バーの開業に憧れを抱きつつも、「何から始めればいいのか分からない」「資金はどれくらい必要だろうか?」といった不安や疑問を感じていませんか。自分の理想の空間をつくり上げ、お客様との交流を楽しめるバー経営は非常に魅力的ですが、トラブルなく運営していくためには事前の準備が不可欠です。
本記事では、バーを始める前に知っておくべきことから、開業資金の目安、必要な資格・手続き、そして経営を軌道に乗せるためのポイントまで、網羅的に解説します。
目次
▼この記事のポイント
| 項目 | 概要 |
| バー開業に必要な資金は? | 初期費用は、500万円~1,000万円が目安で、月々の運転資金は50万円~80万円程度が目安である。 |
| バー開業に必要な資格は? | 「食品衛生責任者」と「防火管理者」が必須である。飲食店の営業と安全管理に関する法律で義務付けられている。 |
| バー開業に必要な手続きは? | 保健所への「飲食店営業許可」や警察署への届出(※深夜0時以降営業する場合)が必須である。 |
| バー経営を成功させるポイントは? | 競合との競争に勝ち、安定した収益を確保するためには、差別化、リピーター獲得、業務効率化が重要である。 |
バーを始める前に知っておくべきことは?

バーの開業を具体的に進める前に、まずはその魅力と現実を理解し、そしてどのような種類のバーがあるのかを把握しておくことが重要です。ここでは、以下の2つの点について解説します。
- バーを始める魅力と現実
- バーの種類
バーを始める魅力と現実
自分の理想の空間を演出し、お酒や会話を通じてお客様と深い関係性を築けることは、バー経営の大きな魅力です。しかし、その裏には経営者として押さえておきたい現実も存在します。バー経営の魅力と現実には、主に以下のような点が挙げられます。
【魅力】
自分のこだわりのお酒を提供し、お客様と直接コミュニケーションを取ることで、常連客との信頼関係を築ける
夜間営業で自由な働き方ができ、日中の時間を有効活用できる
【押さえておきたい現実】
仕込みや片付け、経営業務を含めると労働時間は長くなりがちで、定休日以外に休みを取るのが難しい場合がある
従業員とは異なり、売上や資金繰りの全責任を負い、集客や人材確保といった経営課題にも向き合う必要がある
こうした現実もありますが、お客様と直接コミュニケーションを取ることが好きな方や自分のこだわりのお酒を提供することにやりがいを感じる方には、店舗を構える価値があるでしょう。
バーの種類
バーには多様な業態があり、それぞれ特徴やターゲット層、必要な資金額が異なります。ここでは、代表的なバーの種類を3つ比較してみましょう。
| バーの種類(代表例) | 特徴 |
| オーセンティックバー | 本格的で格式のあるバー。接客・技術・知識が求められるため経験豊富なバーテンダーが必要。静かで落ち着いた雰囲気があり、客層は富裕層やビジネスマンなどが多い。常連客獲得とリピート率を重視する。 |
| ショットバー | 気軽に一杯飲めるバー。カウンター中心でコンパクトな店舗でも開業可能。客層は若者や仕事帰りの人が多く、短時間での利用のため、回転率を高めやすいのも特徴。 |
| ワインバー/ビアバー | ワインやクラフトビールに特化したバー。ワインセラーやビールサーバーなどの設備が必要。客層はお酒好きの人が多く、ソムリエ資格者やビールに詳しいスタッフがいると差別化がしやすい。 |
| スポーツバー/ダーツバー | スポーツ観戦やゲームを楽しめるバー。友人同士やイベント目的の客が多く、賑やかな雰囲気が特徴。大型スクリーン、ダーツ機、音響設備などが必要。イベント時の集客力が鍵となり、曜日や時間帯によって売上に波が出やすいのが特徴。 |
| バル | スペイン風の居酒屋的バー。オープンキッチン、立ち飲みスペースなどカジュアルな内装が多め。客層は食事とお酒を楽しみたい層、女性グループ、カップルが多く、料理の質と価格バランスが重要。 |
| テーマバー(鉄道バー、アニメバーなど) | 特定のテーマに特化したバー。客層はそのテーマに興味があるファン層が多い。また観光としての利用も多い。テーマに沿った装飾や衣装、スタッフが必要。 |
このように、バーの種類によって求められるスキルや経営戦略は大きく異なります。まずはそれぞれの特徴を理解し、自分に合った業態を見極めましょう。
バーを始める際に必要な資金の目安は?

