ビジネスフォンの「主装置」は、会社の電話システムを支える司令塔です。外線と内線を繋ぎ、転送や保留、複数人での同時通話など、ビジネスに必要なあらゆる電話機能を実現します。しかし、多種多様な主装置の中から自社に最適な一台を選ぶのは容易ではありません。この記事では、法人向けの電話導入を検討している皆様向けに、主装置の基本から、家庭用電話機やIP電話サービスとの違い、そして導入前に必ず確認すべき具体的な4つの重要ポイントをわかりやすく解説します。
目次
ビジネスフォンの主装置とは?初心者にもわかる基本知識

ビジネスフォンの主装置は、企業や店舗での通信を円滑にするための重要な機器です。ここでは、ビジネスフォンの主装置についての基本的な知識を提供し、選び方のポイントを明確にします。導入時の失敗を避け、最適な通信環境を整える手助けとなれば幸いです。
ビジネスフォンの主装置の基本機能
ビジネスフォンの主装置は、会社やお店の電話システムを動かす中心の機械です。これ自体は電話機ではなく、電話回線と各電話機を接続し、電話の機能を管理するための箱型の機器です。机の引き出しに入るような小型のものから、サーバーラックに収まる大型のものまで、様々な大きさがあります。
主装置の最も基本的な役割は、社内の複数の電話機(内線)と、外部の電話回線(外線)を繋ぎ、それら全ての通話を一元的に管理・制御することです。例えるなら、主装置は電話網の「交通整理を行う司令塔」であり、すべての電話の「ハブ」となります。そのため、個々の電話機がバラバラに機能するのではなく、組織的な電話システムとして機能します。
内線通話の管理
社内の従業員同士が、電話番号の一部(例:内線番号101、102など)をダイヤルするだけで、無料で通話できるようにします。主装置が各内線電話機間の接続を確立するため、外線を通す必要がなく、通信費の削減にも繋がります。その結果、従業員間の情報共有や連携がスムーズになり、部署間の連携も強化されます。
外線通話の振り分け(着信・発信)
外部からかかってきた電話(外線)を、設定されたルールに基づいて適切な電話機や担当者(内線)に振り分けます。具体的には、会社の代表番号あてにかかってきた電話を、空いている複数の電話機の中から自動的に選択して鳴らしたり、従業員ごとに割り振られた個別の外線番号を、特定の電話機に割り当てることなどができます。また、特定の部署やグループの電話機だけを同時に鳴らす、または順番に鳴らすといった設定も可能です。その結果、着信応答率が高まり、顧客の待ち時間を減らすことができます。
セキュリティ機能
主装置を介して通信を集中管理することで、不正アクセスや情報漏洩のリスクを軽減する役割も果たします。特定の番号や時間帯における発着信を制限できるだけでなく、内線間の通話を物理的に分離することで、通信の安全性を高めることができます。物理的な機器として社内に設置されるため、外部ネットワークからの直接的な攻撃リスクはIP電話サービスよりも低いという見方もできます。
通話履歴の記録
主装置には着信・発信の履歴を記録する機能や、留守番電話機能、通話時間を管理する機能が備わっているものもあります。どの回線でどれくらいの通話が行われたかを把握することで、コスト管理や業務改善に役立てることができます。
その他の高度な機能
上記の基本機能に加え、複数人が同時に電話で会話できる電話会議機能や、通話を一時的に保留し、別の電話機からその保留中の通話を取ることができるパーク保留機能が備わっている主装置もあります。遠隔地の従業員や取引先とのやりとりを効率的に行うことができ、店舗やオフィスで複数人が対応する場面で非常に便利です。
なぜ主装置が必要?家庭用電話との違い
ビジネスフォンに主装置が必要な理由は、家庭用電話では実現できない、ビジネス特有の複雑で高度な通信ニーズを満たすためです。家庭用電話とビジネスフォンは、その目的と機能において根本的に異なります。ここでは、ビジネスフォンと比較した家庭用電話機の特徴を紹介します。
シンプルな機能
家庭用電話機は基本的な通話機能に限定され、複数人での同時通話やパーク保留といったビジネスに必要な機能は備わっていません。
複数の電話回線(外線)の一元管理ができない
家庭用電話機は、基本的に電話回線と直接接続されるため、1本の電話回線で同時に通話できるのは1人だけです。例えば、家族の誰かが電話をかけている最中に、別の家族が同じ電話番号で外線にかけたり、外部から着信を受けたりすることはできません。
