事故発生時の証拠データや製造ラインの不良品検知など、工場・倉庫などでは監視カメラが大いに役立ちます。もはや、工場・倉庫には監視カメラが不可欠です。
この記事では、工場や倉庫に監視カメラを導入するメリットや目的、選び方、具体的な設置箇所などを解説します。工場や倉庫での監視カメラ導入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
監視カメラを工場・倉庫に導入するメリット・目的
工場に監視カメラを導入する利点は多くあります。工場に監視カメラを導入する主なメリットを5つ紹介します。
事故発生時の証拠データとして活用できる
工場では、異物混入などの事故が発生する可能性があります。万が一事故が発生した場合、監視カメラがあれば、当時の事故の発生状況が確認可能です。
生産の映像データを遡って原因を究明したり、事故の非が工場側にないことを証明したりするデータとして活用できます。
製造ラインで不良品を検知できる
近年、製造業などではAIを活用する動きが進んでいます。その1つに、監視カメラの不良品検知AIがあります。
不良品検知AIとは、工場などの製造ラインでの生産物の正しい形状をAIに学習させ、正しい形状から外れた生産物を検知する機能です。
多くの生産物がある工場で、監視カメラは事故防止にも大きな役割を果たします。特に、危険区域への人の立ち入りを検知するシステムは、重大な事故を未然に防ぐ上で非常に有効です。
たとえば、工場内の危険な機械設備がある区域に人が立ち入った場合、カメラがそれを検知して即座にアラームを鳴らしたり、機械を自動停止させたりすることができます。従業員の安全を確保し、重大な事故を防ぐことが可能です。
また、監視カメラの存在自体が従業員の安全意識を高める効果もあります。カメラが設置されていることで、従業員は自然と規則を順守するようになり、不注意による事故のリスクが低減するのです。
現場作業の効率化を図れる
監視カメラは、単に監視するだけでなく、現場作業の効率化にも役立ちます。
カメラの映像を分析することで、作業の流れや従業員の動きを客観的に把握できます。無駄な動きや非効率な作業プロセスを特定し、改善することが可能です。
たとえば、ある作業において従業員の動線が複雑になっていることが映像から判明した場合、作業台の配置を変更したり、作業手順を見直したりすることで、効率化を図ることができます。
また、繁忙期と閑散期の作業状況を比較分析することで、適切な人員配置や作業スケジュールの策定にも役立ちます。人的資源を最大限に活用し、生産性の向上につなげるのです。
さらに、熟練作業者の動きを録画し、それを新人教育に活用することも可能です。高度な技術や経験を要する作業の様子を映像で学ぶことで、効果的に技術を伝承できます。
工場から入退場する車両を管理できる
工場や倉庫では、多くの車両が出入りするため、これらの車両を効率的に管理することが求められます。
最新の監視カメラでは、車両のナンバープレートを自動で読み取り、記録する機能が搭載されています。工場に出入りするすべての車両を正確に把握し、管理することが可能です。
たとえば、登録された車両のみ入場を許可するシステムを構築することで、不審な車両の侵入を防ぐことができます。また、各車両の入退場時間を正確に記録することで、配送状況の管理や長時間滞留している車両の特定なども容易になります。
さらに、自動認識システムにより、従来は警備員が行っていた受付業務を大幅に削減できます。人的コストの削減と同時に、24時間体制での厳格な車両管理が可能となるのです。
犯罪を防止できる
工場や倉庫の入口、駐車場、敷地の周囲など、外部からアクセス可能な場所に監視カメラを設置することで、不審者の侵入や車上荒らしなどの犯罪行為を抑止できます。
また、カメラの存在自体が、犯罪者に対する心理的な抑止力となります。万が一犯罪が発生した場合でも、カメラの映像が証拠となり、犯人の特定や事件の早期解決につながるでしょう。
工場・倉庫に導入する監視カメラの選び方
監視カメラを導入する際には、単に設置するだけでなく、工場や倉庫の特性に合わせて適切なものを選ぶことが重要です。ここからは、工場に設置する監視カメラの選び方を解説します。
広角の撮影をカバーしている
一般的に、工場や倉庫は敷地が広いため、できるだけ少ない台数で広範囲をカバーできるカメラを選ぶことが重要です。そのため、広角レンズを搭載したカメラを選ぶのがおすすめです。
