店舗運営において、今やWi-Fi環境はビジネスを支える重要なインフラです。POSレジやキャッシュレス決済、在庫管理システム、監視カメラといったICT機器の活用から、来店客へのサービス向上まで、その役割は多岐にわたります。
しかし、いざWi-Fiを契約しようと思っても、「どのサービスを選べば良いかわからない」「個人契約との違いは?」「料金はどれくらいかかるの?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、店舗や法人でWi-Fi契約を検討している担当者様に向けて、インターネット回線の種類といった基本から、料金相場、失敗しない選び方、契約前の注意点、そしてセキュリティ対策まで、契約に必要な情報を網羅的に解説します。
目次
店舗運営に必須のWi-Fiとは?基本を解説
Wi-Fiとは、スマートフォンやPC、その他さまざまな機器を無線(ワイヤレス)でインターネットに接続する技術のことです。LANケーブルを使わずに通信できるため、配線を気にすることなく、店内のどこでもICT機器を利用できるのが最大のメリットです。
店舗運営においては、POSレジのデータ通信やキャッシュレス決済、顧客管理システムの利用など、安定したインターネット環境がビジネスの根幹を支えます。
Wi-Fi(インターネット回線)の主な3つの種類と特徴
店舗で利用できるWi-Fi(インターネット回線)は、主に以下の3種類に分けられます。それぞれのメリット・デメリットを、店舗利用の観点から詳しく見ていきましょう。
1. 光回線:光ファイバーケーブルを建物に引き込んで利用する固定回線です。
❚ メリット
圧倒的な通信速度と安定性:3種類の中で最も高速かつ安定しています。POSレジや決済端末など、絶対に通信を途切れさせたくない基幹システムに最適です。
データ容量が無制限:基本的には通信量を気にする必要がなく、大容量のデータを扱う業務にも安心して利用できます。
多数の機器の同時接続に強い:従業員用PC、業務用システム、お客様用Wi-Fiなど、多数の機器を同時に接続しても速度が落ちにくいです。
❚ デメリット
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開通工事が必要:導入には開通工事が必要な場合があります。申し込みから利用開始まで1ヶ月以上かかることもあり、開業スケジュールが迫っている場合には注意が必要です。
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工事ができない場合がある:テナントの構造や大家さんの意向によっては、工事が許可されないケースもあります。
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月額料金が比較的高め:高品質な分、他の方式に比べて月額料金は高くなる傾向があります。
2. ホームルーター(置くだけWi-Fi):携帯電話と同じモバイル回線を利用する、据え置き型のルーターです。
❚ メリット
工事不要で即日利用可能:申し込み後、機器が届けばコンセントに挿すだけですぐに利用を開始できます。「即日」発送に対応するサービスも多く、急いでいる場合に最適です。
配線がスッキリする:必要なのは電源ケーブルのみのため、店内をきれいに保てます。
移転時も手続きが簡単:住所変更の手続きだけで、移転先でもそのまま利用できる場合が多いです。
❚ デメリット
光回線には安定性で劣る:無線で基地局と通信するため、天候や周辺環境の影響を受けやすく、光回線ほどの安定性はありません。
登録住所以外では利用できない:モバイルWi-Fiとは異なり、基本的には契約時に登録した住所でしか利用できません。
プランによっては速度制限がある:無制限プランが主流ですが、一部のサービスでは短期間に大容量通信を行うと速度が制限される場合があります。
3. モバイルWi-Fi(ポケットWi-Fi):持ち運びが可能な小型のWi-Fiルーターです。
❚ メリット
携帯性に優れる:外出先やイベント出店時など、店舗外でもインターネットを利用できます。
工事不要で手軽:契約後すぐに利用でき、導入の手間がかかりません。
❚ デメリット
通信が最も不安定:3種類の中では最も通信が不安定で、バッテリー駆動のため長時間の利用には注意が必要です。
同時接続台数が少ない:多くの業務用機器を常時接続する店舗のメイン回線としては力不足の場合があります。
データ容量の制限:プランによってはデータ容量に上限があり、超過すると厳しい速度制限がかかります。決済システムなどが停止するリスクがあり、店舗のメイン回線としては推奨されません。
店舗向けWi-Fiの料金相場と内訳
Wi-Fi契約にかかる費用は、主に「初期費用」と「月額料金」に分けられます。法人向けサービスは個人向けに比べてやや高額ですが、その分手厚いサポートが受けられます。
初期費用でかかるもの
契約時に一度だけ支払う費用です。
❚ 契約事務手数料:3,000円(税別)程度が一般的です。