バーを開業するには、店舗の準備にかかる「初期費用」と、開業後に経営を維持するための「運転資金」が必要です。ここでは、それぞれの費用の目安と、コストを抑えるためのポイントを解説します。
初期費用の相場と内訳
バーの開業には、一般的に総額500万円~1,000万円程度の初期費用が必要とされています。これは店舗の規模や立地、内装へのこだわりによって大きく変動します。主な内訳は以下の通りです。
| 細目 | 内容 |
| 物件取得費 | 保証金(家賃の6~12ヶ月分が相場)、礼金、仲介手数料など |
| 内装・外装工事費 | デザイン設計、電気・水道・ガス工事、壁紙や床の施工費用など(一坪当たり30~70万円前後) |
| 厨房・什器備品費 | 製氷機、冷蔵庫、グラス、シェイカー、カウンター、椅子、テーブルなどの購入費用 |
| 広告宣伝費 | ショップカード、チラシ、WEBサイト制作、SNS広告などの費用 |
| その他 | 食器、おしぼり、レジ、音響設備などの購入費用 |
毎月の運転資金の目安
開業後の経営を安定させるためには、最低でも3~6ヶ月分の運転資金を用意しておくことが推奨されます。月々の運転資金は50万円~80万円程度が目安です。主な内訳は以下の通りです。
| 細目 | 内容 |
| 家賃 | 立地や広さによって異なるが、都心部は高い傾向にある |
| 仕入れ費用 | お酒、食材などの原価 |
| 人件費 | スタッフを雇用する場合の給与 |
| 水道光熱費 | 電気、ガス、水道料金 |
| 広告宣伝費 | グルメサイトの掲載料、SNS運用代行費用など |
| その他 | 通信費、消耗品費など |
コスト削減のポイント
開業資金を少しでも抑えるためには、いくつかの工夫が可能です。賢くコストを削減し、運転資金に余裕を持たせましょう。コスト削減には、以下のような方法があります。
- 居抜き物件の活用:前の店舗の内装や設備をそのまま引き継げるため、内装工事費や設備購入費を大幅に抑制できる
- 中古品の活用:厨房機器やテーブル、椅子などの什器備品を中古品で揃えることで、初期投資を抑えられる
- DIYによる内装工事:壁の塗装や棚の設置など、専門技術が不要な部分を自分で行うことで、工事費用を削減できる
バー開業で使える助成金・補助金制度とは?

起業、開業をサポートすべく、国や地方公共団体では様々な補助金や助成金の制度を整えています。ここでは、代表的な3つの制度の概要を紹介します。
- 小規模事業者持続化補助金
- IT導入補助金
- 各自治体の補助金
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者が持続的な経営を行うために策定した経営計画に基づき、販路開拓や生産性向上に取り組む費用の一部を支援する制度です。開業後の運転資金として活用できます。
例えば、新規お客様獲得のためのチラシ作成やWEBサイト制作、店舗の改装などが補助対象となります。ただし、申請には商工会議所や商工会の補助支援を受けながら、具体的な経営計画書を作成する必要があります。
IT導入補助金
IT導入補助金とは、中小企業・小規模事業者が自社の課題やニーズに合ったITツール(ソフトウエア、アプリ、サービスなど)を導入する経費の一部を補助する制度です。POSレジや会計ソフト、勤怠管理システムなどの導入費用に活用できます。
開業直後であっても、申請要件を満たせば利用可能です。申請には、労働生産性の向上に関する具体的な数値目標を設定することなどが求められます。
参考:IT導入補助金
各自治体の補助金
多くの自治体では、地域経済の活性化や創業者支援を目的とした独自の補助金・助成金制度を設けています。例えば、東京都では「創業助成事業」があり、都内での創業を予定している個人や創業後5年未満の中小企業者などを対象に、賃借料や広告費、設備費などの経費の一部を助成しています。
これらの制度は、国が実施する補助金よりも採択率が高い場合や、開業前から申請できるものもあります。まずは自身の開業予定地の自治体のWEBサイトを確認し、活用できる制度がないか調べてみましょう。
参考:創業助成金
バーを始める際に必要な資格は?

