屋外の防犯対策として防犯カメラの設置は一般的ですが、接続方法や機種の種類が多く、迷う方も多いでしょう。特に安定性を重視する場合、LAN接続は有力な選択肢です。しかし、「配線が大変そう」「Wi-Fiとどっちがいいの?」といった疑問も。この記事では、屋外用防犯カメラのLAN接続について、そのメリット・デメリットから、PoE給電の仕組み、最適なカメラ商品の選び方、設置方法まで、購入前に知っておきたい基本情報を網羅的に解説します。
目次
防犯カメラのLAN接続とは?基本的な仕組みを解説
防犯カメラを設置する際、映像データを安定して伝送し、確実に録画するためには、カメラと録画機器やネットワークとの接続方法が重要になります。その中でも「LAN接続」は、特にネットワークカメラ(IPカメラ)において主流となっている、信頼性の高い有線接続方式です。ここでは、その基本的な仕組みについて解説します。
LANケーブルを使った有線接続の概要
LAN接続とは、文字通り「LANケーブル」を使用して防犯カメラとネットワーク機器(ルーターやネットワークビデオレコーダー(NVR)、PoEハブなど)を物理的に繋ぐ接続方法です。一般的に、Cat5e(カテゴリ5e)やCat6(カテゴリ6)といった規格のLANケーブルが用いられます。
この有線接続により、Wi-Fi(無線)接続に比べて電波干渉などの影響を受けにくく、安定した通信環境を確保できるのが大きな特徴です。特に、高画質な映像データを遅延なく確実に伝送したい場合や、カメラの台数が多い場合に適しています。
ネットワークカメラ(IPカメラ)との関係
現在、LAN接続を採用している防犯カメラの多くは「ネットワークカメラ」または「IPカメラ」と呼ばれるタイプです。これらのカメラは、それぞれにIPアドレスというインターネット上の住所のようなものが割り当てられており、ネットワークを通じて映像の送受信やカメラの制御を行います。
LANケーブルでルーターやNVRに接続することで、カメラはネットワークの一部となり、パソコンやスマートフォンからの遠隔監視・操作が可能になります。
アナログカメラとの違い
従来のアナログカメラシステムでは、主に同軸ケーブルを使って映像信号を伝送していました。アナログカメラも依然として利用されていますが、LAN接続を用いるネットワークカメラと比較すると、一般的に以下のような違いがあります。
画質: ネットワークカメラはデジタル信号で映像を伝送するため、アナログカメラよりも高解像度な映像(フルHD、4Kなど)を劣化させずに伝送しやすい傾向があります。
拡張性: ネットワークカメラはIPネットワーク上で管理されるため、カメラの増設やシステムの拡張が比較的簡単です。
機能性: 遠隔監視、動体検知、音声記録など、ネットワークカメラは多機能なモデルが多いです。
このように、LAN接続は主に高機能なネットワークカメラで採用され、安定した通信と高い拡張性を実現する接続方法と言えます。
屋外防犯カメラをLAN接続するメリット
屋外に防犯カメラを設置する際、接続方法としてLAN接続を選ぶことには多くのメリットがあります。他の接続方法と比較した場合の主な利点を見ていきましょう。
メリット1:通信が安定し高画質な映像を伝送できる
LAN接続最大のメリットは、通信の安定性です 。有線で直接接続するため、Wi-Fiのように電波状況に左右されにくく、高画質な映像も乱れや遅延を抑えて確実に伝送できます。これは、常時監視や証拠撮影において非常に重要です。
メリット2:PoE給電なら配線がシンプルになり設置しやすい
LAN接続と合わせて「PoE給電」(詳細は後述)を利用すれば、LANケーブル1本でデータ通信と電力供給を行えます 。これにより、カメラ付近に電源コンセントがない場所でも設置が可能になり、配線工事の手間やコストを削減できる可能性があります 。設置が簡単になるのは大きな利点です。
メリット3:遠隔からのアクセス・操作が容易
