2020年1月8日
東洋観光株式会社 国民宿舎みやじま杜の宿様
年間400万人が訪れる島の宿「みやじま杜の宿」は防災対策も多言語対応で万全に!
広島県廿日市(はつかいち)市宮島町にある厳島(通称:宮島)は、日本三景の「安芸の宮島」、「神様が宿る島」として人気の観光エリアです。
観光友好都市でもあるフランスのモン・サン=ミシェルを中心に多くの訪日外国人観光客に対し多言語対応が求められていますが、神様が宿る島ならではの課題もあるそうです。
広島県の西部に位置する宮島は、嚴島神社を中心に神様の宿る島として多くの訪日外国人観光客が訪れています。
神様が宿るこの島は景観を守るためにも、看板などの多言語表示を工夫して訪日外国人の方々へいかに情報発信するかが課題になっています。
東洋観光株式会社が運営をしている国民宿舎みやじま杜の宿は、廿日市市の指定管理施設として、USEN-NEXT GROUPの株式会社USENが提供する外国語アナウンスアプリ「USENおもてなしキャスト アナウンスアプリ 防災」(以下、おもてなしキャスト)を導入しています。
訪日外国人観光客への対策を進める国民宿舎みやじま杜の宿の支配人に導入の経緯や導入後の感想についてインタビューしました。
みやじま杜の宿
1962年開業の国民宿舎「宮島ロッジ」を前身として、1993年の全館リニューアルを機に現名称「国民宿舎みやじま杜の宿」に改称、2019年4月に廿日市市の指定管理者に選出されたことを機に多言語対応を進めています。
年間約400万人の観光客の来島があり、その中の8.8%が外国人と言われています。みやじま杜の宿だけでも年間2.2万人の宿泊者数があり、うち9%が外国人宿泊者になります。観光友好都市モン・サン=ミシェルのあるフランスを中心にスペイン、イタリアなどヨーロッパ圏の方が半分を占め中国、韓国の方々よりも多い状況です。
宮島は神様への礼を重んじており、景観を損ねやすい多言語の看板や、遅い時間までお店が営業することは好まれません。神社が閉まる17時以降は神様が会議をされる時間と言われており、騒がしくすることは控える風習があります。
そのためほとんどのお店は17時で閉店してしまうため、多くの宿泊者は屋外ではなくお部屋で過ごすことになります。
宿泊施設としての課題
廿日市市の指定を受け、入口に指定避難所の看板や館内にはいろいろな掲示物を設置していますが、英語表記も少なくインバウンドの方々に気付いていただけないのが現状です。
そのため会話で対応できるようにベトナム出身の従業員を中心に数名雇用しています。ただし、夜間など時間帯によっては外国人スタッフが勤務していないことも多く、有事の際にお部屋で過ごされているお客様へ外国語で情報をお伝えする方法に課題を感じていました。
こうした中で、放送を担当する人によっては発音など「伝わりづらい」ことも多く、対策を検討していました。
外国語放送(外国語アナウンス)アプリ導入の経緯
廿日市市の指定を受け、春先から、有事の際に宿泊されているお客様へ災害時の情報を効率的に伝える方法や英語が話せるスタッフが不在の時にでも外国語で伝える方法を検討していました。
既存の放送設備を利用して音声で伝えることができる「おもてなしキャスト」の提案を受けた際に、標準搭載された外国語も含めたアナウンスの内容がすぐに使えるのではないかと感じ導入を進めました。
特に宮島は台風によるフェリーの運航が変更になったり、島内は道が細く救急車、消防車も余裕がないため、とっさの際にすぐに使えるアナウンスが最初から入っていることは重要だと思います。
導入のポイント、使ってみて良かった点
- 1.簡単な説明で外国人スタッフでも操作ができる
- 2.英語が話せるスタッフが不在の際にも外国語の放送ができる
- 3.英語だけ放送するなど放送する言語を選べる
- 4.停電など必要なアナウンスが標準で搭載されており、導入コストを抑えることができる
- 5.「地震」「火災」など項目別に表示され、分かりやすく選びやすい
今後追加してほしいフレーズや機能
悪天候や災害などによりフェリーが運休してお客様が足止めされる場合がありますが、その説明が伝わりづらいため、公共交通機関の運行状況やアクセス状況を伝えられると良いと思います。
また、近郊の交通機関だけではなく、その先の情報、例えば「台風がどこに向かっている」とか、「〇〇方面は災害が発生しているので行かれる方は注意してください」なども流せると施設利用者に喜ばれるのではないかと感じています。
機能ではありませんが、外国人スタッフが操作する場合もあり、難しい日本語が読めない場合があるため、アプリ内の表示言語を変更できると外国人スタッフが操作することもある施設では喜ばれると思います。
訓練での利用も予定
今月(2019年12月)訓練を予定しており、市の職員の方も来られるので、そこで多言語にも対応した訓練ができることは良かったと思っています。
休館日に行う大きな訓練でも同じように使うことを検討しています。年数回行われる訓練で使えるフレーズや、訓練に臨場感を出す緊急地震速報のチャイム音や地震をイメージする効果音などが追加されるとより使いやすくなると思います。
USEN SOUND Lab.編集部