです。セルフレジと聞いて多くの人が思い浮かべるのは、こちらのフルセルフレジでしょう。
フルセルフレジによる会計は、以下のような流れで進めます。
- お客様が会計する商品をスキャンする
- 合計金額を表示する
- お客様が支払い方法を選択する
- お客様が支払いを行う
フルセルフレジの特徴は、スタッフが不在でも会計できる点です。従来のレジでは各レジに1人以上のスタッフが必要ですが、フルセルフレジならお客様だけで会計ができます。
セミセルフレジ
セミセルフレジは、スタッフが商品のスキャンを行い、支払いのみをお客様自身で対応するセルフレジです。セミセルフレジの場合、商品をスキャンするレジと支払いを行うレジがそれぞれ分かれているケースが多く見られます。この場合、会計は以下のような流れで進めます。
- スタッフが会計する商品をスキャンする
- 合計金額を表示する
- スタッフがお客様を支払い用レジに誘導する
- 支払い用レジでお客様が支払いを行う
セミセルフレジは操作に慣れたスタッフが商品のスキャンを行うため、会計する商品の数が多くてもスムーズに対応できるのがメリットです。また、お客様がセルフで対応するのは支払いのみなので、セルフレジに不慣れなお客様でも比較的抵抗なく利用してもらえます。
セルフレジを導入するメリット
セルフレジを導入する店舗が増えているのは、次のように多くのメリットがあるためです。
- レジ業務の効率化
- 人手不足の解消
- 人件費の削減
- 会計時のミスが減る
- スタッフが他の業務に注力できる
- 感染症対策になる
ここでは、セルフレジのメリットについて詳しく解説します。
レジ業務の効率化
セルフレジの代表的なメリットが、レジ業務の効率化です。フルセルフレジの場合、各レジにスタッフを配置する必要がないためレジの台数を増やしやすく、レジの台数が増えるほど一度に多くのお客様が会計できます。
セミセルフレジはスキャン担当のスタッフが必要ですが、お金を受け取ってお釣りを渡すといった作業がなくなる分、お客様1人当たりにかかる時間の短縮が可能です。店舗によってはスキャン用のレジよりも支払い用のレジを多く設置し、操作に不慣れなお客様がいても支払い用レジの待機が発生しないよう工夫しています。
レジの待ち時間はお客様にストレスを与えるため、レジ業務の効率化によってお客様に快適に店舗を利用してもらえるようになります。
人手不足の解消
セルフレジを導入すると、人手不足の解消に役立ちます。無人で対応できるフルセルフレジはもちろん、スキャン担当のスタッフが必要なセミセルフレジも、レジ業務を効率化できれば現在よりレジの台数を減らしても問題なく運用できる可能性があります。
近年は業界を問わず人手不足に悩む店舗が多く、「スタッフを募集しているのに志望者が集まらない」というケースも珍しくありません。「複数のレジがあるのにスタッフが足りずに全てのレジを活用できていない」「レジ担当のスタッフが別の業務に追われてお客様を待たせてしまった」といった問題に悩まされている店舗もあるでしょう。
セルフレジを導入すれば、このような問題の解決が目指せます。
人件費の削減
セルフレジの導入によって少ない人数のスタッフでレジ業務を回せるようになれば、人件費の削減にもつながります。スタッフが多い店舗では経費の多くを人件費が占めており、レジ担当のスタッフを減らすことができれば経費削減に大きく貢献します。
物価の高騰や賃金の上昇など、経費の増加に悩んでいる店舗オーナーも多いのではないでしょうか。業務の無人化や自動化を進めることで人件費の削減効果が期待でき、セルフレジはそのための手段のひとつです。
会計時のミスが減る
フルセルフレジもセミセルフレジも支払いはお客様自身で行うため、自動釣銭機やキャッシュレス決済の機能が備わっています。これにより、会計時のミスが減るのも店舗にとって大きなメリットです。
従来の有人レジの場合、金額の数え間違いや硬貨・紙幣の見間違いなどが発生することがあります。このようなミスがあるとお客様からクレームが入ったり、レジ締めの際に金額が合わず問題になったりするため、ミスがなるべく起きないようにするための対策が必要です。
自動釣銭機があれば現金の数え間違いを防ぐことが可能で、キャッシュレス決済ならそもそも現金を扱わないため数え間違いや見間違いの心配はありません。
スタッフが他の業務に注力できる
セルフレジの導入によってレジ業務の効率化が進むと、スタッフが他の業務に注力できるようになるというメリットもあります。
レジ対応も大切な接客のひとつですが、店舗によってはお客様への提案やサポートなど、より力を入れたい業務もあるでしょう。セルフレジを導入してより手厚い接客ができるようになれば、顧客満足度の向上も期待できます。