広角レンズを使用することで、1台のカメラでより広い範囲を撮影することができます。必要なカメラの台数を減らすことにもつながり、導入や維持のコスト低減につながります。
ただし、広角レンズを使用すると、画面の端のほうで歪みが生じる場合があります。工場内で特に重要な監視対象がある場合、そこに焦点を合わせて設置場所を調整したり、必要に応じて台数を増やしたりするなどの工夫が必要です。
動画データを録画・長期間保存できる
工場や倉庫での監視カメラでは、その役割上、長期間の録画データを保存できることが不可欠です。
たとえば、製品の不具合が発見された場合、その原因を特定するために数週間前、あるいは数ヶ月前の製造過程の映像を確認する必要性が出てくる可能性があります。不具合の内容によっては数か月、数年単位で遡る必要性があるので、より長期間録画できるほうが安心です。
必要な保存期間に合わせて、大容量のストレージを搭載したレコーダーや、クラウドストレージと連携可能なシステムを選ぶのがおすすめです。
工場向けのAI技術が搭載されている
先述の通り、最新の監視カメラには、AIによる画像認識技術が搭載されているものがあります。工場や倉庫での使用においては、AI技術は非常に有効です。
たとえば、AI技術には製造ラインでの不良品検知AI、車両ナンバー認識AI、人物検知AIなどが挙げられます。これらの技術を活用することで、人手による監視やミスを大幅に削減し、24時間体制で高精度な監視が可能となります。
ただし、AI技術の導入には初期コストがかかる場合が多いので、導入コストと効果を十分に検証する必要があります。また、AIの精度は使用環境や対象物によって変わる可能性があるため、導入前に必ずテスト運用を行うことをおすすめします。
高温や低温にも対応している
工場や倉庫には、製鉄所の高温エリアや、食品工場の冷凍倉庫など、高温・低温での環境があります。このような場所に設置する監視カメラは、それぞれの環境に耐えられる耐久性を有することが必須です。
高温対応のカメラは、内部の電子機器を保護するための冷却機能が搭載されていたり、耐熱性の高い材料で作られていたりします。一方、低温対応のカメラは、結露や凍結を防ぐための機能が搭載されています。
高温・低温に対応する監視カメラは導入コストが高くなりますが、環境に合わせて適切なカメラを選ぶことで、長期的には機器の故障や交換にかかるコストを抑えられます。
工場・倉庫に設置する監視カメラの種類
工場や倉庫に設置する監視カメラには、様々な種類があります。それぞれに特徴があり、設置場所や目的に応じて適切なタイプを選ぶことが重要です。
次から、工場・倉庫で設置する監視カメラの主な種類と、それぞれの特徴について見ていきましょう。
ドーム型
ドーム型カメラは、その名の通りドーム状の形をした監視カメラです。主に、工場の屋内に設置されるタイプです。
ドーム型は、カメラのレンズがどの方向を向いているか、外からは分かりにくくなっています。そのため、従業員に心理的なプレッシャーを与えすぎることなく、自然に監視できます。
また、ドーム型カメラは360度回転可能なものが多く、1台で広範囲をカバーできます。さらに、ドームカバーによってカメラ本体が保護されているため、工場内の埃や軽い衝撃などからカメラを守ることができます。
ボックス型
ボックス型カメラ(バレット型)は、箱形の形状をした監視カメラです。工場では、屋内外問わず使用されることが多いタイプです。
ボックス型の最大の特徴は、存在感の大きさです。カメラの向きが一目で分かるため犯罪抑止力があります。不審者や犯罪者に対して「監視されている」ということを明確に示せるため、防犯効果が高いのです。
さらに、屋外用のボックス型監視カメラでは防水・防塵機能が付いているものも多く、工場のような過酷な環境下でも使用可能です。
一方、その存在感がかえって従業員に心理的な負担を与える可能性があるため、設置場所には十分注意が必要です。
ウェアラブルカメラ
ウェアラブルカメラは、作業者が身につけるタイプのカメラです。
作業者の視点から映像を撮影できるため、手元の細かな作業や、作業者の動線に沿った映像を記録できます。特に、熟練作業者の技術を記録し、それを新人研修に活用するといった使い方が有用です。
また、固定カメラでは死角になりやすい場所の映像も撮影できるため、工場全体の安全管理にも役立ちます。さらに、作業者の行動を記録することで、作業内容や効率の改善にも活用できるでしょう。
