防犯カメラを減価償却する場合、原則として法定耐用年数に従い、一定期間で費用を計上します。
この記事では、防犯カメラの法定耐用年数や実際のカメラの寿命、長持ちさせる方法などを解説します。防犯カメラの法定耐用年数について知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
国税庁が定める防犯・監視カメラの法定耐用年数は6年
防犯カメラの法定耐用年数は6年です。国税庁が定める「減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表」において、防犯・監視カメラは「器具及び備品」の「2 事務機器及び通信機器」のうちの「インターホーン及び放送用設備」に該当します。
ただし、あくまで法定耐用年数であり、防犯カメラの実際の寿命は5~10年です。こちらについて、詳しくは後述します。
防犯・監視カメラを購入・設置した場合の仕訳・勘定科目
防犯・監視カメラを購入・設置した場合の仕訳や勘定科目について、あらゆるケースを紹介しながら解説します。
総額10万円以上の防犯・監視カメラを設置した場合
業務用の防犯・監視カメラを購入・設置すると、通常、おおよそ10万円以上になります。工事費なども含めて総額10万円以上になった場合、防犯カメラは有形固定資産として計上します。
勘定科目は「工具器具備品」で、原則として減価償却しなければなりません。減価償却とは、設備投資などの費用を、一定期間で配分する会計処理のことです。防犯カメラについては、法定耐用年数の6年で償却します。
<例:総額50万円(工事費等を含む)で防犯カメラを購入した場合>
借方 | 貸方 | ||
工具器具備品 | 500,000円 | 現金 | 500,000円 |
総額10万円未満の防犯・監視カメラを設置した場合
製品によっては、工事費を含めても総額10万円未満の防犯カメラも存在します。総額10万円未満の防犯カメラを購入・設置した場合、取得価額は10万円未満なので、減価償却はしません。「消耗品費」として計上します。
<例:総額8万円(工事費等を含む)で防犯カメラを購入した場合>
借方 | 貸方 | ||
消耗品費 | 80,000円 | 現金 | 80,000円 |
耐用年数の途中で防犯・監視カメラを買い替えた場合
防犯カメラの法定耐用年数は6年ですが、減価償却の途中で買い替えるケースもあるでしょう。買い替えに伴う残りの年数分の減価償却費は計上できません。
しかし、残りの減価償却費が無駄になるというわけではありません。仮に、取得価額180万円の防犯カメラを、4年経過時点で買い替えるとしましょう。この場合、120万円は減価償却費として計上しましたが、残り2年分の60万円が残っています。
買い替えに伴って破棄した場合、残り60万円は除却損として計上できます。
<例:総額180万円(工事費等を含む)の防犯カメラを、4年経過時点で破棄した場合>
【直接法】
借方 | 貸方 | ||
固定資産除却損 | 600,000円 | 工具器具備品 | 600,000円 |
【間接法】
借方 | 貸方 | ||
減価償却累計額 | 1,200,000円 | 工具器具備品 | 1,800,000円 |
固定資産除却損 | 600,000円 |
また、買い替えに伴って、前の防犯カメラを5万円で下取りに出す場合、60万円-5万円の55万円は売却損として費用計上が可能です。
<例:総額180万円(工事費等を含む)の防犯カメラを、4年経過時点で5万円で下取りに出した場合>
【直接法】
借方 | 貸方 | ||
固定資産売却損 | 550,000円 | 工具器具備品 | 600,000円 |
現金 | 50,000円 |
【間接法】
借方 | 貸方 | ||
減価償却累計額 | 1,200,000円 | 工具器具備品 | 1,800,000円 |
固定資産売却損 | 550,000円 | ||
現金 | 50,000円 |
実際の防犯・監視カメラの寿命は5~10年
