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気象病に対する音楽効果の研究

公開日:2023年10月2日

気象病に対する音楽効果の研究

悪天候や低気圧が引き起こす心身の不調を和らげる音楽とは

雨が降る前後や建物の高層階で過ごしたときなどに不調を感じたことはありませんか?明らかな原因がなかったり、これらの不調に波がある場合は気圧変化などの影響でおこる「気象病」かもしれません。気象病は、頭痛や全身の倦怠感、首肩こり、めまいなどに加え、ときに心理面にも影響を及ぼします。
そんな気象病による不調を音楽によって予防したり、和らげることが出来るのか、せたがや内科・神経内科クリニック 院長 久手堅司先生監修のもと、検証を行いました。

実験方法

20代~40代の男女11名に酸素ボックスの中で一定時間座って過ごしてもらいました。
ボックス内では気象病の起こりやすいときと同じように気圧が急降下する変化を起こし、その後、低気圧の状態を維持しました。
参加者には気圧変化の前後に、心身の不調をたずねる5件法を用いたアンケートと、血圧や自律神経バランスの測定を行いました。
また、参加者には2日間参加してもらい、低気圧の中で過ごす間の音楽有り・無しを1日目と2日目で入れ替えました。



図1

※本実験は医師立ち合いのもと、参加者に実験内容について十分に説明し同意を得た上で実施しました。





結果

気象病は自律神経バランスとも関係しており、不調の出方は2パターンあると言われています。
1つ目のパターンは交感神経が過剰に高まる(血圧が上がりやすく、心拍数が上がって興奮したり、緊張したりする)=「交感神経タイプ」。2つ目のパターンは副交感神経が過剰に高まる(血圧が低下したり、眠気を感じやすくなったりする)=「副交感神経タイプ」です。

今回の実験で測定した自律神経バランスを元に“交感神経が過剰に高まりやすい”と分類された「交感神経タイプ」の5名は、減圧開始前と終了後の血圧の最高値の変化について、音楽有りと音楽無しの条件で比較した結果、音楽無しのときは減圧前後で最高値が上がってしまうところが、音楽有りのときは減圧前後で最高値が有意に下がることが示されました。

※有意・・・統計的に有意である(偶然ではなく調査結果に意味が認められる)ことを表しています。



図5
※変化値=減圧後値-減圧前値、p<0.05、×=平均値


以上のことから、急激な気圧変化の中で血圧が上がりやすい人でも、血圧の上昇を抑制することが期待できます。

さらに、減圧開始前と終了後の5件法を用いたアンケートにおいて身体愁訴の回答の変化の差を見たところ、音楽有りのほうが音楽無しよりも頭痛や腰痛を感じにくいという傾向が見られました。



図6
※変化値=減圧後値-減圧前値、×=平均値


図7
※変化値=減圧後値-減圧前値、×=平均値




監修者からのコメント

久手堅 司先生
東邦大学附属 医療センター大森病院、済生会横浜市東部病院勤務を経て現職。医学博士。日本内科学会 総合内科専門医、日本神経学会 神経内科専門医、日本頭痛学会 頭痛専門医、日本脳卒中学会 脳卒中専門医。

<監修>せたがや内科・神経内科クリニック 院長  久手堅 司先生

自律神経は交感神経と副交感神経の2つで、心身のバランスをとっています。緊張状態やストレス下において、交感神経が優位な状況になると、血圧の上昇を伴う場合が多くみられます。
音楽を聴くことで、副交感神経が優位な状況になり、血圧が低下したのでしょう。
頭痛や腰痛などの痛みがある場合にも、交感神経が優位な状況になっている場合が多くみられます。こちらに関しても、音楽を聴くことで、副交感神経が優位な状況になり、痛みが軽減したのでしょう。
音は、聴覚に影響を与えます。外耳道に入ってくる音に応じて鼓膜が振動し、さらに鼓膜に付着した耳小骨の振動となって内耳へ伝わっていきます。振動が内耳の中のリンパ液、さらには有毛細胞に達することで神経伝達物質が放出され、細胞に付着した聴神経から音の情報として脳へ伝えられます。
そして、全身に影響を与える可能性もあります。良い影響も悪い影響もどちらもあり得るでしょう。心身へのプラスの効果が出るような、音楽を日頃から、聴くことができるとよいですね。こうした音楽の研究が益々発展していくことを期待しています。

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・本ページの実験結果は、各種実験業務の委託により得た分析結果を記載したものです。当社並びに当該分析結果は、何らかの効果を保証しているものではありません。

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