この近年、施設や店舗で見かける機会が増えているデジタルサイネージ。
インタラクティブ化や空中に浮かび上がるディスプレイなど、技術の進化とともに利用シーンや活用方法もどんどん広がりを見せています。
本記事では、街中で導入が加速するデジタルサイネージの最新情報や導入事例を解説します。
目次
デジタルサイネージの最新トレンドは?
①サイネージが参加型コンテンツに!「インタラクティブ化」
従来のデジタルサイネージは、一方向的に情報を発信する、「デジタル看板」としての役割が中心でした。しかし近年では技術が発達し、タッチ操作やスマートフォン連携が可能に。
デジタルサイネージは、利用者がその場で情報を選択できる「参加型コンテンツ」へと進化しています。

例えば、商業施設に導入されているデジタルサイネージにはタッチ式のフロアマップを搭載しているものが多く見られます。館内図をタッチしたりリストから選んだりと、自分の目的地を検索できるようになっています。また、観光地やイベント会場では、QRコードを読み込むとサイネージと連動し、詳細情報やクーポンをスマホに直接受け取れる仕組みも広がっています。
インタラクティブ化のメリットは、情報をただ見せるだけでなく「体験」として届けられることです。ユーザー自身が画面に触れたり、デバイスを通じて参加したりすることで、より深く印象に残る情報提供が可能になります。
②マーケティングに活用できる「AI・センサー連動」
デジタルサイネージの進化が特に目覚ましいのは、AIや各種センサーとの連動です。これにより、従来の「同じコンテンツを一斉に流す」という方法から、利用者や環境に応じて最適化された情報配信が可能になっています。
たとえば、利用者の属性に応じてコンテンツを配信する機能が実用化されています。
サイネージに搭載したカメラで利用者の属性を分析し、その人に合わせた広告を表示するという仕組みです。大型商業施設においておすすめの店舗情報やイベントを表示し、さらには配信データを属性別に分析してマーケティングに活かすこともできます。
この機能によって、デジタルサイネージを単に映像を流すだけでなく、「どんな人が、どんな情報に反応したのか」というデータを蓄積・分析し、打ち手を考えるマーケティングツールとして活用できるのです。
③クラウド管理とオンライン配信が一般化
デジタルサイネージの運用方法は、クラウドを活用して遠隔からコンテンツを管理・配信する仕組みが一般化しました。
クラウド型の大きなメリットは、複数拠点をまとめて一元管理できることです。たとえば全国展開しているチェーン店なら、最新のキャンペーン情報を本部から一括で全店舗に配信できます。現場での更新作業が不要になり、スタッフの負担軽減につながります。

さらに、配信先やスケジュールを細かく設定することで「時間帯や曜日ごとに表示内容を切り替える」「エリアごとに異なるコンテンツを配信する」といった柔軟な運用ができるようになりました。これによってタイムリーな情報発信が容易になり、マーケティング精度の向上にも寄与します。
クラウド管理の浸透は、デジタルサイネージの導入ハードルを大きく下げる要因のひとつです。小規模な事業者であっても、オンライン環境さえあれば低コストで運用を始められるため、今後さらに普及が加速すると考えられます。
④コンテンツが浮かび上がる新体験!「空中ディスプレイ」
目の前の空間に映像が浮かび上がり、さらにタッチして画面操作もできる...そんなSF映画で見たようなデジタルサイネージも実用化されはじめています。
特殊な眼鏡やスクリーンを使わずとも、何もない空間に映像を映し出せる「空中ディスプレイ」。その仕組みには光の反射を利用した空中結像技術が使われており、さまざまなメーカーが普及に向けて開発を進めています。
空中ディスプレイの特徴は、端末に接触せず利用できること。そのため医療機関における活用にも期待されているほか、マンションのインターホンやPOSレジに搭載されるなど実証実験も行われています。
【導入事例】アルファクラブ武蔵野株式会社のサイネージ活用事例
デジタルサイネージの活用が進む中、意外な業界で革新的な導入が始まっています。それが葬儀業界です。アルファクラブ武蔵野株式会社が運営する「やすらぎホール南浦和」では、業界で初めて「空中ディスプレイ」を採用し、参列者にこれまでにない体験を提供しています。
最新テクノロジーを取り入れ、新しい時代にふさわしい弔いのサービスを提供したいという想いから導入を決めたアルファクラブ武蔵野株式会社 執行役員の金澤様と広報の石井様にお話を伺いました。
業界初!空中ディスプレイを葬儀の演出に採用

金澤様:導入のきっかけは、葬祭部門のキャッチコピーでもある「さがみ典礼なら また、逢える」をどのような形で実現していくか考えたことからでした。故人様にとって葬儀の場は人生の最期を締めくくる大切な時間です。時代に即した新しい弔いの形を追求する中で、葬儀を単なる儀式とするのではなく、故人様の想いや言葉をよりリアルに参列者様へ届け、深く心に刻んでいただけるような新しい価値を生み出せないかと考えました。そのファーストステップとして導入したのが、この空中ディスプレイです。
葬儀演出としてのデジタルサイネージ活用例

石井様:実際に設置しているのは、メモリアル展示スペースと祭壇付近です。故人様の思い出の品を飾るメモリアル展示スペースには小型空中ディスプレイを設置し、参列者様が待ち時間に故人様からのメッセージを視聴できるようにしています。さらに祭壇付近に設置している空中ディスプレイでは、出棺前に故人様の最期のメッセージを投影しています。
弔問に訪れた方々からは「最期に故人様の声を直接聞くことができて本当に良かった」「まるでそこにいて語りかけてくれているようで心に残った」などと好意的なお声をいただいています。これらのお声は、この取り組みが参列者様にとっても大きな意味を持つものであったと確信しています。
長く故人の記憶が残るように。最新技術を活用した「葬儀DX」

金澤様:近年では葬儀の小規模化や墓・仏壇じまいが進み、故人様を弔う場が少なくなっています。しかし、故人様を想う気持ちはいつの時代も変わらない普遍的なものだと考えます。私たちは、その想いに応えるために従来の「葬儀」から、故人様への想いを繋ぐ「想儀」へと価値を転換し、テクノロジーを取り入れて新しい時代にふさわしい弔いのサービスを提供し始めました。今回のデジタルサイネージを活用した新しい演出はその一環であり、最終的にはホログラムを活用して祭壇を作り、結婚式のように多様性に満ちたセレモニーを目指したいと思っています。
当社の社長はよく「人は2回死ぬ」と言います。1回目は物理的な死で、2回目は記憶からの死を指します。この2回目、つまり「記憶からの死」は葬儀のあり方次第で防いだり、長く保つことができるのではないかと考えます。デジタルサイネージをはじめとした仕掛けは記憶に残るきっかけづくりであり、参列者様の心に深く長く刻まれる記憶を提供したいと思っています。
利用目的に最適なデジタルサイネージを選ぼう
最新技術を取り入れながら進化を続けるデジタルサイネージは、もはやコンテンツを投影するにとどまらないツールになっていると言えるでしょう。
販促やインフォメーション、イベントや空間の演出まで幅広い用途がありますが、これからはその目的に合わせて機能を選び分ける時代です。
USENは「USENサイネージ」をはじめ、数多くのデジタルサイネージを取り扱っています。
目的に合わせて最適なデジタルサイネージやコンテンツを提案いたします。ぜひお気軽にお問い合わせください。
取材協力:アルファクラブ武蔵野株式会社
企画・運用協力:サイバーステーション株式会社

