人や害獣によって農作物を荒らす行為、また担い手の不足などから、農業では防犯カメラ導入を進める動きが進んでいます。
一方、防犯カメラ設置には費用がかかるので、補助金の活用を検討している方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、農業の防犯カメラ設置に活用できる補助金の例をいくつか紹介します。農業にかかわる防犯カメラ設置についても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください!
目次
自治体によっては監視カメラ設置の補助金を出している!
近年、多くの自治体が地域の安全対策の一環として、監視カメラ設置に対する補助金制度を導入しています。監視カメラは、犯罪抑止や農作物の盗難防止など、様々な目的で活用されており、その導入を自治体が補助金を通してサポートしています。
補助金の内容や条件は自治体ごとに異なりますが、一般的に設置費用の一部を負担するものが多いようです。興味のある方は、お住まいの地域の農業委員会や農地整備課などに問い合わせてみるのがおすすめです。
中には、自治体で独自の補助金制度を設けているケースもあります。ぜひ積極的に関係各所から情報を集めてみてください。
補助金を活用することで監視カメラ設置費用を抑えられるので、積極的に活用すべきです。
農業向けの監視カメラ設置補助金例
農業向けの監視カメラ設置にかかわる補助金の例を紹介します。ただし、現在申請の受付が終了している補助金もありますので、あくまで参考としてご覧ください。
【福島県伊達市】桃畑防犯カメラ設置補助金
伊達市は桃畑への防犯カメラ設置を支援する「桃畑防犯カメラ設置補助金」を実施しています。これは、市内の桃生産者や農業法人を対象に、防犯カメラの購入費や設置費用の一部を補助するものです。
補助対象となるのは、盗難防止目的で特定の場所に継続的に設置され、録画機能を持つカメラです。補助率は対象経費の3割で、上限は1台当たり2万円となっています。
申請受付期間は令和6年4月1日から令和6年8月30日までですが、伊達市の予算の状況により、早期に受付終了となる場合があります。
桃畑防犯カメラ設置補助金は、昨年発生した桃の盗難被害を受けて導入されました。防犯カメラの設置を通じて、農家の安心感を高め、生産意欲の向上と桃の産地としての地位維持を図ることが本補助金の目的です。
【青森県鶴田町】農業用防犯カメラ整備補助事業
鶴田町では、果樹や野菜を生産する農家向けに「桃畑防犯カメラ設置補助金」を実施しています。これは農作物の盗難対策と農業経営者の防犯意識向上を目的としています。
町内に住む農業者を対象に、防犯カメラの購入費用の3分の1を補助します。ただし、1台あたり5000円が上限です。
1戸につき最大3台まで申請可能です。申請には見積書やカタログが必要で、令和6年11月30日まで役場産業課で受け付けています。
補助金の交付条件は以下のとおりです。
- 購入後、鶴田町の設置確認を受けること
- 未購入のカメラであること(購入済みのカメラは対象外)
- 耐用年数が過ぎるまで使用し続けること
- 税金の滞納がないこと
【埼玉県草加市】庭先販売施設整備補助制度
草加市では、庭先販売農家向けに「庭先販売施設整備補助制度」を設けています。これは、新鮮で安心な農産物を市民に提供する庭先販売農家を支援するものです。
市の指定を受けた庭先販売農家を対象に、陳列棚や雨除け、看板、防犯カメラなどの設置費や改修費用を補助するものです。補助額は対象経費の半額で、上限は20万円です。
申請には事前相談が必要で、市の交付決定後に農地整備を開始することができます。完了後は実績報告書や写真、領収書などの提出が求められます。
本補助制度を通じて、市は地域の農業振興と市民への安全な農産物供給を図っています。
業種問わず活用できる!監視カメラ設置に利用できる補助金例
農業に限らず、業種に関係なく活用できる、監視カメラにかかわる補助金の例を紹介します。
