1.資本業務提携と資金貸付の目的
当社は昭和36年、キャンシステムは昭和37年の創業以来、音楽放送事業を事業の主軸として全国において事業の展開をして参りましたが、ここ近年の日本国内における音楽放送事業の市場は、インターネット技術等の革新にともなう新たな音楽放送事業者の出現に加え、BGM音源の多様化による業務店での音楽著作物の違法利用等の増加により実質的な競争環境が激変しております。
このような状況下、当社は、15年前ほどより人口非密集地域に添架していた同軸ケーブルを撤去し衛星での音楽放送サービスに切り替えること(デジタル化)でサービス品質の向上、費用圧縮を図るなどの事業構造の変革を漸次進めているとともに、店舗の開業支援や業務環境の構築、販売促進などトータル的なサポートを実現するために新たな店舗向けサービスの創出や展開に積極的に取り組んで参りました。
一方、キャンシステムも平成22年6月総務省に提出した「有線ラジオ放送業務の正常化に係わる報告」に基づき、正常化、デジタル化を促進、事業構造の変革を進めておりますが、前述のように近年競争環境が激変している影響もあり、先行的な費用の支出がともなう事業構造の変革を加速させて市場の変化に対応する機動力を高めるには財務基盤の強化が必要であるとの判断に至っております。
加えて、近年の業務店を対象とした事業においては、音楽放送に留まらない、さまざまなサービスの提供等を通じた付加価値の提供が肝要であり、当社とキャンシステムは、長年培ってきたそれぞれのノウハウ、資源等の持ち寄りによる業務店向けの新たなサービスの創造、提供を推し進めることが、業務店市場の活性化はもとより、今後益々多種多様化していくであろうと思われる業務店のニーズに応えられるものと確信するに至りました。
以上のような背景の下、当社とキャンシステムは、両者による新たなサービスの創造及び健全な音楽著作物の利用環境の育成のための啓蒙活動の検討に加え、i)当社がこれまで行ってきたデジタル化によるノウハウや資源のキャンシステムへの提供、ii)キャンシステムのデジタル化により音楽放送の提供が困難になる顧客の利便性を維持、継続することを目的とした当社音楽放送の代理店若しくは卸取引の実施、キャンシステムの財務基盤の安定化を図るための、iii)キャンシステムが発行する第三者割当増資の引き受け、及び、iv)キャンシステムが有する銀行借入等の弁済並びに構造改革実現に則した借入条件への見直し等を目的とした資金貸付、以上を為すための包括的資本業務提携に合意したものであります。