公開日:2022年2月20日
オフィスの音環境に関する研究
Web会議の音の問題を改善するには
コロナ禍の影響を受けて多くの企業でWeb会議が頻繁に行われるようになった昨今、会議室の空きが無い、会議室に人数制限が設けられているなどの理由で執務室から出席する…という状況もあるかもしれません。
執務室での会議は、周囲の声が会話の妨げになったり、逆に自分の声が周りに聞かれていないか気になって集中できなかったりと、あまり好ましい状況ではないでしょう。
USENでは、東京情報大学・西村明教授の監修のもと、吸音パネル(※)を執務室に設置した場合を想定して、改善が図れるかを検証しました。
※音を吸収することで音の反射を防ぎ、防音効果をもたらすパネル。
実験概要
日常的にWeb会議を利用するオフィスワーカー20~50代の男女21名に、録音されたオフィスの音がややうるさいと感じる音量(62dB)で流れている実験室の中で実際にWeb会議を行ってもらいました。
吸音パネルは2種類使用し、以下の4つの状況において、それぞれ「聞きとりやすさ」「話しやすさ」「周囲の音が気になるか」をたずねる質問に回答してもらいました。
結果 -1- 聞き取りやすさ
パネルが無い時と比べて、パネルを使用した時の方が「聞き取りやすい」という結果になりました。
特に両方とも設置した場合は統計上の有意差が認められ、十分な効果が得られたことがわかります。
結果 -2- 話しやすさ
パネルが無い時に比べて、パネルを使用した時のほうが「話しやすい」という結果になりました。また卓上パネル、自立パネルのいずれかのパネルを使用した時、両方のパネルを使用した時、どちらも統計上の有意差が認められ、吸音パネルが聞き取りやすさだけでなく、話しやすさにも効果的なことがわかりました。
結果 -3- 周囲の音が気になるか
パネルが無い時と比べて、パネルを使用した時の方が周囲の音が気にならないという結果になりました。 こちらも卓上パネル、自立パネルのいずれか片方のパネルを使用した時、両方のパネルを使用した時、共に統計上の有意差が認められ、音環境が大幅に改善されたと言えます。
これらの実験結果から、吸音パネルを設置することで、Web会議のしやすさが格段に向上していることが分かりました。
また、この実験と同じ環境において、音がパネルの有無によって音がどう変化するのか、数値を測定したところ、やはりパネルを使用した時の方が騒音の音量が小さくなりました。
下のグラフは、パネル無しの時を基準(0.0dB)としてホワイトノイズの音量と周波数の数値を表したものです。
このグラフからパネルが無い時と比べてパネルを使用した時の方が音量が小さくなっていることが分かり、数値上も吸音パネルの効果が認められます。
監修者からのコメント
<監修>東京情報大学 総合情報学部 総合情報学科 西村明 教授
オフィスにおける騒音の会話への影響は、個人の感受性の違いもあるため、少し体験してみただけでは違いが分かりにくいかもしれません。今回は、吸音パネル設置条件の違いによって、Web会議における相手の声の聞き取りやすさと自分の話しやすさが、どの程度変化するかに着目して分析しました。
その結果、吸音パネルを設置することでいずれも向上することが明らかになり、Web会議の音に関する問題の改善が期待できることが分かりました。また、周囲の音が気になりにくくなることも分かり、吸音パネルはオフィス作業全般にも効果がありそうです。
さらに音響測定の結果から、吸音パネルを設置することで、静かになることも分かりました。
本研究は吸音パネルを下記企業様にご提供いただきました。
・ドリックス株式会社様(卓上タイプ) :卓上型吸音集中ブーススタンド
・宮地楽器様(自立タイプ):Very-Q マイテレワークベース パネルタイプ
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