店舗の経営戦略を立てる上で、来店顧客の管理は重要な業務の1つです。来店された顧客全体の年齢層や男女比、注文されたメニューなどを管理・分析することで、店舗の経営に役立てることができます。こうした顧客管理は、POSシステムを活用することで効率的に分析することが可能です。
そこで今回は、顧客管理の重要性や管理データの活用法、顧客管理を行うのに使用されるツールなどについてご紹介します。
目次
注目すべき顧客データとは?
顧客管理は、来店された顧客データの蓄積だけでなく、その傾向を分析して経営に役立てることが重要と言えます。ここでは、蓄積される顧客データの注目ポイントをご紹介します。
性別と年齢層
一般的に、提供する料理の種類や味付け、店舗の雰囲気などによって、来店顧客の性別や年齢層は店舗ごとに異なります。「狙い通りのターゲットが来店しているのか」「予測とのギャップはないか」などは、店舗を経営していく上で重要なデータです。 例えば、性別や年齢の対比を確認することでメインの客層を把握し、客層に応じたサービス提供の改良を行うことで、より効果的な集客ができる可能性が高まります。
注文されるメニュー
飲食店では様々なメニューを用意しますが、そのすべてが均等に注文されるわけではありません。注文の大半を占めるような人気メニューもあれば、ほとんど注文されないようなメニューもあります。注文数の少ないメニューを削除するのも1つの手ですが、「注文される数が少なくても単価の高いメニュー」や「原価が安く利益率が高い料理」であれば、残しておいた方がいい場合もあります。注文数だけで判断せず、利益率や貢献度など様々な視点から分析を行いましょう。 どんなお客様が来店し、何を注文されているのか、来店顧客の行動分析を行い、その結果を基に何をどう改善していくかを明確にすることが顧客管理に求められます。
顧客管理の方法
上述のように、顧客データをしっかりと管理することで、そのデータは店舗運営に有益な情報となります。しかし、こうしたデータを手動で集計するには手間や時間がかかり、管理も困難です。このような課題も、ツールを活用することで解決できます。
では、どんなツールを使って顧客管理を行えばいいのか見ていきましょう。
エクセルを活用する
顧客管理をするのにもっとも簡単で費用負担が不要な方法は、エクセルの活用です。
エクセルは、ほとんどの企業で使用しているツールです。インターネットで検索すると、顧客管理に使用できる無料のテンプレートを提供するサイトもあり、それを基に必要な項目を追加や削除を行うだけで表を作成できます。見やすくしたり、管理しやすくしたりと自由にカスタマイズすることも可能です。必要な情報をエクセル内で検索したり、特定の条件に該当するデータ抽出を行ったりできるので、必要なデータをすぐに取り出せるでしょう。
しかし、エクセルで顧客管理をする場合には、運用ルールを明確に定めておかなければなりません。1つのファイルを複数の従業員が使用することも多いため、どのデータを誰が入力したのか分からなくなることもあります。データを簡単に書き換えられるのもエクセルで顧客管理をするデメリットといえます。
また、データ量が蓄積されてくるとエクセルファイルが重くなり、使いづらく感じる場合もあります。

顧客管理システムを導入する
顧客管理システムとは、顧客情報の管理に特化した業務システムのことです。CRM(Customer Relationship Management)と呼ばれることもあります。顧客管理システムを導入することで、顧客情報の一元管理や複数店舗間で共有することが可能になります。これまで属人化していた顧客情報を複数店舗間で有効に活用できるでしょう。
また、居住地や年齢、性別、自社商品の利用状況などを基にセグメント分けを行う機能も備わっています。これにより、特定の属性に当てはまる顧客だけに情報を配信することも可能です。
ただし、顧客管理システムを導入するにはイニシャル・ランニングコストがかかります。また、導入してすぐに運用できるわけではありません。導入後は、これまで他の方法で管理していた顧客情報の入力が必要です。スタッフが使い方を覚えるまでに時間がかかり手間に感じるかもしれません。
営業支援システムを活用する
