ムッシュかまやつ(本名:釜萢 弘=かまやつひろし)氏は、1939年生まれ。父は日本ジャズ界の草分け的存在であるジャズシンガーのティーブ・釜萢で、幼少時から音楽に親しみ、高校時代にはカントリー&ウエスタン歌手としてデビューします。
60年代にはグループサウンズの礎を築いたザ・スパイダースのメンバーとして多くの代表曲を作曲し、70年代にはソロとして「我が良き友よ」、吉田拓郎とのデュオで「シンシア」などのヒットソングを生み出しました。音楽活動を続けるかたわら、TVドラマ「時間ですよ」等へ俳優として出演、また司会者としても活躍。その後も、様々なジャンルのアーティストとの交流やユニット活動を通じて、日本のポピュラーミュージック史を語る上で欠かせない存在となります。
近年では、生誕70周年を記念して、ベテランから若手まで多くのゲストを迎えたアニバーサリーアルバム『1939~MONSIEUR(サンキュー ムッシュ)』のリリースも記憶に新しいところです。
英米のロックをいち早く取り入れた、ザ・スパイダース時代の「フリフリ」や「バン・バン・バン」をはじめ、独自の美学に満ちた「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」がアシッド・ジャズ・ブームの中で再評価されるなど、時代の先端を行く音楽的感性で、幅広い世代のミュージシャンに影響を与えてきた「ムッシュ」こと、かまやつひろし氏。
氏の功績に敬意と追悼の意を表すとともに、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。