「スタッフが少なくオーナー自ら接客している」という場合も、セルフレジの導入でスタッフに全ての接客を任せられるようになれば、売上分析などの重要な業務により多くの時間をかけられるようになります。
感染症対策になる
お客様とスタッフの接点が減るセルフレジは、感染症対策に効果的です。特にフルセルフレジは、スタッフとお客様が対面することがなく商品にも触れないため、衛生面に気を使っているお客様にも安心して利用してもらえるでしょう。
セミセルフレジも商品のスキャン時に対面でのやりとりはあるものの、お金の受け渡しがなく接触感染のリスクを下げられます。
感染症対策は、お客様とスタッフの双方の健康を守ることにつながります。そのため、お客様やスタッフへの配慮としてはもちろん、スタッフの体調不良を防いで店舗運営に支障が出ないようにするという観点からも重要です。
セルフレジを導入するデメリット・注意点
ここまで紹介してきた通り、セルフレジにはたくさんのメリットがあります。ただし、導入を進める際には次のようなデメリットがあることも把握しておかなければなりません。
- 操作に戸惑うお客様がいる
- 導入に費用がかかる
- クレームやトラブルが起きる可能性がある
- スタッフ対応がゼロになるわけではない
上記4つのデメリット・注意点について、以下で詳しく見ていきましょう。
操作に戸惑うお客様がいる
セルフレジを導入すると、会計の一部もしくは全てをお客様に任せることになります。「機械の操作が苦手」「セルフレジを使うのが初めて」など、操作に戸惑うお客様もいるでしょう。特に高齢のお客様が多く訪れる店舗では、セルフレジに抵抗を感じて客足が遠のいてしまうおそれがあります。
セミセルフレジならお客様がセルフで対応するのは支払いのみなので、フルセルフレジと比較すると多くのお客様にスムーズに利用してもらえるでしょう。ただし、クーポンの適用やポイントの利用、キャッシュレス決済の選択など、若いお客様でも初めてでは戸惑う操作もあります。
近年はセルフレジを導入する店舗が増えているので問題なく操作できるお客様もいますが、操作に不慣れなお客様にストレスを与えないための対策は必須です。
導入に費用がかかる
セルフレジを導入するには専用の機械を購入する必要があり、高額な導入コストがかかります。また、システムの月額利用料やサポート費用、キャッシュレス決済を導入するなら決済手数料など、ランニングコストも考慮しなければなりません。
セルフレジの導入によって人件費の削減が見込め、回転率や顧客満足度の向上で売上アップにつながるケースもあるため、かけたコストを回収できる可能性も十分あります。しかし、導入コストが高額なためハードルが高いと感じる店舗オーナーも多いでしょう。
具体的にどのくらいの費用がかかるかは導入する製品によって異なるため、費用対効果を考慮して導入するかどうかを判断することが大切です。
クレームやトラブルが起きる可能性がある
セルフレジを導入する際は、クレームやトラブルが起きる可能性も考慮しておかなければなりません。例えば、セルフレジに不慣れなお客様がいて操作に時間がかかり、待たされた他のお客様からクレームが入るケースです。場合によっては、お客様同士のトラブルに発展する可能性もあります。
支払いをお客様に任せるため、「機械に現金が詰まる」「お客様が支払いを忘れて退店してしまう」なども、セルフレジによくあるトラブルです。レジ業務の効率化を目的にセルフレジを導入したのに、上記のようなクレームやトラブルが頻発すると、かえって効率が落ちてしまいかねません。
スタッフ対応がゼロになるわけではない
「セルフレジを導入すればレジ担当のスタッフが不要になる」と考えている人もいるかもしれませんが、セルフレジを導入してもスタッフ対応がゼロになるわけではありません。
操作に戸惑うお客様がいればサポートする必要があり、機器の不具合やお客様同士のトラブルが起きた時に素早く駆けつけられる体制を整えておく必要があります。そのため、セルフレジを導入してもレジ担当のスタッフは必要です。
セルフレジを導入するまでの流れ
セルフレジの導入は、以下のような流れで進めます。
- セルフレジの導入目的や予算を明確にする
- 導入するセルフレジを選ぶ
- スタッフへ操作方法をレクチャーする
- 操作方法を記載したポップなどを用意する
それぞれのステップで取り組むべき内容について、以下で解説します。
セルフレジの導入目的や予算を明確にする
最初に、セルフレジの導入目的や予算を明確にしておく必要があります。
「セルフレジを導入してどのようなことを実現したいのか」を明確にすることで、それぞれの店舗に必要なセルフレジの種類や機能が具体的に見えてくるでしょう。場合によっては、セルフレジ以外の設備の方が課題解決に向いている可能性もあります。導入コストがかかるため、「本当にセルフレジが必要なのか」という点から検討を進めてみてください。
