飲食や小売業界は、近年の物価上昇や人件費の高騰により、利益を確保しながら売上を伸ばす施策が求められています。そんな中、注目されているのが「バンドル販売(商品)」です。これは複数の商品や製品を組み合わせて一括で販売する方法で、客単価の向上や在庫消化にも繋がります。
本記事では、バンドル販売の意味や活用例、導入時のメリット・注意点などを解説します。ぜひ参考にしてみてください。
目次
バンドル販売やバンドル商品とは?

まずはバンドル販売とは何かを把握しておきましょう。ここではその基本的な意味と、通常のセット販売との違いについて解説します。
バンドル販売とセット販売の違い
まず、バンドル販売とは、複数の商品を一つのまとまりとして販売する手法です。特徴は、組み合わせや価格設定を柔軟に変えられる点にあります。これに対し、セット販売はあらかじめ決まった商品を一定価格で提供する形式で、柔軟性はバンドル商品ほど高くありません。
例えばアパレル店では、「スーツ・シャツ・ネクタイ」の3点をあらかじめ決められた内容で販売するのがセット販売です。一方、バンドル販売では「トップス2点+パンツ1点を自由に選べる3点まとめ販売」のように、お客様自身が組み合わせを選べる形態が特徴です。小売店やECサイトでも同様に、バンドル販売ではお客様が商品を組み替えて購入できることが特徴です。
なぜ今バンドルが注目されているのか
現在、バンドル販売が注目されている背景には、消費者の「お得に買いたい」という意識の高まりがあります。物価上昇の影響で、価格に敏感な消費者が増え、「まとめて買えば安くなる」提案が受け入れられやすくなっています。
また、広告費をかけずに売上改善を図れる販促手段としても、飲食店や小売業界の現場でニーズが高まっています。例えば店頭で「◯点まとめて◯円」と掲示するだけで反応が得られるケースもあり、特に短期キャンペーンや期間限定プロモーションとの相性も良好です。
バンドル販売の活用事例
バンドル販売は、飲食店や小売業、ECサイトなど様々な業種で活用が進んでいます。例えば飲食店では、「パスタに好きなドリンクを追加してワンプレートで提供」「ハンバーガーに好きなサイドメニューを追加して提供」などがバンドル販売としてよく使われています。
小売業では、「選べるお風呂グッズ3点」「就活セット」のような実用的な組み合わせが見られます。ECサイトでは「まとめてカートに入れるボタン」の設置など、オンラインならではの施策も展開されています。バンドル販売は今や多業種に広がりつつある販売戦略の一つです。
バンドル売りのメリットと効果

ここでは、バンドル販売が小売店にもたらす具体的な利点について解説します。客単価の向上、在庫の効率的な消化、顧客満足度の向上など、実際に得られる効果を見ていきましょう。
客単価が向上する
バンドル販売は、複数の商品をまとめて購入してもらうことで、自然と客単価を引き上げるクロスセル効果があります。例えば、ベルトやネクタイといった小物商品も、シャツやジャケットと一緒にコーディネート提案として打ち出すことで、「せっかくだから一式揃えよう」と考えるお客様が増えるでしょう。
これは、いわゆる「ついで買い」を誘発する販売方法で、小売店においては特に有効です。セットに含まれる商品の価格を分かりやすく提示することで、選択の手間を減らし、円滑に注文へ繋げることが可能です。
在庫消化できる
バンドル販売は、在庫処理にも有効です。特に出数が伸びにくい商品や、賞味期限が近い食材などを主力商品と組み合わせることで、自然な形での消化が期待できます。
例えばアパレル業界では、在庫として残っているストールや帽子などの小物類を、シャツやアウターと組み合わせて「3点まとめ割」などの形で販売することで、単品では動きにくい商品にも再び価値を持たせることができます。
また、春夏物や秋冬物の切り替え時期には、季節感のあるアイテムをセットにして提案することで、タイムリーな印象を与えられます。同時に、在庫回転率の向上にも繋がるでしょう。
顧客満足度・リピート率が向上する
「お得に見える」「色々楽しめる」といった体験ができるバンドル販売は、顧客満足度を高め、再来店に繋がりやすくなります。
例えば、「選ぶ手間が省ける」「一度に複数の商品を試せる」といった感覚が、お客様には利便性として伝わります。さらに、他の小売店では見かけないような独自の組み合わせを提供することで、「また行ってみたい」「別のセットも試したい」といったリピート意欲を刺激します。
新たなニーズを発見できる
バンドル販売は、従来の売れ筋だけでは見えなかった新たなニーズの掘り起こしにも役立ちます。例えば、単品ではあまり注目されなかったスカーフや帽子などのアクセサリーを、シャツやアウターとの組み合わせで販売したところ、「この組み合わせが便利」「コーディネートの参考になる」といった高評価を得ることがあります。
このような意外な組み合わせの発見が、新商品の開発や人気商品の再評価に繋がるケースもあります。お客様の反応を通じて、次の施策や企画に活かせるヒントが得られるのは、現場の担当者にとって大きな収穫でしょう。
バンドル販売のデメリットと注意点