一方で、従業員に常に装着することになるため、プライバシーへの配慮が必要になります。従業員の心理負担などを考慮したうえで使用しましょう。
工場・倉庫に監視カメラを設置する箇所
次から、工場の中でも特に監視カメラを設置すべき箇所について紹介します。
出荷場
出荷場は、製品が工場から出ていく最後の場所であり、また外部の人間が頻繁に出入りする場所でもあります。そのため、監視カメラの設置が必須とも言える場所の1つです。
出荷場にカメラを設置することで、製品の積み込み作業などの様子を記録し、万が一のトラブル(製品の破損や紛失など)が発生した際でも、すぐに原因を究明できます。
また、外部の人間との接触が多い場所であるため、セキュリティ面でも監視カメラが必須の場所です。
製造ライン
製造ラインは工場の心臓部とも言える場所です。製造ラインにカメラを設置することで、生産過程を記録し、品質管理や効率化に役立てられます。
特に、先述した不良品検知AIと組み合わせることで、人間の目では見逃してしまうような細かな不良品も検出することが可能です。
また、製造過程でなんらかの問題が発生した際に、その原因を特定するための重要な証拠として活用できます。
入口・裏口
工場や倉庫の入口や裏口は、セキュリティ上重要な場所の1つです。入口や裏口にカメラを設置することで、不審者の侵入を抑止し、万が一の侵入があった場合にも即座に検知できます。
たとえば、入口には顔認識機能付きのカメラを設置し、従業員の入退場管理に活用することで、従来のIDカードによる管理よりも、よりスムーズな入退場の管理が可能です。
裏口や非常口などの普段あまり使用されない出入り口にもカメラを設置することで、死角をなくし、セキュリティをさらに強化できます。
ゲート
工場や倉庫の敷地に出入りする車両を管理するために、ゲートのカメラ設置は不可欠です。ゲートには、先述した車両ナンバー認識AI技術を搭載したカメラを設置するのがおすすめです。
出入りするすべての車両を自動で記録することで、不審な車両の侵入を防げます。また、納品業者や配送業者の車両の入退場時間を正確に記録することで、物流管理の記録や効率化にも役立つでしょう。
外周
工場や倉庫の外周にカメラを設置することで、敷地全体のセキュリティ強化に役立ちます。特に夜間や休日など、人の目が行き届きにくい時間帯の監視に効果的です。
外周には、暗視機能や動体検知機能を搭載したカメラを設置するのがおすすめです。夜間でも鮮明な映像を撮影し、不審な動きがあった場合に即座に警報を発することができます。
また、サーマルカメラを併用することで、通常のカメラでは捉えにくい暗闇の中の人物や動物の動きも検知できます。
危険なエリア(立入禁止エリアなど)
工場によっては、危険な機械や有害な化学物質を扱うエリアなど、立入禁止の区域があるでしょう。危険な区域にカメラを設置することで、不用意な立ち入りを防ぎ、作業者の安全を確保できます。
危険な区域には、人物検知機能を搭載したカメラを設置し、人が立ち入った際に即座にアラームを鳴らすシステムを構築するのがおすすめです。
さらに、万が一事故が発生した場合にも、その状況を正確に記録できるため、原因究明や再発防止策に十分役立てられます。
事務所
製造ラインの他にカメラの設置を検討したいのが事務所。事務所にカメラを設置することで、従業員による情報漏洩や盗難などの犯罪行為を抑止できます。また、万が一の外部からの侵入者を、早期に発見することにもつながります。
ただし、事務所内でのカメラ設置に関しては、従業員のプライバシーに十分配慮する必要があります。例えば、休憩室や更衣室など、プライバシーが重視される場所へカメラを設置してはいけません。
また、カメラの設置位置や撮影範囲について、従業員に事前に説明し、なるべく理解を得るようにしましょう。
工場・倉庫への監視カメラ導入は強くおすすめ
工場・倉庫での監視カメラの導入は、セキュリティの強化だけでなく、生産性の向上や品質管理の改善など、様々な面で役立ちます。
特に近年は、AI技術の発展により、単なる「見張り役」以上の役割を果たすようになってきています。不良品の自動検知や作業効率の分析など、これまで人間が行っていた高度な判断を、AIに任せられます。
工場や倉庫でも、ぜひ監視カメラの導入を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
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