また、セルフレジは製品によって導入コストやランニングコストが変わるため、予算を明確にしておくことも大切です。
導入するセルフレジを選ぶ
導入目的を明確にしたら、導入するセルフレジを選びましょう。機能やコストを比較して、それぞれの店舗に最適なものを選んでください。
少しでもコストを抑えたい場合は、大型のセルフレジではなくタブレット端末を使用するアプリタイプのPOSレジがおすすめです。タブレットPOSレジなら、タブレット端末に自動釣銭機、決済端末など必要な機器の組み合わせを選んで導入できます。それぞれの店舗に最適な構成のレジを導入できるので無駄がなく、導入コストを大幅に抑えられるかもしれません。
タブレットPOSレジをセルフレジとして使うには、セルフレジモードを搭載している必要があるため、比較検討時にはセルフレジモードの有無を確認してください。
スタッフへ操作方法をレクチャーする
導入するセルフレジを決めたら、スタッフへ操作方法をレクチャーする必要があります。操作に不慣れなお客様をサポートしたり、機器の不具合に対応したりするには、スタッフがセルフレジの操作をしっかり理解しておかなければなりません。
マニュアルを配布したり研修を実施したりしてスタッフがセルフレジを使いこなせるようになってから、お客様への提供を開始することが大切です。
操作方法を記載したポップなどを用意する
セルフレジ付近の目に留まりやすい場所に、操作方法を記載したポップなどを掲示しておきましょう。お客様が操作に迷ったとしても、ポップの案内で不明点を自己解決してもらえる可能性があります。
「ポップがあればサポート担当のスタッフは不要」というわけではありませんが、不明点を自己解決してくれるお客様が増えれば、本当に困っているお客様を優先的にサポートできます。
簡単な内容ならスタッフを呼ぶよりもポップを見て対処する方がスムーズなため、お客様にも喜ばれるでしょう。
セルフレジを選ぶ時のポイント
最後に、店舗に導入するセルフレジを選ぶ時のポイントを4つ紹介します。これからセルフレジの導入を進める人は、ぜひ参考にしてください。
店舗の業種や顧客層を考慮する
フルセルフレジとセミセルフレジのどちらが適しているかは、業種や顧客層によって異なります。例えば、「一度の会計でスキャンする商品が多い」「幅広い年代のお客様が訪れる」といった店舗では、スタッフが商品をスキャンするセミセルフレジの方がスムーズです。
また、店舗によってはセルフレジと有人レジを併用しているケースもあります。それぞれの店舗の特性を考慮して、最適なレジ環境を整えてください。
操作性を比較する
お客様にスムーズにセルフレジを利用してもらえるかどうかは、操作性が重要なポイントです。お客様とスタッフの双方が操作しやすいように、シンプルな画面構成で直感的に使用できるセルフレジを選んでください。
タブレットPOSレジは操作画面の分かりやすさにこだわっているものも多く、日常的にタブレットやスマートフォンを使っている人なら迷わず操作できるでしょう。操作性の高いセルフレジは、スタッフへの操作レクチャーに手間や時間がかからないというメリットもあります。
補助金や助成金が利用できるかチェックする
セルフレジの導入コストを抑える方法のひとつが、補助金や助成金の活用です。例えば、ITツールの導入を進める中小企業・小規模事業者が利用できる「IT導入補助金」は、セルフレジやPOSレジ、券売機などの導入費用も補助の対象となっています。
予算が限られている場合は、このような補助金や助成金の対象となっている製品を選ぶのも選択肢のひとつです。
サポートが充実したものを選ぶ
セルフレジは機能やコスト、操作性も重要ですが、サポート体制もチェックが欠かせないポイントです。サポート体制が整ったベンダーのセルフレジなら、不具合が起きても迅速に対応してもらえます。
導入前の相談や導入時の設定作業、スタッフへのトレーニングなど、スムーズに運用を開始できるよう手厚い支援を実施しているベンダーを選ぶのがおすすめです。
セルフレジを導入してレジ業務を効率化しよう
セルフレジはフルセルフレジとセミセルフレジの大きく2種類に分かれ、どちらが適しているかは店舗の業種や規模、顧客層などによって異なります。セルフレジの導入を検討している場合は、各セルフレジの仕組みや特徴を理解した上で、それぞれの店舗に適したものを選びましょう。
セルフレジの導入コストを抑えるには、セルフレジモードを搭載したタブレットPOSレジがおすすめです。業種特化型タブレットPOSレジの「USENレジ」はそれぞれの業種に必要な機能が揃っていて、IT導入補助金の対象にもなっています。最適なサービスや機器を提案するオンライン相談も実施しているので、ぜひお気軽にお問い合わせください。