駅やコンビニ、商店街などのさまざまな場所で、防犯カメラが設置されている光景を目にする機会が増えてきました。海外と比べて安全とされる日本でも、近年では防犯カメラの普及率が上昇しています。
この記事では、海外と比較した時の日本での防犯カメラの普及率を解説します。
コンビニやスーパーなどの店舗に防犯カメラを設置するメリットや、店舗の防犯対策を強化する方法も紹介しますので、ぜひ参考にして下さい。
目次
日本における防犯カメラの普及状況(企業、一般家庭含)
日本で防犯カメラが設置され始めたのは、2002年ごろです。東京都新宿区付近の防犯のため、警視庁が歌舞伎町周辺に防犯カメラを設置し始めました。
その後、地域に防犯カメラを設置するための補助金を支給する自治体が現れ、その結果防犯カメラの普及が進みました。
現在、日本国内で設置されている防犯カメラの数は、企業や個人宅を含めると約500万台に上ります。これは、人口1,000人当たりに1台の割合で設置されていることになります。また、インターネットの普及に伴いネットワークカメラの普及も進んでいます。
防犯カメラ設置の普及が進んでいますが、設置場所の多くは商店街やショッピングセンター、公園など公共の場所です。賃貸住宅への防犯カメラ設置が一般的となり、一般家庭への普及も進みましたが、その普及率は22%程度にとどまっています。
世界規模ではまだまだ数は少ない
世界の防犯カメラ設置台数ランキングでは、最も設置台数が多いのは中国で2億台、2位はアメリカで5,000万台、3位はロシアで1,350万台となっています。日本の設置台数は、4位のドイツに次ぐ、イギリスと同等の5位です。
しかし、国内の人口比率における設置台数を算出すると、人口1,000人当たりの設置台数はアメリカが152.8台、イギリスが75.2台、ドイツが62.7台であり、日本の39.5台と比較すると大きな差があります。
都市部での監視カメラ設置数が最も多いのは、中国の太原という都市で、人口1,000人当たり約120台が設置されています。中国における都市部の監視カメラ設置率は、他国に比べて高い傾向があります。
一方、日本の都市部での1,000人当たりの設置台数は、大阪が1.5台、東京が1.06台です。このように、日本の防犯カメラ設置台数は、世界規模で比べると少ないといえるでしょう。
防犯・監視カメラで安心できると答えた人は65.4%
防犯カメラの設置は、公共施設を利用する人の安心感につながっているのでしょうか。
2015年に警備会社大手のALSOKが実施したアンケートによると、防犯カメラが設置されていることで安心感を得ている人の割合は全体の65.4%で、これは不快感を感じている人の割合15.2%を大きく上回る結果でした。
防犯カメラの設置により安心感を得ている人のうち、女性の割合は71.2%と高い傾向にあります。また、年齢が上がるほど割合は高くなり、60代の女性では84%が安心を得ていると回答しています。
一方、防犯カメラの設置を不快と感じる15.2%のうち、12.8%の人が同時に安心感も得ているという結果でした。
出典:ALSOKアンケート
設置してほしい場所は繁華街や商店街、駐車場という結果も
防犯カメラは、スーパーやコンビニなどの小売店、銀行や信用金庫などの金融機関、駅やその周辺の通路など、公共の場所に広く設置してあります。
通勤・通学や買い物など日常生活で防犯カメラを目にするという人の割合は82.6%と非常に多いです。
また、防犯カメラを設置すべき場所を問うALSOKアンケートでは、繁華街や駐車場(63.9%)、商店街(62.5%)にもっと設置すべきだと挙げられています。
スーパーやコンビニ、百貨店などの店舗内についても、59.8%が「今設置してある防犯・監視カメラを増やしてほしい」と希望する結果でした。
防犯カメラが増えた理由
街中や小売店などの公共の場に防犯カメラが増えたのは、2003年ごろです。防犯カメラの設置が増え始めた理由のひとつに、価格が安い海外カメラが輸入され、手に入りやすくなったことや、警察庁の繁華街に対する防犯対策が挙げられます。
また、防犯カメラの設置により実際に犯罪が減少していることも大きな理由です。以下では、防犯カメラが増え、犯罪が減少したことについて詳しく紹介します。
