防犯カメラの配線工事ガイド｜費用相場・業者選び・DIY注意点

防犯カメラの設置には配線工事が必要？

防犯カメラを設置する際、多くの場合、何らかの「配線工事」が必要になります。なぜなら、カメラが映像を記録し、その映像を確認できるようにするためには、「電源」と「データ通信」の経路を確保する必要があるからです。

• 電源供給: カメラ本体を動作させるための電気を供給します。

• データ通信: 撮影した映像データをレコーダー（録画機）やモニター、あるいはインターネット経由でスマートフォンなどに送るために必要です。

最近では、配線工事の手間を軽減できる「無線（Wi-Fi）カメラ」や「バッテリー式カメラ」も登場していますが、これらのカメラにもメリット・デメリットがあります。

• 無線（Wi-Fi）カメラ: データ通信は無線で行いますが、電源供給のための配線は必要になるケースが多いです。また、Wi-Fi環境の安定性によっては映像が途切れる可能性もあります。

• バッテリー式カメラ: 電源配線は不要ですが、定期的なバッテリー交換や充電が必要です。常時録画には向かない機種もあります。

安定した運用や高画質な映像記録、常時監視などを求める場合は、依然として有線接続による配線工事が主流であり、確実な方法と言えるでしょう。設置場所の環境や求める機能によって、必要な配線工事の種類は異なります。

防犯カメラの配線工事の種類と特徴

防犯カメラの配線工事は、主に「電源供給」と「データ通信」の方法によって分類されます。代表的な配線の種類と特徴を見ていきましょう。

1. 電源配線

すべての防犯カメラ（バッテリー式を除く）に必要なのが電源配線です。近くにコンセントがあればそこから電源を取れますが、屋外や天井裏など、電源が確保しにくい場所に設置する場合は、電源を引き込むための専門的な工事が必要になります。

• メリット: 安定した電力供給が可能。

• デメリット: 設置場所によっては電源工事が大掛かりになる場合がある。電圧や配線ルートの知識が必要。

• 注意点: 電気工事士の資格が必要な場合があります。漏電や火災のリスクもあるため、DIYは推奨されません。

2. データ通信のための配線

撮影した映像を伝送するための配線です。主に「LANケーブル」と「同軸ケーブル」が使われます。

a) LANケーブル配線 (IPカメラ向け)

現在主流のネットワークカメラ（IPカメラ）で使用される配線です。

• メリット:

  • 映像データと電源供給を1本のLANケーブルで同時に行える「PoE（Power over Ethernet）」に対応した機種が多い（PoEハブや対応レコーダーが必要）。

  • 高画質・高機能なカメラが多い。

  • ネットワーク接続により、遠隔監視や複数拠点の一括管理が容易。

• デメリット:

  • ケーブル長に制限がある（通常100m）。

  • ネットワーク設定に関する知識が必要な場合がある。

• PoEのメリット: 電源工事が不要または簡略化できるため、設置場所の自由度が高まり、工事費用を抑えられる可能性があります。

b) 同軸ケーブル配線 (アナログHDカメラ向け)

従来のアナログカメラや、その高画質版であるアナログHDカメラ（AHD、TVI、CVIなど）で使用される配線です。

• メリット:

  • 長距離伝送が可能（数百メートル）。

  • 既存のアナログカメラの配線を流用できる場合がある。

  • 比較的安価なシステムを構築できる場合がある。

• デメリット:

  • 基本的に映像信号しか送れないため、別途電源配線が必要。

  • IPカメラに比べて機能拡張性に劣る場合がある。

3. 配線の種類まとめ

設置するカメラの種類や環境によって、最適な配線方法は異なります。どの方法が良いか迷った場合は、専門業者に相談するのが確実です。

防犯カメラの配線工事にかかる費用相場

防犯カメラの配線工事費用は、様々な要因によって変動します。あくまで目安ですが、一般的な費用相場と内訳、費用を左右するポイントを見ていきましょう。

費用相場 (カメラ1台あたり)

