公園では特に夜間で事件が発生しやすく、子どもが巻き込まれてしまうケースも少なくありません。公園の安全を管理するうえで、欠かせないのが監視カメラです。
そこでこの記事では、公園に監視カメラを設置する必要性や必要な機能、設置箇所、注意点などを解説します。公園での監視カメラ導入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
公園に監視カメラを設置する必要性
公園に監視カメラを設置する必要性は多岐にわたります。主な理由として以下のような点が挙げられます。
子どもへの犯罪発生を防止できる
子どもに関わる犯罪は、残念ながら公園での発生が多いのが現状です。警視庁の「子ども・女性の安全対策に関する有識者研究会 提言書」によると、公園等で子どもへの犯罪が多く発生していることがわかっています。
具体的には、子どもが被害に遭う犯罪の発生場所として、公園は上位に位置しています。たとえば、2019年の統計では、13歳未満の子どもが被害に遭った刑法犯の発生場所のうち、公園・空き地は約15%を占めており、路上に次いで2番目に多い発生場所となっています。
このような状況下で、監視カメラの設置は強い犯罪抑止効果を発揮します。カメラの存在自体が犯罪者に対して犯罪行為を心理的に抑え「監視されている」という意識を与えることで、犯罪行為を思いとどまらせる効果があります。
また、万が一犯罪が発生した場合でも、カメラの映像が決定的な証拠となり、犯人の特定や事件の解決に大きく貢献します。そのため、公園に監視カメラは不可欠と言えます。
迷惑行為を抑止できる
子どもへの犯罪行為以外にも、公園ではさまざまな迷惑行為が起こる場所でもあります。例を挙げれば、深夜の騒音、器物損壊、不適切なゴミの投棄などがあるでしょう。
これらの迷惑行為は、必ずしも犯罪には該当しないかもしれませんが、地域住民の生活の質を著しく低下させる要因となってしまいます。
そこで、監視カメラを設置することで、迷惑行為の抑止にも大きな効果を発揮します。人は、カメラがあることを認識すると、自然と行動を慎むようになるものです。
たとえば、深夜に大声で騒ぐような行為や、公園の設備を故意に破壊するような行為は、カメラに記録される可能性を意識することで、少しは抑止できるでしょう。
また、ゴミの不法投棄のような問題も、カメラの存在によって思いとどまる可能性もあります。不法投棄をした者が特定される可能性が高まることで、自然と不法投棄をやめるかもしれません。
万が一トラブルが発生しても解決しやすい
公園で万が一トラブルが発生してしまっても、早期解決に役立つのが監視カメラです。
公園は多くの人が利用する公共空間であるため、時として市民同士のトラブルが発生することがあります。たとえば、子ども同士のケンカや、ペットの扱いを巡るトラブル、施設の利用を巡るトラブルなどが考えられます。
このような場合に、監視カメラの存在は効果的です。トラブルの経緯や状況が映像として記録されているため、事後の対応や解決が簡単になります。「言った・言わない」の水掛け論を避け、客観的な事実に基づいて対応することができるのです。
また、警察との連携も円滑になります。トラブルの内容によっては警察の介入が必要になる場合もありますが、カメラの映像があれば状況の説明が容易になり、トラブルの早期解決を期待できます。
公園に設置する監視カメラに便利の機能
公園に監視カメラを設置する際には、公園に合った製品を選ぶことが大切です。次から、公園に設置するのに便利な機能を4つ紹介します。
インターネット環境がない場所でも設置できる
一般的に、公園はインターネット環境が整っていない場所です。そのため、インターネット接続が不要な監視カメラを選ぶ必要があります。
インターネット環境が不要な監視カメラは2つです。1つは、内蔵ストレージにデータを保存するタイプです。定期的にデータを回収する必要がありますが、インターネット環境に依存しないため、どこにでも設置可能です。
もう1つは、携帯電話回線を利用するタイプです。SIMカードを挿入することで、携帯電話のデータ通信を利用してデータを送信します。そのため、インターネット環境がなくても利用は可能ですが、映像転送には相応のデータ容量も必要なため注意が必要です。