LAN接続されたネットワークカメラは、インターネット経由でパソコンやスマホからアクセスしやすいというメリットがあります 。外出先からライブ映像を確認したり、録画を再生したり、カメラによっては遠隔操作も可能です。
屋外防犯カメラをLAN接続するデメリットと注意点
多くのメリットがあるLAN接続ですが、導入前に知っておくべきデメリットや注意点も存在します。購入・設置前の比較検討材料としてください。
デメリット1:配線工事の手間とコストがかかる場合がある
LAN接続は物理的なケーブル配線が必要です。特に屋外(例:駐車場など)では、壁への穴あけや保護管を使った配線など、設置場所によっては工事が必要となり、その分の手間とコストがかかる可能性があります 。Wi-Fi接続に比べると、初期の設置負担が大きくなる場合があります。
デメリット2:LANケーブルの距離に制限がある(通常100m)
1本のLANケーブルで安定通信できるのは基本的に最大100mという基準があります 。これを超える長距離配線が必要な場合は、信号を増幅・中継するための追加機器(ハブやエクステンダーなど)が必要になり、システム構成が複雑になる可能性があります。
注意点:ネットワークセキュリティ対策が必須
インターネットに接続するネットワークカメラは、不正アクセスのリスクが伴います 。安全に運用するためには、カメラやルーターのパスワードを初期設定から変更し、ファームウェアを常に最新に保つなどのセキュリティ対策が不可欠です。
LAN接続とWi-Fi接続の違いと比較【安定性・設置・費用】
屋外用防犯カメラをネットワークに接続する方法として、LAN(有線)接続とWi-Fi(無線)接続が主流です。どちらのタイプを選ぶかは設置環境や重視する点によって異なります。ここでは、「通信の安定性」「設置の手軽さ」「価格(コスト)」の3つの観点から両者を比較してみましょう。
通信の安定性:有線LANの強み
通信の安定性においては、一般的に有線であるLAN接続に軍配が上がります 。物理的なケーブルで接続するため、Wi-Fiのように電波の干渉を受けたり、距離によって信号が弱くなったりする心配がほとんどありません。一方、Wi-Fi接続はケーブル配線が不要な反面、電波状況によっては通信が不安定になる可能性があります。特に屋外では、ルーターとの距離が離れていたり、遮蔽物があったりすると電波が届きにくくなるケースがあります。
設置の自由度と手軽さ:Wi-Fiのメリット
設置の自由度や手軽さの面では、Wi-Fi接続が有利です。LANケーブルの配線を考慮する必要がないため、Wi-Fiの電波が届く範囲であれば、比較的好きな場所にカメラを設置できます。 壁に穴を開けるなどの工事が不要になるケースも多く、DIYでの設置も簡単になります。 ただし、Wi-Fiカメラであっても、多くの場合、電源供給のための配線は必要です(バッテリー式やソーラー式を除く)。
コスト面の比較(初期・運用)
価格(コスト)面では、一概にどちらが安いとは言えません。
初期費用: Wi-Fiカメラは配線工事が不要な場合が多く、設置費用を抑えられる可能性があります。一方、LAN接続は、特に広範囲にケーブルを敷設する場合や壁内配線を行う場合に、専門業者による工事費用がかさむことがあります。また、PoEを利用する場合はPoEハブなどの追加機材費も考慮が必要です。カメラ本体の価格は機種によります。
運用コスト: 基本的に大きな差はありませんが、Wi-Fi環境が不安定な場合に電波強度を上げるための中継器やメッシュWi-Fiシステムの導入が必要になると、追加コストが発生します。LAN接続は一度設置すれば、接続安定性に関する追加コストは発生しにくいと言えます。
設置場所の状況や必要な機材、工事の有無などの情報を総合的に比較検討することが重要です。
PoE給電とは?仕組みとLAN接続での活用法
LAN接続の防犯カメラを検討する上で、非常に重要なキーワードとなるのが「PoE給電」です。PoEに対応した機器を利用することで、設置の自由度が格段に上がり、配線もシンプルになります。ここでは、PoE給電の基本的な仕組みと、LAN接続における活用法について、より詳細な情報を解説します。