防犯・監視カメラの法定耐用年数は6年ですが、実際の寿命は5~10年程度です。また、防犯カメラの保守期限は5年として販売されていることが多くなっています。そのため、法定耐用年数の6年を待たずに、防犯カメラを買い替えるケースも見られます。
もちろん、設置場所によっては、10年以上長持ちする場合もあります。たとえば、屋外に露出している監視カメラよりも、店内に設置された屋内カメラのほうが長持ちします(製品にもよります)。
また、日々のメンテナンスによっては、防犯カメラはより長持ちします。実は、設置箇所だけでなく、使い方もまた防犯カメラの長持ちの秘訣です。
防犯・監視カメラを長持ちさせる方法
先述の通り、防犯・監視カメラを長持ちさせるには、設置箇所や日々のメンテナンスが重要になります。以下にて、防犯・監視カメラを長持ちさせる方法を7つ紹介します。
カメラ本体を清掃する
一度防犯カメラを設置したら、そのままにしている方も多いかもしれませんが、カメラは微弱な静電気を発しており、塵や埃などを吸着しやすくなっています。汚れが付着したまま使用すると、カメラに傷がついたり、映像が不鮮明になる可能性があります。
可能な範囲で問題ないので、定期的にカメラ本体を清掃することをおすすめします。柔らかい布やブラシを用い、本体を優しく拭きます。レンズはそのまま布で拭くと、表面についた埃によって傷をつけてしまう恐れがあるため、まずはエアーダスターで埃を取り除き、その後無水エタノールを使って清掃しましょう。
配線ケーブルを点検する
防犯カメラの配線ケーブルに異常がある状態でそのまま使い続けると、本体の故障を早める原因となります。ケーブルは定期的にチェックし、異常が見つかった場合はすぐ業者に連絡できるようにしておきましょう。
主にケーブル関連でチェックしておきたい項目は、以下の通りです。
- ケーブルに断線が生じていないか
- ケーブルが挿入口にしっかり挿さっているか
- ケーブルが異常に曲がって負荷がかかっていないか
- ケーブルが強く引っ張られていないか
- 虫や鳥などにケーブルが嚙まれていないか など
レコーダーを定期点検する
防犯カメラの映像を記録するレコーダーもまた、定期点検が必要な機器です。以下項目に沿って、定期的にレコーダーをチェックしておきましょう。
- 映像の一部が途切れていないか
- レコーダーの記録日時にズレが発生していないか
- 過去のデータが正常に保存されているか
- 冷却ファンや通気口に埃が付着していないか
(付着している時はエアダスターで落とす)
なるべく過酷な環境を避けて設置する
ご自身で監視カメラを設置する場合、特に屋外では、設置場所によって劣化のスピードが大きく異なります。常に太陽光や雨風に晒される場所に設置すると、防犯カメラの劣化を早めてしまいます。
通常は軒下や外壁、雨どいなどに設置することになりますが、以下のような外的要因を最小限に抑える場所に設置するのが理想です。
- 直射日光が当たらない場所
- 屋根がある場所(雨風が直接当たらない)
- 温度の変化が少ない場所
- 近くに強い電磁波を発生するものがない場所
- 近くに熱源がない場所 など
業者に依頼する場合は、耐久性の面からも、長持ちする場所を選定して設置してくれます。もし心配な場合は、出来る限り上記のような場所に設置してもらうように、業者に伝えるようにしましょう。
(屋外用カメラ)防水・防塵機能のある防犯・監視カメラを選ぶ
設置場所に配慮することも大事ですが、初めから長持ちしやすい防犯カメラを選ぶことも不可欠です。特に、屋外に設置する防犯カメラについては、防水・防塵機能を搭載した製品を選ぶのがおすすめです。
防水機能があれば雨から、防塵機能があれば塵から、防犯カメラを保護します。
防犯カメラには、防水・防塵機能の規格を表す「IP○△」という保護等級が定められています。○が「防塵」を0~6の7等級で、△が「防水」を0~8の9等級で表しています。これらの数字が大きいほど、防塵・防水機能が高いといえます。
たとえば「IP66」だと、防塵・防水のどちらも等級が高いため、台風のような強い雨風に晒されても、カメラ本体に浸水する可能性は低くなります。