遠隔監視が可能
公園で24時間の常駐監視を行うのは現実的ではありません。そのため、監視カメラに遠隔で監視できる機能があると便利です。
遠隔監視機能があれば、万が一公園でトラブルが発生した場合、まず遠隔で現地の状況を確認できます。トラブルの内容によって、状況に応じた適切な対応を迅速に取ることが可能です。
先述のSIMカードを利用したタイプの監視カメラは、この遠隔監視にぴったりです。インターネット環境がなくても、スマートフォンやタブレットから簡単にカメラの映像を確認できます。
夜間も高画質な撮影ができる
公園は、夜こそ犯罪や迷惑行為が起きやすい場所です。そのため、夜間でも高画質に撮影できる機能があると便利です。
最新の監視カメラには、暗視機能や赤外線LED搭載のものが多くあります。肉眼では見えにくい暗闇の中でも、鮮明な映像を撮影することができるのです。
また、一部の高性能なカメラでは、カラーで夜間撮影することも可能です。犯人の服装の色など、より詳しい情報を記録でき、トラブルの早期解決に役立ちます。
防水・防塵性能がある
公園に設置する監視カメラは、常に外部の環境にさらされます。そのため、高い防水・防塵性能を持つカメラが不可欠です。
一般的に、IP(Ingress Protection)規格で防水・防塵性能が表されます。たとえば、IP66やIP67といった高い数値のものを選ぶことで、より雨や雪、埃から機器を保護できます。
また、耐衝撃性能も重要です。公園では、ボールが当たるなどの衝撃や、いたずらによる意図的な破壊行為を受ける恐れがあります。そのため、なるべく耐久性の高いカメラを設置するのが理想的です。
3 公園に設置する監視カメラのタイプ
公園に設置する監視カメラには、主に2つのタイプがあります。次から、それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
ボックス型
ボックス型カメラ(バレット型)は、箱形の形状をした監視カメラです。公園で設置されるのは、主にこのボックス型です。
最大の特徴は、その存在感の大きさです。カメラの存在が一目で分かるため、強い犯罪抑止効果を発揮します。不審者や犯罪者に対して「監視されている」ということを明確にアピールできるので、犯罪予防効果が高いと言えます。
また、一般的にボックス型カメラは高性能なレンズやセンサーを搭載できるため、高画質な映像を撮影することができます。広い公園の場合、遠距離からでも鮮明な映像を捉えることができるのは大きな利点です。
さらに、多くのボックス型カメラは交換可能なレンズを取り入れています。そのため、設置後でも監視範囲の調整が可能で、公園の状況の変化にも柔軟に対応できます。
ただし、ボックス型カメラにも欠点はあります。その存在感の大きさが、かえって公園の景観を損ねる可能性があることです。景観を重視している公園では、ボックス型はやや向いていません。
バレット型
バレット型カメラは、筒状で、カメラを囲う箱からレンズが飛び出しているカメラです。ボックス型と同様、このタイプも屋外用として広く使用されています。
バレット型カメラの最大の特徴は、そのデザインです。カメラ、レンズ、ケーブル接続部が一つの筐体に収められているため、公園でも設置が容易です。また、バレット型カメラの多くは赤外線LEDが内蔵されているため。公園の夜間監視にもぴったりです。
さらに、バレット型カメラは一般的にボックス型よりもコンパクトで、比較的目立ちにくいデザインのものも多くなっています。そのため、公園の景観を損ねることなく設置でき、監視カメラのデザインを重視したい時に役立つタイプです。
公園で監視カメラを設置する箇所
効果的な監視を行うためには、カメラの設置場所を慎重に選ぶ必要があります。以下、公園で一般的な監視カメラの設置箇所について詳しく解説します。
電柱や街灯
公園内の電柱や街灯は、監視カメラの設置場所としてぴったりです。実際、公園の監視カメラの多くが、電柱や街灯に設置されています。なぜなら、高い位置からの監視が可能なため、広範囲をカバーできるからです。
さらに、電柱や街灯での設置が多いのは、電源を確保しやすいからです。電柱や街灯には電気配線が引かれているので、既存の配線を利用してカメラに電力を供給できます。
