「畑の作物が盗まれてしまい、損害が出ている」「野生動物による被害が後を絶たない」といった課題を抱える農家も多いのではないでしょうか。
畑での盗難や野生動物の被害を放置しておくと、収穫量の減少や品質低下、さらには農業経営の悪化につながる可能性があります。
本記事では、畑に適した防犯カメラの種類や、効果的な設置方法のポイントなどについて詳しく解説します。
目次
畑での防犯カメラの設置が注目されている背景
近年、畑での防犯カメラの設置が普及しつつあるようです。畑での防犯カメラの設置が注目を集めている背景には、複数の要因があります。以下、その具体的な背景について詳しく見ていきましょう。
野生動物や人による盗難被害が起きている
近年、農地における盗難被害や野生動物による被害が深刻化しています。
農作物の盗難事件は全国各地で発生しており、特に高価な果物や野菜が狙われやすい傾向にあります。例えば、メロンやイチゴ、ブドウなどの果物、サツマイモやタマネギといった野菜が被害に遭うケースが少なくないようです。これらの作物は市場価値が高く、また持ち運びが比較的容易であるため、盗難の対象になりやすいです。
一方、野生動物による被害も深刻な問題となっています。イノシシやシカ、サルなどの野生動物が農作物を食べたり踏み荒らしたりすることで、損害が生じています。これらの被害は特に中山間地域や森林に近い農地で頻発しており、春から秋にかけて被害が増加する傾向にあるでしょう。
こうした問題に対処するための対策の一環として防犯カメラの設置が注目されています。
天災時の現地確認で被害にあう人がいる
昨今では、異常気象による天災が増加し、農地の被害確認時に二次災害に遭うケースが報告されています。例えば、大雨による洪水の最中、畑の所有者が作物の状態を確認しようと現地に向かい、増水した用水路に流されてしまう事故が発生することがあります。
遠隔から安全に農地の状況を把握できる防犯カメラの設置は、こうした二次災害のリスクを軽減する手段として注目されています。
畑に防犯カメラを設置するメリット
畑に防犯カメラを設置することで、農作物や農機具の盗難防止、犯罪行為の証拠確保など、多岐にわたるメリットが得られます。以下、具体的なメリットについて詳しく解説します。
農作物や農機具の盗難防止効果がある
畑に設置された防犯カメラは、侵入者に対して強い抑止効果を発揮します。カメラの存在自体が犯行を思いとどまらせる心理的抑止力となるためです。
特に近年増加している外国人による農作物窃盗に対しても、言語の壁を超えて「監視している」というメッセージを明確に伝えられるため、効果的な対策となります。
不正行為発生時の証拠になる
防犯カメラは、不正行為が発生した際の証拠としても有効です。高解像度の映像記録により、犯罪者の顔や体型、服装などの特徴を明確に捉えることができ、警察の捜査に大きく貢献します。
遠隔地から畑の状況が確認できる
防犯カメラの設置により、農家は遠隔地から畑の状況をリアルタイムで確認できます。
これは特に災害時に重要な利点となり、豪雨や台風などの際、危険を冒して現地を訪れることなく、安全な場所から畑の被害状況を把握できます。
野生動物による被害対策になる
防犯カメラは野生動物による農作物被害の対策にも有効です。カメラで記録された映像により、畑を荒らす動物の種類や侵入経路、行動パターンを正確に把握できます。
これにより、イノシシ、シカ、サルなど、被害をもたらす動物を特定し、各動物の特性に合わせた効果的な対策を講じられるようになるでしょう。例えば、動物の種類に合わせて柵の設置高さを調整するなどの的確な防衛策を講じることができます。
農作物の生育状況のモニタリングができる
防犯カメラは農作物の生育状況のモニタリングにも活用できます。
防犯カメラを通じて、遠隔地から定期的に作物の成長を確認できるため、不要な現地訪問を減らし、時間や労力の節約が可能です。
また、気温や天候の変化に対する作物の反応を映像を通じて把握することで、灌水や施肥のタイミング、病害虫対策などを最適化できるでしょう。結果として、収穫量や品質の向上が期待できます。
畑用の防犯カメラに必要な10の機能
畑用の防犯カメラを選ぶ際には、さまざまな機能を考慮する必要があります。以下では、畑での利用時に必要な10の機能を紹介しますが、自社の状況やニーズに応じて、特に必要な機能を持つカメラを選ぶとよいでしょう。