PoE(Power over Ethernet)の基本原理
PoE(Power over Ethernet)とは、1本のLANケーブルを通じて、データ通信と電力供給を同時に行う技術のことです。通常、ネットワークカメラを動作させるには、データ通信用のLANケーブルとは別に、電源アダプターとコンセントからの電力供給が必要になります。
しかし、PoEに対応したカメラと給電機器(後述)を使用すれば、LANケーブルが電力線も兼ねるため、カメラ側に別途電源を用意する必要がなくなります。これにより、設置場所の制約が大幅に緩和されます。
PoEハブ・PoEインジェクターの役割
防犯カメラでPoE給電を利用するには、カメラ本体だけでなく、電力を供給する側の機器もPoEに対応している必要があります。主に以下の2つの方法があります。
PoE対応 NVR / PoEハブ(スイッチングハブ): 録画機(NVR)やネットワークハブ自体がPoE給電機能を搭載している場合、対応ポートにLANケーブルでカメラを接続するだけで、データ通信と電力供給が行われます。複数のカメラを接続する場合に便利です。
PoEインジェクター: 既存のルーターやハブがPoE非対応の場合に使用します。ルーター等とカメラの間にPoEインジェクターを設置し、インジェクターに電源を接続することで、LANケーブルに電力を「注入(inject)」し、カメラへ供給します。1~数台程度のカメラにPoE給電を行いたい場合に手軽な方法です。
電源工事不要のメリット
PoE給電を活用する最大のメリットは、カメラ設置場所付近での電源工事が不要になる点です。これにより、以下のような利点が得られます。
設置場所の自由度向上: コンセントがない場所や電源確保が難しい高所、屋外の軒先、駐車場の柱などにもカメラを設置しやすくなります。
設置コストの削減: 電源工事にかかる費用や手間を削減できます。
配線の簡略化: カメラへの配線がLANケーブル1本で済むため、見た目がすっきりし、管理も容易になります。
安全性向上: 電源を一箇所(NVRやPoEハブ、インジェクター設置場所)で管理できるため、安全性も高まります。
特に屋外の防犯カメラ設置において、PoE給電は非常に有効な技術と言えるでしょう。
屋外用LAN接続(PoE)防犯カメラの選び方【5つのポイント】
屋外に設置するLAN接続(特にPoE給電)の防犯カメラは、機種によって性能や機能が大きく異なります。設置環境や目的に合わない商品を選んでしまうと、期待した効果が得られないことも。ここでは、最適なカメラを購入するために確認すべき5つの重要なポイント(基準)を解説します。
【ポイント1】設置場所の環境と防水・防塵性能(IP規格)
屋外は雨風や砂埃、温度変化など、カメラにとって過酷な環境です。そのため、設置場所の環境に耐えられる性能を持っていることが必須条件となります 。
防水・防塵性能: カメラの防水・防塵性能は「IPコード(IP規格)」で示されます。「IP○○」という形式で表示され、例えば「IP66」なら「粉塵が内部に侵入せず、いかなる方向からの強い直接噴流によっても有害な影響を受けない」レベルを示します。屋外設置では、一般的にIP65以上の性能が推奨されます。製品仕様をしっかり確認しましょう。
動作温度範囲: 設置場所が夏場に高温になったり、冬場に氷点下になったりする場合は、カメラが対応している動作温度範囲も確認しておくと安心です。
【ポイント2】求める映像は?画質(解像度・画素数)と撮影範囲(画角)
「何を」「どのくらいの範囲」を監視したいかによって、必要な画質や撮影範囲が決まります。比較検討が重要です。
画質(解像度・画素数): 映像の鮮明さを表します。車のナンバーや人の顔をはっきり識別したい場合は、フルHD(約200万画素)以上の高画質なモデルを選びましょう。より詳細な映像が必要なら、400万画素や4K(約800万画素)といったさらに高解像度な機種も選択肢になります。ただし、高画質になるほどデータ容量が大きくなり、保存に必要なストレージ容量も増える点に注意が必要です。