• 基本的な配線・設置工事: 2万円 ～ 5万円程度

• 隠蔽配線や高所作業など: ＋1万円 ～ 3万円程度

• 電源工事が必要な場合: ＋1万円 ～ 数万円程度

• カメラ本体代: 別途数万円～十数万円

合計費用: カメラ本体代を含めると、1台あたり5万円～20万円程度が目安となりますが、状況により大きく異なります。

工事費用の内訳

工事費用には、主に以下の項目が含まれます。

• 基本工事費: カメラの取り付け、基本的な配線作業。

• 配線ケーブル代: LANケーブル、同軸ケーブル、電源ケーブルなどの材料費。

• 部材費: 配管、プルボックス、コネクタなどの費用。

• 高所作業費: 2階以上の外壁や天井など、高所での作業が必要な場合に発生。

• 隠蔽配線費: 壁の中や天井裏に配線を隠す作業。美観は向上しますが、手間がかかるため追加費用が発生します。

• 電源工事費: 新たに電源を引き込む場合に発生。

• 出張費: 業者の拠点から現場までの距離に応じて発生。

• 諸経費: 上記に含まれない経費。

費用が変動する要因

• カメラの種類と台数: 高機能なカメラや設置台数が増えれば、費用は高くなります。ただし、複数台同時に依頼すると1台あたりの単価が安くなることもあります。

• 設置場所: 屋外、高所、配線が難しい場所などは費用が高くなる傾向があります。

• 配線の長さと方法: 配線距離が長くなればケーブル代や作業費が増えます。隠蔽配線は露出配線よりも高くなります。

• 建物の構造: 壁の材質（木造、コンクリートなど）や構造によって、穴あけや配線の難易度が変わり、費用に影響します。

• 既存設備の有無: 既存の配管や配線を利用できる場合は、費用を抑えられる可能性があります。

• 依頼する業者: 業者によって料金体系や得意な工事が異なります。

費用を抑えるポイント

• 複数業者から見積もりを取る: 必ず複数の業者に見積もりを依頼し、料金とサービス内容を比較検討しましょう。見積もりは無料で行ってくれる業者がほとんどです。

• 工事内容を明確にする: どのような目的で、どこに、何台設置したいのかを明確に伝えることで、適切な見積もりを得やすくなります。隠蔽配線など、こだわりの要望も事前に伝えましょう。

• PoE対応カメラを選ぶ: 可能であればPoE対応のIPカメラを選ぶことで、電源工事費用を削減できる場合があります。

• 補助金制度を活用する: 自治体によっては、防犯カメラの設置に対して補助金制度を設けている場合があります。お住まいの自治体の情報を確認してみましょう。

正確な費用を知るためには、必ず設置場所の状況を確認してもらった上で、詳細な見積もりを取ることが重要です。

防犯カメラの配線工事はDIYできる？メリット・デメリットと注意点

「工事費用を節約したい」「自分でやってみたい」という理由から、DIYでの防犯カメラ設置を検討する方もいるかもしれません。しかし、配線工事のDIYにはメリットだけでなく、大きなデメリットやリスクも伴います。

DIYのメリット

• 費用削減: 工事業者に支払う人件費や技術料を節約できます。

• 自由なタイミング: 自分の都合の良い時に作業を進められます。

DIYのデメリットとリスク

• 専門知識と技術が必要: 電気配線、ネットワーク設定、建物の構造に関する知識が必要です。特に電源工事は感電や火災のリスクがあり危険です。

• 工具が必要: 電動ドリル、圧着工具、通線ワイヤーなど、専門的な工具が必要になります。工具の購入費用がかさむ可能性もあります。

• 時間と手間がかかる: 見た目以上に時間と労力がかかります。特に配線を隠蔽する場合や高所作業が発生する場合は手間や危険性が伴います。

• 仕上がりの問題: 配線が露出して見栄えが悪くなったり、接続不良でカメラが正常に動作しなかったりする可能性があります。

• 建物の損傷リスク: 壁や天井に穴を開ける際に、内部の配線や柱を傷つけてしまう可能性があります。

• 保証がない: DIYで設置した場合、カメラ本体や設置に関する保証が受けられない可能性があります。トラブルが発生した場合、自己責任となります。

• 法的・規約上の問題:

  • 電気工事士法: コンセントの増設や電圧の変更など、内容によっては電気工事士の資格が必要です。無資格での工事は法律違反となります。

  • 賃貸物件: 大家さんや管理会社の許可なく壁に穴を開けたり、配線工事を行ったりすると、退去時に原状回復費用を請求される可能性があります。必ず事前に確認・許可を得ましょう。