❚ 工事費(光回線の場合):派遣工事の有無や建物の種類によって変動しますが、戸建て店舗で20,000円~40,000円、集合ビル内のテナントで15,000円~30,000円程度が相場です。ただし、多くの事業者が「工事費実質無料」のキャンペーンを行っており、この特典を適用すれば負担を大幅に減らせます。
❚ 機器代金:ルーターなどの端末を購入する場合に発生します。20,000円~30,000円程度が相場ですが、こちらも「実質無料」やレンタルプランを用意している事業者が多いです。
月額料金の内訳と変動要因
毎月支払うランニングコストです。
❚ 基本料金:回線の種類やプランによって大きく異なりますが、一般的には以下の通りです。
光回線:4,000円~6,000円/月
ホームルーター(置くだけWi-Fi):4,000円~6,000円/月
モバイルWi-Fi(ポケットWi-Fi):3,000円~5,000円/月
❚ オプション料金:
固定IPアドレス:ネットワークカメラの利用や外部からのアクセスに必要。月額1,000円~8,000円と価格差が大きいです。
セキュリティサービス:ウイルス対策や不正アクセス防止など。月額500円~2,000円程度。
保守サポート:24時間対応や訪問修理など、手厚いサポート。月額1,000円~5,000円程度。
多くの事業者が、新規契約者向けに数万円単位のキャッシュバックや、数ヶ月間の月額料金割引キャンペーンを実施しています。これらの特典を比較検討することで、トータルコストを大きく抑えることが可能です。
失敗しないWi-Fiサービスの選び方と比較ポイント
数あるWi-Fiサービスの中から、自店舗に最適なものを選ぶための比較ポイントを3つご紹介します。
ポイント1:通信速度と安定性
店舗の業務を止めないためには、通信の速度と安定性が最も重要です。
❚ 「下り速度」と「上り速度」:Webサイトの閲覧や動画視聴に必要なのが「下り(ダウンロード)」速度、防犯カメラの映像やデータを送信するのに必要なのが「上り(アップロード)」速度です。店舗業務では両方の速度が重要になります。
❚ 実測値とPing値:Webサイトの「最大通信速度」は理論値です。実際に利用している人の口コミやレビューサイトで「実測値」を確認しましょう。また、通信の応答速度を示す「Ping値」が小さいほど、決済処理などのレスポンスが速くなります。
ポイント2:利用用途とデータ容量
どのような業種で、何をWi-Fiに接続するかによって最適なプランは異なります。
❚ 小売店・小規模飲食店:POSレジ、キャッシュレス決済、BGM再生が中心であれば、標準的なホームルーターや光回線で十分です。
❚ カフェ・美容室:上記に加え、お客様向けのフリーWi-Fiを提供する場合は、同時接続に強くデータ容量が無制限の光回線が推奨されます。
❚ オフィス・クリニック:顧客情報の管理や大容量データの送受信、オンライン予約システムの利用など、高いセキュリティと安定性が求められるため、サポートが手厚い法人向けの光回線が最適です。
ポイント3:法人契約のサポート体制
万が一の通信トラブルは、店舗の営業に致命的な影響を与えます。法人契約では、トラブル発生時に迅速に対応してくれる手厚いサポート体制が不可欠です。
❚ サポート窓口:土日祝日や夜間でも対応してくれるか、電話は繋がりやすいか。
❚ サポート内容:遠隔での状況確認や設定代行、専門スタッフが店舗まで駆けつけてくれる「訪問サポート」の有無は、ITに不慣れな場合に特に重要です。
❚ 代替機の提供:ルーターが故障した際に、修理完了まで代替機を貸し出してくれるサービスがあると安心です。
Wi-Fi契約の申し込みから開通までの流れ
ここでは、一般的な申し込みから利用開始までのステップを解説します。
ステップ1:サービスの比較検討
まずは、この記事で解説した「選び方」を参考に、複数のサービスを比較検討します。料金だけでなく、サポート体制や契約期間の縛りなども含めて総合的に判断しましょう。
ステップ2:申し込みと必要書類
利用したいサービスが決まったら、公式サイトのフォームや電話で申し込みます。一般的に、申込担当者の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)、法人印(または代表者印)などが必要になるため、事前に準備しておくとスムーズです。
ステップ3:工事(必要な場合)と機器設置
❚ 光回線の場合:申し込み後、工事業者と日程を調整し、開通工事に立ち会います。申し込みから開通までは、通常1~2ヶ月程度かかります。
❚ ホームルーターの場合:申し込みから最短で即日~数日で機器が発送されます。機器が届いたら、コンセントに挿して簡単な初期設定をすれば利用開始できます。
店舗Wi-Fiで最も重要なセキュリティ対策
店舗でWi-Fiを利用する上で、セキュリティ対策は避けて通れない重要な課題です。特に来店客向けのフリーWi-Fiを提供する場合は、対策を怠ると大きなトラブルに発展する可能性があります。
❚ 業務用と来客用ネットワークの分離:最も重要な対策です。POSレジやPCが接続された「業務用ネットワーク」と、お客様が利用する「フリーWi-Fiのネットワーク」は、必ず物理的または論理的に分離しましょう。分離しておけば、万が一フリーWi-Fi経由でウイルスに感染しても、業務用システムへの侵入を防ぐことができます。