撮影範囲(画角): カメラが一度に映し出せる範囲のことです。画角が広い(広角レンズ)ほど、広い範囲を一度に監視できますが、遠くのものが小さく映る傾向があります。逆に画角が狭い(望遠)と、遠くのものを大きく映せますが、監視範囲は狭くなります。設置場所から監視したい対象までの距離や範囲に合わせて選びましょう。
【ポイント3】夜間監視は必須?夜間撮影機能(赤外線・カラー)
侵入などのトラブルは夜間に発生しやすいため、夜間撮影機能は屋外防犯カメラにとって非常に重要です。
赤外線(IR)暗視機能: 最も一般的な夜間撮影機能です。赤外線LEDを照射し、暗闇でも白黒映像で撮影します。重要なのは赤外線の照射距離で、これがカメラから対象物までの距離をカバーしているか確認しましょう(例:20m、30mなど) 。
カラーナイトビジョン: 最近では、わずかな光でもカラー映像で撮影できる高感度センサー搭載モデルや、白色LEDライトを搭載し、夜間でもカラーで撮影できるモデルも増えています。カラー映像は、人物の服装の色など、より多くの情報を得られるメリットがあります。
【ポイント4】どうやって記録する?録画方法(NVR/SDカード)と保存容量
撮影した映像をどのように記録・保存するかも重要な選択ポイントです。録画期間も考慮しましょう。
録画方法:
- NVR(ネットワークビデオレコーダー): 複数のカメラ映像をまとめて管理・録画できる専用機器です。大容量HDDを搭載できるモデルが多く、長期間の録画に適しています。
- microSDカード: カメラ本体にmicroSDカードスロットがあり、直接録画するタイプです。手軽ですが、容量に限りがあり、カードの盗難・破損リスクも考慮が必要です。
- クラウド録画: カメラ映像をインターネット上のサーバーに保存するサービスです。機器の盗難・破損時もデータが安全ですが、月額料金がかかるのが一般的です。
保存容量: 録画時間や画質(解像度、フレームレート)、カメラ台数によって必要な容量は大きく変わります。必要な録画期間(例:1週間、1ヶ月)を考慮し、十分な容量(HDDなら1TB、2TB、4TBなど )を選びましょう。容量が一杯になった際に古いデータから上書き録画する機能があると便利です。
【ポイント5】外出先から確認したい?スマホ連携・遠隔監視機能
ネットワークカメラの利点の一つが遠隔監視機能です。専用のスマートフォンアプリやパソコンソフトを使えば、インターネット経由でいつでもどこでもカメラの映像を確認できます。
ライブ映像確認: 現在の状況をリアルタイムで確認できます。
録画再生: 過去の録画データを再生できます。
プッシュ通知: 動体検知などと連動し、異常があった場合にスマホに通知を送る機能があると便利です。
これらの機能が必要な場合は、製品が対応しているか、アプリの使い勝手などを事前に確認しましょう。
屋外用防犯カメラのLANケーブル配線の基本
LAN接続の防犯カメラシステムを安定して運用するためには、適切なLANケーブルを選び、正しく配線することが不可欠です。特に屋外での配線は、環境への配慮が必要になります。ここでは、LANケーブルの選び方から屋外配線の注意点、長距離配線の対策まで、基本的なポイントを解説します。
適切なLANケーブルの選び方(カテゴリ・種類)
LANケーブルにはいくつかの「カテゴリ」と呼ばれる規格があり、通信速度や伝送帯域(一度に送れる情報量)が異なります。一般的な防犯カメラ(フルHD~4K程度)であれば、「Cat5e(カテゴリ5e)」または「Cat6(カテゴリ6)」のケーブルで十分な性能を発揮する場合が多いです。カメラや録画機(NVR)の推奨仕様を確認して選びましょう。
また、ケーブル内部の構造によって「UTPケーブル」と「STPケーブル」の種類があります。
UTPケーブル: シールド(ノイズを防ぐ保護)がない一般的なタイプ。柔軟で扱いやすいですが、ノイズの影響を受けやすい場合があります。