犯人逮捕に繋がったケースが多い
設置した防犯カメラの映像が容疑者の特定に繋がり、犯人逮捕や事件解決に結びついたケースは数多くあります。
警察庁のデータによると、2020年に検挙された刑法犯約27万件のうち、防犯カメラやドライブレコーダーの画像により犯人が特定されたのは約3万3,000件と、全体の約12.3%です。
これは、職務質問による犯人特定や、参考人の取り調べによる犯人特定より多くなっています。
防犯カメラに残された映像や画像で犯人を検挙した事例が多いことは、証拠や証言の裏付けとして有効に活用されている証拠といえるでしょう。これは、防犯カメラが事件解決のための重要な捜査手段となっていることを示しています。
犯罪認知件数が減少している
日本における刑法犯の認知件数は、1996年から増加し続け2002年には約285万件まで増えましたが、2003年以降逆に減少し始め、10年後の2012年には約138万と減少し続けています。
犯罪件数が減り始めた2002年~2003年は、警察庁が繁華街の防犯対策として「街頭防犯カメラシステム」を導入した年です。
街頭防犯カメラシステムは、繁華街での犯罪発生・被害の未然防止を目的に導入されました。繁華街の路地や建物に防犯カメラを設置し、モニター画面に映し出された映像を録画します。
犯罪件数が減り始めた時期と、街頭防犯カメラシステムが導入された時期が一致していることは、防犯カメラの設置が犯罪件数の減少に関係していることを示しています。
店舗における防犯・監視カメラのメリット
店舗内に防犯カメラを設置することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは、スーパーやコンビニなどの店舗内に防犯カメラを設置するメリットを紹介します。
犯罪などのトラブルの証拠になる
万引き被害は、多くの小売店の経営者が抱える悩みです。犯人に万引きしやすい店舗だと認識されてしまうと、繰り返し被害を受ける可能性があります。
また、売上を保管する金庫やパソコンなどが強盗に狙われる恐れもあります。店内に防犯・監視カメラを設置しておくことで、犯行を思い止まらせる抑止力にもなるでしょう。
また、カメラで録画された映像を、トラブルが起きた際の証拠として活用できます。
従業員(スタッフ)の不正行為を抑止できる
店舗内に防犯カメラを設置することで、従業員の不正行為を防止できます。少人数の従業員が交代で勤務するコンビニや小規模な小売店では、従業員が一人で勤務する時間帯が発生することも少なくありません。
他者の目が届かない状況でレジのお金を抜いたり、許可なく商品を持ち出すことがあります。
店舗内にカメラを設置し、24時間確認できることや映像を録画していることを従業員に伝えることで、不正防止につながるでしょう。
また、解像度の高いカメラをレジ付近に設置することでレジ内部を監視できるため、金銭管理も行えます。
業務改善の対策が練れる
防犯カメラの設置は、スタッフの業務効率を向上させる上で非常に有効です。カメラの存在がスタッフの意識を高め、サボりや無駄な行動の抑制が期待できます。
また、映像を通じて、スタッフの動きや作業プロセスを観察できます。長時間の私語や不必要な休憩、非効率な動線など、業務の妨げとなる行動を特定しやすくなるメリットがあります。
このように、防犯カメラは単なる監視ツールではなく、スタッフの行動を可視化し、具体的な業務改善策を立案するための貴重な情報源となります。
マーケティングに活用できる
防犯カメラで撮影した店内の映像は、防犯だけでなくマーケティングにも役立ちます。商品の陳列棚ごとにカメラを設置することで、お客様が手に取った商品や試着した商品、購入した商品、商品を見る動きが確認可能です。
同じ商品を選ぶお客様の数、年齢層ごとの人気商品などを客観的に確認できます。得られた情報をもとに、陳列する商品のブラッシュアップが可能です。
また、地域ごとのお客様の好みの商品や接客方法も把握できます。接客方法を変えたり、商品の陳列を変えたりすることで、売上アップにつながるでしょう。
防犯・監視カメラの費用はどれくらい?
