70年代前半、世界を最も興奮させたトップ・グループ、エマーソン、レイク&パーマー(以下、EL&P)のキーボーディストであり、自身もロック史の象徴として数々の偉業を成し遂げたキース・エマーソン。
彼は最先端のシンセサイザーやキーボード類を自在に弾きこなし、ギターレス編成というキーボーディストをギターに代わる主役のパートとしてシーンに定着させた先駆者でした。
また、クラシックやジャズの素養に裏付けされたプログレッシヴな音楽性と演奏スタイルで人気を博しましたが、最も魅力的だったのがそのライヴ・パフォーマンスでした。演奏テクニックはもちろん、キーボード群に囲まれた圧巻の機材セッティング、ナイフをキーボードに突き刺す独特のパフォーマンスなど、“演出家”としても非常に優れた才能を発揮し、時代にロックの新たなイメージを叩き付けた彼の功績は計り知れません。
72年の後楽園/甲子園球場でのEL&P初来日公演は今でも伝説として語り継がれるほどの衝撃を与え、グループの主役としてキースは日本でも熱狂的な支持を集め、まさにトップ・レベルのヒーローでした。
この追悼番組では、ザ・ナイスなど、EL&P以外のプロジェクトやソロ活動も踏まえ、彼の功績とその足跡をたどります。
ロック・キーボーディストの第一人者として道を切り開いたキース・エマーソン氏に追悼の意を表すとともに、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。