長持ちする防犯カメラを選ぶ場合は、予算を考慮しつつ、可能な限り等級の高い製品を選ぶのがおすすめです。
定期点検サポートがある
購入後に定期点検サポートがあると、万が一カメラ本体やケーブル、レコーダーに異常が生じた際も業者が早期に対応し、重大な故障を未然に防げる可能性が高くなります。
通常、監視カメラを設置する際は、保守契約を結ぶかどうかを選択できます。保守契約を結ぶ場合、追加料金が発生しますが、業者が定期的に保守メンテナンスを行ってくれます。
保守契約を結ぶかどうかは自由です。設置箇所や使用頻度、予算などを総合的に考慮して決める必要がありますが、長持ちさせるという観点からは、定期点検のサポートを受けることが推奨されます。
月額型サービスで保守・メンテナンスの手間を省く
ここまで防犯カメラの保守・メンテナンス方法について紹介しましたが、一方で専門知識のない方が、むやみに触ってしまうと、カメラの故障を引き起こす恐れがあります。
最近では、初期の機器費用や設置費用などを支払うのではなく、USENのような月額型のサービスも登場しています。カメラの機器費用等が0円で、月額費用を支払うことで監視カメラの設置、利用が可能です。
月額型サービスの多くは、定期的な保守やメンテナンスのサービスが含まれています。専門家により定期点検や故障時の対応などが行われるため、利用者側の負担が大きく軽減されるのです。
長期的な運用コストや手間を考慮すると、月額型サービスを使うほうが、コストパフォーマンスは高くなる可能性があります。
端末代・カメラ機器費用0円
月額型サービスのUSEN Camera
防犯・監視カメラをセルフでメンテナンスする際の注意点
防犯・監視カメラをご自身でメンテナンスすることも可能ですが、むやみに分解したり、調整したりすると、かえって故障の原因となったり、思わぬ事故につながる可能性があります。
以下に、ご自身で防犯カメラをメンテナンスする際の注意点を2つ紹介します。
ネジの緩みなどは自分で締め直さない
防犯カメラをメンテナンスしていると、ネジの緩みに気付く場合があります。ネジに緩みがある場合でも、ご自身で締め直さないようにしましょう。
特に業者が設置した場合、監視カメラの台数や設置場所、目的などに応じて最適な画角で調整されています。仮に、この画角がズレてしまった場合、素人が再度画角を調整しなおすのは困難です。
また、特に高所で設置された監視カメラのネジを締め直そうとすると、揺れで本体が落下して二次被害を生む恐れがあります。もしネジの緩みを見つけた場合、すぐに業者に連絡するようにしましょう。
メーカーの非推奨行為はやらない
防犯カメラの保証内容には、メーカーごとに非推奨行為を定めています。非推奨行為の内容についてはメーカーや機材によって異なりますが、通常、ご自身で触って壊した場合は保証の対象外となります。
まず、ご自身でメンテナンスをする場合は、作業内容が非推奨行為に該当しないか確認しておきましょう。また、その作業によってカメラやレコーダーなどが故障するリスクがある場合、自らでやろうとはせず、業者に連絡するのが吉です。
防犯・監視カメラの法定耐用年数は6年だが寿命は5~10年
防犯カメラの法定耐用年数は6年です。防犯・監視カメラを減価償却をする場合は、原則6年の期間で償却します。
なお、法定耐用年数は6年ですが、実際の寿命は5~10年です。防犯の寿命を伸ばすには、日々のメンテナンスや設置場所などが重要になります。
しかし、ご自身でメンテナンスや設置をするのは、リスクを伴います。そこで、USENでは提案から運用、保守まで一括で行う「USEN Camera」を提供しております。端末代や機器費用は0円で、月額利用料をお支払いいただくとご利用できます。
防犯・監視カメラの機能のほか、AIによる来店客分析や選べる録画機能など、優れた機能を多く揃えています。故障時の交換は無償で、必要に応じて専門家が現地訪問や遠隔操作などでご対応します。
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