バーを開業し、飲食物を提供するためには、法律で定められた資格の取得が必須です。ここでは、特に重要な2つの資格について概要を解説します。
- 食品衛生責任者:飲食物を提供する全店舗に必須の資格
- 防火管理者:店舗の収容人数に応じて必要となる火災予防の専門資格
食品衛生責任者
食品衛生責任者とは、食品関連施設で衛生管理を担う責任者で、食品衛生法に基づき施設ごとに1名の設置が義務付けられています。
食品衛生責任者になるためには、調理師、栄養士、製菓衛生師などの資格を持っているか、資格がない場合は各都道府県知事などが実施する養成講習会を修了する必要があります。営業者は食品衛生責任者の意見を尊重し、衛生管理を行わなければなりません。
参考:一般社団法人東京都食品衛生協会「食品衛生責任者について」
防火管理者
防火管理者とは、多数の人が利用する建物などでの火災被害を防ぐため、消防計画の作成や訓練の実施など、防火管理業務を行う責任者のことです。
消防法では、一定規模の防火対象物の管理権原者は、有資格者の中から防火管理者を選任することが義務付けられています。選任の要否は、建物の用途、規模、収容人員などによって異なるため、管轄の消防署への確認が必要です。
資格は、防火対象物の規模等に応じた甲種または乙種の防火管理講習を修了することで取得できます。
参考:一般財団法人日本防火・防災協会「防火管理講習」
バーを始める際に必要な行政手続き・届出の一覧

バーの開業には、資格取得だけでなく、管轄の行政機関への様々な手続きや届出が必要です。これらを怠ると罰則の対象となるため、漏れなく準備を進めましょう。ここでは、バー開業に必要な主な行政手続き・届出の概要を紹介します。
| 届出の種類 | 概要 |
| 飲食店営業許可 | 飲食店を営業する場合に必要 |
| 深夜酒類提供飲食店営業開始届 | 深夜0時以降に営業する場合に必要 |
| 特定遊興飲食店営業許可申請 | 深夜にお客様に遊興させる場合に必要 |
| 防火管理者選任届出 | 防火管理者を選任した場合に必要 |
| 開業届・個人事業開始申告書 | 開業時に必要 |
飲食店営業許可
飲食店営業許可とは、飲食店を営業するために保健所から取得する必要がある許可です。この許可なく営業すると、食品衛生法違反となります。
申請には、店舗の設計図を持参して保健所に事前相談を行い、施設の基準を満たしているか確認してもらう必要があります。その後、申請書類を提出し、保健所の担当者による店舗の施設検査に合格することで許可証が交付されます。
参考:食品衛生の窓(東京都保健医療局) 「食品関係営業許可と届出(旧法許可)」
深夜酒類提供飲食店営業開始届
バーやスナックなどが深夜0時から午前6時の間に、主食以外の酒類を提供して営業する場合は、深夜酒類提供飲食店営業に該当します。その時間帯に営業を行う際には、風営法に基づき深夜酒類提供飲食店営業開始届を公安委員会に提出しなければなりません。
届出は、営業所の所在地を管轄する警察署へ、営業開始届出書、営業方法を記載した書類、平面図、住民票の写し(法人の場合は定款や登記事項証明書など)を提出します。営業内容の変更や廃止の際にも、同様に届出が義務付けられています。
参考:警視庁「深夜酒類提供飲食店営業(様式一覧)」
参考:鳥取県「深夜酒類飲食店営業とは」
特定遊興飲食店営業許可申請
特定遊興飲食店営業許可とは、深夜0時以降にお客様に遊興させ、かつ酒類を提供する場合に必要な許可です。風営法に基づき、管轄の警察署に申請します。
この許可は深夜酒類提供飲食店営業よりも要件が厳しく、保護対象施設からの距離規制や営業地域の制限があります。また、午後10時以降の18歳未満の立ち入りを禁止し、20歳未満への酒類提供禁止などを明確に掲示する義務も生じます。
参考:警視庁「特定遊興飲食店営業に係る許可制の新設」
防火管理者選任届出
防火管理者選任届出とは、防火管理者の資格を持つ者(防火管理者)を選任したことを管轄の消防署に届け出るための書類です。選任後は遅滞なく、この届出書とあわせて、防火管理者が作成した「消防計画」も届け出る必要があります。これらはセットで提出するのが一般的で、届出を怠ると消防法違反となるため注意しましょう。
参考:東京消防庁「防火・防災管理者選任(解任)届出書」
開業届・個人事業開始申告書
個人事業主としてバーを開業する場合、国税と地方税に関する2つの届出が必要です。
- 開業届(個人事業の開業・廃業等届出書):国税に関する届出で、事業を開始した日から1ヶ月以内に管轄の税務署へ提出する
- 個人事業開始申告書:地方税(事業税)に関する届出で、各都道府県の税事務所へ提出する ※提出期限は自治体によって異なる
また、開業届と同時に「青色申告承認申請書」を提出することで、最大65万円の特別控除が受けられるなど、税制上の優遇措置を受けられます。
参考:国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」
バーを始める際によくある質問

ここでは、バーの開業を検討している方からよく寄せられる質問とその回答を紹介します。
バーは未経験でも開業できるか?