なお、ここでは大まかな分類で解説していますが、個別具体的な機能は製品ごとに大きく異なります。
屋外に強いカメラ
畑での使用に適した防犯カメラには、高い耐久性が求められます。特に重要なのは防水性能で、IP66以上の防水等級を持つカメラが推奨されます。この等級のカメラでは、豪雨や雪にも耐えられます。
また、防塵性能も不可欠です。農地特有の土埃や花粉から機器を守り、長期間の安定稼働を実現するのに防塵性能が役立ちます。
夜間監視ができるカメラ
夜間の盗難や野生動物の侵入が多い農地では、夜間でも監視できるナイトビジョン機能を搭載したカメラが必要です。
赤外線LEDなどが搭載されたカメラでは、暗闇でも鮮明な映像を撮影可能です。被害原因を特定できれば、被害に対して適切な対策を講じられるようになります。
電源が不要なカメラ
畑での防犯カメラ設置においては、電源を供給できるかが問題になりますが、「ソーラーパネル一体型カメラ」と「トレイルカメラ」が有用です。
ソーラーパネル一体型カメラは、太陽光を利用して自動充電するため、電源工事が不要です。晴天が多い地域では特に効果的で、長期間のメンテナンスフリーな運用が可能です。
一方、トレイルカメラは乾電池やリチウムイオンバッテリーで駆動し、完全な配線レス運用ができます。設置場所を自由に選べる利点があり、野生動物の侵入ルートなど、重点的に監視したい場所に柔軟に対応できるのも利点です。
リアルタイムでの監視が可能なカメラ
畑でのリアルタイム監視を実現するには、SIMカード搭載カメラが最適です。SIMカード搭載カメラでは、携帯電話回線を利用するため、Wi-Fi環境のない畑でも配線工事なしで設置可能です。
スマートフォンやパソコンから遠隔地でもリアルタイムの映像を確認できるため、異常を即座に検知できます。
警報機能付きのカメラ
警報機能付きカメラは、人や動物の動きを検知すると、大音量のアラームや強力なフラッシュライトで侵入者を威嚇します。また、スマートフォンにプッシュ通知が送られるものであれば、リアルタイムで状況の確認をすることも可能です。
動きを検知できるカメラ
動体検知機能付きカメラは、カメラの視野内で動きを感知すると自動的に録画を開始し、スマートフォンへ通知を送ります。これにより、不審な動きや野生動物の侵入をリアルタイムで確認できます。
また、常時録画と比べてストレージ容量を節約でき、必要な映像のみを効率的に記録できる点も利点です。
スマートフォンと連動できるカメラ
スマートフォンと連動する防犯カメラは、畑の監視を大きく効率化できます。専用アプリを通じて、どこからでもリアルタイムで畑の状況を確認でき、異常を即座に把握できます。アプリを通じて、カメラのズームや角度調整、録画の開始・停止などの遠隔操作も可能です。
また、動体検知時の通知設定や映像品質の調整など、細かなカスタマイズもスマートフォンから簡単に行えるものであれば、畑の安全を手元で管理できる安心感がいっそう得られるでしょう。
音声も記録できるカメラ
音声録画機能付きカメラは、畑の監視において聴覚情報を補完するのに役立ちます。音声データは犯人の声や会話を捉えるのに有効です。また、野生動物の鳴き声を記録することで、被害をもたらす動物の種類や接近時間帯の特定にも役立ちます。
広範囲をカバーできるカメラ
広角カメラは、広大な畑を効率的に監視するのに最適です。180度以上の視野角を持つカメラを選べば、1台で畑の大部分をカバーできます。これにより、設置台数を抑えつつ、死角の少ない監視が可能になります。
クラウド保存ができるカメラ
クラウド保存機能を持つカメラは、録画データがクラウド上に保存されるため、カメラ本体が盗難や破壊されても、重要な証拠が失われるリスクを大幅に軽減できます。また、スマートフォンやパソコンから、いつでもどこでも過去の映像にアクセスできる利便性も魅力です。
一方、SDカード保存は初期コストが低いものの、カード容量の制限や盗難リスクがある点には注意しましょう。
畑に防犯カメラを設置する際のポイント
畑への防犯カメラの設置では、効果的な監視と法令順守の両立が求められます。以下では、農作物を守りつつ、トラブルのない運用をするためのポイントを解説します。
盗難や破壊防止のため高所に設置する
監視カメラを高所に設置することで、盗難や破壊から機器をしっかりと守れます。
