クレジットカードには、ICチップが付いているものと付いていないものの2種類があります。店舗にクレジットカード決済を導入したいと考えている人は、ICチップの有無で使い方や対応する決済端末に違いがあるのかが気になるポイントでしょう。
この記事では、ICチップ搭載・非搭載の違いやICチップなしのクレジットカードの使い方、クレジットカード決済の導入ステップなどを詳しく紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
目次
ICチップなしのクレジットカードとは
現在発行されている多くのクレジットカードの表面には、約1cm角のICチップが付いています。お手元にクレジットカードがある人は、ぜひ確認してみてください。カードブランドに関わらず、ほとんどのクレジットカードにはICチップが付いているはずです。
しかし、一部のクレジットカードにはこのICチップが付いていません。ここでは、ICチップなしのクレジットカードの特徴やメリット・デメリットについて詳しく見ていきましょう。
ICチップ搭載と非搭載の違い
ICチップ搭載と非搭載のカードでは、決済方法に違いがあります。ICチップが付いているクレジットカードは、決済時に4桁の暗証番号を入力して認証を行います。一方、ICチップなしのクレジットカードは、決済時に本人確認のためのサインが必要です。
また、情報の保存方法にも違いがあります。ICチップが付いているクレジットカードはICチップに有効期限やカード番号といった情報が保存されるのに対して、ICチップなしのクレジットカードは裏面の磁気ストライプに情報が転写されているのが特徴です。
ICチップなしのクレジットカードのメリット
実は、ICチップなしのクレジットカードにはあまりメリットがありません。詳しくは後述しますが、ICチップなしのクレジットカードにはセキュリティの問題などデメリットが多く、現在ではICチップ付きのクレジットカードの方が多くなっています。
ICチップなしのクレジットカードのメリットを挙げるとすれば、ICカード非対応の店舗でも決済ができることです。磁気ストライプの読み取りにしか対応していない店舗でも、ICチップなしのクレジットカードなら支払いができます。
ただし、ICチップ付きのカードにも磁気ストライプは搭載されていることに加え、国内ではICチップ非対応の店舗はかなり少なくなってきているため、大きなメリットとはいえないでしょう。
ICチップなしのクレジットカードのデメリット
ICチップなしのクレジットカードのデメリットとして、磁気不良が起きやすい点が挙げられます。例えばスマートフォンとクレジットカードを長時間接触させていると磁気不良が起き、クレジットカードが読み取れなくなることがあります。磁気不良が起きると決済ができず、カードの再発行が必要です。
また、ICチップなしのクレジットカードの大きなデメリットが、セキュリティ面での安全性が低いことです。クレジットカードの情報を不正に読み取るスキミングという手口があり、ICチップなしのカードは簡単にスキミングされてしまうリスクがあります。
ICチップなしのクレジットカードの利用方法
ICチップなしのクレジットカードは、以下の手順で支払いを行います。
- 決済端末にクレジットカードをスライドさせて磁気ストライプを読み取る
- 本人確認のためのサインをする
磁気ストライプには暗証番号の情報が含まれておらず、ICチップなしのクレジットカードでは暗証番号による認証はできません。そのため、本人確認のためのサインが必要となります。
店舗のレジをICチップなしのクレジットカードに対応するには
店舗のレジでICチップなしのクレジットカードを利用できるようにするには、次のような対応が必要です。
- クレジットカード決済を導入する
- クレジットカード決済に対応したPOSレジを導入する
- 磁気カードに対応した決済端末を導入する
それぞれどのような対応が必要になるのか、以下で詳しく解説します。
クレジットカード決済を導入する
ICチップの搭載・非搭載に関わらず、まずクレジットカード決済を店舗に導入する必要があります。自分の店舗でクレジットカード決済を使えるようにするには、クレジットカード会社の加盟店にならなければなりません。
クレジットカード決済は、お客様が決済をするとクレジットカード会社に情報が送られ、クレジットカード会社から店舗に代金が支払われる仕組みです。お客様に対しては、後日クレジットカード会社から請求が行くようになっています。
このようなクレジットカード会社とのやりとりのために、加盟店になる必要があるのです。加盟店になるには直接契約と決済代行会社を利用する方法の2種類があるため、どちらかを選んで手続きを行いましょう。
それぞれの方法について、以下で詳しく解説します。
直接契約