A. はい、バーは未経験でも開業可能です。必要な資格を取得し、行政手続きを順番に進めていけば、誰でもオーナーになることができます。飲食店の中でも、バーは比較的未経験者でも始めやすい業態と言えます。その理由には、以下のような点が挙げられます。
- 原価率が低く、食材ロスが少ない:お酒は長期保存が可能で、フードメニューも乾き物などが中心であれば食材ロスを最小限に抑えられる
- 客単価が高く、利益率を確保しやすい:専門的なお酒を提供することで、他の飲食店よりも高い客単価を設定しやすい
- 小規模で開業しやすい:カウンター中心の小さな店舗であれば、オーナー1人での運営も可能で、初期投資を抑えられる
ただし、成功するためには、人気店のコンセプトやサービスを分析したり、出店予定エリアの市場調査を行ったりするなど、入念な準備が不可欠です。
バーの開業でよくある失敗例と対策は?
A. 代表的な失敗例と対策は以下の通りです。
| よくある失敗 | 対策 |
| 想定より売上が少なく資金ショートする | 開業時に最低でも3~6ヶ月分の運転資金を確保し、余裕を持った資金計画を立てる。 |
| ターゲットが不明瞭で集客できない | 年齢、性別、職業、ライフスタイルなど、具体的なお客様像を設定し、コンセプトや内装、メニューに一貫性を持たせる。 |
| 接客が雑でリピーターがつかない | オーナー自身が接客の基本を学び、スタッフを雇用する場合はマニュアルを作成して教育を徹底する。 |
| 開業後の帳簿管理が甘い | 日々の売上や経費を正確に記録・管理するため、POSレジや会計ソフトを導入する。 |
バー開業でよくある失敗とその対策を知っておくことで、リスクを回避しやすくなります。コンセプトなど経営を成功させるポイントの詳細については後述します。
バーを始めるまでの流れは?

バーの開業は、思いつきで始められるものではありません。成功確率を高めるためには、計画的にステップを踏んでいくことが重要です。ここでは、バーを開業するまでの一般的な7つのステップを紹介します。
- コンセプト・事業計画の策定
- 許認可・資金調達
- 出店場所の選定
- 店舗の内外装・設備工事
- 仕入れ・設備の準備
- スタッフの募集
- 集客
1.コンセプト・事業計画の策定
まず始めに、どのようなバーにしたいのかという「コンセプト」を固めます。コンセプトは、店舗の方向性を決める最も重要な土台となります。以下の点を明確にしましょう。
- どのようなお客様に来てほしいか(例:20代の若者、仕事帰りのサラリーマン、お酒好きの女性)
- 他のバーにはない独自の強みは何か(例:珍しいウイスキーの品揃え、プロジェクターでの映画上映、演奏・BGMは特定の音楽ジャンルに特化)
- 初期費用や運転資金を算出し、売上目標と利益計画を立てる
2.許認可・資金調達
コンセプトと事業計画が固まったら、開業に必要な許可や資格の取得準備と、資金調達を進めます。具体的には、以下の行動が必要です。
