1店舗運営が軌道に乗り、売上が順調に伸びて2店舗目の出店計画を…。経営者なら誰しも1度は考える将来像ではないでしょうか。一方で複数店舗の管理には困難も多く、なかなかうまくいかないケースも少なくありません。
複数店舗の管理には、それぞれの店舗の状況を効率よく把握し、それに応じた素早く最適なジャッジが求められます。そのためには、店舗ごとの売上データなどを一元管理し、お店にいなくても状況把握ができることやデータ分析に対応したクラウドPOSレジが便利です。
そこで今回は、複数店舗を経営するメリットや課題と、クラウドPOSレジによる複数店舗の管理方法についてご紹介します。
目次
多店舗を経営するメリット
多店舗の経営には、次のようなメリットが挙げられます。
- 売上の向上
- 仕入れ価格を抑えられる
- スタッフのキャリアパスを形成できる
上記3つのメリットについて、以下で詳しく見ていきましょう。
売上の向上
店舗数を拡大する最大のメリットは、売上の向上です。2店舗目以降も1店舗目と同じ売上を維持できれば、単純計算で全体の売上が店舗数に応じて2倍、3倍と増えていきます。もちろん、全ての店舗で同じように売上を上げられるとは限りません。しかし、それぞれの店舗でしっかりと戦略を立てて経営を安定させることができれば、多店舗経営の方が売上や利益を伸ばしやすいといえます。
1店舗ではどれほど繁盛したとしても、一度に受け入れられる来店顧客数には上限があります。より多くのお客様に来てもらうためにも、2店舗目以降のオープンは効果的です。
仕入れ価格を抑えられる
仕入れ価格を抑えられるのも、多店舗経営の大きなメリットのひとつです。店舗を運営するには、材料や商品、備品などを仕入れなければなりません。この時、仕入れるものにもよりますが、多くの場合は、仕入れ量が増えるほど仕入れ単価が下がります。
そのため、多店舗経営では複数店舗分の仕入れを一度に行うことでボリュームディスカウントが受けられ、経費を抑えやすくなります。経費を下げることができれば、より多くの利益に繋がるため、仕入れ価格が抑えられるのは店舗経営者にとって見逃せないメリットでしょう。
スタッフのキャリアパスを形成できる
多店舗経営には、スタッフのキャリアパスを形成できるというメリットもあります。店舗が複数あると、店長やマネージャーなどのポストを店舗の数だけ用意できます。
1店舗のみの経営では、「優秀なスタッフが複数人いるのに、役職のポストは1つしかない」というケースも想定されます。これは仕方のない部分ではありますが、売上や利益が上がっているなら、優秀なスタッフのポストを用意するという意味でも多店舗経営を検討してみてはいかがでしょうか。
スタッフのキャリアパスを形成できると、働くモチベーション向上に繋がります。優秀なスタッフにこれまで以上に活躍してもらうためにも、多店舗経営は有効です。
多店舗展開の課題

