研究
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音楽が乳児に与える影響に関する研究

公開日:2024年11月8日

音楽が乳児に与える影響に関する研究

授乳中やおむつ替えにもおすすめの、乳児の興味を惹くBGMとは

ぐずる赤ちゃんを落ち着かせるために、歌いかけたり、身体で一緒にリズムをとったりすることはありませんか。USENでは、もし音楽を聴くだけで赤ちゃんのごきげんが維持でき落ち着いてもらえたら、例えば授乳中やおむつ替えの際など、赤ちゃんだけでなく保護者の方もより快適に過ごすことができるのではないかと考えました。そこで、玉川大学赤ちゃんラボの梶川祥世先生監修のもと、赤ちゃんのごきげんを保つ音楽を明らかにする研究を行いました。「落ち着き」と聞くとオルゴールやヒーリング・ミュージックを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、今回の研究では意外な特徴の音楽が、より落ち着きを維持することが示されました。

実験概要

生後7~18ヶ月の乳児に最大15分間音楽を聴いてもらいながら、表情の撮影と心拍の測定を行いました。なお、音楽を聴いている間は保護者の方に前向き抱っこをしてもらい、歌いかけや身体でリズムをとることは控えてもらいました。
実験に使用した音楽は以下のとおりです。リズムの明瞭性と明るさが異なる2種類を用意しました。一方は、およそ120bpm前後の音色やメロディの変化が多く、効果音などを用いて乳児の興味を惹くような「にぎやか音楽」、もう一方ははおよそ45~60bpmのメロディの変化が少なく、オルゴールや鉄琴の音色がメインとなった「リラックス音楽」です。参加者にはいずれか1種類のみ聴いてもらいました。
※明瞭性:拍の強さ、明るさ:1500Hz以上のスペクトル成分割合

図1




結果 -1-

音楽を5分目まで聴いた乳児の平均心拍数を音楽条件で比較したところ、にぎやか音楽の方が落ち着きを維持する傾向が見られました。

図1




さらに、音楽条件ごとに経過時間による心拍数の変化を見たところ、リラックス音楽を聴いた群のみ経過時間に伴って有意※な心拍数の増加が認められました。2分経過後からぐずりが活発化していることが分かります。
(※有意…統計的に有意である(偶然ではなく調査結果に意味が認められる)ことを表しています。)

図3




結果 -2-

撮影した乳児の表情を「平静(真顔)」、「ぐずり」、「泣き」の3段階に分類したものを基に、表情筋の変化から「泣き確率」(0=平静、1=泣き)を算出し、音楽条件ごとに比較したところ、時間が経つにつれてにぎやか音楽よりもリラックス音楽の方が泣き確率が高い傾向が見られました。

図4




結果 -3-

音楽聴取の前後で母親の気分についても調査をしたところ、にぎやか音楽の方がやや聴取後の総合的気分状態が低い(良好)傾向が見られました。なお、「活気ー活動」と「友好」の2項目は高い方がポジティブなので、逆転項目として採点しています。

図5


共同研究者からのコメント

梶川祥世 教授
東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。NTTコミュニケーション科学基礎研究所、玉川大学COE研究員などを経て、現職。専門は発達心理学。日本発達心理学会、日本赤ちゃん学会、日本心理学会、日本認知科学会会員。

<監修> 玉川大学 赤ちゃんラボ 梶川祥世 教授

本研究から、0歳後半から1歳の赤ちゃんは、リズムのはっきりした、テンポの速いにぎやか音楽が流れていると、注意を惹きつけられご機嫌な状態を保ちやすいことがわかりました。この効果がゆったりしたテンポのリラックス音楽よりも長続きすることは、興味深い知見といえます。この年齢の お子様は、外の世界や新しいことにワクワクする好奇心旺盛な時期に入っていきます。日々の暮らしや遊びのなかで楽しいにぎやか音楽を活用して、心にゆとりと豊かさをもたらす一助としていただければと思います。

※本研究は、千葉大学 津村徳道 准教授、長岡技術科学大学 土居裕和 准教授にお力添えいただきました。



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あかちゃんのごきげん音楽

玉川大学赤ちゃんラボの梶川祥世先生とUSENとの共同研究で得られた、ごきげん音楽の特徴を基に制作したUSENオリジナル曲による番組です。赤ちゃんの興味を惹く音の変化や効果音を多用した、にぎやかでコミカルな雰囲気の音楽になっています。商業施設のベビールームなど、ぐずってしまうお子様に落ち着いてほしい・楽しく過ごしてもらいたい場面にはもちろん、ご家庭での利用もおすすめのBGMです。



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・本ページの実験結果は、各種実験業務の委託により得た分析結果を記載したものです。当社並びに当該分析結果は、何らかの効果を保証しているものではありません。

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