内線通話機能がない
家庭用電話機では、家庭内にある親機と子機間で簡単な通話ができる程度のものがほとんどで、複数の電話機同士で内線番号をダイヤルして直接通話する機能はありません。
ビジネスフォンの主装置とIP電話を比較!それぞれのメリット・デメリット

ビジネスフォンの主装置と、クラウドPBX等を利用したIP電話サービスは、どちらも法人向けの電話システムとして利用されていますが、それぞれに異なる特徴があります。ここでは、両者のメリットとデメリットを比較し、どちらが自分のビジネスに適しているかを判断するための情報を提供します。設置環境やコスト、通話品質、拡張性など、さまざまな観点から詳しく解説しますので、導入を検討している方にとって有益な情報となるでしょう。
必要なコストと設置環境
ビジネスフォンの主装置とIP電話サービスでは、必要なコストや設置環境に大きな違いがあります。主装置を設置する場合は、主装置自体や専用のビジネスフォン端末の購入費が発生します。設置環境についても、主装置自体の設置スペースや安定した電源を確保する必要があります。さらに、各電話機を主装置に接続するための専用ケーブル敷設工事が必要な場合もあります。店舗やオフィスの開業時や移転時など、初期投資を抑えたい場合には負担が大きくなる可能性があります。
一方、IP電話サービスは主装置の機能をインターネット上のサーバー(クラウド)で提供するため、物理的な主装置の購入や設置が不要です。すでに職場環境にインターネット回線が整備されていれば、そのネットワークを電話にも活用できます。新たな配線工事が不要な場合が多く、工事費を大幅に削減できます。
このため、IP電話サービスを利用することで初期費用を抑えることが可能です。
拡張性や保守管理
拡張性や保守管理の面では、ビジネスフォンの主装置はIP電話サービスに比べて物理的な制約が伴います。例えば主装置に内線数の増設や回線数の追加、機能の拡張を行う際には、専門業者による物理的な基盤の取り付けなどの工事が必要な場合があり、時間とコストがかかることがあります。また機器の経年劣化による故障のリスクがあり、定期的なメンテナンスや部品交換が必要になることがあります。特にメーカーが生産を終了した古い機種の場合、修理部品の調達が困難になるリスクもあります。
これに対しIP電話サービスは、ソフトウェアベースやクラウドベースで機能するものが多く、拡張性や保守管理において大きな優位性を持ちます。機能の追加は、物理的な工事なしにWeb上の管理画面から設定変更するだけで完結するため、ビジネスの成長や変化に合わせて、迅速かつ低コストで対応できます。また、ソフトウェアの更新や設定変更、トラブルシューティングの多くがリモート(遠隔)で可能です。24時間365日のサポート体制を整えているサービスもあり、万が一の際も安心です。、迅速な対応が求められるビジネス環境において、こうした拡張性や保守管理がシステム管理者の負担を軽減し、柔軟な運用を実現します。
通話品質と安定性
通話品質と安定性に関しては、一概にどちらが優位とは言えません。かつて、主装置がアナログ回線やISDN回線に接続されていた時代においては、音声通話に特化して設計されたネットワークを使う主装置のほうが、インターネットを介するIP電話サービスよりも安定性に優れ、クリアな音質を提供しやすい特性がありました。現代においては、アナログ回線・ISDN回線いずれもIP網への移行が完了していることに加え、インターネット回線も技術革新により高速かつ安定しているため、主装置を使うか否かよりも、契約する事業者が提供するサービスの品質(帯域保証の有無など)に大きく依存します。導入を検討する際は、具体的なプラン内容や導入実績を確認することが重要です。
関連記事:
IP電話とは? 従来の電話との違いやメリット・デメリットについて解説
失敗しないビジネスフォンの主装置選び!導入前にチェックすべき4つのポイント

ビジネスフォンの主装置を選ぶことは、単に電話機を選ぶこととは大きく異なります。企業のコミュニケーション基盤を支える重要なシステムであり、その選択を誤ると、日々の業務効率が低下したり、将来的な拡張に余計なコストがかかったりする可能性があります。ここでは、後悔しない主装置選びのために、導入前に必ず検討すべき4つの具体的な基準を明確にし、あなたのビジネスに最適なシステムを選ぶ手助けをします。これらのポイントを押さえることで、導入後のトラブルを未然に防ぎ、スムーズで効率的な電話運用を実現できます。