❚ 最新の暗号化方式(WPA3)の利用:Wi-Fiの通信を暗号化し、第三者による盗聴を防ぎます。現在最も強固な規格である「WPA3」に対応した機器を選ぶとより安全です。
❚ ゲストWi-Fi機能の活用:多くの業務用ルーターには、来客向けのネットワークを簡単に構築できる「ゲストWi-Fi機能」が搭載されています。この機能を使えば、業務用ネットワークとは隔離された安全なフリーWi-Fiを提供できます。
Wi-Fi契約前に確認しておきたい4つの注意点
契約してから後悔しないための最終チェックポイントです。
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契約期間と解約金:多くのサービスには「2年縛り」「3年縛り」といった契約期間が設けられています。期間内に解約すると違約金が発生することがあります。自動更新の仕組みも確認し、店舗の将来的な計画(移転、閉店など)も考慮して慎重に選びましょう。
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提供エリアの確認:特にモバイル回線を利用するホームルーターは、場所によって電波が繋がりにくい場合があります。契約前に公式サイトのエリアマップで、自店舗が5Gなどの高速通信エリアに対応しているかを必ず確認しましょう。
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本当に必要なスペックか:高機能なサービスは魅力的ですが、自店舗の利用状況に対してオーバースペックだと無駄なコストになってしまいます。まずは最低限必要な要件を洗い出し、最適なスペックのプランを選びましょう。
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オプション契約の要否:申し込み時に、不要なオプションが自動で付帯している場合があります。契約内容をよく確認し、自店舗に本当に必要なオプションだけを選ぶようにしましょう。
店舗のWi-Fi契約に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 個人契約のWi-Fiを店舗で使ってもいいですか?
A1. 推奨されません。多くの個人向けサービスでは、利用規約で事業目的での利用を禁止している場合があります。また、法人向け契約に比べてサポート体制が手薄なため、トラブル発生時に営業に支障が出るリスクがあります。法人・店舗用途であれば、必ず法人契約が可能なサービスを選びましょう。
Q2. Wi-Fiの電波が弱い・届かない場所がある場合、どうすればいいですか?
A2. 「メッシュWi-Fi」を導入することで改善できます。中継機は親機の電波を増幅して遠くまで届ける装置で、メッシュWi-Fiは複数の機器が網目のように連携し、店舗全体をカバーするより高度な仕組みです。フロアが複数ある、あるいは構造が複雑な店舗におすすめです。
Q3. 支払い方法には何がありますか?
A3. クレジットカード払いが基本ですが、法人契約の場合は「請求書払い」や「口座振替」に対応しているサービスも多くあります。企業の経理上の都合に合わせて支払い方法が選べるかどうかも確認ポイントです。
【結論】店舗・法人におすすめのUSENのWi-Fiサービス
これまで解説した選び方や注意点を踏まえ、店舗運営のお悩みを解決できるUSENのWi-Fiサービスを2つご紹介します。
① すぐに高速な業務用回線が欲しいなら「USEN AIR UNLIMITED」
工事不要で、コンセントに挿すだけですぐに使える業務用Wi-Fiサービスです。5Gに対応したデータ容量無制限の高速通信で、POSレジやキャッシュレス決済など、混雑時でも業務用の通信を優先する機能があるため、安定した店舗運営を実現します。
▼こんな店舗におすすめ
新規開業で、すぐにインターネット環境が必要
光回線の工事ができない、または配線をすっきりさせたい
レジや決済、オーダーシステムなど複数の業務用機器を安定して使いたい
② お客様へのフリーWi-Fi提供で集客したいなら「USEN Wi-Fi」
来店客向けのフリーWi-Fi(公衆無線LAN)を手軽に導入できるサービスです。業務用のネットワークと完全に分離しているため、セキュリティ面も安心です。Wi-Fiの規格「Wi-Fi6」に対応し、来店客が同時に多数接続しても高速通信を維持できます。
▼こんな店舗におすすめ
カフェやレストラン、美容室などお客様の滞在時間が長い
フリーWi-Fiの提供をアピールして、集客や顧客満足度を向上させたい
来店客の属性などを分析し、マーケティングに活かしたい
まとめ
店舗・法人向けのWi-Fi契約は、個人の契約とは異なり、ビジネスの安定稼働を左右する重要な経営判断です。目先の料金だけで選ぶのではなく、「通信の安定性」「利用用途に合ったスペック」「トラブル時のサポート体制」「セキュリティ」といった多角的な視点で、自店舗に最適なサービスを選ぶことが成功の鍵となります。
この記事で解説したポイントを参考に、ぜひ後悔のないWi-Fi契約を実現してください。