カメラを地上から手の届かない高さに設置することで、盗まれたり破壊されたりするリスクを大きく軽減できます。例えば、電柱や高い杭の上部、あるいは近くの建物の軒下などが適した場所となります。
高所設置のもう一つの利点は、より広い範囲を監視できることです。地上付近に設置するよりも、高い位置からの俯瞰的な視野が得られるため、より広範囲にわたって畑を監視できるようになります。
さらに、高所に設置することで、カメラの存在自体が抑止力として機能する点も利点です。侵入者にとって、高い位置にあるカメラは届きにくく、また逃げる際にも顔を隠しづらいため、犯行を思いとどまらせる効果があります。
ただし、高所設置には適切な設置技術と、安全対策が必要な点には注意しましょう。
個人情報の取り扱いに注意する
畑に設置する監視カメラは、個人情報保護法に基づく適切な管理が必要です。撮影された映像は個人情報に該当するため、厳重な管理と目的外の使用をしないことが求められます。
近隣住民への配慮も重要で、カメラ設置の目的や撮影範囲を事前に説明し、理解を得ることが望ましいでしょう。また、必要以上に公道や隣接する私有地を撮影しないよう、画角を適切に調整することも大切です。
多くの自治体が防犯カメラの設置・運用に関するガイドラインを定めているので、自治体のホームページなどからガイドラインを入手し確認するようにしましょう。
畑に防犯カメラを設置する際に使える補助金
各地域のJAや自治体によって、畑への防犯カメラ設置に関する補助金が提供されています。これらの制度は、農作物の盗難や野生動物による被害への対策を支援し、農家の経済的負担を軽減することが目的です。
例えば、福島県伊達市では「桃畑防犯カメラ設置補助金」制度を実施しています。この制度の特徴は以下の通りです。
項目 |
内容 |
補助対象者 |
・伊達市内に住所およびほ場を有する桃の生産者 ・農業法人で今後も桃の生産を主とした営農を継続する見込みがある者 |
補助率と補助額 |
・対象経費の3割(上限2万円) ※1経営体1台まで ※1,000円未満の端数は切り捨て |
補助対象経費 |
(1)防犯カメラ(録画装置および附属品を含む)の購入 (2)防犯カメラ設置費用 (3)防犯カメラの設置を示すプレートの購入 (4)プレート設置費用 ※通信料、維持管理費、地代、占有料などの運営費用は除く |
補助対象カメラ |
(1)盗難防止目的で設置されるカメラ (2)特定の場所に継続的に設置されるカメラ (3)録画機能があるカメラ |
申請受付期間 |
2024年4月1日(月)~2024年8月30日(金) ※予算超過時は期間中でも受付終了 |
このような補助金制度は地域によって内容が異なるため、各自治体のホームページや地元のJA窓口で確認することをおすすめします。多くの自治体が同様の支援制度を設けており、農業者の安全と生産性向上を後押ししています。
参考:JAふえふき「農作物の盗難防止対策補助金申請案内について」
参考:福島県伊達市「桃畑防犯カメラ設置補助金について」
屋外でも使える防犯カメラなら、USEN Cameraへ!
農作物の盗難防止や野生動物対策、遠隔監視など、防犯カメラは農家の皆様にとって非常に有効なツールとなるため、積極的に設置しましょう。
屋外用の防犯カメラの導入に際しては、USEN Cameraも一つの選択肢としてご検討ください。USENでは、屋外でも使えるカメラとして、以下を取り扱っています。
製品名 |
機能概要 |
M2035-LE |
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M5526-E PTZ |
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USEN Cameraでは、充実したサポート体制にも強みがあり、24時間365日の電話サポートを受け付けており、緊急時にも迅速な対応が可能です。また、日本全国どこでも、技術スタッフによる設置の代行が可能で、プロが最適な設置場所に防犯カメラを設置します。
クラウド保存ができるカメラも取り扱っていますので、屋外・屋内で防犯カメラの設置をご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。