また、高所に設置することで、いたずらや破壊行為からカメラを守れます。防犯カメラは子どものいたずらの対象になりがちですが、地上からは手の届かない高さに設置することで、カメラが破損行為に遭うリスクは低くなるでしょう。
さらに、夜間の監視効果も高まります。街灯の光源近くにカメラを設置することで、夜間でも明るい映像を撮影できます。
ただし、所有者の関係上、電柱や街灯への設置には許可が必要な場合があります。そのため、電力会社などへの確認が必要な場合もあります。
公園内の時計
多くの公園には大型の時計が設置されています。この時計もまた、監視カメラの設置場所としてはぴったりです。
一般的に、時計は公園の中心部や人が集まりやすい場所に設置されているため、特に撮影した箇所をカバーしやすいメリットがあります。また、電柱や街灯と同様に、高い位置からの監視が可能です。
さらに、時計には既に電源が供給されていることが多く、電柱や街灯と同じくカメラの電源確保が容易です。また、デザイン上時計と監視カメラの親和性は高く、違和感なく監視システムを導入できます。
ただし、時計の機能を妨げないよう、設置箇所は慎重に選ぶ必要があります。また、いくら親和性が高いとはいえ、時計のデザインを損なわないよう、カメラの色や形状にも配慮が必要です。
公園の出入口
公園の出入口は、監視カメラの重要な設置場所の1つです。公園の出入口にカメラを設置することで、出入りする人々を監視できます。
出入口へのカメラ設置で効果が高いのは、不審者の侵入の抑止効果です。また、万が一事件が発生した場合も、容疑者の特定に役立つ可能性が高くなります。
さらに、出入口にカメラがあることを明示することで、公園利用者に安心感を与えられます。「監視されている」という意識が、犯罪や迷惑行為の抑止につながるのです。
ただし、出入口へのカメラ設置は、プライバシーを配慮するうえで十分な注意が必要です。公園利用者全員を撮影することになるため、カメラの向きや撮影範囲を慎重に設定し、不要な物は極力映らないようにすることが求められます。
トイレ前
残念ながら、公園のトイレは犯罪が起きやすい場所の1つです。死角が生まれるため、特に子どもを狙った犯罪が起こりやすい場所でもあります。そのため、トイレ前のカメラ設置は不可欠です。
ただし、トイレ前へのカメラ設置には細心の注意が必要です。なぜなら、公園に限らず、トイレはプライバシーの問題がもっとも懸念される場所の1つだからです。
そのため、カメラの向きや撮影範囲を適切に設定し、トイレの出入りを確認できる程度にとどめておきましょう。ないとは思いますが、決してトイレ内を撮影するような角度で設置してはいけません。
また、カメラの存在を明確にアピールすることも不可欠です。「防犯カメラ作動中」などのステッカーなどを設置することで、犯罪抑止効果を高めると同時に、利用者のプライバシーへの配慮をアピールできます。
公園に監視カメラを設置する流れ
公園への監視カメラ設置は、主に以下の手順を踏んで実施されます。
- 地域住民や公園利用者の意見を聞き、監視カメラ設置の必要性を確認する
- 自治体の関連部署、警察、地域団体などと協議を行い、設置の承認を得る※この段階で、法的な問題やプライバシー配慮について確認する
- 監視カメラの設置を行う業者を選定し、詳細な設計を行う※カメラの具体的な設置位置や配線ルート、使用機器の仕様などを決める
- 実際にカメラや関連機器の設置工事を行う。電源工事やネットワーク配線、カメラ取り付けなど
- 設置したカメラやシステムが正常に動作するかテストを行い、必要に応じて調整する
- 自治体でカメラの運用ルール(誰が映像を確認できるか、データの保存期間など)を策定し、関係者に周知する
- 運用を開始※必要に応じて、定期的に設置位置や運用ルールの見直しを行う
なお、実際の手順は自治体のルールや業者によって異なる場合があるので、実際の進め方は業者に確認しましょう。
公園で監視カメラを設置する際の注意点
公園への監視カメラ設置には多くのメリットがありますが、同時にいくつかの重要な注意点があります。以下、特に気を付けるべき点について詳しく解説します。
プライバシー保護に注意する