店舗に防犯・監視カメラを設置する際、どの程度費用がかかるか気になる方が多いのではないでしょうか。ここでは、防犯・監視カメラの設置にかかる費用について詳しく紹介します。
カメラやレコーダー本体の費用、設置工事の費用の相場、クラウドサービスを利用した録画費用やメンテナンスなどに必要な維持費の相場も紹介しますので、ぜひ参考にして下さい。
初期費用の相場
一般的な防犯カメラに必要な設備は、カメラとレコーダーです。カメラの画素数やレコーダーの録画時間などの性能によって価格は異なりますが、それぞれ3万円~10万円が相場です。
カメラの映像を投影するモニターは、既にオフィスにあるテレビやパソコンでも代用可能です。新たに購入する場合は2万円〜5万円ほどかかると見ておきましょう。
カメラやモニター、レコーダーを接続するためのケーブルも必要です。ケーブル費用は数千円程度が相場です。初めて店舗内に防犯カメラを設置する場合は、全て含まれたセット品がおすすめです。
防犯カメラの設置工事にかかる費用は、4万円程度が目安です。店内に設置するカメラの台数が増えるほど、初期費用も増えるため予算を考慮しながら手配しましょう。
維持費用の相場とその内訳
設置した防犯カメラは、常時正常に稼働させるため、定期的な点検やメンテナンスが必要です。
維持費用は、カメラの設置台数や設置場所、点検の頻度によって変わりますが、1年あたりで25,000円程度が相場と見ておきましょう。
年間契約ではなく、依頼した時に点検してくれるスポット点検もあります。こちらは、1回当たり15,000円からが相場です。ただし、店舗側で点検を依頼する時期を把握し、スケジュールを組む必要があります。
また、月額5,000円程度でインターネット上に映像を記録できるクラウドサービスもありますが、保守メンテナンスの契約料が別途発生する場合があるので注意しましょう。
効果的に防犯・監視カメラを設置するには
防犯・監視カメラを効果的に設置するには、利用目的に合った設置台数を決め、死角を作らないよう設置することが大切です。ここでは、それぞれのポイントを詳しく紹介します。
利用目的に合った設置台数を決めておく
スーパーやコンビニなどの小売店で防犯カメラを設置する主な目的は、万引きや内引き、駐車場での違法・長時間駐車の防止です。防犯カメラは、レジ周り、オフィスや倉庫などがあるバックヤード、店舗の出入り口、駐車場に設置すると良いでしょう。
レジ周りに防犯カメラを設置する理由は、レジ近くの商品棚からの万引きやスタッフによる内引きを防ぐためです。トラブルが発生した際も、事実確認や原因究明の手がかりとして映像を活用可能です。
バックヤードへの防犯カメラの設置をする理由としては、スタッフの内引き予防や不審者の侵入を防ぐためです。店舗の出入り口に設置する理由は、万引きなどの被害が起きた時の証拠になるためです。
店舗の駐車場に防犯カメラを設置する理由は、違法駐車や長時間駐車を防ぐためです。これにより、本来の目的で来店したお客様が利用でき、販売機会の損失を防げるでしょう。
死角を作らないように設置する
どれほど性能の良いカメラであっても、監視できない死角が存在します。防犯・監視カメラを設置する際は、映像に映らない死角を作らないよう注意しましょう。
カメラの死角になりやすい位置は、カメラの真下やカメラから近すぎる場所、建物や障害物の影などが挙げられます。死角を作らないためには、天井部分に取り付けるドーム型やPTZ型のカメラを選ぶ、また複数のカメラを設置すると良いでしょう。
防犯カメラで撮影された映像は、映像から個人が特定できる場合、個人情報に該当します。
そのため、個人情報保護法のガイドラインを遵守することが必要です。防犯カメラの設置場所付近の、目につきやすい位置に利用目的を明記しておくことで、お客様も安心できるでしょう。
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