営業支援システムとは、営業担当者が行う業務をサポートするための業務システムのことです。SFA(Sales Force Automation)と略して呼ばれることもあります。顧客管理システムに、営業支援システムの機能が含まれていることも多いです。
営業日報を作成したり、営業のスケジュール管理をしたりするのが、営業支援システムのメインの機能です。営業成績を可視化する機能なども備わっています。顧客管理に力を入れるのに加えて、営業の効率化を図りたい場合や営業担当者の負担を減らしたい場合などに向いているでしょう。
営業支援システムも、顧客管理システムと同様に新規で導入するには多額のイニシャル・ランニングコストがかかるのがデメリットです。スタッフが使い方を覚えるまでに時間がかかるという点も、顧客管理システムと共通しています。
また、営業支援システムを導入する場合、顧客管理システムとセットで導入することが望ましく、営業支援システム単体で導入するのは、避けた方がいいかもしれません。
マーケティングオートメーションを活用する
マーケティングオートメーションとは、マーケティング活動の一部を自動化できるツールのことです。MA(Marketing Automation)と略して呼ばれることもあります。
例えば、メールを自動送信するなどの機能が、マーケティングオートメーションの代表的な機能です。来店顧客の購入履歴やWebサイトの閲覧履歴、アンケートの回答内容などを基にして、送信する顧客を選びます。 マーケティング担当は、顧客情報に目を通して一人ずつ内容をチェックして、送信顧客を選ぶ必要はありません。送信対象者へ一斉配信が可能なので、1件ずつメールを送信する作業も省くことができます。マーケティング担当者様の工数が削減されるでしょう。
ただし、マーケティングオートメーションは、導入後すぐに運用できるわけではありません。メールを配信する条件を設定するなどの作業が必要で、導入後の運用開始まで工数がかかる可能性があります。
会計ソフトを活用する
会計ソフトには売上や仕入などをはじめとした、金銭のやり取りを伴うすべての取引データが仕訳の形で記録されています。売掛金の回収状況なども会計ソフトで管理可能です。そして、そのような会計ソフトに記録されているデータも顧客情報の一種と言えます。顧客数が比較的少なく、顧客について詳しく把握している場合には、会計ソフトで顧客管理を行うのも良いでしょう。
ただし、会計ソフトは顧客とのやり取りをすべて記録しているわけではありません。会計ソフトに記録されるのは、あくまで金銭のやり取りをした場合に限られます。金銭のやり取りを伴わない情報については管理できないのがデメリットです。
POSシステムの活用で、顧客管理を円滑に
POSレジは、会計処理だけでなく、顧客管理の効率化にも大きく貢献します。 ここでは、POSレジの導入によって可能になる具体的な顧客管理機能と、それを活用することで得られる店舗運営のメリットを詳しく解説します。
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過去の喫食データを活用したワンランク上のサービス対応
POSレジを導入することで、来店顧客の過去の喫食データや注文履歴が自動的に記録され、蓄積されます。このデータを活用することで、お客様一人ひとりの嗜好や傾向に基づいたきめ細やかなサービスの提供が可能です。
例えば、以前に注文したメニューを来店時におすすめしたり、好みに合った新メニューを提案したりすることで、「自分のことを理解してくれている」という特別感を与えることができます。
また、アレルギー情報を事前に登録しておけば、該当する食材を含むメニューの提供を事前に避けるなど、安全面でも顧客満足度の向上に繋がります。こうした上質なサービスは、再来店の動機づけとなり、リピート率の向上にも寄与するでしょう。
効果的な販促施策の実施
POSレジは、お客様ごとの年齢、性別、来店頻度、注文履歴などの情報を自動で蓄積します。データを活用することで、客層に合わせた最適なタイミングで販促を行うことが可能です。
例えば、誕生月の前にバースデークーポンを配布したり、長期間再来店のないお客様に割引クーポンを送付することで、自然な形で再来店を促すことができます。 POSレジを活用すれば、特定の条件に当てはまる顧客を手軽に分類・集計できるため、店舗スタッフが複雑な作業をする必要はありません。