ここでは、バンドル販売を導入する際に気をつけたいポイントを解説します。現場で起こりやすい課題やリスクを把握し、事前に備えておくことが成功への近道です。
商品登録や商品管理が複雑になる
バンドル販売を行うには、POSや注文システムへの商品登録や、在庫連動の設定が必要です。単品商品とは別に、組み合わせごとの情報を管理しなければならず、事前の設計や運用ルールの整備が欠かせません。
また、店舗スタッフにとっても、在庫管理や会計処理の流れが変わるため、導入時には業務の見直しやスタッフ教育が求められます。滞りなく導入するためには、現場の業務フローとの整合性を意識した準備が重要です。
利益率が下がる場合がある
バンドル販売はお得感を前面に出すことが多いため、単品販売よりも価格設定を低くするケースが一般的です。その結果、割引率が大き過ぎると、粗利が圧迫されてしまうリスクがあります。
特に原価の高い商品を含む組み合わせでは注意が必要で、価格設定を誤ると、売上は上がっても利益が残らないといった事態に陥ることもあります。あらかじめ原価率を試算し、どの組み合わせなら利益を確保できるかを予測しておくことが大切です。
バンドル販売を成功させるためのポイント

ここでは、小売店がバンドル販売を上手く機能させるために意識すべき具体的な工夫や考え方を紹介します。組み合わせ方や価格設計、伝え方まで幅広く取り上げます。
広告費ゼロで販促できる
バンドル販売の魅力の一つは、広告費をかけずに売上を伸ばせる点にあります。商品自体が販促の役割を果たすため、特別な広告を行わなくても、お得な組み合わせを前面に出すことで自然な購入促進が可能です。
実際、店頭のPOPやポスターで「セット割」「今だけ限定」などの表現を添えるだけでも反応が得られることが多く、LINE配信やキャンペーンとの相性も良好です。この施策により、小規模店舗でも手軽に販促ができます。
組み合わせのセオリーを理解する
効果的なバンドル販売には、組み合わせ方に一定のセオリーがあります。例えば、小売店であれば、洗剤とスポンジ、歯ブラシと歯磨き粉といった「一緒に使うもの」を組み合わせて提案するのが王道です。
また、売上データをもとに一緒に購入されやすい商品を分析することで、実際の購買行動に即した組み合わせが可能になります。商品の在庫回転率も考慮しながら、販売側の意図とお客様の満足を両立できる構成を考えることが成功のカギです。
さらに「サンドイッチ戦略」など、他の戦略と組み合わせることも効果的です。サンドイッチ戦略とは、本当に買ってほしい商品を中心に「松・竹・梅」のような形で選択肢を用意する手法です。人はこうした選択肢がある際に、中間のものを選びやすい傾向があります。上手く活用すれば、利益率の高い商品や主力商品を購入してもらいやすくなるでしょう。
組み合わせに付加価値を持たせる
単に商品をまとめるだけでなく、「どのような場面で使うのか」という提案を添えることで、バンドル販売に付加価値を持たせることができます。
例えば、「新生活スタートセット(洗剤・タオル・収納ケース)」や「雨の日対策セット(折りたたみ傘・防水スプレー・タオル)」のように、特定のシーンを想定した組み合わせにすれば、お客様が使用シーンをイメージしやすくなり、購入の後押しになります。意味のある組み合わせは、商品そのものの価値を引き上げ、購買意欲を高める要素になります。使うシーンが具体的に思い浮かぶ提案が鍵となります。
ユーザーニーズから組み合わせを考える
お客様の声をもとに商品構成を考えることで、より効果的なバンドル販売が実現できます。具体的には、購入履歴やアンケート、SNS上の投稿などを分析し、「どういう組み合わせが求められているのか」を逆算することが重要です。
意外なニーズが見えることもあり、それが新しいセット商品開発のきっかけになるケースもあります。現場の感覚だけに頼るのではなく、ユーザー視点に立った構成づくりを意識しましょう。
価格設定と利益率の最適化をさせる
お得感と利益のバランスを取る価格設定が重要です。セット価格が単品合計より安く見えることは必須ですが、割引率が高過ぎると粗利が下がるため注意してください。
この時に有効なのが「コスト・リーダーシップ戦略」です。これは、仕入れや業務の効率化でコストを下げつつ、競合より低価格で商品を提供する戦略です。
重要なのは、ただ安く売るのではなく、利益をきちんと確保できる価格と構成を設計することです。しっかりと数字を見ながら無理なく続けられる仕組みを考えましょう。
キャッチコピーを工夫する
「まとめ割」「今だけ」「限定セット」など、直感的で魅力的な言葉を使ったキャッチコピーは、バンドル販売を成功させる重要な要素です。
特に店頭のPOPやECページでは、見た瞬間に「買ってみたい」と思わせる表現が欠かせません。文字だけでなく、デザインや配置にも一貫性を持たせることで、販促力がより高まります。
USENレジTAB STOREならバンドル販売の施策が効率化できる