多店舗経営には多くのメリットがある一方で、把握しておくべき課題もあります。店舗数拡大を目指す場合は、次の3つに注意してください。
- 経費負担が大きい
- 人材確保が難しい
- 店舗管理が複雑
上記3つの課題について、以下で解説します。
経費負担が大きい
多店舗経営の代表的な課題が、経費負担の大きさです。店舗数が多くなるほど、家賃や設備の購入費、光熱費や人件費など、様々な経費が増加します。経費が増えても売上でカバーできるなら問題ありませんが、思うように売上が伸びず、最悪の場合は赤字になってしまう可能性もゼロではありません。
1店舗目の経営が好調だったとしても、2店舗目以降は立地や景気、客層など様々な点が異なるため、同じ戦略で売上を伸ばせるとは限りません。売上でしっかり経費をカバーできるよう、新店舗をオープンする際には綿密な事業計画を立てる必要があります。
人材確保が難しい
新しい店舗をオープンするには、その店舗で働いてくれる人材を確保しなければなりません。しかし、近年は業種を問わず人手不足が深刻化しており、必要な人数のスタッフを採用できない可能性があります。
スタッフが足りなければ、新店舗をオープンできません。既存店舗のスタッフでやりくりしたとしても、人手が足りずに既存店舗と新店舗の両方でサービスの質を低下させてしまう恐れがあります。
また、新店舗で働くスタッフだけでなく、新人スタッフの教育を担える人材も必要です。経営者自らが新店舗のスタッフを指導するという選択肢もありますが、店舗拡大を見据えるなら既存店舗のスタッフに新人教育のスキルを身につけてもらうことも重要です。
店舗管理が複雑
多店舗経営の課題として、店舗管理の複雑さも挙げられます。各店舗のコンセプトや売上目標、仕入れ量や人員配置などを検討する必要があり、店舗数が多くなるほど複雑になります。
多店舗経営では経営理念や売上目標を各店舗に周知・浸透させることも大切で、そのためには各店舗への責任者の配置が必要です。しかし、「適した人材がいない」「責任者と思うように意思疎通ができない」というケースも珍しくありません。
また、飲食店の場合は各店舗のメニューのラインアップも悩みどころです。立地や客層などに合わせて適したメニューを考える必要があり、売上が停滞している店舗があれば改善策も検討する必要があります。
このように、1店舗だけでも検討や管理をすべき点が多く、店舗数が増えるほどその負担はさらに重くなると考えておきましょう。
複数店舗管理の課題はクラウドPOSレジで解決できる
多店舗展開を検討している場合は、店舗管理をいかに効率良く行えるかが重要なポイントです。そのためにおすすめなのが、複数店舗管理に対応したクラウドPOSレジです。
POSレジは、大きく以下の3つのタイプに分けられます。
- 開発型
店舗の業務フローに合わせてゼロからシステムを構築するタイプ - ECR型
会計に特化したレジ専用端末を使用するタイプ - パッケージ型
パソコンやタブレットにシステムをインストールして使用するタイプ
このうち、クラウドPOSレジはパッケージ型と開発型に分類されます。複数店舗の一元管理やリアルタイムの情報更新に強みがあり、多店舗経営において特に効果を発揮します。ただし、開発型は店舗に合わせたオーダーメイド型なので、導入費用は高額でチェーン展開する大手スーパーやコンビニで導入されています。以下では、1~10店舗程度の飲食店で導入されているパッケージ型に焦点を当て、その特徴を解説していきます。
クラウドPOSレジはアプリタイプのPOSレジ
パソコンやタブレットに専用アプリをインストールして使用するPOSレジのことを、パッケージ型POSレジといいます。その中で、クラウドサービスとして提供されているのが、クラウドPOSレジです。
クラウドPOSレジは、販売データがクラウドサーバーに自動的に保存されるため、店舗以外の場所からでも各店舗の売上情報にリアルタイムでアクセスできるのが大きなメリットです。また、PCやタブレットのタッチパネルで直感的に操作できる分かりやすさや、iPadなど市販の端末にアプリをインストールすればPOSレジとして使える手軽さもあり、多くの店舗で導入されています。
複数店舗管理を効率化するPOSレジの4つの主要機能
ここでは、クラウドPOSレジに搭載されている、複数店舗管理を効率化する4つの主要機能を紹介します。
売上管理
クラウドPOSレジでは、売上などのデータがクラウドサーバーに保存され、店舗ごとの売上データを一元管理できます。店舗以外の場所からもリアルタイムで確認が可能で、「本部にいながら各店舗の現在の売上状況を確認する」といった対応ができるようになります。
その他、店舗ごとの売上傾向の比較なども可能で、多店舗経営を進める経営者にとって、これらは非常に魅力的な機能と言えるでしょう。
在庫管理
在庫管理機能を搭載したPOSレジは、販売した商品情報がリアルタイムで在庫数に反映されるため、常に正確な在庫数を把握できます。商品ごとの在庫数や在庫変動の履歴も確認でき、過剰な仕入れや在庫切れのリスクを軽減します。
また、複数店舗を展開している場合、店舗間の在庫移動をシステム上で登録・管理できるため、拠点ごとの在庫の最適化が図りやすくなるのもメリットです。
※在庫管理機能は、USENレジTAB STOREの搭載機能となっております
予約システムとの連携
予約システムとPOSレジを連携させると、レジ画面上で当日の予約状況を確認できるようになり、受付業務を効率化できます。また、予約時に登録されたコース内容がPOSレジに連携されていれば、会計時に情報を再入力する手間が省け、業務のスピードと正確性が向上します。
さらに、レジに連携された内容は店舗外からでも確認できるため、各店舗の予約状況を本部などから把握しやすくなるのもメリットです。
勤怠管理システムとの連携
クラウドPOSレジを勤怠管理システムと連携することで、スタッフの出退勤情報と売上データを一元的に管理できます。これにより、売上実績や予測に基づいて最適なシフトを組みやすくなるのが大きなメリットです。
売上と人件費のバランスも把握しやすくなるため、無駄なコストを削減し、より効率的な店舗運営に繋げられるでしょう。複数店舗の勤怠情報をクラウド上で一括管理できるサービスもあり、管理者が店舗ごとのスタッフの稼働状況を確認する際にも便利です。
クラウドPOSレジのメリット