STPケーブル: シールドで保護されており、ノイズに強いタイプ。工場などノイズが多い環境に適していますが、UTPより硬く、高価になる傾向があります。
特別な指示がない限りはUTPケーブルで問題ないことが多いですが、設置環境に応じて検討しましょう。
屋外配線の注意点(保護管・防水処理)
屋外にLANケーブルを配線する場合、紫外線、雨水、温度変化、物理的な衝撃などからケーブルを保護する必要があります。
ケーブル保護: そのままケーブルを露出させるのではなく、「PF管」などの保護管や「モールダクト」 を使用してケーブルを覆いましょう。これにより、ケーブルの劣化を防ぎ、断線リスクを低減できます。
防水処理: ケーブルの接続部分(コネクタ)や中継地点が屋外になる場合は、防水性能のある接続ボックス(ジョイントボックス) を使用したり、自己融着テープ などで接続部をしっかりと防水処理したりすることが非常に重要です。コネクタ内部への浸水は、通信不良や故障の大きな原因となります。
長距離配線が必要な場合の対策(ハブ・エクステンダー)
前述の通り、LANケーブル1本あたりの最大伝送距離は通常100mです 。これを超える距離にカメラを設置したい場合は、信号を中継・増幅するための機器が必要になります。
PoEハブ(スイッチングハブ): 100m地点などにPoEハブを設置し、そこからさらに別のLANケーブルでカメラや次のハブへ接続します(カスケード接続)。ハブの設置場所に電源が必要になります。
LANエクステンダー / PoEエクステンダー: LANケーブルの間に設置し、データ信号やPoE電力を延長させる専用機器です。機種によっては数百メートル延長できるものもあります。
ただし、ハブを多段に接続する場合(カスケード接続)はネットワーク遅延のリスクが高まったり、PoEエクステンダーを使用する場合は供給できる電力に制限があったりするため、非常に長い距離の配線は専門的な知識が必要になる場合があります。
屋外用防犯カメラのネットワーク設定と接続確認
LANケーブルの配線が完了したら、次は防犯カメラがネットワーク上で正しく認識され、映像の確認や録画ができるように設定を行います。このステップを確実に行うことで、システムの安定稼働と遠隔アクセスの利便性を確保できます。
カメラと録画機(NVR)/ルーターの接続
まず、物理的な接続を確認します。屋外に設置した防犯カメラからのLANケーブルを、屋内の以下のいずれかの機器の対応ポートに接続します。
PoE対応NVR: NVRにPoE給電ポートがある場合、そこに直接接続します。多くのシステムでは、接続するだけでNVRがカメラを自動認識し、映像表示と録画(設定による)が始まります。
PoEハブ(スイッチングハブ): PoEハブのPoE対応ポートにカメラを接続し、ハブ自体をルーターやNVRに別のLANケーブルで接続します。
PoEインジェクター: PoE非対応のルーターやハブを使用する場合、ルーター等とカメラの間にPoEインジェクターを設置し、それぞれをLANケーブルで接続します。インジェクターには別途電源接続が必要です。
NVRを使用する場合は、初期設定や映像確認のために、NVRとモニター(テレビやPCディスプレイ)をHDMIケーブルなどで接続しておきましょう。
IPアドレスなど初期設定の概要(固定/DHCP)
ネットワークカメラがネットワーク上で通信するためには、IPアドレスが必要です。通常、以下のいずれかの方法でIPアドレスが割り当てられます。
DHCP: ルーターがネットワーク内の機器にIPアドレスを自動で割り当てる方式です。特別な設定は不要な場合が多く、簡単です。
固定IPアドレス: カメラに特定のIPアドレスを手動で設定する方式です。IPアドレスが変わらないため管理しやすい反面、設定にはネットワークの知識が少し必要になります。
多くのNVRシステムやカメラでは、接続するだけでDHCPにより自動でIPアドレスが割り当てられ、複雑な設定は不要なことが多いです。ただし、システムによっては手動設定が必要な場合もあります。詳細な情報は使用する機器の取扱説明書を確認しましょう。
