購買意欲が高まる音楽の特徴に関する研究

公開日：2022年4月1日

購買意欲が高まる音楽の特徴に関する研究

どのようなBGMが購買意欲に影響を与えるのか？

スーパーマーケットやドラッグストアなど、普段の買い物で何気なく耳にしているBGM。今回はどのような音楽が「買い物をしたい気持ち＝購買意欲」に影響を与えるのか、大阪学院大学情報学部谷口高士教授監修のもと検証を行いました。

実験概要

20～50代の女性24名に、スーパーマーケットの店内画像を提示しながら音楽を聴いていただき、その時の「快さ」「興奮」「購買意欲」についてアンケートに回答してもらいました。実験にはスーパーマーケットで流れることの多い番組の代表曲を基準とし、「テンポ」や「明るさ」といった音楽要素の異なる様々な楽曲を合計100曲用意しました。

結果

「写真のお店で流れているBGMとして、以下の項目をどのように感じますか」という質問について「快－不快」「興奮－鎮静」「買い物をしたい気持ちが強くなる－弱くなる」という項目をそれぞれ９段階でたずねました。下図は調査した100曲それぞれの回答の分布を表しています。
その結果、快感情と購買意欲（図1）が強い関係性を持つということが示されました。
加えて、覚醒度と購買意欲（図2）についても、統計的に有意な関係性であることが分かりました。
以上のことから「快感情や覚醒度が高まる音楽を聴くと、購買意欲も高まる」ということが明らかになりました。

また、今回の実験で調査した計100曲を購買意欲の評価が高い順に見てみると、J-POPインストやJazz、ヨーロッパ風など、様々なジャンルがあることが分かりました。

《購買意欲の評価上位10曲のジャンルやUSENの番組》
楽曲 No.	ジャンル	楽曲 No.	ジャンル
1	USEN Hits インスト	6	New Age/HEALING
2	彩食BGM（A）	7	JAZZモダン
3	ポップミュージック	8	JAZZピアノ
4	彩食BGM（B）	9	JAZZディキシー
5	フュージョン	10	カフェ/ラウンジ

さらに、今回着目した「テンポ」や「明るさ」などはいずれも覚醒度との相関が見られました。楽曲のジャンルにこだわらず、複数の音楽要素が、その組み合わせによって快感情や覚醒度、ひいては購買意欲に影響を与えていると考えられます。

監修者からのコメント

＜監修＞大阪学院大学情報学部谷口高士教授

感情は喜怒哀楽などのさまざまな「質」に分けることができますが、「快－不快」と「興奮－鎮静」といった2次元で表現することもできます。この研究では、まず、USENのもつ大量の楽曲の音楽的特徴量をもとに、2次元の感情空間のさまざまな位置に当てはまる曲を100曲選びました。そして、実際にそれらの音楽を聴いて快さと覚醒度を評価してもらうとともに、「買い物をしたい気持ち」がどれくらい強くなるか答えてもらいました。その結果、快いほど購買意欲が高まるという強い相関関係、興奮するほど購買意欲が高まるという相関関係が見られました。なお、快と興奮の間にはあまり相関はありません。このことから、快さや興奮をもたらす音楽を組み合わせたBGMによって、購買意欲が向上すると考えられます。