Study 研究
公開日: 2026.06.01
更新日: 2026.06.01
更年期の不調に寄り添う音楽
オキシトシンの分泌を促す音楽について、桜美林大学の山口創教授と実験を行いました。
更年期は閉経前後の約10年間を指す、誰もが経験する大切なライフステージです。女性ホルモンの分泌が減少し、心と体に様々な変化が起きやすくなります。USENでは音楽によって更年期特有のメンタル不調に寄り添うことができないかと考え、桜美林大学 山口創教授監修のもと、検証実験を行いました。実験の結果、音楽がオキシトシン分泌の促進や心拍の低下、さらには更年期の自覚症状の緩和や、気分の落ち着きといった効果をもたらす可能性が示唆されました。
実験概要
更年期の自覚症状がある40~50代の女性47名を2群に分け、それぞれ音楽の聴取前後でアンケートと唾液採取を行いました。
音楽はUSENが選曲した2種類のプレイリスト(BPM60前後のヒーリング楽曲<音楽A>と、BPM120前後のボサノヴァ楽曲<音楽B>)をそれぞれの群に聴いてもらい、アンケートでは更年期の自覚症状や今の気分、音楽の印象などをたずねました。
結果 -1- オキシトシン分泌量
唾液中のオキシトシン分泌量を分析しました。オキシトシンは一般に「幸せホルモン」とも呼ばれ、鎮痛やストレス緩和の効果があるといわれており、女性の更年期症状を穏やかにする助けとなることも期待されています。
音楽A、Bどちらにおいても、聴取後にオキシトシン分泌量が増加し、特に音楽A聴取後はより大きな変化がみられるという結果になりました。
結果 -2- 心拍数
音楽Aの聴取後は心拍数が低くなり、音楽Bの聴取後は心拍数が高くなるという結果がみられました。
結果 -3- 更年期に関する自覚症状(簡略更年期指数・SMIスコア)
アンケートの結果、音楽Aの聴取後は更年期の自覚症状が低減しました。
<症状に関するアンケート項目>
顔がほてる/汗ばむ感じがする/腰や手足が冷える/息切れ、動悸がする/イライラする/くよくよする、憂うつだ/頭痛、めまい、吐き気がする/疲れた感じがする/肩こり、腰痛 、手足の痛みがある
※各項目4段階で回答してもらい、合計スコアを比較しています。
結果 -4- 気分(二次元気分尺度・TDMS)
アンケートで気分についてたずねたところ、音楽Aの聴取後は「落ち着いた」という項目が有意に高くなりました。
※有意・・・統計的に有意である(偶然ではなく調査結果に意味が認められる)ことを表しています。
<気分に関するアンケート項目>
落ち着いた/イライラした/無気力な/活気にあふれた/リラックスした/だらけた/イキイキした
<実験監修:桜美林大学 リベラルアーツ学群 山口創教授>
キーワード:更年期・女性・オキシトシン・健康
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・ USEN MUSIC GUIDE
・ Sound Design for OFFICE
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・本ページの実験結果は、各種実験業務の委託により得た分析結果を記載したものです。
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研究者からのコメント
更年期は、女性ホルモンの減少に伴い、心身にコントロールしがたい変化が起きるデリケートなライフステージです。今回の実験では、音楽がその不調を和らげる鍵になり得るかを検証しました。
注目すべきは、BPM60前後のヒーリング楽曲(音楽A)を聴いたときの結果です。この音楽を聴くことで、鎮痛やストレス緩和に寄与する「オキシトシン」の分泌が促進され、心拍数が低下することが確認されました。さらに、アンケートにおいてもイライラやほてりなどの更年期特有の自覚症状が有意に改善し、「落ち着いた」気分になれるというポジティブな変化が認められました。一方、BPM120前後のボサノヴァ楽曲(音楽B)では、オキシトシンの分泌を促しつつも、心拍数を高めるという異なる反応が示されました。これらの結果から、音楽には単なる娯楽を超え、ホルモンや自律神経に働きかけて心身を整える力があることが示唆されました。
リラックスしたい時はゆったりとしたヒーリング曲を、少し気分を上げたい時はリズムのある曲を。音楽を「耳から取り入れるサプリメント」のように日々の生活に活用することで、更年期の変化とより上手に向き合っていくための手助けになるでしょう。
桜美林大学 リベラルアーツ学群 山口創教授
1996年、早稲田大学大学院人間科学研究科修了。早稲田大学人間総合研究センター助手、聖徳大学人文学部講師、桜美林大学リベラルアーツ学群准教授を経て、2014年より現職。
専門は健康心理学、ボディワーク、身体接触、非言語コミュニケーション。タッチングの効果やオキシトシンについて研究している。
『子供の「脳」は肌にある』、『手の治癒力』、『幸福感の法則』など著書多数。
「チコちゃんに叱られる!」(NHK)などメディアにも多数出演。