スマホやPCからの接続テスト
最後に、スマートフォンやパソコンからカメラ映像にアクセスできるかを確認します。
- メーカー指定の専用アプリやソフトウェアをスマホやPCにインストールします。
- アプリ/ソフトの指示に従い、カメラまたはNVRを登録します(QRコードのスキャン、シリアル番号の入力、ローカルネットワーク検索など)。
- 登録後、ライブ映像が正常に表示されるか、録画再生やカメラ操作(対応機種の場合)などがリモートで行えるかを確認します。
ここで問題なく接続・操作できれば、基本的なネットワーク設定と接続確認は完了です。安心して使用を開始できます。
LAN接続に関するトラブルシューティング
LAN接続は安定性が高い接続方法ですが、ケーブルの劣化や設定ミス、機器の不具合などにより、予期せぬトラブルが発生することもあります。「映像が映らない」「接続が不安定になる」といった問題が発生した場合の基本的な確認手順と対処法について解説します。
映像が映らない・不安定な場合の確認点
物理的な接続を確認する: まず、LANケーブルがカメラ側とNVR/ハブ側の両方でしっかりと接続されているか確認します。コネクタの爪が折れていないか、ケーブルが途中で損傷していないかも目視でチェックしましょう。
電源を確認する: カメラ本体、NVR、PoEハブ/インジェクター(使用している場合)の電源が入っているか、電源ランプが正常に点灯しているか確認します。PoE給電の場合、特に長いLANケーブルを使用していると、電力不足でカメラが正常に動作しない可能性もあります。
ネットワーク機器のステータスを確認する: NVRやPoEハブの、カメラが接続されているポートのランプ(リンク/アクティブランプ)が点灯・点滅しているか確認します。消灯している場合は、ケーブルの問題や機器の不具合が考えられます。
ケーブル長を確認する: LANケーブルの長さが100mを超えている場合、信号の減衰により映像が不安定になることがあります。中継機器の導入などを検討しましょう。
接続できない場合のチェックリスト
ネットワーク上でカメラが認識されない、スマホアプリなどからアクセスできない場合の確認点です。
IPアドレス設定: カメラのIPアドレスが、ルーターやNVRと同じネットワーク範囲に設定されているか確認します。DHCPで自動取得しているはずが取得できていない、固定IPアドレスが他の機器と重複している、などの可能性があります。
カメラのネットワーク設定: カメラ自体の設定画面(アクセスできる場合)で、IPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイなどの設定が、使用しているネットワーク環境に対して正しいか確認します。
NVRやアプリとの互換性: 使用しているカメラが、接続先のNVRや視聴用アプリに正式に対応している機種か、改めて確認しましょう。
ファイアウォール設定: ルーターやパソコンのファイアウォール機能が、カメラとの通信を遮断している可能性があります。一時的にファイアウォールを無効にして接続を試したり、必要なポートを開放する設定を行ったりします(設定変更は慎重に行ってください)。
解決しない場合の相談先(メーカーサポート、設置業者)
上記を確認しても問題が解決しない場合は、以下の対応を検討しましょう。
取扱説明書・サポートサイト: まずは、使用しているカメラやNVRの取扱説明書や、メーカーの公式サポートサイトを確認します。よくあるトラブルとその対処法が記載されている場合があります。
メーカーのテクニカルサポート: メーカーの問い合わせ窓口に連絡し、具体的な症状を伝えてサポートを受けます。サポート体制はメーカーによって異なるため、事前に確認しておくと安心です。
設置業者への相談: 専門の設置業者に設置を依頼した場合は、業者に状況を説明し、点検や対応を依頼するのが確実です。特に配線やネットワーク構成が複雑な場合は、専門家の診断が有効です。気軽に相談してみましょう。