常連顧客の把握やポイント制度の連携
飲食店経営において、常連のお客様の存在は安定した売上を支える重要な要素です。POSレジを活用すれば、来店頻度や注文内容、利用金額などから常連客を判別でき、お客様ごとの特徴を「見える化」できます。このようなデータを活用すれば、来店回数に応じた特典の提供や、優先的な席案内など、特定の来店顧客に特別なサービスを提供しやすくなります。
さらに、POSレジはポイント機能を持つサービスと連携することも可能です。購入金額に応じてポイントを付与し、貯まったポイントを割引や特典に交換できるようにすることで、お客様の来店モチベーションを高められます。こうした仕組みは、単なるお得感を提供するだけでなく、「またこのお店に来たい」と思わせるリピーター育成に大きく貢献します。
分析機能による売上管理と利益改善
POSレジには、売上や顧客データを分析する機能が搭載されています。単に「どのメニューがよく売れているか」だけでなく、「どの年代・性別のお客様がどれだけお金を使っているか」や「一人当たりの平均注文金額(客単価)」など、利益に直結する詳細な情報を可視化できます。
売上への貢献度が高い顧客層に対しては、特別な優待や限定メニューの案内を行い、継続的な来店を促すことができます。一方で、しばらく来店していない「休眠顧客」には、再来店を促す割引クーポンやキャンペーンを送るなど、的確なアプローチが可能です。
やみくもな販促ではなく、データに基づいた効果の出やすい戦略的な取り組みは、売上の最大化と利益率の改善に寄与します。
別途オプションサービスで予約管理も可能
USENレジTAB FOODには、飲食店向け予約台帳サービス「ebica」との連携オプションも用意されています。予約情報はリアルタイムにUSENレジTAB FOODへ共有され、逆に来店・喫食データもebicaへ反映される仕組みです。
前回の注文内容を把握しながら予約対応が行え、「前回来店ではこの料理を注文していたので、今回は別のおすすめを提案しよう」といったパーソナルなおもてなしが可能に。スタッフは電話やWEB予約の際に、既に顧客の過去履歴を把握した上で対応できるため、サービス品質の向上と接客時間の効率化が期待できます。
まとめ
顧客情報は、店舗経営を効果的に行うために欠かせないものです。顧客管理をしっかりと行えば、店舗の売上向上に大きく役立ちます。顧客管理機能を搭載したPOSシステムを導入することで、手間のかかる顧客管理も円滑に行うことができます。
顧客管理を円滑に行いたい場合は、POSシステムをぜひご検討ください。
FAQ(よくある質問)
POSレジを活用した顧客管理についてのよくある質問と回答を以下にまとめました。
POSレジで顧客管理をするメリットとは?
POSレジを使って顧客管理を行う最大のメリットは、来店履歴や注文傾向などの情報を自動で記録・集計できる点です。来店顧客の好みや購買傾向を把握しやすくなり、より適切な接客や提案が可能になります。また、来店頻度や購買金額などの情報を基に、リピーターの判別や常連化の支援も行えるため、売上の安定化にも繋がります。
さらに、POSレジはシステム連携によりクーポン配信やポイント管理などの販促機能と連動することが多く、データに基づいた戦略的なマーケティングも容易になります。手作業による管理では難しい部分を自動化できるため、業務の効率化とサービス品質の向上を同時に実現できるのです。
蓄積した顧客データはどのように活用できるのか?
POSレジに蓄積された顧客データは、店舗の運営やマーケティング戦略に幅広く活用できます。例えば、過去の注文履歴から人気メニューを分析し、新商品の開発やおすすめメニューの選定ができます。また、特定の年齢層や性別に人気のあるメニューや曜日別の来店傾向を把握することで、ターゲットに合わせたキャンペーンやイベントの企画も可能です。
さらに、来店頻度が減っているお客様に向けて再来店を促すクーポンを配信したり、誕生日などの記念日に合わせた特別なサービスを提供したりするなど、個別対応の精度を高めることもできます。蓄積されたデータを活かすことで、お客様との関係性を深め、売上の向上に直結する施策を継続的に打ち出すことができるのです。
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