- 必要な営業許可と資格の取得:「食品衛生責任者」や「防火管理者」の資格取得スケジュールを立て、保健所や警察署への届出準備を進める
- 活用可能な助成金の確認:国や自治体のWEBサイトで、自身が利用できる補助金・助成金の申請と並行して、自己資金で不足する分を補うための資金調達方法を決定する
3.出店場所の選定
店舗の立地は売上を左右するため、事業計画で定めたコンセプトやターゲット層に合った場所を慎重に選びましょう。立地選定では、以下の点を確認します。
- 高級志向なら落ち着いたエリア、若者向けなら繁華街など、コンセプトに合った雰囲気の場所を選ぶ
- 家賃、広さ、周辺の競合店の状況などを調査し、事業計画と照らし合わせて物件を判断する
- 初期費用を抑えたい場合は、条件に合う居抜き物件がないかも検討する
居抜き物件とは、前の店舗の内装や設備がそのまま残されている物件のことで、内装工事費や設備購入費を抑えられるメリットがあります。
4.店舗の内外装・設備工事
出店場所が決まったら、店舗の内外装工事と設備の設置を進めます。工事を進める上でのポイントは以下の通りです。
- ターゲットが魅力を感じるような、一貫性のある内装デザインを設計(依頼)する
- 厨房のシンクの数や手洗い場の設置など、飲食店営業許可の基準をクリアする設備を整える
- 複数の業者から見積もりを取り、実績や費用を比較検討して依頼先を決定する
5.仕入れ・設備の準備
内外装工事と並行して、運営に必要な備品や設備の準備、仕入れ先の確保を行います。オープン直前に慌てないよう、リストを作成して計画的に進めましょう。主な準備項目は以下の通りです。
- グラス、皿、カトラリー、テーブル、椅子などの備品を揃える
- お酒や食材の仕入れ先となる卸売業者を選定し、取引契約を結ぶ
- 売上管理や会計を効率化するため、POSレジやキャッシュレス決済端末を導入する
6.スタッフの募集
店舗の規模によっては、オーナー1人での運営が難しい場合があります。その場合は、スタッフの採用と教育が必要です。人員計画では、以下の点を考慮しましょう。
- 店舗規模に応じた人員配置:一般的に、10~15坪程度の小規模な店舗であればオーナー1人での運営も可能だが、それ以上の規模では複数名のスタッフが必要になる
- 繁閑を考慮したシフト作成:週末や繁忙期に合わせて、適切な人数のスタッフを配置できるようシフトを組む
7.集客
店舗が完成し、オープン日が決まったら、集客活動を開始します。どんなに素晴らしいバーを作っても、その存在を知ってもらえなければお客様は訪れません。以下のような形でオープン前から多角的に宣伝活動を行いましょう。
- SNSでの情報発信:InstagramやX(旧Twitter)などで、お店のコンセプトや内装、こだわりのメニューなどを発信し、オープンへの期待感を高める
- WEBサイトやグルメサイトの活用:店舗の基本情報や地図を掲載し、オンラインでの認知度を上げる
- チラシやショップカードの配布:近隣の住民やオフィスワーカーに向けて、オープンを告知する
バー経営を成功させるポイントは?