DIYが可能な範囲と注意点

比較的DIYしやすいのは、以下のようなケースです。

• バッテリー式の完全ワイヤレスカメラ: 配線工事が不要なため、設置場所を決めて取り付けるだけです。

• Wi-Fiカメラで、近くにコンセントがある場合: 電源アダプターをコンセントに挿し、Wi-Fi設定を行うだけです（壁への固定などは必要）。

ただし、これらの場合でも、設置場所の選定（画角、プライバシーへの配慮）やWi-Fi設定の知識は必要です。

結論として、特に電源工事や壁内・天井裏への配線作業が伴う場合は、安全面や確実性を考慮し、DIYは避けて専門業者に依頼することを強く推奨します。 安易なDIYは、結果的に高くついたり、重大な事故につながったりする危険性があります。

プロに依頼するメリットと業者選びのポイント

確実で安全な防犯カメラ設置のためには、プロの工事業者に依頼するのが最善の選択です。プロに依頼するメリットと、信頼できる業者を選ぶためのポイントを解説します。

プロに依頼するメリット

• 確実な施工と安全性: 専門知識と経験に基づき、電気工事関連法規を遵守した安全で確実な工事が期待できます。漏電や火災のリスクを最小限に抑えられます。

• 最適な設置場所と配線ルートの提案: 建物の構造や周辺環境、監視したい範囲などを考慮し、防犯効果が高く、かつ見栄えの良い設置場所や配線ルートを提案してくれます。隠蔽配線など、希望に応じた施工も可能です。

• 適切な機材選定のアドバイス: 用途や予算に合わせて、最適なカメラやレコーダー、周辺機器を選定するアドバイスがもらえます。

• 時間と手間の節約: 面倒な配線作業や設定作業をすべて任せられるため、時間と労力を大幅に節約できます。

• 保証とアフターフォロー: 多くの業者では、工事に対する保証や、設置後のトラブルに対応するアフターフォローを提供しています。万が一の不具合時も安心です。

• ワンストップ対応: カメラの選定から設置工事、設定、アフターサポートまでを一貫して依頼できる業者もあります。

信頼できる業者の選び方

数ある業者の中から、信頼できるパートナーを見つけるためのチェックポイントをご紹介します。

1. 実績と経験: 防犯カメラの設置実績が豊富か確認しましょう。特に、自宅や店舗など、自分の設置環境に近い場所での施工実績があると安心です。ウェブサイトの施工事例などを参考にしましょう。

2. 資格の有無: 電気工事が必要な場合があるため、「電気工事士」の資格保有者が在籍しているか確認しましょう。また、「防犯設備士」の資格保有者がいる業者は、防犯に関する専門知識も期待できます。

3. 詳細な見積もり: 見積もり内容が明確で、追加費用の可能性についてもきちんと説明してくれるか確認しましょう。「工事一式」など、内訳が不明瞭な見積もりには注意が必要です。

4. 現地調査の実施: 電話やメールだけでなく、必ず現地調査を行った上で、具体的な提案と見積もりを出してくれる業者を選びましょう。

5. 保証とアフターフォローの内容: 工事保証の期間や内容、設置後のサポート体制（電話対応、駆けつけ対応など）を確認しましょう。

6. 対応の丁寧さ: 問い合わせ時の対応が丁寧で、こちらの要望や疑問に親身になって答えてくれるかどうかも重要な判断材料です。

7. 複数業者を比較検討: 最低でも2～3社から見積もりを取り、料金だけでなく、提案内容、保証、対応などを総合的に比較して決めましょう。

悪徳業者に注意！

残念ながら、高額な費用を請求したり、ずさんな工事を行ったりする悪徳業者も存在します。以下のような業者には注意が必要です。

• 極端に安い、または高い見積もりを提示する。

• 見積もり内容が不明瞭。

• 契約を急がせる、強引な営業をする。

• 現地調査をせずに契約を迫る。

• 資格や実績について明確な回答がない。

焦らず、慎重に業者を選ぶことが、後悔しない防犯カメラ設置につながります。

配線工事の流れ（業者依頼の場合）

専門業者に防犯カメラの配線工事を依頼した場合、一般的には以下の流れで進みます。

1. 問い合わせ・ヒアリング:
   

   • 電話やウェブサイトから業者に問い合わせます。

   • 設置したい目的、場所、台数、予算などの要望を伝えます。

   • この段階で、大まかな費用感や対応可否を確認できます。

2. 現地調査・見積もり:
   

   • 業者の担当者が実際に設置場所を訪問します。

   • 建物の構造、電源の状況、配線ルート、電波状況（無線の場合）などを詳細に確認します。

   • ヒアリング内容と現地調査の結果に基づき、最適な機種、設置場所、工事方法を提案し、詳細な見積もりを作成します。不明な点は遠慮なく質問しましょう。

3. 契約:
   