【福岡県北九州市】防犯カメラ設置補助制度
北九州市では、犯罪抑止を目的とした「防犯カメラ設置補助制度」を実施しています。地域団体や事業者が、公共空間を撮影する防犯カメラを設置する際、その経費の一部を補助します。
申請期間は令和6年5月15日から令和6年8月30日までです。地域団体の場合、補助率は対象経費の4分の3以内、1台あたり上限30万円で、事業者は3分の1以内で上限13万円です。
1団体につき最大10台まで申請可能です。対象となるのは、5年以上管理運用する防犯カメラで、カメラ本体や録画装置の購入費、設置工事費が補助対象です。
【岐阜県輪之内町】防犯カメラ設置補助金
輪之内町では、安全で安心なまちづくりを目指し、「防犯カメラ設置補助金」を実施しています。町内に設置される防犯カメラが対象で、当年度内に設置完了する見込みのものに適用されます。補助率は対象経費の3分の1で、上限は10万円です。
対象経費には機器購入費や工事費、設置表示板の費用などが含まれます。補助の申請には事前に交付申請書の提出が必要です。
補助を受けるには、設置場所の表示や5年以上の適切な維持管理、ガイドラインに基づいた運用などの条件があります。防犯カメラ設置補助金は、主に公共空間を撮影する防犯カメラを想定しており、個人宅や事業所内部の監視用は対象外となっています。
農業で監視カメラ導入が増えている背景
農業分野では、監視カメラの導入が増えています。ここでは、農業で監視カメラの導入が進んでいる背景を解説します。
農作物の盗難が発生している
農作物の盗難は、農家にとって深刻な問題です。警察庁の発表によると、2022年の農作物盗難被害の認知件数は全国で2194件に上りました。
このような状況下で、監視カメラの設置は効果的な対策の1つです。カメラの存在自体が抑止力となり、潜在的な犯罪者を思いとどまらせる効果があります。また、万が一盗難が発生した場合でも、証拠映像を警察に提供することで、犯人の特定や盗難品の回収がよりスピーディーになります。
害獣対策が必要になっている
農業では、人間だけでなく、野生動物による被害も深刻です。イノシシやシカ、サルなどの野生動物が農作物を荒らすことで、多大な損失を生み出してしまいます。さらに厄介なことに、これらの害獣は夜間に活動することが多く、人の目だけでは対策が難しいのが現実です。
そこで、役立つのが監視カメラです。特に、夜間にも撮影できるカメラを設置することで、害獣の行動を把握し、効果的な対策を講じることができます。たとえば、害獣の動きを把握してアラートを発したり、侵入経路を把握して電気柵を設置したりできます。
目視では広い農地を監視しきれない
農業では、担い手の高齢化や人手不足などによって、広い農地を目視で管理しきれないという事情もあります。特に、複数の農地を持つ場合、すべての場所を頻繁に見回ることは時間的にも体力的にも大きな負担となります。
そこで役立つのが、監視カメラです。カメラを配置することで、農地の状況をリアルタイムで確認することが可能となります。異常が発生した際の早期発見が可能となり、限られた人員で効率的に農地を管理できます。
農業で設置される監視カメラのタイプ
ここでは、実際に、農業で使用される監視カメラのタイプを3つ紹介します。
トレイルカメラ
トレイルカメラは、動物(または人)の熱を感知して自動で撮影するカメラです。昼夜を問わず撮影可能で、被害を出している動物の判別に役立ちます。
トレイルカメラの最大の特徴は、動きを感知して自動で撮影を始める点です。そのため、特に夜行性の害獣の動きを把握するのにぴったりです。
たとえば、どの時間帯にどの種類の動物が出没するのか、トレイルカメラによって正確に把握できます。また、トレイルカメラは一般的に長時間の連続稼働が可能なため、電源の確保が難しい農地でも利用しやすいという利点があります。
ソーラーパネル型
農地では、設置したい箇所に電源を繋ぐことが難しいケースも多くあります。そこで役立つのが、太陽光発電で給電されるソーラーパネル型の監視カメラです。