競争の激しいバー業界で生き残り、繁盛店となるためには、戦略的な経営が不可欠です。ここでは、バー経営を成功に導くための6つの重要なポイントを解説します。
- 差別化要素を確立する
- 店舗規模やコンセプトに合った立地を選定する
- リピーター・常連客の獲得に注力する
- 初来店の客が入りやすい雰囲気をつくる
- お客様の利便性を高める
- 業務を効率化する
差別化要素を確立する
バー経営を成功させる上で、競合との差別化は極めて重要です。多くのバーがひしめく中で、お客様に「この店に行きたい」と思わせる独自の魅力がなければ、選択肢にすら入らない可能性があります。
こうした状況に対して、以下のような方法で他店にはない特徴を打ち出し、お店の個性を確立しましょう。
- 客層・客数に合わせたBGMを流し、店舗の雰囲気をつくり上げる
- オリジナルのフードメニューを開発する
- 独自のカクテルや希少なドリンクメニューを提供する
- ダーツやカラオケなどを導入し、エンターテインメント性を高める
- 後述するキャッシュレス決済を導入し、利便性の高さでアピールする
店舗規模やコンセプトに合った立地を選定する
店舗の立地選定は、集客の成否を大きく左右します。ターゲットとする客層やお店のコンセプトと、立地の特性がマッチしていなければ、効果的な集客は困難になります。
例えば、オフィス街では平日の仕事帰りの客層が中心ですが、住宅街では近隣住民が週末に訪れる傾向があるなど、場所によって客層や来店時間帯は大きく異なります。人通りの量だけでなく、時間帯による変化や周辺の競合店の状況も詳細に調査し、自身のコンセプトに最適な場所を見極めることが重要です。
リピーター・常連客の獲得に注力する
バー経営の安定は、リピーターや常連客の存在によって支えられます。新規お客様の獲得ももちろん重要ですが、一度来店してくれたお客様に「また来たい」と思ってもらう努力が、長期的な成功の鍵を握ります。
バーの収益は、常連客からの継続的な収入が中心となるため、一人ひとりのお客様と丁寧に向き合うことが何よりも大切です。相手の話に耳を傾け、心地よい時間と空間を提供するなど、高いコミュニケーション能力を磨き、お客様との信頼関係を築いていきましょう。
初来店の客が入りやすい雰囲気をつくる
「バーは敷居が高い」というイメージを持つ人は少なくありません。そのため、いかにして初来店のお客様に入店してもらうかは、多くのバー経営者が抱える課題です。常連客を大切にしつつも、新規お客様を獲得するための工夫が求められます。
具体的には、以下のような対策で、初めての人でも入りやすい雰囲気をつくり出すことができます。
- 外観の工夫:店内の様子が少し見えるようにしたり、メニューや料金を明記した看板を設置したりして、安心感を与える
- 来店特典の用意:初回限定のウエルカムドリンクや割引クーポンなどを用意し、来店へのハードルを下げる
お客様の利便性を高める
現代の消費者のニーズに応え、お客様満足度を高めるためには、利便性の向上が不可欠です。特に、キャッシュレス決済への対応は、今や飲食店にとって必須の取り組みと言えます。キャッシュレス決済の導入は、店舗とお客様の双方にメリットをもたらします。
【店舗側のメリット】
レジ締め時の現金計算や銀行での両替・入金といった手間と時間を大幅に削減できる
多様な支払い方法に対応することで、お客様の利便性を高め、満足度向上に繋げられる
「現金がないから」という理由での来店見送りを防ぎ、機会損失を削減できる
【お客さま側のメリット】
現金の持ち合わせを気にせず、迅速に支払いが完了する
現金に触れる必要がない非接触決済は、衛生的である
クレジットカードやQRコード決済のポイントが貯まるため、お得感がある
実際、キャッシュレスやクレジットカード決済の代行を行なっているアルファノート株式会社の「飲食店利用者のキャッシュレス実態調査」では飲食店の支払い方法のうちキャッシュレス決済が約85%を占めることが判明しています。また、TesTee Labの「キャッシュレス決済に関する調査」(2025)では、回答者の58.4%が「キャッシュレス決済の有無が店舗選びの決め手になる」と回答しており、消費者からの強いニーズがうかがえます。
出典:アルファノート株式会社「飲食店利用者のキャッシュレス実態調査」
出典:TesTee Lab:https://lab.testee.co
業務を効率化する
バー経営をはじめ飲食店経営において、接客だけでなく、売上管理、在庫管理、会計など、多岐にわたる業務が発生します。これらのバックオフィス業務を効率化し、オーナーやスタッフが本来注力すべき接客に集中できる環境を整えることが重要です。
その解決策として、POSレジの導入が挙げられます。POSレジを活用することで、以下のような様々なメリットが得られます。
- 日々の売上データをリアルタイムで把握できるほか、人気商品や売れ筋でない商品の分析も容易になる。また、食材の在庫管理も効率化され、廃棄ロスを削減できる
- 会計作業が迅速化され、繁忙時の対応がスムーズになる。また、レシート発行や日々の売上集計といった手作業を自動化し、負担を軽減できる
- お客様の情報を「新規/リピーター」や「性別」「年代別」に分類して集計することで、お店のターゲット層を客観的に把握・分析することができる。そのデータをもとに、ターゲットに合わせたメニュー開発や価格の見直しを行うなど、効果的な販促施策を実施できる。
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