従業員数と企業規模
ビジネスフォンの主装置を選ぶ際は、まずは現在の従業員数、特に電話を頻繁に利用する人数を把握しましょう。加えて、将来の企業規模の拡大も考慮に入れることが重要です。主装置は、接続できる内線電話機の数に上限があります。例えば、100名規模のオフィスで、将来的に200名まで増える可能性があるなら、200名以上に対応できる主装置を選ぶべきです。小さすぎるものを選ぶと、数年後に買い替えや大規模な増設が必要になり、二重投資になってしまいます。逆に、必要以上に大規模なものは初期費用が無駄になってしまうため、適切な規模を見極めることが肝心です。
設置環境と配線工事
主装置は物理的な機器であるため、設置場所と設置工事の有無がコストに直結します。主装置本体を設置するためのスペースが事業所内にあるか確認しましょう。機種によっては、壁にかける小さなものから、サーバーラックにしまう大きなものまであり、それなりのスペースが必要です。機械の故障を防ぐために、温度や湿度など、設置環境の条件も確認しておくと良いでしょう。また、新しくビジネスフォンを導入する場合や、事業所を移転する場合は、主装置から各電話機への内線配線工事が必要になることが多いです。この工事費用は初期費用の大きな割合を占めるため、複数の工事業者から相見積もりを取り、費用を比較することが重要です。
必要な機能の洗い出し
ビジネスフォンの主装置を選ぶ時は、どのような電話機能が必要か、そして従業員が電話をどう使うかを具体的に考えるといいでしょう。内線通話機能や外線転送機能、通話の録音機能など、代表的なビジネスフォンの機能のうち自社にとって必要なサービスをリストアップし、導入候補の主装置がそれらの機能をサポートしているかを確認します。
サポート・メンテナンス体制
ビジネスフォンは業務に直結するため、トラブルが発生した際の対応が遅れると、業務に大きな影響を及ぼします。万が一、主装置が故障した場合の修理対応時間や、代替機の提供があるかだけでなく、定期的な点検や部品交換にかかる保守費用なども確認しましょう。特に飲食店やコールセンターなど、深夜帯や土日・祝日にも電話トラブルが発生する可能性がある業種では、24時間365日対応のサポート体制があるかどうかが重要なポイントとなります。また、遠隔でのサポートや迅速な現地対応が可能かどうかも、事業者選定する上でのポイントの1つです。必要十分なメンテナンスサービスが提供されている、信頼できる事業者を選ぶことで、安心してビジネスを運営することができます。
まとめ
これまで、ビジネスフォンの主装置とは何か、家庭用電話機やIP電話サービスと比較しながら解説してきました。ビジネスフォンの主装置は物理的な機器のため、初期費用や設置の手間がかかることもあります。一方、クラウドを介して提供されるIP電話サービスは特にコスト面でのメリットが大きく、小規模な事業者にとっては導入しやすい選択肢といえるでしょう。
また、ビジネスフォンの主装置を導入する際には、従業員数、設置環境、機能、サポートの4ポイントを押さえておくことが成功の鍵となります。これらのポイントを総合的に考慮し、自社に最適な電話サービスを選びましょう。
店舗向けIP電話「USEN PHONE」のご紹介
株式会社USENが提供している「USEN PHONE」は、飲食店をはじめとした店舗での使用に特化したIP電話です。回線工事は不要で、現在インターネットのご契約がなくても、ご契約から最短4営業日でご利用開始いただけます。通話料は7円/3分と安価。24時間年中無休のサポートもあり、はじめての導入でも安心です。
さらに、固定番号ポータビリティを使い、電話番号とFAX番号の2つの番号までであれば、現在お使いの番号をそのままご利用いただくことも可能です(※)。ぜひこの機会にご検討ください。
初月利用料無料・初期費用実質0円!
USEN PHONEの詳細はこちら
※ 一部エリアではご利用いただけません。対応エリアにつきましてはお気軽にお問合せください。また、市外局番(0AB-J)番号のUSEN PHONEはオフィス・店外への持ち運びができません。