監視カメラ設置で最も重要な注意点は、プライバシーの保護です。公園は公共の場所ではありますが、市民のプライバシーを侵害しないよう、細心の注意を払う必要があります。過去には、カメラに映った建物や人の映像をめぐって、市民から訴訟が起こされたケースもあります。
このような事態を避けるためには、カメラの向きや撮影範囲を適切に設定し、必要以上に広範囲を撮影しないようにすることが重要です。特に、トイレや更衣室など、プライバシー性の高い場所の内部は絶対に撮影してはいけません。
また、カメラの存在を明確に表示し、利用者に周知することも必要です。撮影した映像の取り扱いに関する明確なルールを策定し、厳守することも重要です。
さらに、設置前に近隣住民への説明と同意取得を行うことも忘れてはいけません。丁寧な説明と対話を通じて、地域の理解を得ることが、スムーズな導入につながります。
市町村ごとの条例やガイドラインなどに従う必要がある
監視カメラの設置に関しては、多くの自治体が独自の条例やガイドラインを定めています。これらに従わずに設置を行うと、法的な問題が生じる可能性があります。
例えば、東京都千代田区のガイドラインでは以下のような点が定められています。
- 設置目的を明確にし、必要最小限の撮影範囲とすること
- 撮影区域を示す看板等を設置すること
- 画像の取り扱いについて管理責任者を定めること
- 画像の保存期間を原則として1か月以内とすること
これらの規定は自治体によって異なるため、設置を計画する際には必ず地域の条例やガイドラインを確認し、それに沿った計画を立てる必要があります。
防犯カメラ使用中であることを掲示する
多くの場合、監視カメラの存在を明示することは法的な義務ではありません。しかし、「防犯カメラ使用中」などの表示は行うべきです。それにはいくつか理由があります。
まず、カメラの存在を明示することで、潜在的な犯罪者に「監視されている」という意識を与え、犯罪を未然に防ぐ効果を期待できます。
また、カメラの存在を知らせることで、利用者に不安を与えることを避けられます。公園は安全な空間でなくてはいけないので、このような掲示は大いに役立ちます。
なおステッカーなどを表示する際は、夜間でも見やすい場所に、十分な大きさで設置するようにしましょう。
個人情報保護法に基づいた運用が必要
監視カメラで撮影された映像は、個人情報保護法上の「個人情報」に該当します。そのため、その取り扱いには十分な注意が必要です。
個人情報保護法に基づいた運用には、いくつか注意すべき点があります。まず、利用目的を明確にし、その範囲内でのみ映像を使用しましょう。
また、不必要に長期間データを保存しないことも重要です。適切な安全管理措置を講じることも必須で、たとえばアクセス制限や暗号化などの対策が考えられます。
さらに、第三者への提供は原則として本人の同意を得る必要があります。さらに、開示請求があった場合の対応手順を、自治体側で定めておくことも重要です。
電源不要タイプもあるが弊害も
公園など、電源の確保が難しい場所では、バッテリー駆動や太陽光発電を利用した電源不要タイプのカメラが必須となるケースもあります。
しかし、電源不要のタイプの多くは、常時録画ができません。また、定期的なバッテリー交換や充電が必要となり、維持管理をするための手間が増えてしまいます。
さらに、悪天候時や夜間には動作が不安定になる可能性があり「肝心な時に撮影できていない!」ということも起こりえます。
そのため、電源不要タイプを公園に導入する際は、十分に検討する必要があります。高性能なカメラは電源必須なので、できれば近くの電源から引いて設置するのがおすすめです。
公園に監視カメラ設置は不可欠!
公園への監視カメラの設置は、安全管理のために欠かせません。子どもへの犯罪防止や、迷惑行為の抑止、トラブル解決の補助など、多くのメリットがあります。
公園はその特殊な環境上、適切な機能を持つカメラを選ぶことが不可欠です。効果的な場所に設置し、公園の安全性を大きく向上させましょう。
公園でも、ぜひ監視カメラの導入を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
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