公開日:2022年2月18日
コールセンターのオペレーターに与える効果(BGMの種類編)
勤務エリアごとの最適なBGMの使い方とは
コールセンターのオペレーターという仕事は、会社の窓口となってたくさんのお客様と直接関わる重要な仕事。一般的にコールセンターでは多種多様な業務にあたっており、即時の回答を求められる問い合わせや、難易度の高いサポートなど、オペレーターの対応に高度なスキルが求められる傾向があります。また、繁忙時期にはキャパシティを超える電話数が着信する等、ストレスフルな状態を引き起こす要素もあります。
前回は「BGMの有無」で実験を行いましたが、今回は「BGMの流し分け」によって、コールセンターで働くオペレーターのストレスなどに違いが見られるかを調査しました。今回の実験も前回に続き、大妻女子大学の尾久裕紀教授・堀洋元准教授・本田周二准教授と共同研究を実施しました。
実験概要
コールセンターに勤務するオペレーター(観察期間①94名②88名③88名)を対象としフロアごとの3群に分けて、各フロアの執務室とリフレッシュルームおよび廊下とで異なるBGMを放送しました。プレ調査期間(観察期間①)を設けたあと、約2ヵ月間にわたり群ごとにBGM環境(BGMの種類)を変えて観察期間の切り替わるタイミングで、一時的気分尺度 (「生き生きしている」「だるい」など)、室内の印象(「自分の働いているフロアの印象」)、就業継続意思(「今後も現在の仕事をつづけていきたいかどうか」)、ワークエンゲージメント(「自分の仕事に誇りを感じる」「仕事の生産性が上がったように感じる」)といった項目をアンケートでたずねました。また勤務日数や、一時間当たりの平均処理件数(CPH)、オペレーターの感情といったデータを含めてBGMの効果を検証しました。
リフレッシュルーム/廊下 | 執務室 | |
A群 | 覚醒的BGM | 鎮静的BGM |
B群 | 鎮静的BGM | 覚醒的BGM |
C群 | 覚醒的&鎮静的BGM(ミックス) |
結果
[1]一時的気分尺度
A群において、観察期間全体を通して「緊張」の項目が有意に低下しました。
使用したBGMから考察すると、つまり就業中の緊張を和らげたい場合には、執務室は落ち着いた音楽を選び、廊下やリフレッシュルームでは快活な音楽を選ぶとよいことがわかります。
[2]一時間あたりの平均処理件数(CPH)
C群の女性において、 観察期間[1]よりも観察期間[2]、[3]の方があがりました。
[3]室内およびBGMの印象と、気分やパフォーマンスとの関連性
A群ではBGMが好きな程度が高いほど、怒りや抑うつが低く、ワークエンゲージメントや就業継続意思が高い傾向が見られました。
また、BGMの種類に関わらず室内の印象による影響が大きいと考えられます。
B群でも室内の印象による影響が大きく、C群では執務室の BGM については 、前述の通り CPH と正の相関が認められました。
また、執務室のBGMが好きな程度が高いほど、怒りや抑うつが低く、ワークエンゲージメントが高い傾向が見られました。
共同研究メンバー
大妻女子大学 人間関係学部 尾久裕紀教授、堀洋元准教授、
本田周二准教授
コメント
2ヵ月もの間、実際の勤務している場所を使ってのフィールド研究において、いくつかの有意な結果が得られたことは意義深いと考えてます。ワークエンゲージメントや勤務時でのポジティブ感情に関して、女性の方が高いという結果は、相対的に女性の方が多い職場であるコールセンターにとって良い結果だと考えられる一方で、男性オペレーターのワークエンゲージメントやポジティブ感情を高めるためにはどうしたらよいのかについて検討する必要があるでしょう。また、覚醒的BGMだけを流すよりも鎮静的BGMやミックスしたBGMにおいてストレス低減やパフォーマンスの向上との関連が見出されたことは、コールセンター内でどのようなBGMを採用することが望ましいのかを考えるヒントになると考えられます。
※本研究は、トランスコスモス株式会社のコールセンターに勤務するオペレーターの皆様にご協力いただきました。
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【免責事項】
・本ページの実験結果は、各種実験業務の委託により得た分析結果を記載したものです。当社並びに当該分析結果は、何らかの効果を保証しているものではありません。
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