【知識編】LAN接続防犯カメラに関するQ&A
ここでは、屋外用防犯カメラのLAN接続に関して、よく寄せられる質問や疑問点についてQ&A形式でお答えします。購入前の情報収集にも役立ちます。
Q. LANケーブルは何メートルまで延長できますか?
A. 一般的に、1本のLANケーブルで安定して通信できるのは最大100mまでです。100mを超える場合は、途中にPoEハブやLANエクステンダーなどの中継機器が必要です。
Q. PoEに対応していないカメラでもLAN接続は使えますか?
A. はい、使えます。PoE非対応のネットワークカメラも、データ通信のためにLANケーブルでルーターやハブに接続します。ただし、PoE給電は利用できないため、カメラ本体には別途電源アダプターを接続して電力を供給する必要があります。PoEのメリットである「LANケーブル1本で配線完了」とはなりません。
Q. LAN接続のセキュリティは安全ですか?
A. 有線接続自体は、Wi-Fi(無線)接続に比べて電波を傍受されるリスクは低いと言えます。しかし、カメラがインターネットに接続されている場合、外部からの不正アクセスのリスクはゼロではありません。安全性を高めるためには、カメラやルーターの初期パスワードを変更して複雑なものにし、カメラのファームウェア(内部プログラム)を常に最新に保つといった基本的なセキュリティ対策を必ず行いましょう。
Q. おすすめのメーカーはありますか?
A. 防犯カメラは国内外の多くのメーカーから販売されています。レポート内の上位表示サイトで紹介されているメーカー(例:塚本無線 、アルタクラッセ 、TP-Link 、EZVIZ など )や、製品の機能、価格帯、保証期間、日本語でのサポート体制などを比較検討し、ご自身の設置目的や予算に合った信頼できるメーカーを選ぶことをおすすめします。
まとめ
本記事では、屋外用防犯カメラの接続方法として「LAN接続」に焦点を当て、その基本的な仕組みからメリット・デメリット、カメラの選び方、設置・設定の基本、トラブルシューティングまで幅広く解説しました。
LAN接続の最大の魅力は、Wi-Fi(無線)接続に比べて通信が非常に安定している点です。また、PoE給電に対応した機器を選べば、電源工事不要で設置場所の自由度が高まるという大きなメリットもあります。一方で、配線工事やケーブル長の制限、インターネット接続に伴うセキュリティ対策の必要性も理解しておく必要があります。
最適なカメラを選ぶには、設置環境に合った防水・防塵性能、求める画質、夜間撮影機能、録画方法、スマホ連携などの情報を総合的に比較検討することが重要です。
このように、屋外へのLAN接続カメラ導入には様々な検討事項があります。もし、設置場所の選定や配線工事、運用中のサポートに不安がある場合は、専門的なサービスを利用するのも有効な選択肢です。例えば、「USEN Camera」では、屋外設置に適したカメラの提供からプロによる設置工事、クラウド録画機能、店舗運営に役立つ分析機能、24時間365日対応の電話サポート窓口まで、店舗やビジネス向けの包括的なソリューションを提供しています。気になる方は以下よりお問い合わせください。
ご自身の状況に合わせてLAN接続のメリット・デメリットを比較検討し、最適な防犯カメラシステムを構築してください。この記事が安心できる環境づくりの一助となれば幸いです。