ここでは、クラウドPOSレジを導入するメリットを見ていきましょう。
低コストで導入できる
クラウドPOSレジは、比較的低コストで導入できるのがメリットのひとつです。クラウドPOSレジの場合、レジ本体となるパソコンやタブレット端末に加えて、レシートプリンタやキャッシュドロアなど必要な周辺機器を揃えることになります。
開発型の大型のレジスターは本体価格が100万円を超えることもあるため、クラウドPOSレジの方が導入コストを抑えやすいでしょう。月額利用料が無料のクラウドPOSレジもあるので、ランニングコストも抑えられます。
経費負担の大きい多店舗経営において、導入コストを抑えられるのは大きな魅力です。
操作が分かりやすい
クラウドPOSレジの多くは使いやすい画面設計で、日頃からスマートフォンやタブレットを使っている方ならすぐに操作を覚えられるでしょう。レジの操作が分かりやすいとスタッフが業務を覚える負担が減り、働きやすい職場づくりにも繋がります。
従来のECR(ガチャレジスター)はボタンが多く、なかなか操作に慣れない方もいます。操作の分かりにくさはミスの原因にもなるため、なるべく分かりやすい操作のレジを導入することが大切です。
操作性に優れたクラウドPOSレジなら、新しくスタッフを採用した時の教育にかかる手間や時間を削減できるというメリットもあります。
多店舗・複数店舗展開に向いているPOSシステムの選び方

多店舗展開のためにPOSシステムの導入を検討している方は、機能とコストを重視して各製品を比較してみてください。具体的にどのような点をチェックすべきか、以下で解説します。
機能を確認する
導入するPOSレジを選ぶ際に最も重要なことは、必要な機能が揃っているかどうかです。多店舗経営に対応するには、複数店舗管理に対応していることが前提条件になるため、公式サイトで機能一覧を確認して製品を選びましょう。
POSレジは基本の会計機能以外にもデータ分析や在庫管理、他システムとの連携など様々な機能があります。そのため、具体的にどのような機能が必要なのかを明確にしてから製品選びを始めるとスムーズです。
飲食店向け・小売店向けなど業界ごとに必要な機能を網羅したPOSレジもあるため、自社の業界に特化したPOSレジ製品の中から選ぶという方法もあります。
コストを確認する
できるだけ経費を抑えられるように、初期費用やランニングコストを確認することも大切です。クラウドサービスであるクラウドPOSレジの中には、初期費用のみで月額利用料無料で導入できるものもあります。初期費用はタブレット端末など必要な機器の購入費だけで済むので、できるだけコストを抑えたい方にはおすすめです。
月額利用料が無料のクラウドPOSレジは、機能が制限されているケースがあるため注意してください。例えば、複数店舗管理は有料プランでしか利用できないクラウドPOSレジもあります。
必要な機能が揃っていることを確認した上で、なるべくコストを抑えられるものを選ぶことがポイントです。
多店舗・複数店舗展開に関するよくある質問

最後に、多店舗・複数店舗展開に関するよくある質問にお答えします。
各店舗の売上情報はリアルタイムで確認できる?
クラウドPOSレジでは、各店舗の売上情報がリアルタイムでクラウドサーバーに連携されます。そのため、店舗以外の場所からでも、パソコン・タブレット・スマートフォンなどを使ってレジに登録されたデータを即時に確認することが可能です。
複数店舗に導入すると初期費用や運用費用が高くなる?
複数店舗に導入する場合、店舗ごとに端末の購入費や月額利用料が発生するため、一定のコストがかかります。コストをできるだけ抑えたい場合は、必要な周辺機器を選び、最適な構成で導入できるクラウドPOSレジの活用がおすすめです。大型のターミナル型レジに比べて、比較的低コストで導入できます。
飲食店や美容サロンなどの複数店舗経営をクラウドPOSレジで成功させよう

飲食店や美容サロン、小売店など、1店舗目が軌道に乗ると2店舗目以降のオープンを考える方も多いでしょう。複数の店舗を展開することは売上の向上などメリットが多い一方で、管理の難しさや経費の増加など注意すべき点もあります。
効率的に多店舗経営を行うために、店舗ごとの売上や在庫のデータを一元管理できるPOSレジの活用を検討してみましょう。特に、低コストで導入できるクラウドPOSレジがおすすめです。
多店舗経営に対応したクラウドPOSレジなら、USENのソリューションをご活用ください。飲食店向けのパソコン型POSレジ「USENレジ」は、複数店舗の売上管理機能を得意とし、店舗のグループ設定や統括管理・分析などができます。勤怠管理やシフト作成サービスとの連携も可能です。
また、美容サロンや小売店向けのサービス「USENレジTAB BEAUTY」「USENレジTAB STORE」も提供しており、お店に合わせた最適なソリューションをご提案します。なかでもUSENレジTAB STOREは、本記事でも紹介した多店舗の在庫管理や在庫移動も容易に管理できます。ぜひお気軽にお問い合わせください。