直接契約は、クレジットカード会社と個別に契約を結ぶ方法です。クレジットカード会社は複数あり、導入したいカードブランドごとに契約しなければなりません。契約に手間と時間がかかる他、入金サイクルがバラバラで管理が大変になるなど、注意点が多くあります。
そのため、多くの店舗では次に紹介する決済代行会社を利用しています。
決済代行会社を利用する
決済代行会社とは、複数のクレジットカード会社との代理契約を担当する会社です。決済代行会社を利用すると、一度の契約で複数のカードブランドを導入できます。入金サイクルが統一されるため、管理の手間もかかりません。
クレジットカードだけでなく、電子マネーやQRコード決済をまとめて導入できる決済代行会社も多くあります。そのため、複数のキャッシュレス決済に対応したい場合にも決済代行会社の利用がおすすめです。
クレジットカード決済に対応したPOSレジを導入する
クレジットカード会社もしくは決済代行会社と契約をしたら、クレジットカード決済に対応したPOSレジを導入しましょう。クレジットカード決済に対応したPOSレジがあると、レジに登録した会計情報を使ってスムーズにクレジットカード決済が行えます。
レジがクレジットカード決済に対応していなければ、レジと決済端末の両方に会計情報を入力しなければなりません。レジ作業の手間が増えるため、クレジットカード決済を導入するならそれに対応したPOSレジの導入も検討してみてください。
磁気カードに対応した決済端末を導入する
クレジットカード決済を行うには、クレジットカードを読み取れる決済端末が必要です。ICチップなしのクレジットカードは磁気ストライプから情報を読み取るため、磁気カードに対応した決済端末を用意しましょう。
ICチップやQRコードの読み取りに対応したマルチ決済端末もあるため、決済代行会社を利用して複数のキャッシュレス決済を導入するなら、磁気ストライプ以外も読み込める決済端末の導入がおすすめです。
クレジットカード決済対応のメリット
店舗にクレジットカード決済を導入すると、次のようなメリットがあります。
- 客単価アップにつながる
- 販売機会を逃さない
- レジ会計がスムーズになる
- 現金管理の手間が減る
上記4つのメリットについて、以下で詳しく見ていきましょう。
客単価アップにつながる
クレジットカード決済対応の代表的なメリットが、客単価アップにつながることです。クレジットカードは限度額内であれば高額な支払いも可能で、手持ちの現金を気にする必要がありません。そのため、より高額な買い物をしやすく、ついで買いも増える傾向があります。
クレジットカード決済は財布の中の現金やチャージ残高が減らないため、支払いに対する心理的なハードルが低いという側面もあるでしょう。
客単価が上がると売上を伸ばしやすくなるため、店舗オーナーにとっては大きな魅力です。
販売機会を逃さない
自身が顧客側の立場で店舗を利用した際、「手持ちの現金が少なく買い物できなかった」という経験がある人もいるのではないでしょうか。現金にしか対応していない店舗では、このような販売機会の損失が生まれる可能性があります。
クレジットカード決済に対応していれば、このような販売機会の損失が少なくなるのもメリットです。「現金でしか支払えない店舗は選ばない」という声もあり、22.5%の人が「決済手段を理由に店を変えることがある」と回答したアンケート調査もあります。※
このように、クレジットカードを含めキャッシュレス決済への対応は、集客にも影響を与えていることが分かります。
※参考:みんなの"キャッシュレス決済"利用状況は?お店選びで対応決済手段が影響する割合が200人への調査で明らかに
レジ会計がスムーズになる
クレジットカード決済を導入すると、レジ会計がスムーズになるのもメリットのひとつです。現金決済の場合はお客様から預かった金額を数えてレジに入力し、お釣りを数えて手渡す作業が発生します。一方クレジットカード決済なら、カードを読み取って暗証番号の入力もしくはサインを記入してもらえば完了です。
現金を数え間違えるリスクもなく、会計にかかる時間を短縮できるので、お客様と店舗の双方にとってメリットがあります。
現金管理の手間が減る
クレジットカード決済の導入によって扱う現金の量が減ると、現金管理の手間を削減できます。現金支払いの割合が低くなるほど、お釣り用の硬貨を用意したり、レジ締めの際に大量の現金を数えたりする手間や時間がかからなくなります。
営業中にお釣りが足りなくなったり、レジ締めの際に金額が合わなかったりして、苦労した経験のある人も多いのではないでしょうか。クレジットカード決済を含めキャッシュレス決済を導入するとこのような心配は少なくなり、接客など重要な業務に多くの時間をかけられるようになります。
クレジットカード決済対応のデメリット