USENレジTAB STOREは、小売業向けに開発されたクラウド型のタブレットPOSレジです。商品登録や売上管理、会計処理、在庫管理など、日々の業務を一元的に効率化できるのが特長です。
ここでは、バンドル販売を現場でスムーズに実施・運用するために、USENレジTAB STOREがどのように役立つのかを解説します。複雑になりがちなセット販売の管理も、専用機能を活用すれば簡単に運用できます。
USENレジTAB STOREでできること
USENレジTAB STOREでは、バンドル販売に必要な設定をすることができます。例えば、セット商品の登録、カテゴリの設定、割引価格の設定も簡単に行うことが可能です。また、商品の在庫数もレジ上で確認することができます。
さらに、売上データが自動で集計され、組み合わせごとの販売数なども分析できます。この機能により、「どのセットがどれぐらい売れているか」を視覚的に把握でき、次の販売戦略に繋げやすくなります。
USENレジTAB STOREの特徴
USENレジTAB STOREは、現場の業務効率を高めるために設計された多機能POSシステムです。小売店に特化した機能と画面設計で、スタッフが直感的に操作できる点が大きな特長です。
また、時間別売上や部門別売上なども可視化でき、店舗経営をサポートする分析ツールが充実しています。日々の売上から販促の成果までを管理できるため、バンドル販売についても成功しているかどうかを確認しやすいでしょう。
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バンドル販売(商品)のよくある質問
バンドル販売に初めて取り組む人から寄せられる代表的な質問を取り上げ、導入のヒントになるような回答を紹介します。
6-1 Q. 在庫処分の印象を与えない方法は?
「今だけのおすすめセット」や「季節の暮らし応援パック」といった、商品の価値や使い方を前向きに伝える表現に切り替えることで、在庫処分の印象を避けることができます。「売れ残ったからまとめた」と思われないように、セット内容に意味づけをすることが大切です。
見た目や言葉づかいに一工夫するだけで、在庫処分とは違う印象を演出できるでしょう。
6-2 Q. 商品の組み合わせは頻繁に変えるべき?
リピーターのお客様が多い場合は、時期や利用シーンに応じて組み合わせを更新するのが効果的です。例えば小売店なら、平日は「時短調理セット(レトルト食品+キッチングッズ)」を展開し、週末には「家族で楽しむおうち時間セット(ボードゲーム+お菓子)」に切り替えることで、様々なニーズに対応できます。
その際、定番の組み合わせも一定数残しておくと、リピーター客に安心感を与えることができます。
まとめ:バンドル販売(商品)で売上アップを目指そう
バンドル販売は、客単価の向上や在庫の効率的な消化、顧客満足度の向上など、小売店の経営にとって多くのメリットをもたらします。ただし、利益率の管理や商品構成の設計など、注意すべき点もあります。
成功させるためには、組み合わせの工夫や価格設計だけでなく、現場での運用のしやすさも重要です。USENレジTAB STOREを活用すれば、在庫管理や売上分析までを一貫して行えるため、バンドル施策を効率よく進められます。日々の営業の中で売上を底上げしたい人は、バンドル販売の導入を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。