ソーラーパネル型の監視カメラは、太陽光発電で自身の電力を賄うため、外部電源が不要です。そのため、電源の有無に関わらず、農地で設置したい場所にカメラを設置できます。
また、配線工事が不要なため、設置コストを抑えられるという利点もあります。
ただし、ソーラーパネル型のカメラを設置する際は、日光量に注意する必要があります。十分な日光が得られない場所では、バッテリーの充電が足りず、カメラがうまく稼働しない恐れがあります。
ドーム型
ビニールハウスなどでは、ドーム型の監視カメラが導入されるケースもあります。ドーム型カメラは、その名の通りドーム状の形をした監視カメラです。
ドーム型カメラの最大の特徴は、内観と調和しやすいデザインである点です。また、比較的コンパクトなサイズであることが多く、施設内の景観を損ねにくいのがドーム型の魅力です。
さらに、最近のドーム型カメラの多くは、PTZ(パン・チルト・ズーム)機能を搭載しています。PTZ機能とは、カメラの向きや倍率を遠隔で操作することができ、広範囲の監視が可能となる機能です。たとえば、ビニールハウス内の作物の生育状況を細かくチェックしたり、不審な動きを詳しく観察したりすることができます。
農地に便利な監視カメラの機能
店舗とは異なり、農業用の監視カメラには特有の機能が求められます。以下、農地での利用に便利な機能を紹介します。
動体検知・人体検知機能
監視カメラによっては、不審者等の侵入を検知し、そのシーンのみを録画する機能を備えています。これにより、24時間常時録画する必要がなくなり、記録容量の節約や重要な場面の見逃し防止につながります。
また、不審者等の侵入を検知すると、自動で警告音を発したり、ライトを点灯させたりして威嚇する機能を備えたカメラがあります。これによって、人による盗難や動物の不法侵入を防ぐことができます。
さらに、人と動物を区別して検知できる高度な製品もあります。害獣の侵入は記録しつつ、農作業者の動きには反応しないといった細かな設定が可能になります。
遠隔で確認できる機能
広い農地を管理するためには、遠隔地からでも現地の状況を確認できる機能が非常に重要です。最新の監視カメラでは、インターネットを通じてスマートフォンやタブレット、PCから簡単に映像を確認できるようになっています。
農家の方々は農地から離れた場所にいても、常に遠方の農地の状況を把握できます。たとえば、自宅にいながら作物の生育状況をチェックしたり、天候の変化に応じて灌水システムを操作したりすることが可能になります。
異常があれば、すぐに対応できるのも大きな利点です。不審な動きや異常を検知した場合には、すぐに現地に急行するなど、迅速な対応が可能となります。
画像分析
防犯機能だけでなく、近年では農作物の様子を画像分析し、収穫量などを予測できるAI技術も発展しています。導入するなら、こうしたAI技術を取り入れるのもおすすめです。
たとえば、作物の生育状況を画像から分析し、収穫量を予測する機能があります。画像分析を使うことで、より精密な出荷計画を立てることが可能になります。
また、害虫の早期発見に役立つ画像分析機能を持つカメラもあります。葉の色の変化や異常な生育パターンを検出し、農家にアラートを発することで、被害の拡大を防げます。
さらに、気象センサーと連携して、局地的な気象変化を予測し、適切な農作業のタイミングを提案する高度なシステムも開発されています。
まとめ 農業の防犯カメラ設置に補助金を活用しよう!
高性能な監視カメラの導入には一定のコストがかかるため、各種補助金の活用を検討することをおすすめします。農業のIT化や省力化を推進する目的で、国や地方自治体が様々な補助金制度を設けています。監視カメラの導入もこれらの補助金や助成金の対象となる可能性が十分にあります。
具体的な補助金制度は地域や時期によって異なりますので、お住まいの地域の農業委員会やJAなどに相談してみることをおすすめします。
農業の防犯にも役立ちますので、気になる方は、ぜひ以下のサイトをチェックしてみてください。