Study 研究
公開日: 2026.04.01
更新日: 2026.04.01
音楽が幼児の「落ち着き」にもたらす効果
園やご家庭で活用できる「幼児を落ち着かせるBGM」について、立命館大学の山本寿子先生と共同研究を行いました。
保育や幼児教育の現場では、音楽が日常的に取り入れられています。音楽が人の感情や生理状態に影響を与えることは多くの先行研究で示されていますが、幼児に対しては具体的にどのような効果をもたらしているのでしょうか。USENでは、音楽が幼児の心理に与えるポジティブな影響や、音楽のジャンルによる反応の違いを明らかにするため、立命館大学の山本寿子先生(※)と共同研究を行いました。
その結果、音楽を聴くことが幼児の関心を引きつけ、落ち着きをもたらすこと、さらに音楽の種類によって感情への影響が異なる可能性があることが明らかになりました。
(※)現所属:大阪公立大学
実験概要
3~6歳の未就学児31名を対象に実験を実施しました。参加者は保護者とともに実験会場である音楽スタジオでしばらくリラックスした後、まず「無音状態」の心拍数を測定。その後、「オルゴール」「オーケストラ」「キッズ向けインストゥルメンタル」の3種類の音楽をランダムな順序で聴取してもらい、聴取中の心拍測定と、聴取後の主観評価(気持ちの回答)を行いました。また、実験中の表情をビデオカメラで記録し、解析しました。
結果 -1- 参加者自身の気持ち:キッズ向け楽曲でポジティブに
音楽聴取後の気持ちを5段階で回答してもらったところ、「キッズ向けインストゥルメンタル」を聴いた後は、オーケストラと比較してポジティブな感情が有意(※)に高まることがわかりました。楽曲展開の意外性が、幼児に「楽しさ」をもたらした可能性が示唆されます。
※有意・・・統計的に有意である(偶然ではなく、実際の効果によって生じたものと結論づけられる)ことを表しています。
結果 -2- 心拍数:音楽を聴くことで「落ち着き」が生まれる
無音時と音楽聴取時(曲前半・曲後半)の平均心拍数を比較した結果、すべての音楽条件において、聴取前半に心拍数の有意な減少が認められました。音楽を聴くこと自体が幼児の関心を引きつけ、心理的な落ち着きをもたらしたと考えられます。
結果 -3- 表情:楽曲の特性が表情の変化に現れる
表情解析(AU:アクションユニットを用いた解析)では、以下の点に着目しました。
・ポジティブな感情の指標: AU6(頬を上げる)、AU12(口角を上げる)
・ネガティブな感情の指標: AU4(眉間のしわ)
解析の結果、オーケストラとキッズ向け楽曲は、オルゴールと比較してAU6の頻度やAU12の強度が有意に高いことが示されました。「オーケストラやキッズ向け楽曲がもたらす『楽しさ(感情価)』」と、「オーケストラやオルゴールがもたらす『落ち着き(覚醒度)』」という、楽曲ごとの特性の違いが、幼児の表情に異なる影響を与えたと考えられます。
<共同研究:立命館大学 総合心理学部 山本寿子助教>
(現所属:大阪公立大学大学院 文学研究科 准教授)
キーワード:幼児・子ども・落ち着き・心拍・表情
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幼児が落ち着く音楽
立命館大学の山本寿子先生(※現所属:大阪公立大学)とUSENの共同研究で得られた、幼児が落ち着く音楽の特徴をもとに制作したUSENオリジナル曲による番組です。幼児の関心を引きつけ、楽しさを感じるような展開や効果音を取り入れた、活気のあるコミカルな雰囲気の音楽になっています。保育・幼児教育の場面はもちろん、商業施設などでお子様に落ち着いて、楽しく過ごしてもらいたい場面にもおすすめのBGMです。
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・ USEN MUSIC GUIDE
・ Sound Design for OFFICE
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・本ページの実験結果は、各種実験業務の委託により得た分析結果を記載したものです。
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研究者からのコメント
本研究では、就学前のお子さんに音楽を聴いていただき、心拍数や表情の変化、さらに本人の回答から、音楽によってどのような気持ちの変化が起こるかを調べました。調査の結果、どの音楽も流れるだけでお子さんの注意が惹きつけられることが確認されました。特に、意外な音が入ったり、メロディに展開があったりするキッズ向けインストゥルメンタルでは、お子さんのポジティブな気持ちが高まりやすい可能性が示唆されています。保育や幼児教育の現場などにおいても、活動の目的に応じて音楽を活用していただくことで、お子さんのポジティブな気持ちを引き出す一助となることを願っています。
立命館大学 総合心理学部 山本寿子助教
(現所属:大阪公立大学大学院 文学研究科 准教授)
東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。博士(教育学)。東京女子大学特任研究員、日本学術振興会特別研究員、立命館大学総合心理学部助教を経て、現在大阪公立大学大学院文学研究科准教授。専門は発達心理学・認知心理学。視聴覚を通した感情知覚の発達メカニズムと文化差を研究している。