クレジットカード決済に対応すると多くのメリットがありますが、次のようなデメリットがあることも把握しておかなければなりません。
- POSレジや決済端末などの導入に手間がかかる
- 導入費用や手数料などコストが増える
- 売上が入金されるまでに時間がかかる
ここでは、クレジットカード決済を導入する際に知っておきたい注意点について詳しく見ていきましょう。
POSレジや決済端末などの導入に手間がかかる
クレジットカード決済を導入するには、クレジットカード会社もしくは決済代行会社と契約を結んだ上で、対応するPOSレジや決済端末などを導入する必要があります。契約する決済代行会社やPOSレジ、決済端末は種類が多く、契約先を選ぶだけでも大変に感じる人もいるでしょう。
新しい機器を導入する際には、操作方法を覚えてスタッフにレクチャーするといった対応も必要です。日々の店舗運営に追われる中でこれらの対応を進めるのは手間がかかり、「導入したいと思っているものの後回しになっている」という人もいるかもしれません。
導入費用や手数料などコストが増える
POSレジや決済端末を導入するには、手間だけでなく費用もかかります。機器の購入費や月額利用料が必要になるため、店舗運営にかかる経費が増える点に注意してください。
加えて、クレジットカードを含むキャッシュレス決済を導入する場合は決済手数料についても把握しておかなければなりません。決済手数料とはお客様の決済金額に応じて店舗がクレジットカード会社もしくは決済代行会社に支払う手数料のことで、手数料率は店舗の規模や業種によって異なります。
クレジットカード決済の比率が増えるほど決済手数料も増えるため、クレジットカード会社や決済代行会社を選ぶ際は手数料率の確認も重要です。
売上が入金されるまでに時間がかかる
クレジットカード決済のデメリットとして、売上が入金されるまでに時間がかかるという点も挙げられます。クレジットカード決済による売上は、あらかじめ決められた入金サイクルにしたがってクレジットカード会社や決済代行会社から振り込まれるようになっています。
「月末締め翌月末入金」「15日と末日の2回支払い」など、入金サイクルはさまざまなので、店舗の資金繰りに支障がない入金サイクルを選ぶようにしましょう。入金サイクルが長いと、支払いや仕入れに影響が出てしまう可能性があります。
クレジットカード以外のキャッシュレス決済方法
クレジットカード決済を導入するなら、他のキャッシュレス決済も併せて導入してみてはいかがでしょうか。クレジットカード以外の主なキャッシュレス決済として、以下が挙げられます。
- デビットカード
- 電子マネー
- QRコード決済
それぞれのキャッシュレス決済の特徴について、以下で解説します。
デビットカード
デビットカードは、即時支払い型のカード決済です。クレジットカードの場合は利用額が後日引き落とされますが、デビットカードでは連携した銀行口座から利用額が即時引き落とされるようになっています。
買い物をすると即時に引き落とされるため現金に近い感覚で利用でき、使い過ぎを防げるとしてクレジットカードよりもデビットカードを好んで利用する人もいます。
電子マネー
電子マネーは、ICカードやスマートフォンを決済端末にかざすだけで支払いができるサービスです。あらかじめ現金をチャージしておくプリペイド式の電子マネーが一般的ですが、クレジットカードのように利用額が後日請求されるものや、銀行口座から即時引き落とされるものもあります。
電子マネーは、「交通系」と「流通系」の主に2種類に分かれます。交通系はSuicaやICOCAのように交通機関で利用できるもの、流通系はWAONやnanacoなど特定系列の事業者が提供しているもののことです。
QRコード決済
QRコード決済は、その名の通りQRコードを用いた決済方法です。店舗が用意したQRコードをお客様のスマートフォンで読み取るユーザースキャン方式と、お客様のスマートフォンに表示されるQRコードを店舗側が読み取るストアスキャン方式の2種類があります。
ユーザースキャン方式の場合、店舗側が用意するのは支払い用のQRコードのみです。コードリーダーや決済端末といった専用機器を購入する必要がなく、導入コストを抑えられます。
ストアスキャン方式はQRコードリーダーの購入が必要ですが、ユーザースキャン方式よりもスピーディーに会計を終えられるのがメリットです。ユーザースキャン方式はお客様がQRコードを読み取ってから会計金額を入力する必要がありますが、ストアスキャン方式ならスタッフがQRコードを読み取るだけで会計が完了します。
クレジットカード対応のPOSレジの選び方
先述の通り、クレジットカード決済を導入するならPOSレジとの併用がおすすめです。ここではクレジットカード対応のPOSレジの選び方を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