   • 提案内容と見積もり金額に納得できれば、契約を結びます。

   • 契約書の内容（工事内容、金額、支払い方法、保証期間など）をしっかり確認しましょう。

   • 工事日程の調整を行います。

4. 配線・設置工事:
   

   • 契約に基づき、専門スタッフが工事を実施します。

   • カメラの取り付け、ケーブル配線（露出 or 隠蔽）、機器の接続などを行います。

   • 工事中は、騒音や作業スペースの確保が必要になる場合があります。立ち会いが必要かどうかも事前に確認しておきましょう。

5. 設定・動作確認:
   

   • カメラの角度調整、レコーダーの設定、ネットワーク設定（遠隔監視する場合など）を行います。

   • 正常に映像が映るか、録画ができているかなどを依頼者と一緒に確認します。

   • 操作方法やメンテナンスについて説明を受けます。

6. アフターフォロー:
   

   • 工事完了後、保証期間内であれば、不具合発生時に修理などの対応を受けられます。

   • 操作方法がわからない場合や、設定変更したい場合などの相談にも乗ってもらえます。

業者によって多少流れは異なりますが、現地調査と詳細な見積もり、丁寧な説明があるかどうかが重要なポイントです。

配線工事に関するよくある質問 (Q&A)

防犯カメラの配線工事に関して、よく寄せられる質問とその回答をまとめました。

Q1. 配線を隠す「隠蔽配線」は可能ですか？費用は高くなりますか？

A1. はい、多くの場合、隠蔽配線は可能です。壁の中や天井裏、床下などに配線を通すことで、配線が露出せず、見た目がすっきりします。ただし、建物の構造によっては難しい場合もあります。露出配線に比べて作業の手間がかかるため、追加費用が発生するのが一般的です。費用は配線距離や難易度によって異なりますが、数千円～数万円程度の追加となることが多いです。希望する場合は、現地調査の際に必ず業者に伝え、見積もりに含めてもらいましょう。

Q2. 配線工事にはどのくらいの時間がかかりますか？

A2. カメラの台数、設置場所、配線の方法（露出か隠蔽か）、建物の構造などによって大きく異なります。一般的な戸建て住宅や小規模店舗で、カメラ1～4台程度の設置であれば、半日～1日程度で完了することが多いです。ただし、複雑な配線や電源工事が必要な場合は、数日かかることもあります。正確な所要時間は、見積もり時に業者に確認しましょう。

Q3. 賃貸物件でも防犯カメラの配線工事はできますか？

A3. 賃貸物件での配線工事には注意が必要です。壁に穴を開けたり、配線を固定したりする工事は、建物の資産価値に関わるため、必ず事前に大家さんや管理会社の許可を得る必要があります。 無断で工事を行うと、契約違反となり、退去時に高額な原状回復費用を請求される可能性があります。許可が得られない場合は、以下のような方法を検討しましょう。 
配線工事不要のカメラ: バッテリー式カメラや、エアコンの配管穴などを利用して配線できる設置方法を業者に相談する。 
置き型カメラ: 工事不要で設置できるタイプを選ぶ。 
現状回復可能な工事: 退去時に元に戻せるような配線方法（モール使用など）を業者と相談する。

まずは大家さん・管理会社に相談し、許可の範囲内で最適な方法を検討することが重要です。

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まとめ

防犯カメラの設置において、配線工事は非常に重要な工程です。安定した運用と高い防犯効果を得るためには、設置場所の環境や目的に合った適切な配線方法を選ぶ必要があります。

• 配線工事の種類: 電源配線、LANケーブル配線 (IPカメラ/PoE)、同軸ケーブル配線 (アナログHD) などがある。

• 費用相場: カメラ1台あたり工事費2万円～（＋本体代）、状況により変動。複数業者見積もりが必須。

• DIY: 電源工事などは危険が伴い、専門知識・技術が必要なため推奨されない。法的問題にも注意。

• 業者依頼: 安全性・確実性・仕上がり・保証の面でメリット大。実績・資格・見積もり・保証・対応を比較検討する。

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安易なDIYは避け、信頼できる専門業者に相談・依頼することが、失敗しない防犯カメラ設置の鍵となります。特に、業者選びや工事の手配が面倒だと感じる方は、工事込みでサポートも充実している「USEN Camera」のようなサービスを検討してみるのも良いでしょう。

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