130席という広い空間でお客様に負担をかけない仕組みづくり
弊社はクラフトビールを作っているメーカーでもありますので、日本のクラフトビールのカルチャーを活性化させたいという想いがあります。そのために、あらゆるシーンでクラフトビールを楽しんでもらえるよう、さまざまなコンセプトを持った店舗展開を進めているんですね。ここ「WORLD BEER TERMINAL KAEN」に関しては、海外のリゾート地や酒場をイメージしていまして、老若男女問わずビール片手に乾杯をして、わいわいがやがやと賑やかに人が行き交う空間をつくりたかったんです。そのコンセプトのもとで楽しい雰囲気をつくるためには相応の人数が入る店舗が必要でしたので、店内・テラス合わせて130席という大きな規模のお店になりました。そのような大箱のお店でお客様にクラフトビールを楽しんでいただくためにはスムーズなオペレーションが必要で、人手を最小限に抑えられるようなシステムを導入したいと思っていたんです。そこで、お店をオープンする際にUSENさんからご提案いただいて、モバイルオーダーシステム「USEN SelfOrder MOBILE」を導入しました。お客様自身のスマートフォンからオーダーしていただくことでスタッフが注文を受ける業務がなくなり、その分料理やドリンクのスピーディーな提供に専念できています。また、何よりよかったと感じているのは、お客様が好きなタイミングで注文できるシステムによって、広い店内を行き来するスタッフの様子をうかがったり、お待たせしたりすることがなくなったことです。注文するたびに“すみません”と言ってスタッフに声をかけるといった、お客様にとって負担になる部分を解消できたことが一番ですね。
「モバイルオーダーで注文するのは楽しい」という発見
現在は十分に活躍しているモバイルオーダーシステムですが、オープン当初はうまくいかないこともありました。当時はまだお客様自身で注文するオーダーシステムの認知が薄く、“このお店はオーダーも取りに来ないのか”というようなクレームをいただくこともあったんです。そういったお声をいただいた際には、当日のうちに社内会議で改善策を検討しました。お客様に受け入れていただくにはどうしたらいいか考えた結果、楽しくモバイルオーダーシステムを使っていただくための操作説明を心がけるようにしました。QRコードをお手元のスマートフォンで読み取って、こうやってメニューを選択して送信するだけで注文できるんですよ、と丁寧にご説明すると「あ、すごいね」と前向きな反応をいただけるようになりました。特に若い方は注文することを楽しんでくださっている印象で、SNSでもそういった投稿を見かけるほどです。ご年配の方に対してもケアを続けていくことで常連様を中心に浸透し、現在では、ほぼ100%「USEN SelfOrder MOBILE」からのオーダー受付を実現しています。
何か新しいことを取り入れる際には、不安がつきものだと思いますが、それはお店を利用していただくお客様にとっても同じことで、その不安をどのようにケアしていくかが重要だと思っています。一時は不満の声が挙がっていたサービスでしたが、意識的にケアしていくことでむしろお店を楽しんでいただける一つの要素になったと考えています。
店舗DXは、クラフトビールカルチャーを作っていく立役者
「WORLD BEER TERMINAL KAEN」を運営するダイヤモンドブルーイング社は、クラフトビールのカルチャーをつくっていくために店舗のDXを推進しています。これがどういうことかといいますと、まず私たちは、弊社を日本で一番クラフトビールカルチャーを作っている企業にしていきたいと思っています。世界でクラフトビールというマーケットはすごく大きくなっているのですが、日本はすごく出遅れているんですよ。そこで文化を形成していくためにはクラフトビールを楽しめる飲食店を生み出すことが必要です。さらに持続可能な企業にしていくにあたって、その飲食店の経営にはDXがマストなんですよね。DXやるぞって言っているわけではなくて、お客様が楽しくクラフトビールを飲める空間を提供するためにやらなければいけないことを逆算して考えてみたら、DXサービスを導入して業務効率化をはかるということに行き着いたんです。また、別店舗である「THE SEAFOOD BEER STATION」においては配膳ロボットの「Servi(サーヴィ)」やデジタルサイネージ、AIカメラの「USEN Camera」といった、新たなDXサービスを積極的に取り入れています。USENさんがそういったサービスをどんどん出して提案してくれるので、ひとつずつ導入してチャレンジし続けています。そこでも、クラフトビールを楽しんで飲んでいただくためにはどうすれば良いのか、ということを常に考えて、スタッフやUSENさんと相談しながら運用改善を進めています。店舗DXの実現、そしてお客様への普及は簡単とは言えません。ただ、最良のサービスを提供するための武器として捉えることで、運用方法が見えてきますし、その実現が我々にとって大きな意義があるのではないかと考えています。