機能を確認する
クレジットカード対応のPOSレジは種類が多いため、提供されている機能を確認して必要なものがそろっているPOSレジを選ぶことが大切です。小売店なら在庫管理、美容サロンなら顧客管理など、店舗によって重視する機能は異なるため、まずは具体的にどのような機能が必要なのか洗い出してから製品選びを進めましょう。
POSレジの中には、飲食店向け・小売店向け・美容サロン向けなど各業種に特化したものもあります。業種特化型ならそれぞれの業種で便利に使える機能がそろっているため、製品選びに迷ったら店舗の業種に特化したものを選ぶのも選択肢のひとつです。
コストを確認する
クレジットカード決済を導入すると決済手数料など経費が増えるため、POSレジにかかるコストはなるべく抑えたいと考える人が多いでしょう。同じPOSレジ製品でも金額が異なる複数のプランを用意しているケースもあるため、プランごとの月額料金の比較が必要です。
複数のプランが用意されているPOSレジは、プランごとに使える機能が異なります。無料プランでは使える機能がかなり制限される可能性があるため、注意してください。
月額利用料が安くても店舗に必要な機能がそろっていなければ意味がないため、機能とコストの兼ね合いを考えて導入するPOSレジを選びましょう。
対応する周辺機器を確認する
ICチップなしのクレジットカードに対応するには、磁気カードが読み取れる決済端末が必要です。決済端末やバーコードリーダーなど対応する周辺機器の種類はPOSレジによって異なるため、どのような周辺機器が使えるのかも確認しておきましょう。
クレジットカード以外のキャッシュレス決済も導入しようと考えている場合は、ICチップの読み取りやタッチ決済、QRコードの読み取りなどが1台で行えるマルチ決済端末が便利です。
ICチップなしのクレジットカードは使えなくなる?
日本ではクレジットカードへのICチップ搭載が義務付けられていて、既に多くのクレジットカードにはICチップが付いています。現在使用されているICチップなしのクレジットカードも、今後の更新のタイミングでICチップ搭載に切り替えられます。
ICチップなしのクレジットカードでも有効期限内なら問題なく使用できますが、これからICチップ搭載にどんどん切り替わっていき、最終的にはICチップ非搭載のクレジットカードは使えなくなると考えておきましょう。これから店舗にクレジットカード決済を導入するなら、ICチップによる認証が可能な決済端末が必要です。
ただし、これは日本国内の話で、国によってはICチップ非対応で磁気ストライプによる認証を行うクレジットカードが多い地域もあります。欧米など多くの国では日本と同様にICチップ搭載のカードが広く普及しているものの、外国人観光客が多く訪れる店舗ではIC搭載・非搭載のどちらにも対応できるようにしておくと安心です。
今後はタッチ決済やモバイル決済も普及していく
経済産業省の調査によると日本のキャッシュレス決済比率は年々上昇していて、2023年のキャッシュレス決済比率は39.3%でした。その内の83.5%はクレジットカードによるもので、クレジットカード決済に対応していれば多くのお客様のニーズを満たせるでしょう。※
その一方で、QRコード決済の比率も順調に伸びてきています。2018年はキャッシュレス決済の内QRコード決済が占める割合は0.2%でしたが、2023年には8.6%まで上昇しました。また、クレジットカードを決済端末にかざすだけで支払いができる「タッチ決済」の普及も広がっています。
このようにキャッシュレス決済の種類や支払い方法は多様化しているため、幅広い決済方法を導入することでより多くのお客様のニーズに対応できるようになります。
多様な決済方法に対応できるPOSレジを導入して利便性をアップさせよう
ICチップが付いていないクレジットカードは減っているものの、ゼロになったわけではありません。ICチップなしのクレジットカードを利用している海外のお客様もいるため、クレジットカード決済を導入するならICチップ搭載・非搭載の両方に対応できるようにしておくと安心です。
クレジットカードは最も多く利用されているキャッシュレス決済ではあるものの、電子マネーやQRコード決済に対するニーズも決して少なくありません。クレジットカード決済を導入するなら、他のキャッシュレス決済への対応も検討してみましょう。
キャッシュレス決済とPOSレジの導入を検討している人には、業種特化型タブレットPOSレジ「USENレジ」がおすすめです。業界最大級70種以上のキャッシュレス決済に対応した「USEN PAY」と併せて利用することで、クレジットカードをはじめ多数の決済方法を簡単に導入できます。ぜひお気軽にお問い合わせください。